はじめに
源泉徴収票とは
源泉徴収票は、会社や事業主が1年間に支払った給与や賞与の合計額と、そこから差し引いて国（税務署）に納めた所得税額などを記載した公的な書類です。給与明細は月ごとの支払いを示しますが、源泉徴収票は1年分をまとめた証明書です。
なぜ大切か
- 確定申告や年末調整で必要になります。具体例：副収入がある人や医療費控除を受ける人は、源泉徴収票を使って税額を計算します。
- 住宅ローンの手続きや各種控除の申請で提出を求められることがあります。
この章の目的
この章では、源泉徴収票の基本的な役割と見方のポイントをやさしく説明します。次章以降で、記載内容や受け取り時期、種類について詳しく解説します。
源泉徴収票の役割
概要
源泉徴収票は、その年に受け取った給与や賞与の金額と、雇用主が税金として差し引いて国に納めた所得税の額、さらに社会保険料や控除の情報をまとめた書類です。所得税法に基づく法定書類で、税金や収入の証明として重要な役割を果たします。
なぜ重要か
税金を正しく納めたことを確認できるため、確定申告などで必要になります。例えば、医療費控除を受けるときや、年末調整で処理しきれなかった分を申告する際に提出します。銀行で住宅ローンや各種ローンを申し込むとき、収入証明として使われることも多いです。
主な使用場面（具体例）
- 確定申告：所得や納税額を裏付ける書類として提出します。
- ローン審査：銀行が年収を確認するときに求められます。例：住宅ローンや自動車ローン。
- 保育料・奨学金手続き：世帯の収入を証明する資料として提出します。
受け取り・保管の注意点
受け取ったら内容を必ず確認してください。支払金額や控除額に誤りがあれば早めに勤務先に相談します。紛失した場合は再発行を依頼できますが、手続きに時間がかかることがあるため、大切に保管することをおすすめします。
記載されている主な内容
支払金額（年間の給与・賞与の総額）
1年間に受け取った給与や賞与の合計が記載されています。例えば月給と夏・冬のボーナスを合算した額がここに出ます。確定申告や住宅ローン控除の手続きで基礎になる金額です。
源泉徴収税額（天引きされた所得税）
会社が給与から天引きして国に納めた所得税の合計です。年末調整で過不足が調整され、この欄の金額が最終的な天引き額になります。
社会保険料等の金額
健康保険料、厚生年金、雇用保険など、本人が負担した社会保険料の合計が書かれます。たとえば健康保険と年金の自己負担分がここに含まれます。
給与所得控除後の金額・所得控除の合計
給与所得から差し引かれる控除後の課税対象額や、生命保険料控除・配偶者控除などの所得控除の合計が記載されます。年末調整で入力した保険料やふるさと納税も反映されます。
配偶者・扶養親族に関する項目
配偶者控除の有無、扶養親族の人数（16歳未満の子どもは別表示されることがあります）や年齢区分がわかる欄があります。扶養の数で税額が変わるため重要です。
支払者（勤務先）の情報
会社名、住所、事業所ごとの整理番号などが載ります。提出先や問い合わせ先の確認に役立ちます。
その他の欄（差引支給額や摘要）
差引支給額や、年末調整での調整額、住民税や年金の扱いに関するメモが入ることがあります。誤りや疑問があれば勤務先に確認してください。
いつ・誰からもらうか
受け取る時期
源泉徴収票は、通常その年分について翌年1月31日までに勤務先が交付します。年末に在籍している場合は、翌年の1月中にまとめて受け取るのが一般的です。年の途中で退職したときは、退職時に交付されます。
誰が発行するか
給与を支払った勤務先（事業主）が発行します。年の途中で複数の会社で働いた場合は、それぞれの勤務先がその期間分の源泉徴収票を作成して交付します。パートやアルバイトも同様です。
転職や退職時の扱い
例：1月から8月までA社、9月から12月までB社で働いた場合、A社は1月〜8月分の源泉徴収票を、B社は9月〜12月分を発行します。転職先の年末調整で前職の源泉徴収票を使うため、入社時に前職から受け取ったものを提出することが多いです。前職から受け取れなければ、自分で確定申告を行う必要が出ます。
受け取り方と再発行
交付方法は手渡しや郵送、企業によっては電子交付もあります。紛失した場合は発行した勤務先に再発行を依頼してください。勤務先は再発行に応じる義務があります。
源泉徴収票の主な種類
- 概要
源泉徴収票には主に3種類あります。給与所得用、退職所得用、公的年金等用です。それぞれ対象となる収入と記載項目が違いますので、どの書類か確認して使います。
- 給与所得の源泉徴収票（会社員・パート・アルバイトなど）
会社や事業所が発行します。年間の給与総額、社会保険料、源泉徴収税額、扶養者数などが記載されます。確定申告や年末調整で提出・確認するために使います。例えば、アルバイト掛け持ちで年収が一定額を超えたとき、確定申告に使います。
- 退職所得の源泉徴収票（退職金など）
退職時に会社が発行します。退職金の額と源泉徴収された税額、退職所得控除後の金額などが書かれます。退職金は計算方法が給与と異なるため別の票になります。
- 公的年金等の源泉徴収票（年金受給者用）
年金支払者（日本年金機構など）が発行します。支給額や公的年金控除後の課税対象額、源泉徴収税額が記載されます。年金受給者が確定申告や税額確認のために使います。
- 主な違いと注意点
書類の名称と記載欄でどの種類か判断できます。確定申告の際は、該当する源泉徴収票を合わせて提出します。紛失した場合は発行者に再発行を依頼してください。チェックポイントは支払者名、支払金額、源泉徴収税額の3点です。
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