はじめに
背景
退職代行を利用した際、会社側や上司から暴言や嫌がらせを受けるケースが現実にあります。電話やメールでの脅し、職場での噂話や不利益な扱いなど、形式はさまざまです。こうした行為は個人の心身に影響を与えるだけでなく、労働問題として扱われる場合があります。
この章の目的
本書では、暴言や嫌がらせの内容、法律上の位置づけ、そして自分でできる対処法まで順を追って解説します。まず第1章では、問題の全体像と注意点を分かりやすく説明します。第2章で具体的な暴言・嫌がらせの例を挙げ、第3章で法的な意味合いと限界を扱い、第4章で実践的な自衛のポイントを示します。
読み方のポイント
- 証拠を残すことが重要です。録音やメールの保存、日時の記録など、あとから使える形で保存してください。
- 感情的に応対せず、記録と相談を優先してください。周囲に相談できる窓口を早めに探すと負担が減ります。
以降の章で具体的な事例と対応策をやさしく説明します。安心して読み進めてください。
起こりがちな暴言・嫌がらせ
典型的な暴言の例
退職の意思を伝えたとたんに「裏切り者」「非常識だ」「迷惑だ」と人格を否定する言葉を投げかけられることがあります。退職代行業者に対して怒鳴る、感情的にまくし立てる事例も報告されています。
嫌がらせの具体例
- 無視や冷遇：出勤は続けさせるが業務を与えない、連絡を絶つ。
- 過度な引き継ぎ要求：不必要に詳細な資料や長期間の残業を強要する。
- 業務妨害：個人のロッカーを使えなくする、評価を不当に下げる発言を広める。
職場の種類による傾向
中小企業や個人経営の職場では、経営者や店長の感情的な反応が強く出やすいです。人数が少ないため関係が密になり、暴言が直接的になることが多く見られます。
被害が進むパターンと注意点
感情的な言葉がエスカレートすると無視や不当な要求に発展します。周囲の同僚が加担すると孤立を深めやすいので、第三者への記録や証拠の確保が重要です。
心理的影響
人格否定を受けると不安や自己肯定感の低下、出勤のストレスが増します。早めに信頼できる人に相談することで精神的な負担を軽くできます。
法的な位置づけと限界
退職の権利
労働者は退職の意思を伝えれば原則として退職できます。就業規則や雇用契約に定めがある場合は確認してください。雇用主が一方的に退職を認めない、退職を阻む行為をするのは正当化されません。
暴言・嫌がらせの法的評価
暴言や執拗な連絡、威圧的な言動はパワハラ（職場のパワーハラスメント）に該当する可能性があります。名誉を傷つける発言は名誉毀損や侮辱に当たることがあり、場合によっては不法行為や刑事責任に発展します。暴力や具体的な脅迫がある場合は警察に相談してください。
証拠の集め方
日時・場所・発言の記録、メールやメッセージのスクリーンショット、録音、目撃者の証言、診断書などを保存してください。記録は後の相談や手続きで重要になります。録音や保存の方法は状況により注意点があるため、可能なら早めに専門家に確認してください。
相談先と対応の流れ
まず証拠を集め、その上で会社の相談窓口があれば利用します。効果がないときは、労働局（総合労働相談）、労働基準監督署、弁護士に相談してください。緊急性が高いときは警察へ連絡します。専門家に相談しながら冷静に手続きを進めることが大切です。
自衛のポイント
代行サービスの選び方
弁護士が関与しているサービスや労働組合型の代行は法的な交渉力が強く、未払い残業や退職日の調整などを安心して任せられます。具体例：弁護士が入ると内容証明郵便や交渉文書の作成を依頼できます。料金や対応範囲を事前に確認してください。
証拠の残し方
会社からの暴言や嫌がらせは、録音やスクリーンショット、メールの保存で証拠になります。記録は日時・相手名・やり取りの要点を付けておくと分かりやすいです。保存先はクラウドや外付けの記録媒体に複数残し、信頼できる人にコピーを預けると安心です。録音の可否は地域の法令で異なるため、事前に確認してください。
窓口を一本化する
直接のやり取りを続けると心身の負担が大きくなります。連絡窓口を代行業者に一本化し、以後の連絡は代行経由で行うよう伝えてください。例文：”以後の連絡は退職代行○○までお願いします。” 連絡先を業者に伝えた後は、会社側からの電話やメッセージはブロックや未読のままにすることを検討してください。
心身のケアと緊急対応
無理をせず医療機関や相談窓口を利用しましょう。暴力や生命に関わる脅しを受けた場合は躊躇せず警察に相談してください。証拠は冷静に保全し、代行業者や弁護士に状況を共有すると対処がスムーズになります。
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