はじめに
目的
この章では、本記事の目的と読み方をわかりやすくお伝えします。うつ病などの精神的な理由で退職を考えたとき、書面での伝え方や口頭での伝達、履歴書への記載、退職届の提出時期など不安が多くなります。本記事は、そうした不安を少しでも和らげ、安心して手続きを進められるように作りました。
この記事で扱う内容
- うつ病を理由に退職する際の基本的な伝え方
- 退職届・退職願の書き方と文例
- 精神的な理由をどう表現するかの具体例
- 履歴書や面接での退職理由の伝え方
- 退職届提出のタイミングと引き止められた時の対応
各章で具体例を示し、実際に使いやすい表現を紹介します。
読み手への配慮
心身の負担が大きい場合は、まず主治医や家族に相談してください。会社の人事や上司に伝える前に、医師の意見や社内の制度を確認すると安心です。この記事は、誰でも読みやすい言葉で説明しますので、自分の状況に合わせて参考にしてください。
うつ病で退職する場合の基本的な伝え方
はじめに
まず伝える相手と方法を決めます。上司が第一の窓口ですが、人事や産業医へ相談する選択肢もあります。自分の負担を減らせる方法を優先してください。
伝える前の準備
・伝えたい要点を箇条書きにします。
・希望する退職時期や、休職を希望するか明確にします。
・診断書や医師の意見があれば用意しておくと話が進みやすいです。
対面で伝える時の進め方
・短く率直に伝えます。例：「医師からうつ病と診断され、退職を考えています」
・感情的にならないよう深呼吸して話します。
・可能なら日時を相談して落ち着いた場で伝えます。
電話・メールで伝える時のポイント
・電話は声の調子を落ち着け、要点をまとめて話します。
・メールは件名に要点を入れ、本文は簡潔に。返信を求める旨を明記します。
・やり取りの記録は必ず残します。
同席や代理の利用
精神的に厳しい場合は家族や医師、信頼できる同僚に同席や代わりの連絡を依頼できます。会社の規定に合わせて進めてください。
注意点
職場によっては手続きや相談窓口が異なります。退職を急ぐ場合でも、証拠や記録を残し、冷静に進めてください。
退職届・退職願の文例と書くべきポイント
退職願と退職届の違い
退職願は会社へお願いする文書、退職届は退職の意思を一方的に届ける文書です。状況に応じてどちらかを使いますが、どちらも病名を明記する必要はありません。
必要な項目（必須）
- 宛先（会社名・部署・役職名）
- 提出日
- 退職希望日（または退職日）
- 本文（理由は「体調不良」「療養のため」「一身上の都合」などで可）
- 氏名・捺印
文例（短め）
退職願（簡潔）
「このたび、体調不良により〇年〇月〇日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます。」
退職届（明確）
「私事で恐縮ですが、体調不良のため〇年〇月〇日をもって退職いたします。ここに届け出ます。」
文例（治療に専念する場合）
「このたび体調不良により、治療に専念したく〇年〇月〇日をもって退職をお願い申し上げます。」
書くときのポイント
- 病名を明記しないでください。プライバシー保護のためです。
- 理由は簡潔に。詳細は面談で伝えるか医師に委ねます。
- 提出前にコピーを保管してください。郵送する場合は簡易書留など追跡できる方法を使います。
その他の注意
上長や人事と話し合いが可能なら口頭で伝えたうえで書面を出すと誤解が少なくなります。書式は会社指定があればそれに従ってください。
精神的な理由・適応障害の場合の伝え方例
はじめに
精神的な不調や適応障害を理由に退職を伝えるときは、病名や詳しい症状を必ずしも伝える必要はありません。相手に誤解を与えないよう、やわらかく短く伝えることが大切です。
伝え方の基本ポイント
- 病名や精神科的な詳細は避ける。
- 会社や同僚の批判はしない。
- 「体調不良」「心身の不調」「業務に集中できない」など漠然とした表現を使う。
- 退職の意思ははっきり伝えるが、感情的にならない。
口頭での例（上司に伝える時）
- 「このところ体調が優れず、業務に集中することが難しくなってきました。そのため、一身上の都合により退職させていただきたく存じます。」
- 「近頃、体調を崩しがちで長時間の勤務が困難です。今後のことを考え、この度退職を決意しました。」
書面での例（退職願・退職届に使える表現）
- 「私事で恐縮ですが、体調不良のため、一身上の都合により退職いたしたくお願い申し上げます。」
- 「心身の状況を鑑み、誠に勝手ながら退職を希望いたします。退職日はご相談の上で決めさせてください。」
聞かれたときの対応
- 具体的な理由を聞かれても「専門医に相談中で詳細は控えさせてください」と答える。
- 退職日や引き継ぎ方法については前向きに調整する姿勢を示す。
注意点
- 診断書の提出を求められる場合があるので、医師と相談して対応する。
- 労働条件や手続き（有給・傷病手当）については人事に確認することをおすすめします。
履歴書への記載・転職活動時の退職理由の伝え方
履歴書や職務経歴書では、退職理由を詳しく書く必要はありません。書き方の基本は短く、前向きにまとめることです。
- 履歴書の退職理由例
- 「一身上の都合により退職」：もっとも無難です。
-
体調が理由であれば「体調管理のため一時退職」など、簡潔に。具体的な病名は記載不要です。
-
健康状態欄
- 勤務に支障がない場合は「良好」と書いて問題ありません。
-
通院が続く、あるいは業務に影響する場合は「通院中」や「治療継続中（就業可能）」などの補足を検討してください。
-
面接での伝え方のコツ
- 短く真実を伝え、今後の働き方に焦点を当てます。例：「当時は療養が必要で退職しましたが、現在は回復し業務に支障はありません」
-
必要以上に詳しく説明しないでください。面接官には働ける根拠（医師の許可、通院頻度、現在の状態）を用意すると安心です。
-
空白期間の説明
- 療養期間がある場合は「体調の回復のために休養」などと記載し、復帰後の学びやスキル維持に触れると好印象です。
最後に、正直ではっきりと伝えつつ、今後の仕事で貢献できる点を必ず示してください。
退職届提出時期・引き止められた場合の対応
提出時期の目安
退職届は原則、退職予定日の1か月前を目安に提出します。就業規則や雇用契約書で通知期間が決まっている場合は、そちらを優先してください。早めに伝えると引き継ぎや手続きがスムーズになります。
うつ病などで即日退職が必要な場合
症状が重く出社できない場合は、医師の診断書を速やかに取得してください。診断書は退職の必要性を示す重要な証拠になります。まずは上司や人事に電話で状況を伝え、後で診断書を提出する旨を伝えると安心です。
引き止められたときの対応
引き止められた場合は感情的にならず、診断書や医師の指示を根拠に伝えてください。例文：「ご配慮ありがとうございます。ただ、医師から就業を続けないよう指示が出ておりますので退職の意思は変わりません。」必要ならば就業規則や休職制度の有無を確認し、産業医や家庭の医師にも相談してください。
実務的な注意点
退職届は必ず書面で残し、控えを受け取っておきます。やむを得ない場合はメールでの通知や内容証明郵便の利用も検討してください。精神的負担が大きいときは、家族や専門家に相談しつつ手続きを進めましょう。
まとめと注意点
うつ病など精神的な理由で退職する際のポイントを、分かりやすく振り返ります。
要点の振り返り
- 退職届には病名を書かず「体調不良」「一身上の都合」などと記載するのが一般的です。
- 上司への伝え方は事前に相談の時間を取り、短く事実を伝えてから今後の手続きを話すとスムーズです。
- 医師の診断書や就業制限の有無は、退職や傷病手当の申請で重要になります。
注意してほしい点
- 書面と口頭で伝える順序を考え、会社の就業規則を確認してください。
- 引き止めにあっても感情的にならず、必要なら第三者（医師や社内の相談窓口）を交えて対応しましょう。
- 転職を考える場合、履歴書では前向きな表現に言い換えると説明しやすくなります。
相談先・手続きの例
- 主治医、産業医、会社の総務・人事、労働相談窓口（市区町村や労働局）などに相談してください。
最後に、無理をせず自分の回復を最優先にしてください。必要なら周囲の助けを早めに頼ることをお勧めします。
コメント