懲戒解雇と取り消しの基礎知識と重要な注意点完全解説

目次

はじめに

目的

本章は、本記事の全体像と読み方をわかりやすく示します。懲戒解雇の取り消し(撤回)に関する法的な位置づけや実務対応を、従業員側と会社側の両面から整理して解説します。具体例を交え、実務で役立つ視点を提供します。

読者想定

  • 懲戒解雇を受けた労働者とその家族
  • 人事労務担当者や経営者
  • 相談を受ける弁護士・社労士

それぞれの立場で注意すべき点を丁寧に説明します。

本記事の構成と読み方

第2章以降で、まず「取り消し」の概念を整理します。続けて、解雇撤回が一方的にできない理由や、労働者の承諾が必要な点を具体例で示します。撤回が有効と認められるポイントや、無効と判断された場合との違いについても触れます。最後に、撤回後の実務上の対応を手順化して説明します。

読み進める際は、ご自身のケースに合う章から参照してください。必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。

懲戒解雇の「取り消し」とは何か

意味

懲戒解雇の取り消しとは、会社が一度行った懲戒解雇を取りやめ、従業員を職場に戻すことを指します。解雇は会社からの「労働契約を終わらせる」という意思表示であり、民法上の解除と同じ性質を持ちます。

無効と撤回の違い

懲戒解雇が「無効」と判断される場合と、会社が自ら「撤回(取り消し)」する場合は区別します。無効は裁判所などが解雇の効力を否定する法的判断で、原則として職場復帰が認められます。これに対し撤回は会社側の意思表示で、会社が自ら解雇をやめて労働契約を継続させるものです。

具体例

例えば、内部調査の結果を踏まえて会社が「懲戒解雇を取り消し、業務に復帰してほしい」と通知した場合が撤回です。争いの途中で会社が和解的に撤回することもあります。

注意点

撤回によって復職が成立するには、労働者側の承諾や給与・地位の取り扱いの調整が必要になる場合があります。詳しい手続きや有効性の判断は次章以降で説明します。

解雇(懲戒解雇を含む)は一方的に撤回できない

法的な意味

解雇は雇用契約を解除するための「意思表示」です。民法540条2項は、解除の意思表示は原則として撤回できないと定めています。これにより、会社が一方的に「解雇を取り消します」と言っても、法律上はその効力が容易に失われません。

裁判例の立場

最高裁判所をはじめとする裁判例は、解雇の撤回には労働者の同意が必要だとしています。つまり、解雇の効力を取り消すためには、当該労働者がその撤回を受け入れる意思を示す必要があります。

具体例と注意点

例えば懲戒解雇の後に会社が「撤回します」と通知しても、従業員が拒否すれば解雇の効力は残る可能性があります。したがって会社は、撤回を考える際に従業員の承諾を得る手続きや、再雇用・和解の条件を明確にするなど実務的な配慮が必要です。

懲戒解雇の撤回に必要な「労働者の承諾」

前提

懲戒解雇の撤回(取り消し)には、会社側だけの意思では不十分です。普通解雇や整理解雇も同様で、労働者の承諾が必要になります。

承諾があると評価されやすいケース

従業員自身が「復職したい」「撤回を受け入れる」と明確に伝えている場合、実務上は承諾があるとみなされやすいです。例えばメールや対面で復職の意思を示したときは承諾を証拠にできます。

拒否する場合の扱い

従業員が「戻りたくない」「承諾しない」と明言した場合、会社は一方的に撤回して復職させられません。会社の都合だけでは撤回できないことを覚えておいてください。

撤回時に必要な説明・対応

復職後の就労場所、職務内容、給与、復職日、研修の有無などを具体的に説明し、質問に誠実に答えます。口頭だけでなく書面で条件を示し、労働者の同意を得て署名やメールで確認するとトラブルを防げます。

懲戒解雇の撤回が「有効」と認められるためのポイント

この章では、懲戒解雇の撤回を実務上「有効」と認めさせるための具体的なポイントを分かりやすく説明します。

1 書面で明確に行うこと

撤回は必ず書面で示してください。口頭だけだと、後で争われやすくなります。例文:
「〇年〇月〇日付の懲戒解雇を撤回し、〇年〇月〇日付で復職します。職種:営業、賃金:月額30万円、復職日:〇月〇日」

2 書面に記載すべき具体項目

  • 復職の有無と復職日
  • 復職先の職種・具体的な職務内容
  • 賃金・手当の額と支払開始日
  • 配置転換や試用期間の有無
  • 労働者の受領確認(署名や押印)

3 謝罪を条件にしないこと

謝罪を条件にすると、労働者が応じない場合に撤回が争点になります。謝罪を求める場合は強制に見えない表現にし、本人の意向を尊重してください。

4 十分な説明と聴き取りを行う

撤回に先立ち面談で事情を説明し、労働者の意見を聴いて記録を残します。面談記録やメールのやり取りを保存すると証拠になります。

これらを守ることで、撤回の意思が明確になり、後日のトラブルを減らせます。必要に応じて労務や法律の専門家に相談してください。

懲戒解雇が「無効」と判断された場合との違い

まず結論

懲戒解雇が裁判所などで「無効」と判断される場合と、会社が途中で解雇を取り消す(撤回)場合には、結果や手続きが大きく異なります。簡単に言えば、無効は当初から契約が続いていた扱いになり、撤回は当事者同士の合意による整理が中心です。

無効と認められた場合の扱い(具体例で説明)

  • 法的効果:最初から労働契約が有効だったと扱われます。例えば裁判で無効と認められれば、会社は解雇後の賃金(バックペイ)を支払う義務が生じます。地位確認訴訟で復職が認められることもあります。
  • 実務面:社会保険や雇用保険の取り扱いは、解雇がなかった期間を遡って精算する必要があります。勤怠記録や人事評価の扱いも見直されます。

会社が撤回・取り消した場合の扱い(具体例で説明)

  • 合意中心:会社が一方的に撤回しても、法律上は簡単に元に戻せないことが多いです。多くは労働者の承諾や和解により決着します。たとえば、会社が「取り消す代わりに和解金を支払う」などの合意により終了する例が多いです。
  • 実務面:和解で合意すれば、復職を含めない代償的な処理(退職合意、和解金支払い、顧客対応の取り決めなど)で決着します。税・社会保険の扱いや離職票の発行方法も合意内容で変わります。

比較して押さえるべきポイント

  • 原則的効果:無効=契約は継続、撤回=当事者間の処理で解決されることが多い。
  • 金銭負担:無効ならバックペイが問題になりやすい。撤回では和解金や示談金で解決することが多い。
  • 勤務の復帰:無効は復職が認められる余地が大きい。撤回後の合意では復職を放棄する場合がある。

具体的な対応は事案ごとに異なりますので、個別の事情を整理して専門家に相談することをおすすめします。

懲戒解雇を「取り消した」場合の実務上の取り扱い

概要

懲戒解雇の撤回(取り消し)が認められると、解雇されたものとは扱わない扱いになります。解雇期間中の社会保険や給与、雇用関係の取り扱いを遡って調整する必要があります。

社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険)の扱い

撤回で「解雇されていなかった」と扱う場合、加入関係を解雇前に戻します。具体的には被保険者資格の喪失届を取り下げるか、資格取得・喪失の訂正手続きを行います。事例:1月1日に解雇し3月1日に撤回した場合、1月〜2月の社会保険料の企業負担分と被保険者負担分を精算します。雇用保険についても給付の受給状況を確認し、必要なら返還手続きや事業主報告を行います。

給与・税金の精算

解雇期間中の賃金(休業補償や平均賃金に相当する額)を遡って支払います。源泉徴収や住民税の納付状況も確認し、税務署や市区町村と調整します。

労働契約・勤続年数・福利厚生

勤続年数や退職金、賞与の計算を解雇がなかった扱いで再計算します。休暇の消化期間や昇給の基準も見直します。

手続きの実務フロー(チェックリスト)

  1. 労働者と合意文書を作成し、署名を得る。2. 社会保険・雇用保険の訂正届を提出。3. 未払い賃金・手当を支給し、源泉税を再計算。4. 勤怠・人事記録を修正。5. ハローワーク等と返還手続きを確認。6. 社内での情報共有と記録保管を行う。

注意点

労働者が撤回を承諾しない場合は個別に対応します。解雇期間中に受給した失業手当等の返還義務が生じることがあります。企業側は速やかに手続きを進め、記録を残してください。

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