はじめに
本記事の目的
本記事は「離職票」の備考欄に焦点を当て、役割や実務上の扱い方をわかりやすく解説します。備考欄は一見小さな欄ですが、離職理由や事情を補足する重要な情報源です。正しく記載すると失業給付の手続きがスムーズになります。
誰に向けた記事か
- 退職後に失業給付を申請する方
- 事業主や総務・人事担当者
- ハローワークでの手続きに不安がある方
本章の構成と読み方
第2章で備考欄の基本を押さえ、第3章でハローワークがどのように備考欄を使うかを説明します。第4章では具体的な記載例と注意点を示します。順を追って読めば、備考欄の扱いが自然に身につきます。
離職票と備考欄の基本を押さえる
離職票とは
雇用保険の失業給付を受ける際に必要な書類です。正式名称は「雇用保険被保険者離職票」です。会社が退職者についてハローワークに離職証明書を提出し、それを受けてハローワークが離職票を発行します。
離職票-1と離職票-2の違い
- 離職票-1: 事業主が記入する部分で、労働期間や賃金の支払状況などが載ります。
- 離職票-2: 受給手続きで使う書類で、離職理由や賃金の詳細が記載されます。備考欄は主にこちらにあります。
備考欄とは
離職票-2の余白にあたる欄で、未払い賃金や休業手当、雇用調整助成金の支給状況など特記事項を記載します。企業側が必要と判断したときに記入します。
備考欄に書かれる主な項目（具体例）
- 未払い残業代がある場合: 支払予定や金額を明記します。
- 休業手当が支払われた場合: 期間と金額を記載します。
- 雇用調整助成金を受けた場合: 助成の有無を示します。
発行の流れと注意点
会社が離職証明書を提出→ハローワークが内容を確認→離職票発行、という流れです。備考欄の記載は受給資格や給付額に影響する場合があります。記載内容に疑問があるときは、まず勤務先に確認し、それでも不明な点はハローワーク窓口で相談してください。
備考欄に記載する目的とハローワークの見方
備考欄の主な目的
備考欄は、ハローワークが失業給付の給付制限や所定給付日数を判断するときの補助説明を記す欄です。賃金台帳や出勤簿だけでは伝わりにくい休業や時短勤務、未払い賃金などの特殊事情を具体的に示す役割があります。事実関係を分かりやすく伝えることで、適正な判断につながります。
ハローワークがどこを見るか
ハローワークは主に、離職理由の正確性、賃金額や支払い状況、特定受給資格者に該当するかどうかを確認します。備考欄の記載は給付制限や給付日数に直結するため、簡潔かつ事実に基づく記載を重視します。
書き方のポイント（実務的な例）
- 日付と期間：休業や減給があれば開始日・終了日を明記します。
- 金額：未払いがある場合は未払い額と支払予定日を記載します。
- 対応：会社が行った相談や通告の日時、方法（書面・口頭）を書きます。
- 証拠の所在：賃金台帳や通知書の保管場所や写しがある旨を添えます。
事実を端的に、客観的に記載してください。曖昧な推測や感情的表現は避け、必要があれば添付資料を用意してください。
備考欄に記載が必要になる典型ケース
概要
備考欄はハローワークが離職者の実情を把握するために重要です。次に挙げる典型的なケースでは、具体的な期間や支給状況を必ず記載してください。
1) 会社都合による休業・休業手当の支給
何月何日から何月何日まで休業したか、会社が休業手当を支払ったかどうか、支払った場合は支給開始日と金額の目安を記載します。例：「2023/4/1〜2023/6/30 会社都合休業。休業手当は月額の60％を支給（4月のみ未支給）」。
2) 時短勤務の開始・終了
時短勤務の開始日と終了日、勤務時間の変化を明記します。例：「2024/1/10〜2024/7/31 時短勤務（週30時間に短縮）。7月以降は通常勤務に復帰」。
3) 未払い賃金の存在
未払いの期間と未払いである事実をはっきり書きます。金額が確定していない場合もその旨を記載します。例：「2024/5分給与 未払い（計算中）」。
4) 賃金が未計算の月の扱い
給与計算が未了の月は、対象月と計算未了である旨、理由を記載します。例：「2024/3月 賃金未計算（システム移行のため）」。
5) 30日以上賃金支払がない月（傷病・出産・会社休業・海外勤務等）
30日以上の無支給がある場合は理由と期間を明確にします。例：「2023/12/1〜2024/1/15 傷病により無給（医師証明あり）」。
記載は簡潔に、でも具体的に。ハローワークが正確に判断できるように、期間・支給の有無・金額や理由をできる限り明示してください。
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