はじめに
本記事の目的
本記事では「離職票の使い方」をやさしく丁寧に解説します。退職後に何をすればよいか迷う方、企業担当者で発行の流れを確認したい方に向けた実用的なガイドです。
読者に期待すること
この章を読めば、記事全体の構成と学べる内容がわかります。難しい専門用語はできるだけ避け、具体例を交えて説明しますので、初めての方でも理解しやすい内容にしています。
記事の全体像
- 第2章:離職票とは何か、その基本的な役割
- 第3章:離職票が必要になる場面
- 第4章:離職票1と2の違いと使い方
- 第5章:失業保険手続きの流れ(退職者向け)
- 第6章:転職先へ提出する必要があるか
以降の章で、退職者と企業の双方に役立つ情報を順を追って丁寧に説明します。まずは離職票の全体像をつかんでいきましょう。
離職票とは何か?基本の役割と「使いどころ」
離職票の定義
離職票は、従業員が退職した事実を証明する公的な書類です。雇用保険に加入していた人が退職したとき、事業主が必要な手続きを行い、ハローワーク(公共職業安定所)から発行されます。
発行の流れと誰が対象か
雇用保険に加入している人が対象です。会社側がハローワークへ離職の届出を出し、それに基づいて離職票が発行されます。退職理由にかかわらず、条件を満たせば発行されます。
主な使いどころ(具体例)
・失業保険の申請に必要です。ハローワークで給付手続きを行う際、必ず提出します。
・高年齢雇用継続給付金など、退職後の各種給付金の申請にも使われます。
・退職の証明が必要な行政手続きで提出を求められる場合があります。
受け取ったときに確認するポイント
氏名、退職日、離職理由が正しいかを確認してください。誤りがあれば早めに前職の事業主に連絡して訂正を依頼しましょう。
ワンポイント
離職票は失業給付の申請に不可欠な書類です。退職したら届くかどうか確認し、届いたら中身を必ずチェックしてください。
離職票はどんなときに必要になるのか?
1) 失業保険(雇用保険の基本手当)を受けたいとき
退職後にハローワークで失業給付を受ける際、離職票が必須です。離職票には退職理由や離職時の賃金が記載され、給付の可否や額を判断する基礎になります。例えば自己都合退職と会社都合退職では給付開始時期や期間が変わります。
2) 高年齢雇用継続基本給付金の手続き
一定の年齢以上で再雇用や継続雇用の支援を受ける場合、離職票の内容を使うことがあります。給付金申請の書類に、退職時の情報や賃金の記載が必要になるため、離職票が役立ちます。
3) 退職理由や賃金情報を客観的に確認したいとき
退職後に自分の退職理由や最終賃金を正確に把握したい場合、離職票で事実を確認できます。たとえば失業給付の手続きでトラブルがあったときや、別手続きで在職期間の証明が必要になったときに便利です。
4) 転職先への提出は原則不要
離職票はハローワーク向けの公的書類です。一般的に転職先に提出する必要はありません。転職先が在職期間や給与を確認したい場合は、源泉徴収票や雇用証明書を求めることが多いです。
5) 誰が発行し、いつ受け取るか
離職票は原則として退職した会社が作成し、ハローワークを通じて受給者に届きます。退職後、会社から離職票が届かない場合は念のため会社に確認し、必要ならハローワークに相談してください。
離職票1・離職票2の違いと、それぞれの使い方
離職票-1(何が書かれているか、使い方)
離職票-1は主に振込先の口座情報を記載する用紙です。金融機関名・支店名・口座番号・口座名義を退職者が記入します。ハローワークで失業給付を受ける際、振込先確認のために使います。例:給与振込用の普通預金を指定する、別の口座に変更する場合もここに記入します。
離職票-2(何が書かれているか、使い方)
離職票-2には退職理由、在職期間、賃金の支払状況など重要な情報が記載されます。ハローワークはこれを基に受給資格、給付開始日、給付日数を判定します。退職理由が「自己都合」「会社都合」などで給付開始時期や給付額が変わります。
受け取り後の確認と対応
受け取ったらまず記載内容をよく確認してください。氏名・勤務期間・退職理由・賃金額に誤りがあれば、まず勤務先に訂正を依頼します。訂正できないときはハローワークに相談してください。必要なら説明書類(退職届、医師の診断書、給与明細など)を添えて説明欄に記載します。
ハローワークでの提出時のポイント
ハローワークには離職票-1・-2両方を持参します。本人確認書類と印鑑、銀行通帳やキャッシュカードを用意すると手続きがスムーズです。記載内容に不安がある場合は窓口で相談し、説明欄を使って事情を書いて提出してください。
退職者側:離職票を使った「失業保険手続き」の流れ
1. 事前連絡と離職票の受け取り
退職時、会社に離職票の交付を希望する旨を伝えてください。会社は通常、退職日の翌日から10日以内にハローワークへ必要書類を提出し、ハローワークが離職票を発行します。発行後、会社からあなたへ郵送または手渡しで届きます。
2. 受け取ったら確認・記入
受け取ったらまず内容を確認します。離職票-1には振込先口座や連絡先を記入します。離職票-2は離職理由や離職日など重要事項が記載されているため、誤りがないか必ず確認してください。記載ミスがあれば会社に訂正を依頼します。
3. ハローワークでの手続き
お住まいのハローワークで「求職申込み」と「失業給付の受給手続き」を行います。持参する主な書類は、離職票-1・離職票-2、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード等)、印鑑、振込先口座がわかるものです。手続きの際に離職票を提出し、面談や説明を受けます。
4. 受給資格の決定と給付開始
ハローワークが離職票の内容をもとに受給資格を決定します。給付額や給付開始時期は、離職理由(自己都合か会社都合)や被保険者期間によって変わります。申請後に定められた待期期間を経て、支給が始まります。
5. よくある注意点
- 離職票は原本を提出するため、返却されません。コピーを取っておくと安心です。
- 離職理由の記載で不明点があると給付に影響します。疑問があれば早めにハローワークか前職へ確認してください。
- 給付開始日や日数に関してはハローワークの説明をよく聞いてください。
転職先への提出は必要?離職票の「使わない」場面
要点
離職票は基本的に転職先への提出は不要です。雇用保険の離職に関する情報をハローワークと前職・退職者でやりとりするための書類で、新しい勤務先が受け取る書類ではありません。
よくある誤解と理由
- 前職を証明するために離職票を渡す必要があると誤解されますが、実際は不要です。
- 転職先は通常、雇用保険の手続きや給与関連で別の書類(源泉徴収票や雇用契約書など)を求めます。
例外や補足
- 新しい職場から離職票を求められた場合は、その必要性を確認してください。多くは別の書類で代替できます。
- 失業給付の手続きを行うなら、離職票はハローワーク提出用として重要です。職場に渡す必要はありません。
実務的なアドバイス
- 離職票は大切に保管してください。給付手続きで原本が必要になります。
- 転職先に提出する書類が分からなければ、人事(総務)に確認すると安心です。ハローワークでも相談できます。


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