はじめに
この章の目的
本記事は「即日退職 嘘」について分かりやすく整理することを目的としています。即日退職が法律上どう扱われるのか、嘘や誤解とされやすいケース、嘘に振り回されないための実践的なポイントを順に解説します。
誰に向けているか
転職や退職を考えている方、職場の対応で迷っている方、人からの情報を信用してよいか判断したい方に向けた内容です。企業の人事担当や相談を受ける立場の方にも役立ちます。
本記事の進め方
第2章で即日退職の法律的な扱いを簡潔に説明し、第3章でよくある「嘘になりやすい」具体例を挙げます。第4章では嘘に振り回されないための実践的な対処法を示します。読み進めると、自分の状況でどう判断すべきかが見えてきます。
注意事項
本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の法的判断や手続きについては、労働相談窓口や専門家に相談することをおすすめします。
即日退職は「完全な嘘」ではない
法的な背景
期間の定めがない正社員の場合、退職の意思を伝えてから原則として2週間で雇用契約を終了できます。つまり「今日伝えれば法的にすぐ辞められる」とは限りませんが、まったく不可能でもありません。
実務で「今日で出社終了」となる代表的な方法
- 有給休暇の消化:残日数があれば、申請して今日から消化することで出社を即時に止められます。具体例:残20日なら申請して本日を最後の出社日にする。
- 会社との合意:退職日や出社停止を口頭・書面で合意すると実務的に即日退職になります。合意を文書化することが大切です。
- 欠勤扱いまたは休職とする:会社が欠勤や休職で処理すれば出社不要になりますが、無断欠勤と扱われるリスクがあります。
- 退職代行の活用:本人に代わって業者が会社と連絡し、出社不要にするケースがあります。迅速ですが、サービス内容を確認してください。
注意点とリスク
即日で出社をやめると、給与や賞与、退職金、社会保険の手続きに影響が出ることがあります。欠勤扱いがつくと転職時の印象や懲戒処分の可能性もあります。合意がないまま一方的に出社を止めるのは避けてください。
実務的な進め方(簡単な手順)
- 有給日数や契約内容を確認する
- まず会社と話して合意を目指す
- 合意内容を文書で残す
- 退職代行を使う場合は範囲と費用を事前に確認する
以上の組み合わせで「出社は今日で最後」という状態は作れます。適切な手続きと確認を心がけてください。
「嘘になりやすい」主なケース
1) 就業規則や労働契約で決まっている場合
会社の就業規則や個別の労働契約が退職手続きや通知期間を定めていることがあります。宣伝文句で「今日で全て終わる」と言われても、規則上の手続きや書面提出が必要なら希望どおりにならないことがあります。具体例:退職届を出しても受理が遅れ、引き継ぎが求められるケース。
2) 有給や未払い賃金、精算の問題
有給の扱いや最終給与の清算は会社側の計算や手続きが必要です。即日退職をうたう業者がいても、残有給の買い取りや手当の支払いに時間がかかると金銭面で齟齬が生じます。給与明細や有給残日数は事前に確認してください。
3) 試用期間・懲戒・安全配慮義務
試用期間中の契約や懲戒事由が絡むと、即日退職の扱いが変わります。重大なトラブルがあると会社側が調査を行い、両者の合意がないままの一方的な処理は難しくなります。
4) 引き止めや受理の有無
口頭で辞めると言っても、会社が書面での受理や業務引継ぎを求めることがあります。受理がないまま職場を離れると、後でトラブルに発展することがあります。証拠を残す(メール提出など)と安心です。
5) 物品返却・機密保持・管理職の責任
社用の機器や鍵、機密情報の扱いがあると、ただちに全ての義務が消えるわけではありません。管理職や重要業務を担っていた場合は引継ぎや説明責任が重くなります。
6) 労働組合や公的支援の介入が必要な場合
会社と合意できないときは、労働組合や労働基準監督署等が介入します。これらの手続きを経ると即日解決にならないことが多いです。
以上のように、「どんな状況でも即日退職」と断言する説明は事実を簡略化しすぎていることがあります。具体的な状況によって対応が変わるため、まずは就業規則や契約内容を確認し、必要なら専門家に相談してください。
嘘に振り回されないためのポイント
基本は「権利」と「合意」を分けて考える
法律上の「2週間ルール」は従業員側の権利です。退職の意思表示から原則2週間で退職できます。一方で即日退職は会社の同意があって成立します。混同すると誤解に振り回されやすくなります。
最初に確認すること(実務的な優先項目)
- 就業規則の退職条項:退職の手続きや有給の取り扱いを確認します。
- 有給の残日数:有給で通知期間を消化できる場合があります。
- 給与・退職金の扱い:未払いの給与や退職金の計算方法をチェックします。
相談先と相談のコツ
- 人事(社内):まずは事実確認を求め、文書やメールでやり取りしてください。
- 外部の専門家:労働相談窓口や弁護士に経緯と書類を提示すると適切な助言が得られます。
相談時は日時・やり取りの記録、就業規則や給与明細を用意してください。
よくある誤解への対処法
- 口頭の「即日でいいよ」は書面で確認を取るまで信用しないでください。ここでトラブルが生じやすいです。
- 会社が同意して即日退職にする場合は、どのように給与や有給を扱うか明確にしてください。
- 不安なら一度冷静に時間を取り、第三者に相談してから合意を結んでください。
これらを順に確認すると、嘘や誇張に惑わされず判断できます。


コメント