はじめに
概要
源泉徴収票が2枚ある状況は、転職や掛け持ち(ダブルワーク)をしている人に一般的に見られます。2枚の源泉徴収票は、その年に実際に受け取った給与の証明となる重要な書類です。給与の金額や源泉徴収された税額、社会保険料の控除などが記載されており、年末調整や確定申告で必要になります。
どんな場合に2枚になるのか
- 転職した場合:前の職場と新しい職場の両方から発行されます。たとえば、上半期はA社、下半期はB社で働いたケースです。
- 掛け持ち(ダブルワーク):アルバイトや副業として別の会社で給与を受け取っていると、それぞれの勤務先が発行します。
なぜ大切か
源泉徴収票を正しく管理しないと、所得が正確に申告されず税額が変わる可能性があります。年末調整が片方で済んでいても、もう片方の分を合算して確定申告が必要になることがあります。そのため、2枚ある場合は両方を手元に置き、内容を確認しておくことが大切です。
この章の目的
この章では、まず「どんな状況で源泉徴収票が2枚になるのか」と「なぜ重要か」を分かりやすく説明しました。次章以降で、記載内容の見方や確定申告時の手続きなどを順を追って解説します。まずは源泉徴収票をなくさず保管してください。
どういう意味の状況か
概要
年の途中で前の会社を退職して別の会社に入社した場合、給与を支払った会社ごとに源泉徴収票が発行されます。前職が1枚、現職が1枚で合計2枚になるのが一般的です。複数の会社から同じ年に給与を受け取れば、受け取った会社ごとに1枚ずつ発行します。
具体例
- 前職:1月〜6月に勤務し給与を受け取った→前職はその期間分の源泉徴収票を1枚発行します。
- 現職:7月〜12月に勤務し給与を受け取った→現職もその期間分で1枚発行します。
- 本業と副業(アルバイト)で給与を受け取る場合は、本業1枚、副業1枚と合計2枚になります。
どう使うか(年末調整・確定申告)
現職で年末調整を受けるには、前職の源泉徴収票を現職に提出する必要があります。会社が年末調整で合算できるようにするためです。年末調整を受けられない場合や、医療費控除などで自分で申告する場合は、確定申告で各社の源泉徴収票を添付して税額を精算します。
注意点
- いずれの会社も年内に給与を支払っていれば発行義務があります。受け取れないときは前の勤務先に問い合わせてください。
- 複数枚あると税金の計算が複雑になります。必要に応じて早めに準備し、現職の人事や税務署に相談しましょう。
必要な手続きのポイント
概要
年末調整を現在の会社で受けるには、前の会社の源泉徴収票を今の会社に提出し、給与や源泉徴収税額を合算して年末調整してもらうのが原則です。提出しなかったり年末調整を受けられなかった場合は、自分で確定申告を行います。
手続きの流れ(簡潔)
- 前の会社から源泉徴収票を受け取る。受け取ったら速やかに確認する。
- 今の会社に源泉徴収票を提出する。人事や経理の指示に従って提出書類を揃えてください。
- 今の会社が合算して年末調整を行う。会社が調整できない場合、確定申告が必要です。
自分で確定申告する場合のポイント
- 2枚分の源泉徴収票の「支払金額」と「源泉徴収税額」を合算して申告します。
- 医療費控除や各種控除の証明書類も合わせて添付・保存します。
- 確定申告の期間に忘れずに申告・納税してください。
会社に二箇所で年末調整された場合の対処
両方の会社で主たる給与として年末調整を受けると、扶養控除などが二重に適用され、税額が過少になる可能性があります。その場合は、確定申告で正しい金額に精算します。必要書類は両方の源泉徴収票です。
提出書類・準備物(主なもの)
- 前の会社の源泉徴収票
- マイナンバーが分かる書類
- 保険料控除証明書、生命保険控除証明書など控除証明
- 医療費の領収書(該当する場合)
注意点
- 源泉徴収票は退職後すぐに受け取り、紛失しないよう保管してください。
- 会社の指示に従って期限内に提出すると手続きがスムーズです。
よくある注意点
1)源泉徴収票を片方だけで申告しない
複数の勤務先がある場合、どちらか一方の源泉徴収票を無視すると税額が正しく計算されません。結果として追徴課税や延滞金が発生するおそれがあります。控除や扶養の記載も含めて、必ずすべての源泉徴収票を確認してください。
2)源泉徴収票をなくした・届かない場合
紛失や未着のときは、退職した会社・副業先に再発行を依頼できます。依頼は電話やメールで構いませんが、身分確認や再発行の期間が必要なので早めに連絡してください。再発行が難しい場合は、勤務先の給与明細や振込記録を揃えて税務署に相談すると対応方法を教えてもらえます。
3)年末調整済みかどうかの見分け方
源泉徴収票の「年末調整」欄や「支払金額」「給与所得控除後の金額」を確認してください。年末調整が完了していると記載があり、控除が反映されています。複数の勤務先があると年末調整の対象が片方だけの場合があるため、自分で確定申告が必要かどうかを判断します。
4)相談先と期限に注意
不安があるときは税務署や税理士に相談するのがおすすめです。期日を過ぎると手続きが面倒になりやすいので、申告期限や再発行の依頼は余裕を持って行ってください。
5)その他の注意点
- 支払調書や副業の収入も確認する
- 添付書類はコピーでも保管する
- 通知が来たら速やかに対応する
些細に思えても後で問題になることがあるため、早めに対応しましょう。


コメント