はじめに
「源泉徴収票が届かない」「退職したのに発行されない」といった不安をお持ちではありませんか?
この記事では、源泉徴収票が手元にない場合に取るべき具体的な対応を、やさしく丁寧に解説します。特に退職後や現職での未発行、会社に連絡がつかないケース、税務署への相談方法、源泉徴収票がなくても確定申告を行う方法などを順を追って説明します。
読者は主に会社員や退職者、これから確定申告をする人です。専門用語は最小限にし、具体例や依頼文の例も紹介して、迷わず進められるようにします。この記事を読めば、どこに連絡し何を準備すればよいかがはっきりするはずです。以降の章で、まず会社への依頼方法から税務署対応まで順番に見ていきます。ぜひ落ち着いて読み進めてください。
源泉徴収票はなぜ必要?届かないとどうなる?
源泉徴収票とは
源泉徴収票は、1年間に支払われた給与と、その中で天引きされた所得税の額を示す証明書です。受け取った給与の金額や税金の控除額が一枚でわかるため、税や手続きで重要な役割を果たします。
何に使うのか(具体例で説明)
- 確定申告:還付を受ける時や追加で税を払うときに必要です。例)医療費控除で税金が戻る場合、源泉徴収票で収入と税額を確認します。
- 年末調整:在職中は会社が年末調整を行うために使います。
- 転職や退職手続き:退職後の手続きや次の勤務先での年末調整に必要です。
- 各種証明:住宅ローンの審査や社会保険の手続きで前年収入の証明として提示します。
会社の交付義務
会社は退職後1か月以内に源泉徴収票を交付する義務があります。在職中も年末にまとめて交付されます。これは従業員が不利益を被らないよう定められた規定です。
届かない場合の影響
- 確定申告や還付手続きができず、税金の還付が遅れる、あるいは追徴が発生することがあります。
- ローン審査や転職先での手続きが進まない場合があります。
- 書類がないために手続きに時間や費用がかかり、精神的な負担も生じます。
届かないと生活や手続きに直接影響しますので、早めに会社に確認してください。次章では会社への依頼方法と催促の仕方を具体的に説明します。
まず最初にすべきこと―会社への依頼と催促
源泉徴収票が届かないときは、まず勤務先に依頼しましょう。多くは発行の遅れや手違いが原因です。以下の手順で進めるとスムーズです。
1) 誰に連絡するか
- 総務・経理・人事の担当窓口へ連絡します。退職後でも交付義務がありますので、遠慮せずに問い合わせてください。
2) 連絡方法と例文
-
メール(証拠が残るためおすすめ)
件名:源泉徴収票の発行・送付のお願い
本文:氏名(旧姓があれば記載)、従業員番号、対象年、送付先住所・メールアドレス、連絡先電話番号、確定申告の締切がある場合はその旨を簡潔に書いて送ります。 -
電話
挨拶→要件(源泉徴収票が届いていないこと)→必要情報を伝える→発送予定日の確認を依頼します。
3) 催促のコツ
- 1回で解決しないときは、1週間ほど置いて再度連絡します。メールを送った場合は返信がない旨を丁寧に伝え、必要なら上司や別部署をCCしてもらうようお願いすると効果的です。
4) 記録を残す
- メールや電話の日時・担当者名・内容は必ず記録してください。後で照会や証明が必要になったときに役立ちます。
以上の手順で多くの場合は解決します。次の章では、会社が対応しない場合の具体的な対処法を解説します。
会社が発行してくれない・連絡が取れない場合の対応
概要
会社が源泉徴収票の交付を拒んだり、何度催促しても応答がない場合は、所轄の税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出します。届出書は国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。
まず用意するもの
- 源泉徴収票不交付の届出書(記入済み)
- 会社名・所在地・代表者名(分かる範囲で)
- 退職日や勤務期間
- 交付を依頼した日時や内容を示す記録(メール、請求書、電話のメモ)
- 給与明細・給与振込の通帳コピー・雇用契約書などの関連書類
届出書の書き方のポイント
会社名や住所は正確に記入します。交付依頼の経緯は時系列で簡潔に書き、何回催促したかも明記します。証拠となる書類は忘れずに添付します。
提出方法
所轄税務署に持参するか郵送します。郵送する場合は内容証明や簡易書留を使うと記録が残り安心です。持参する場合は窓口で受理印をもらい、控えを保管してください。
届出後の流れと注意点
税務署は会社に確認や調査を行うことがあります。税務署から連絡が来たら、指示に従って追加書類を提出してください。届出を出したからといってすぐに解決するとは限りませんので、確定申告の期限を意識して早めに行動してください。
補足(証拠を残す重要性)
催促の記録や給与明細は、後の申告や税務署とのやり取りで重要な証拠になります。コピーは必ず保存し、提出する場合は原本も持参できるよう準備しましょう。
税務署の対応とその後の流れ
不交付届を受理した後の税務署の動き
不交付届(源泉徴収票がもらえない旨の届出)を税務署が受理すると、税務署はまず会社に対して発行を促す連絡を行います。文書や電話で照会し、必要に応じて記録の確認や事情聴取を行います。多くの場合、この行政指導で源泉徴収票が発行されます。
会社が通常に対応する場合
会社側は税務署の指導を受けて過去の給与台帳や雇用記録を確認し、源泉徴収票を作成して交付します。交付方法は郵送や窓口での受け取りなどです。受け取ったら内容(支払金額、源泉徴収税額、勤務期間など)を必ず確認してください。
会社が倒産・連絡不能の場合
会社が倒産している場合や担当者と連絡が取れない場合でも、税務署は破産管財人や清算人に対して発行の指導・照会を行います。どうしても発行が困難な場合は、税務署と相談のうえで確定申告の手続きに進めるための代替措置(不交付届の受理証明など)を案内してくれます。
あなたがすべきこと(実務的ポイント)
- 不交付届の写しや受領証は大切に保管してください。税務署とのやり取りで必要になります。
- 給与明細や雇用契約書、振込記録など源泉徴収票の代わりになる書類を揃えておくと手続きがスムーズです。
- 進捗が分からない場合は税務署に状況確認をしてください。税務署は案件ごとに対応状況を説明してくれます。
期間の目安
対応の早さはケースによりますが、税務署から会社への照会は通常数週間以内に行われ、解決まで数週間から数か月程度かかることがあります。急ぐ場合は税務署にその旨を伝えてください。
源泉徴収票がなくても確定申告はできる?
概要
本来は源泉徴収票を基に申告しますが、やむを得ず手元にない場合でも確定申告は可能です。給与明細や振込履歴を根拠に所得や源泉徴収額を再現し、申告書を作成します。ただし、税務署が後で源泉徴収票の提出を求める場合があるため、できる限り入手努力を続けてください。
準備する書類(例)
- 給与明細(年間の合計が分かるもの)
- 銀行の入金履歴(給与振込の記録)
- 雇用契約書や労働条件通知書
- 会社とのやり取り(メールや請求書など)のコピー
- 以前受け取った源泉徴収票があれば参考資料に
申告書の作成と提出方法
- 給与の総額と源泉徴収された税額を、用意した書類で計算します。
- 確定申告書(給与のみなら申告書A、その他があれば申告書B)を作成します。e-Taxでも提出できます。
- 「源泉徴収票が未入手のため、代替資料で作成した」旨を説明する添え状(事情説明書)を添付します。
- 税務署に提出し、指示を待ちます。
税務署の対応と注意点
税務署はまず申告内容を受け付けますが、後日源泉徴収票の提出を求める場合があります。その際に会社が出せないと差額の追徴や修正を求められることがあります。可能な限り会社へ再度依頼し、入手を試みてください。
その他の留意点
- 複数の勤務先がある場合は、それぞれの明細を揃えます。
- 給与以外の所得があると手続きが複雑になります。専門家に相談するのも有効です。
これらを踏まえ、まずは手元の記録を整理して早めに申告準備を進めましょう。
再発行の場合や、そもそも発行対象外の場合
再発行の基本手順
源泉徴収票を紛失・破損した場合、まず勤務先に再発行を依頼します。口頭での依頼に加え、メールや文書で請求書面を残すと確実です。再発行は会社の事務担当が対応するのが普通で、発行時期の目安は年末調整後から1月末頃までです。
再発行を拒否されたときの対応
会社が再発行を拒む場合でも、「不交付届」で解決できるものではありません。まずは再度文書で催促し、それでも応じないときは所轄の税務署に相談してください。税務署は状況を確認し、必要なら会社へ発行を促す助言をしてくれます。会社が倒産している場合は、給与明細や振込履歴、雇用契約書などで支払実績を証明します。
そもそも発行対象外となるケース
副業や業務委託などの報酬は、給与扱いにならないと源泉徴収票が発行されない場合があります。たとえば個人事業主に支払われる報酬は「支払調書」が使われることが多く、源泉徴収票は発行されません。心当たりがあるときは支払者に文書で確認し、必要書類を受け取って確定申告に備えてください。
まとめと注意点
最初に覚えておくこと
源泉徴収票は納税やさまざまな手続きで重要な書類です。届かない場合は放置せず、早めに動くことが何より大切です。
行動の優先順位(簡潔に)
- まず会社に依頼・催促する:口頭だけでなくメールや書面で残すと証拠になります。
- 記録を保存する:やりとりの履歴、給与明細、振込記録などを必ず保管してください。
- 会社が応じないときは税務署へ相談・届出する:税務署が確認してくれる場合があります。
源泉徴収票がなくてもできること
確定申告は、源泉徴収票がなくても給与明細や銀行記録で金額を確認して申告できます。税務署に相談すると、適切な対応方法を教えてもらえます。
再発行や発行対象外の注意点
再発行は会社が基本的に行います。発行対象外(短期の支払や報酬の形態による場合)かどうかを確認し、不明な点は税務署へ問い合わせてください。
最後に(注意点)
- 行動は早めに。期限を過ぎると手続きが複雑になります。
- 記録を残せば証拠となり、トラブル防止につながります。
- 困ったときは税務署や税理士に相談することをおすすめします。
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