はじめに
本記事は、4月に退職した場合の源泉徴収票についてわかりやすく解説するために作成しました。源泉徴収票は給与や税金の記録を示す重要な書類で、転職や確定申告、住民税の手続きで必要になります。4月の退職は年度の切替と重なることが多く、扱いに戸惑う方が少なくありません。本記事では次の点を順に説明します。
- 4月退職時の源泉徴収票の基本的な意味と見方
- 発行タイミングと受け取り方法
- 転職先や確定申告での使い方、届かない場合の対処法
- 住民税や退職手当、パート・アルバイト特有の注意点、再発行の方法
各章では専門用語をできるだけ避け、具体例を交えて丁寧に説明します。手続きが初めての方でも読み進めやすいように配慮しました。まずは全体の流れを把握してから、必要な章に目を通してください。書類の保管や発行の確認は早めに行うと安心です。
4月退職時の源泉徴収票とは
概要
源泉徴収票は、1月1日から退職日までに支払われた給与や賞与、そこから差し引かれた源泉所得税などを記載した書類です。退職した人が自分の所得や税額を確認したり、次の勤務先や税務署へ提出したりするために必要になります。4月に退職した場合も、会社は所得税法に基づき源泉徴収票を発行する義務があります。
記載される主な項目(具体例を交えて)
- 支払金額:1月から退職日までの総支給額(例:給与・残業代・賞与の合計)
- 源泉徴収税額:実際に天引きされた所得税の合計
- 社会保険料や控除の金額:健康保険や厚生年金の本人負担分など
- 扶養親族等の情報:扶養人数や控除の有無
- 会社名・個人名・退職日などの基本情報
4月退職ならではの注意点
4月は年度の初めなので、年末調整は年末に行います。したがって、年の途中(例えば4月)に退職すると、その年分の年末調整は通常行われていません。そのため源泉徴収票の金額をもとに、自分で確定申告が必要になる場合があります。
受け取ったらまず確認すること
1) 支払金額と源泉徴収税額が最終の給与明細と一致しているか
2) 扶養や控除の情報に誤りがないか
3) 会社名・住所や自分の氏名・マイナンバーが正しいか
もし誤りや不明点があれば、まず退職した会社の総務・給与担当者に連絡して修正を依頼してください。必要なら確定申告用に保存しておきましょう。
源泉徴収票の発行タイミングと受取り方法
発行期限と具体例
退職後、会社は原則として1か月以内に源泉徴収票を交付します。たとえば4月15日に退職した場合は5月15日までに受け取れるのが目安です。会社によっては業務処理の都合で数日遅れることがありますが、遅れる場合でも速やかに連絡があるはずです。
交付方法(郵送・手渡し)
一般的には郵送で届きます。退職時に伝えた住所に送られるため、引越しなどで住所が変わる場合は早めに会社に新住所を知らせてください。手渡しを希望する場合は人事や上司に相談すれば対応してもらえることが多いです。
電子交付について
会社が電子交付の制度を導入している場合、退職者の同意があれば電子で受け取れます。メール添付やダウンロード用のURLで受け取ることが一般的です。電子交付でも紙を希望する場合は会社に申し出てください。
受け取れない・遅い場合の対応
交付が遅れる・届かないと感じたら、まずは勤めていた会社の人事・総務窓口に連絡し、発送日や宛先を確認しましょう。必要なら再発行を依頼できます。急ぎで確定申告や転職手続きが必要な場合は、その旨を伝えると優先対応してもらえることがあります。
転職・再就職時の源泉徴収票の利用
概要
年の途中で転職や再就職をした場合、前職の源泉徴収票を新しい勤務先に提出します。源泉徴収票はその年に受け取った給与と天引きされた所得税の証明書です。新しい会社はこれを使って年末調整で1年分の税額を精算します。
提出のしかた
入社時や年末調整の際に前職の源泉徴収票を渡します。複数社に勤務していた場合は、すべての前職分を提出してください。例えば、A社→B社→C社と移った場合、B社とC社の両方の源泉徴収票をC社に提出します。
年末調整での扱い
新しい会社は前職分の給与額と源泉徴収税額を合算して、1年分の税金を計算します。その結果、税金が過大なら還付、過少なら追加で徴収されます。
実務上の注意点
- 源泉徴収票は必ず保管し、入社時に提出することで年末調整が正しく行われます。
- 前職から源泉徴収票が届かない場合は早めに請求してください。
- 結果に疑問があれば、新しい勤務先の総務や税務署に相談しましょう。
退職後再就職しない場合の確定申告
確定申告が必要な人
退職後に再就職しない場合、年の途中で給与を受けた人は自分で確定申告を行う必要があります。会社が年末調整をしていないため、源泉徴収票を使って税額を精算します。余分に取られていれば還付を受けられます。
準備する書類
- 源泉徴収票(前職分):税額や所得が書かれています
- 各種控除の証明書:医療費の領収書、社会保険料の控除証明、生命保険料控除証明書など
- マイナンバー確認書類と本人確認書類
申告の流れ(簡単)
- 書類を揃える
- 確定申告書を作成(税務署の窓口、書面、またはe-Taxで作成)
- 提出して還付金がある場合は銀行口座へ振込
よく使う控除の例
- 扶養控除:扶養家族がいる場合に適用
- 医療費控除:年間の医療費が一定額を超えたとき
- 社会保険料控除:国民年金や国民健康保険の支払い分
注意点
源泉徴収票の金額を正確に申告することが大切です。証明書類が不足すると手続きが長引くため、早めに準備してください。申告方法で迷ったら、最寄りの税務署や無料相談窓口を利用すると安心です。
源泉徴収票が届かない場合の対処法
いつまで待てばいいか
源泉徴収票は通常、退職後1〜2週間から1か月程度で届きます。4月退職など特別な時期は遅れが出る場合がありますが、発行期限を明確に確認しておきましょう。
まず会社の担当部署へ連絡する
人事・総務・経理に電話やメールで早めに連絡します。連絡時は以下を伝えると手続きがスムーズです。
– 氏名、社員番号(あれば)
– 退職日
– 送付先住所・メールアドレス
– いつまでに必要か(例:確定申告のために〇月〇日まで)
短い例文:
「退職した〇〇です。源泉徴収票がまだ届いていないのですが、発行状況を確認いただけますでしょうか。必要であれば住所を再送します。」
会社から返事がない・発行されない場合
会社に何度か連絡しても応答がない、または発行を拒まれるときは、税務署に相談します。税務署には「源泉徴収票が交付されない」旨を伝えると、会社に対して指導が入る手続きがあります。税務署へ行く際は本人確認書類と退職日がわかる書類(離職票や雇用契約書、給与明細など)を持参してください。
税務署での手続き後の流れ
税務署が会社に確認・指導を行います。税務署が介入しても会社の対応が遅い場合は、指導の記録が申告の際に役立ちます。
源泉徴収票がどうしても手に入らない場合の対処
源泉徴収票が間に合わないときは、給与明細や銀行振込の記録をもとに確定申告を行えます。税務署に相談して、どの書類で代替できるか確認してください。また、源泉徴収票の再発行は会社のみが対応できますので、再度会社へ依頼する必要があります。
メモを残す習慣
連絡した日時や担当者名、やり取りの内容は必ず記録しておいてください。後で税務署に相談する際に役立ちます。
退職時の住民税やその他の手続き
退職時には住民税や各種の手続きがまとまって発生します。ここでは主なポイントをわかりやすく説明します。
住民税の扱い(1~4月退職)
1~4月に退職する場合、会社は未徴収の住民税を一括で徴収するのが一般的です。例えば、年額が12万円で在職期間分だけ天引きされていない場合、最終給与で残りをまとめて差し引くことがあります。最終給与が足りないときは別途請求されることもあるので明細を確認してください。
退職手当と源泉徴収票
退職金が出る場合、会社は「退職所得の源泉徴収票」を発行します。これは税務署や自身の確定申告で使う書類で、転職先へ提出する必要は基本的にありません。
その他の手続き(失業給付・保険・年金)
- 失業給付:ハローワークに離職票が必要です。会社に発行を依頼してください。
- 健康保険:再就職しない場合は国民健康保険へ加入するか、家族の被扶養に入る手続きを市区町村や勤務先で行います。
- 年金:国民年金への加入手続きが必要です。市区町村窓口で手続きをしてください。
会社・市区町村との連絡
退職後の住民税や書類の送付先は、会社に現在の住所や連絡先を伝えておきましょう。最終給与明細、源泉徴収票、離職票は大切に保管してください。
注意点
最終給与で住民税が差し引かれているか、離職票の発行状況、保険の切替時期を早めに確認すると手続きがスムーズになります。
パート・アルバイトの場合
発行義務と期限
パート・アルバイトでも、退職後1か月以内に源泉徴収票を発行する義務があります。例えば4月に辞めたら、5月末までに受け取れるはずです。短期の勤務でも同じです。
扶養申告や確定申告での使い方
配偶者や親の扶養に入る際や、自分で確定申告をする際に必要になります。例:年間収入が103万円前後で扶養に入れるか迷ったとき、源泉徴収票の年間収入欄を見せれば判断がつきます。
複数の勤務先がある場合
掛け持ちで働いていたら、それぞれの職場から源泉徴収票を受け取ります。転職先で年末調整を受けるときは、前の職場分を提出してください。合算して所得がどうなるかが分かります。
受け取り方と確認ポイント
通常は紙で渡されますが、電子交付を選べる場合もあります。受け取ったら、氏名、勤務期間、支払金額、源泉徴収税額の欄を確認してください。記載ミスがあれば早めに担当者に連絡しましょう。
発行が遅れる・届かない場合の対応
期限を過ぎても届かないときは、まず前の職場に問い合わせてください。連絡しても対応がない場合は税務署や市区町村の窓口で相談できます。
源泉徴収票の再発行
紛失したらすぐに会社へ連絡
源泉徴収票を紛失したら、まずは勤務していた会社(または退職先の人事・総務)に速やかに連絡してください。早めに依頼すると発行手続きがスムーズです。
依頼先と担当部署
通常は人事・総務や経理が対応します。退職済みで担当者が変わっている場合もあるので、会社の代表窓口に問い合わせると案内してもらえます。
依頼に必要な情報
氏名、生年月日、在籍期間、社員番号(あれば)、再発行を希望する年度を伝えてください。本人確認のため身分証明書の提示や写しを求められることがあります。
発行方法と受取り方
多くは紙の原本を郵送または窓口で受け取れます。会社によってはPDFや電子データでの発行に対応することもあります。希望する受取方法を伝えてください。
発行までの期間と手数料
通常は数日から数週間で対応しますが、年度末や担当者不在で時間がかかることがあります。多くの会社は手数料を請求しませんが、まれに実費(郵送費など)を求められる場合があります。
注意点
長期間退職後に依頼する場合、資料の保管状況で対応が変わることがあります。再発行された源泉徴収票は確定申告や転職先への提出で原本と同等に扱われますが、必要書類は早めに準備してください。
再発行後の保管と利用
受け取ったら複数枚コピーを取り、大切に保管しましょう。確定申告や転職手続き、住宅ローンや各種申請で必要になることがあります。


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