はじめに
本書の目的
この文書は、源泉徴収票と似た書類の違いや使い道をわかりやすく説明することを目的としています。給与支払証明書、給与支払報告書、支払調書、課税証明書(非課税証明書)、給与明細などを取り上げ、特徴や提出先、誰が使うかを整理します。
誰に向けた内容か
- 給与や税に関する書類を初めて扱う方
- 転職や副業で書類の違いに戸惑っている方
- 経理・総務に配属されたばかりの方
専門用語は必要最小限にとどめ、具体例で補足します。たとえば「源泉徴収票」は1年間の給与と差し引かれた税額をまとめた証明書、「給与明細」は毎月の支給額と控除の内訳を示す書類というように、実務で見かける場面を想定して説明します。
本書の使い方
各章で書類ごとの特徴を比較します。第2章で個々の書類を詳しく見て、第3章で一覧表にまとめます。必要な書類を選ぶときや、提出先を確認するときに本書を参考にしてください。
次の章から具体的な書類の説明に入ります。丁寧に比較していきますので、引き続きご覧ください。
主な類似書類
以下では、源泉徴収票と似た目的で使われる主な書類を、発行者・用途・具体例を交えてわかりやすく説明します。
給与支払証明書
雇用主が特定期間の給与額を証明する書類です。ローン申請や賃貸契約で源泉徴収票がない場合、代わりに提出できることがあります。例:前年分の源泉徴収票が未発行のときに、1年間の総支給額と控除額を記載して発行してもらう。
給与支払報告書
雇用主が市区町村に提出する住民税用の書類で、源泉徴収票とほぼ同内容です。従業員本人は通常受け取りませんが、住民税の算出に使われます。
支払調書
給与以外の報酬(原稿料、講演料、業務委託料など)について作成し、税務署へ提出します。フリーランスや個人事業主が受け取ることが多いです。
課税証明書(非課税証明書)
市区町村が発行し、課税状況や所得の有無を証明します。保育料の軽減や福祉手続き、奨学金・住宅支援の申請で使います。窓口で請求します。
給与明細
毎月の給与の内訳(基本給・手当・控除・差引支給額)を示す書類です。複数月分を揃えると収入証明として有効です。正式な証明が必要な場合は、会社の押印や証明書類を併用してください。
比較表
以下は主な書類の比較表と、用途ごとの使い分けポイントです。表でざっと確認した後、各書類ごとに短く説明します。
| 書類名 | 主な用途・特徴 | 提出先 | 主な対象者 |
|---|---|---|---|
| 源泉徴収票 | 給与所得・退職所得の証明、確定申告用 | 税務署・本人 | 従業員 |
| 給与支払証明書 | 任意期間の給与額証明 | 依頼先 | 従業員 |
| 給与支払報告書 | 住民税計算用 | 市区町村 | 従業員 |
| 支払調書 | 給与以外の報酬・料金の証明 | 税務署 | フリーランス等 |
| 課税証明書 | 所得の有無・課税状況証明 | 依頼先 | 一般市民 |
| 給与明細 | 給与の内訳証明 | 本人 | 従業員 |
源泉徴収票
年末調整や確定申告で使います。給与や退職金から税額を差し引いた証明なので、税務署や金融機関への提出を求められる場面で必ず用意します。
給与支払証明書
特定の期間の収入証明が必要なときに会社に発行を依頼します。例えば住宅ローン審査やビザ申請など、任意の期間の収入を示すのに便利です。
給与支払報告書
市区町村が住民税を計算するために使います。通常は会社が市区町村に提出しますので、従業員が直接提出する必要はありません。
支払調書
フリーランスや個人事業主への報酬・料金をまとめた書類です。報酬を支払った側が税務署へ提出します。確定申告の資料になります。
課税証明書
市区町村が発行する書類で、所得の有無や課税状況を証明します。各種申請や金融手続きで、個人の課税状況を示す際に使います。
給与明細
毎月の給与の内訳を示すものです。本人保管用で、貸与や証明として給与の詳細を確認したいときに使います。


コメント