はじめに
本記事の目的
本記事は「退職代行」と「バックレ(無断欠勤)」という、仕事を辞める際の二つの方法を分かりやすく比較することを目的としています。今すぐ辞めたいけれど、会社とやり取りするのがつらい、法的な不安があるという方に向けて書いています。
対象となる読者
・連絡や手続きに不安がある方
・退職の選択肢を整理したい方
・バックレのリスクを知りたい方
本記事で扱う主なポイント
- 退職代行とバックレの違い(法的扱いや手続き)
- 金銭面や懲戒のリスク
- 具体的なデメリットと注意点
読み方のアドバイス
各章で具体例を交えながら説明します。結論を先に読みたい方は第4章を、リスクを詳しく知りたい方は第5章を参照してください。
注意事項
本記事は一般的な説明を目的としています。個別の事情によって対応が変わることがありますので、必要に応じて労働相談窓口や弁護士に相談してください。
バックレとは何か?どんな辞め方なのか
定義
バックレは、会社に一切連絡せずに出社をやめる行為です。退職届や引き継ぎを行わず、突然来なくなるため会社側は無断欠勤として扱います。
具体的なやり方(例)
- 出社をやめて連絡を断つ
- 電話やメールに応答しないまま来なくなる
- 最低限の手続きを踏まずにそのまま辞める
法的な扱い
本人は辞めたつもりでも、書面や口頭での合意がないと正式な退職にならないことが多いです。未払い賃金や雇用保険の手続きでトラブルになる場合があります。
会社の対応
無断欠勤の記録が残り、懲戒や損害賠償の問題に発展することもあります。離職票や退職金、社会保険の手続きが滞る可能性があります。
なぜバックレを選ぶか
職場の人間関係や長時間労働、精神的な負担で対面や話し合いが難しくなり、逃げるように辞める人がいます。逃げられる短期的な安心感を得られますが、後で不利益を被ることが多いです。
最低限知っておくこと
トラブルを避けるには、まず相談窓口や信頼できる第三者に相談してください。可能なら書面で意思表示を残すか、正式な退職手続きを検討することをおすすめします。
退職代行とは何か?普通の退職との違い
定義と役割
退職代行は、労働者に代わって専門の業者が会社に「退職の意思」を伝え、連絡窓口になるサービスです。本人が直接会社とやり取りしなくても、退職の意思が確実に伝わります。
利用の流れ(具体例)
- 労働者が業者に依頼する。電話やメールで要望を伝えます。
- 業者が会社に連絡し、退職の意思を通知する。必要に応じて退職日や引継ぎの対応も調整します。
- 退職手続き(退職金や保険の手続きなど)は通常の退職と同様に進みます。
普通の退職との違い
- 連絡窓口:本人→会社 の代わりに業者が担当します。
- 直接交渉不要:本人が出社せずに退職できます(状況によっては出社が必要なこともあります)。
- 手続きの扱い:退職金や社会保険手続きは基本的に同じ扱いです。
よくある誤解と注意点
- 法律相談や示談交渉を業者ができない場合があります。弁護士でない業者は法的代理ができません。
- 会社とのトラブルを避けたい時に役立ちますが、証拠や連絡履歴は自分でも保管してください。
利用前に業者の実績や料金、対応範囲を確認することをおすすめします。
「退職代行」と「バックレ」の決定的な違い
4-1. 法的な扱いの違い
退職代行は、利用者が退職の意思を示し代行業者がそれを会社に伝える方法です。正式な退職手続きとみなされるため、会社側も基本的に退職手続きを進めます。例えば、退職届の提出や退職日を確定するための連絡が行われ、雇用契約の終了扱いになります。
一方、バックレ(無断欠勤)は会社に知らせずに出勤をやめる行為です。会社は無断欠勤を就業規則違反とみなし、懲戒処分や最悪の場合は懲戒解雇に踏み切ることがあります。また、会社に実際の損害(例えば急な人員補充費用や業務遅延)が生じた場合、賠償請求を検討される可能性もあります。損害が明白でなければ賠償が発生することは稀ですが、リスクは残ります。
4-2. 金銭面・手続き面の違い
退職代行を利用すると、会社は就業規則や労働法に基づいて給与精算や退職金の支払い手続きを進めることが多いです。残業代や未払い給与がある場合、代行業者が請求をサポートすることもあります。社会保険や雇用保険の資格喪失手続き、離職票の発行も通常通り行われ、失業給付の手続きに支障が出にくいです。
バックレの場合は、退職手続きが正式に行われないため退職金の不支給や減額、未払いのまま未精算となるリスクが増します。社会保険の資格喪失手続きや離職票の発行が遅れ、失業保険の受給開始が遅れることがあります。具体例として、会社が離職票を発行するまでに問い合わせや手続きを要するケースが多く、生活に影響が出る恐れがあります。
以上の点から、法的扱いと手続きの確実性で退職代行とバックレは大きく異なります。
バックレの具体的なリスク・デメリット
5-1 無断欠勤扱い・懲戒解雇の危険
連絡なく出社しないと、会社は職務放棄や服務規律違反と判断します。懲戒解雇になると社会的評価が下がり、退職時の扱いも厳しくなります。例:重要な業務を放置して連絡なく辞めた場合、懲戒処分に至ることがあります。
5-2 損害賠償請求の可能性
故意や過失で会社に損害を与えれば民法に基づく賠償責任が発生します。重要案件の引き継ぎをしないまま姿を消すと、高額な賠償を求められた判例もあります。具体的には、顧客対応が滞って契約を失った場合などです。
5-3 退職金・給与・残業代が受け取りにくくなる
懲戒解雇では退職金が減額または不支給になる可能性が高いです。未払いの給与や残業代の支払い交渉も難航しやすく、手続きや証拠収集が必要になります。
5-4 社会保険・失業保険の手続きができないおそれ
退職日が確定しないと健康保険や年金の資格喪失手続きが遅れ、離職票が出ない場合があります。その結果、失業保険の申請ができず生活に支障が出ることがあります。
5-5 職歴・再就職への悪影響
在籍確認や証明書類の発行が難しくなり、次の就職先で説明を求められることがあります。円満に退職しなかった事実は面接で不利になりがちです。
以上のように、バックレは短期的には気持ちが楽になるかもしれませんが、長期的な不利益が多い点に注意してください。


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