はじめに
この章では、本記事の目的と読み方をやさしく説明します。
この記事の目的
退職後にアルバイトをする場合や、複数の勤務先がある場合に「源泉徴収票」をどう扱えばよいかをわかりやすく解説します。発行義務や交付の時期、届かないときの対処法、年末調整や確定申告のポイント、短期・日雇いバイト特有の注意点まで網羅します。
誰に向けた記事か
大学生やフリーター、退職してからアルバイトを始めた方、掛け持ちで働いている方など、源泉徴収票の扱いに不安があるすべての方に向けています。具体例を交えて説明しますので、初めての方でも理解しやすい内容です。
読み方のポイント
まずは「自分がいつ・どこで働いたか」を整理してください。源泉徴収票は年末調整や確定申告で必要になりますので、大切に保管する習慣をつけましょう。各章で手続きの手順や連絡先、よくある疑問への対処法を丁寧に紹介します。
源泉徴収票はアルバイトでも必ずもらえるのか
結論
アルバイト・パートでも、その年に給与を受け取っていれば、源泉徴収票は発行されるのが原則です。正社員かどうか、勤務期間の長短、年末調整の有無に関係なく、給与を受け取った人が対象になります。
具体例で説明
- 学生アルバイトで月数回の勤務でも、給与を受け取っていれば発行されます。
- 短期の派遣や期間限定の仕事でも同様です。
- 複数の職場で働いている場合は、それぞれの事業所が源泉徴収票を出します。
注意点
給与ではなく業務委託の報酬など、支払いの性質が異なると源泉徴収票ではなく支払調書が使われることがあります。まずは給与として扱われているか、事業者に確認してください。
受け取れない場合の考え方
もし源泉徴収票が届かない場合は、まず勤務先に連絡しましょう。発行義務があるため、請求すれば対応してくれるはずです。必要なら税務署へ相談することもできます。
第3章: 退職後にもらえる源泉徴収票の基本ルール(法律の定め)
交付期限
所得税法では、従業員が退職したとき、勤務先は退職日から1か月以内に源泉徴収票を交付する義務があります。たとえば退職日が7月10日であれば、8月10日までに受け取れるべきです。
目的と重要性
源泉徴収票にはその年の給与総額や源泉所得税の額などが記載されます。新しい勤務先での年末調整や、確定申告に必要な書類なので、退職後に確実に受け取ることが大切です。
交付者の責務と受取人の権利
雇用主は期限内に交付する責務があります。郵送や手渡しで交付するのが一般的で、電子交付にする場合は従業員の同意が必要です。受け取りが遅れる・届かないと感じたら、まず勤務先に連絡してください。対応が得られないときは税務署に相談できます。
短い例
- 退職日:12月1日 → 交付期限:翌年1月1日
- 退職日:3月31日 → 交付期限:4月30日
この章では法律上の基本ルールを押さえました。次章で具体的な受け取りのタイミングや実務面の注意点を説明します。
具体的にいつ・どのタイミングでもらえるのか
在籍して年末(12月31日)まで働いている場合
会社に12月31日まで在籍していると、前年分の源泉徴収票は翌年の1月から1月末までに発行・交付されるのが一般的です。例えば12月31日に在籍していれば、1月中に受け取れる見込みです。
年の途中で退職した場合
年の途中で退職したときは、退職日以降1か月以内に発行・交付されます。例:3月10日に退職したら、4月10日頃までに届くのが目安です。多くは退職時に手渡しか郵送で届きます。
短期バイト・スポットの扱い
短期間のアルバイトでも給与が支払われていれば同じルールが適用されます。支払いがある限り、源泉徴収票が発行されます。
受け取り方法と確認ポイント
交付は手渡し・郵送が一般的ですが、事業所と合意があれば電子交付になることもあります。引越しで住所が変わった場合は事前に届け出をしてください。届かない場合や時期が過ぎていると感じたら、まず勤務先に確認しましょう。
退職後に源泉徴収票が届かないときの対処法
1. まず確認すること
退職日から1か月以上経っているか確認してください。通常、年末調整や支払いが済んでいれば1か月程度で交付されます。届いていない場合は次の手順で進めます。
2. 連絡先と依頼方法
連絡先は店長、総務、人事、経理、給与担当などです。電話でまず状況を確認し、必ずメールや書面で交付を依頼してください。証拠が残る方法をおすすめします。
3. 依頼時に伝える内容(例)
- 氏名・退職日
- 源泉徴収票の発行を依頼する旨
- 送付先(住所またはメールアドレス)
- 連絡先(電話番号やメール)
4. それでも届かない場合の手段
再度メールを送り、回答期限(例:1週間)を明記します。返信がないときは内容証明郵便で正式に請求すると効果的です。最終手段として税務署に相談できます。雇用形態や退職理由にかかわらず、発行義務はあります。
5. 記録を残す
やり取りのコピーや送付履歴は必ず保存してください。確定申告や後日のトラブル対応で役立ちます。
6. 依頼メールの例
件名: 源泉徴収票発行のお願い
本文: いつもお世話になっております。○○(氏名)です。○○年○月○日に退職しました。源泉徴収票の発行と送付をお願いできますでしょうか。送付先: 〒〒○○○-○○○○ ○○市○○町○-○-○。ご確認のほどよろしくお願いいたします。
退職後に新しいアルバイトを始めた場合の源泉徴収票の扱い
前提
退職前の勤務先から受け取る源泉徴収票は、新しい勤務先で年末調整を受けるときや、自分で確定申告をするときに必要です。必ず保管しておきましょう。
年末調整での扱い
新しいアルバイト先で年末調整を受ける場合、前の勤務先の源泉徴収票を提出します。これにより一年間の給与と源泉徴収税額を合算して精算してもらえます。給与の合算を行うことで、過不足が調整されます。
提出が間に合わない場合は自分で申告
年末調整の期限(通常は年末)に前の勤務先の書類を提出できないときは、自分で確定申告を行います。確定申告は翌年の所定の期間に行い、前年分の収入と税額を申告します。
提出方法と注意点
- 源泉徴収票は原本が原則です。コピーしかない場合は事前に新しい勤務先に相談してください。
- 受け取っていない場合は、前の勤務先に再発行を依頼します。電話やメールで期限を伝えておくと安心です。
- 年の途中で転職を繰り返した場合は、各勤務先の源泉徴収票をすべて集めます。
具体例
- 例1:3月に退職、4月に新しいアルバイト開始。前の勤務先の源泉徴収票を4月〜12月までの給与と合算して年末調整。
- 例2:年末調整の時点で前の源泉徴収票が間に合わなければ、翌年に自分で確定申告して調整します。
掛け持ち・複数アルバイトがある場合の注意点
複数の源泉徴収票は別々に発行される
アルバイトを掛け持ちしていると、それぞれの職場から別々の源泉徴収票が出ます。各職場での給与と天引きされた税額が個別に記載されるため、すべて保管してください。
年末調整は原則1か所で行う
年末調整は原則として1か所の勤務先で行います。給与をいちばん多く受け取る職場を主たる勤務先にして、そこに「扶養控除等申告書」を提出すると年末調整の対象になります。その他の職場は通例「乙」扱いとなり、源泉徴収額が多めに天引きされます。
複数の源泉徴収票の使い方
年末調整を受けない職場からの源泉徴収票は、自分で確定申告する際に合算します。収入を合算して計算し、払い過ぎた税金があれば還付を受けられます。年末調整で漏れがないか確認するためにも、全ての源泉徴収票を確定申告まで取っておきましょう。
実務上の注意点と手続きのコツ
- どの職場を主にするかは、年間の所得が多い方を選ぶと有利な場合が多いです。
- 年末調整用の書類は年初や入社時に提出することが多いので、忘れずに出してください。
- 源泉徴収票が届かない場合は勤務先に速やかに請求します。
- 複数のバイトで合計収入が一定額を超えると確定申告が必要になる可能性があります。必要に応じて税務署や税理士に相談すると安心です。
アルバイトの収入と源泉徴収の仕組み(いくらから税金が引かれるか)
給与からの源泉徴収は、雇い主があらかじめ所得税を差し引く仕組みです。アルバイトでも条件によって差し引かれます。
基本ルール
- 扶養控除等申告書を提出し、扶養親族がいない人の場合、社会保険料を差し引いた後の月収が10.5万円以上だと源泉徴収が行われやすくなります。提出がない場合はより多く天引きされることがあります。
具体例で理解する
- 月給12万円、社会保険料が1万円なら課税対象は11万円→目安の10.5万円を超えるため源泉徴収の対象になります。
- 月給10万円、社会保険料0円なら10万円→目安以下であれば源泉徴収されないことが多いです。
年間で見ると
年間収入が概ね160万円以下なら、年末調整や確定申告で過払い分が還付される可能性が高いです。源泉徴収はあくまで「仮払い」なので、年単位の所得で最終的な税額が決まります。
わからない点があれば、給与明細や雇用先に確認すると安心です。
退職後にアルバイトだけの場合でも確定申告が必要になるケース
確定申告が必要になる主なケース
- 複数の勤務先で年末調整を受けていない場合
-
退職した前職で年末調整を受けておらず、アルバイト先でも年末調整を受けていないときは、自分で合算して申告します。
-
年間の合計収入が税務上の基準を超える場合
-
収入の合計や控除の状況によって課税されるか変わります。基準は収入の種類や控除によって違うため、税務署や国税庁の案内を確認してください。
-
前職の源泉徴収票が年末調整に間に合わなかった場合
- 前職の源泉徴収票を年末調整で使えなければ、確定申告でその源泉徴収票を添付して申告します。
手続きの流れ(実務的なポイント)
- まず、すべての勤務先から源泉徴収票を集めます。
- 確定申告書(給与のみなら給与専用の様式か確定申告書B)に年間の収入と源泉徴収された税額を記入します。
- 源泉徴収票を添付または提示して税務署へ提出します。電子申告(e-Tax)も利用できます。
- 申告の結果、還付(戻る)または追加納税が発生します。
具体例
- 例1:年の途中で退職し、その後アルバイトだけで年末を迎え、前職で年末調整を受けていない→確定申告が必要です。
- 例2:アルバイトの収入が少額でも、複数の収入を合算すると課税対象になることがあります。必要か不安なときは、税務署や税理士に相談してください。
短期バイト・日雇いバイトを退職した場合の源泉徴収票
要点
短期のアルバイトや日雇いでも、給与の支払いがあれば原則として源泉徴収票の交付対象です。支払いの際に所得税を差し引かれていれば確実に発行されます。
いつもらえるか
通常はその年の分について翌年1月31日までに交付されます。退職時に請求すれば、年内に受け取れることも多いので、できるだけ早めに職場に伝えましょう。
もらえない・対応のしかた
給与が実際に支払われていない、あるいは差し引かれた税額がない場合は発行されないことがあります。交付を求めても対応がないときは、最寄りの税務署に相談してください。
実務上の注意
現金手渡しで明細がない場合でも、支払証明や出勤記録を残しておくと役立ちます。複数の短期バイトがあるときは、それぞれの職場から源泉徴収票を受け取り、確定申告や年末調整に備えてください。


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