はじめに
この記事の目的
この記事は、源泉徴収票が必要になる場面や入手方法、再発行の手順、受け取れないときの対処法をわかりやすくまとめた入門ガイドです。確定申告や転職、住宅ローン申請など、実際に必要になるシーンを想定して説明します。
対象読者
会社員やパート・アルバイト、退職した方、勤務先から源泉徴収票をもらえないと困っている方など、幅広い方を想定しています。税務や手続きに不安がある方にも読みやすいように書いています。
本記事の構成と読み方
全10章で、基礎知識から具体的な入手手順、トラブル時の対応まで順に解説します。まずは本章で目的と流れを確認し、必要な章を順に読んでください。専門用語は最小限にし、具体例で補足しますので安心してお読みください。
源泉徴収票とは何か
概要
源泉徴収票は、1年間に受け取った給与や支払った所得税の金額を会社が従業員に渡す公式な書類です。税金や社会保険に関する情報がまとまっており、収入や納税状況を証明するために使います。年末調整の後や退職時に受け取ることが一般的です。
主な記載項目(わかりやすく)
- 支払金額:1年間に会社から受け取った給与の合計です。
- 所得税の額:給与から差し引かれた源泉所得税の合計です。
- 社会保険料や控除額:健康保険・年金など会社が差し引いた金額や、配偶者控除などの控除情報が載ります。
- 支払者・受給者情報:会社名や従業員の氏名・マイナンバー(省略される場合あり)などの識別情報です。
誰が発行するか
雇用主である会社や事業主が作成し、従業員に交付します。会社が給与を支払っている限り、その年ごとに発行する義務があります。
なぜ重要か
金融機関のローン審査、確定申告、各種手続き(児童手当や住居関連の申請など)で収入や納税の証明が求められます。源泉徴収票はその際の正式な根拠になります。
具体例でイメージ
- 年末調整後に会社から渡され、翌年の住宅ローン申請で提出する。
- 退職して再就職先や失業保険の手続きで提示する。
源泉徴収票が必要になる主なタイミング
概要
源泉徴収票は年収や税金の情報を示す大切な書類です。いくつかの場面で必ず求められます。ここでは主なタイミングと、そのときに何をすればよいかを分かりやすく説明します。
年末調整後(毎年12月〜翌年1月末)
会社が年末調整を行うと、勤め先から翌年1月末までに源泉徴収票が交付されます。給与や控除が確定した証明なので、受け取ったら大切に保管してください。
退職したとき(退職後1か月以内に交付)
退職するときは、退職日から1か月以内に前の勤務先が源泉徴収票を交付します。退職後の手続きや確定申告で必要になることが多いので、期限内に受け取りましょう。
転職時
新しい勤務先に前職の源泉徴収票を提出する必要があります。年収や税額の情報を合わせるためです。転職先での給与計算や年末調整に使われます。
確定申告時
自分で確定申告をする場合、源泉徴収票が収入の根拠になります。副業や年の途中で退職した場合などは特に必要です。
住宅ローンや各種ローンの申し込み時
ローン審査で収入証明として求められます。発行日や金額を確認して提出してください。
収入証明が必要なとき(保育園・奨学金など)
保育園の入園申請や奨学金、行政支援の申請で収入を証明する書類として使います。用途に応じて最新の源泉徴収票を用意しましょう。
その他(副業や掛け持ちがある場合)
複数の勤務先があるときは、それぞれの源泉徴収票が必要です。提出先ごとにコピーを取って保管することをお勧めします。
源泉徴収票の受け取り方法
在職中の受け取り
年末調整を受ける会社員は、通常12月後半から1月末にかけて会社から源泉徴収票が配布されます。多くは紙で手渡し、あるいは社内ポータルやメールでPDFが配布されます。届いたら内容(支払金額、税額、氏名など)を早めに確認してください。
退職時の受け取り
退職した場合は、最終給与支給後1か月以内に会社が交付します。退職時に住所変更があれば必ず伝えておきましょう。郵送で届くことが多いので、受取先の登録に注意してください。
転職時の取り扱い
転職先で前年分の源泉徴収票を求められることがあります。前職が発行済みなら前職から受け取り、新しい会社へ提出します。前職がまだ交付していない場合は、前職の人事・経理に発行を依頼してください。
受け取れない・紛失したときの対応
届かない・紛失した場合は、まず勤め先の人事部や経理部に連絡して再発行を依頼します。会社が対応できないときは税務署に相談する方法もあります。再発行には本人確認や申請書が必要なことがあるため、身分証明や連絡先を用意しておくと手続きがスムーズです。
受け取り時の注意点
受け取ったら氏名・住所・金額・税額の誤りがないか確認してください。誤りがあれば早めに会社へ訂正を依頼します。電子配布の場合は保存方法(PDF保存や印刷)を決め、紛失しないよう保管してください。
源泉徴収票の再発行方法
再発行の基本
源泉徴収票は原則として勤務していた会社が発行します。退職後でも在籍していた会社に連絡すれば再発行できます。発行に数日から数週間かかることがあるため、早めに依頼してください。
会社に再発行を依頼する手順
- 連絡先を調べる:人事や総務の部署、または旧勤め先の代表電話へ。メールや書面での依頼がスムーズです。
- 伝える情報:氏名(旧姓がある場合は旧姓も)、生年月日、在籍期間、退職日、現住所・連絡先、申請理由(例:確定申告用)。
- 必要書類:本人確認書類(運転免許証など)、委任状(代理人が受け取る場合)、返信用封筒や振込先(手数料がある場合)。
- 受け取り方法:郵送・窓口受取・PDF送付など、会社によって対応が異なります。郵送を希望する場合は宛先と切手の有無を確認してください。
公的年金の源泉徴収票(日本年金機構)
公的年金の源泉徴収票は日本年金機構で再発行手続きができます。最寄りの年金事務所に問い合わせ、所定の申請書と本人確認書類を提出してください。処理に日数を要します。
注意点
会社が解散・倒産している場合や連絡が取れないときは、税務署や年金事務所に相談してください。代理人に依頼する際は委任状を忘れないようにしましょう。
源泉徴収票を受け取る上での注意点
-
交付義務と罰則
会社は従業員に源泉徴収票を交付する義務があります。受け取れない場合は、まず総務や人事・給与担当に確認してください。交付を怠ると会社側に罰則が科されることがありますので、早めに対応を求めましょう。 -
受け取ったらまず確認する項目
氏名、マイナンバー(記載がある場合)、支払金額、源泉徴収税額、支払者名・所在地などに誤りがないかを必ず確認してください。数字の桁違いや氏名の漢字誤りは確定申告や各種手続きでトラブルになります。誤りが見つかったら速やかに訂正を依頼してください。 -
保管期間と保管方法
源泉徴収票は将来の確定申告や年金・住宅ローンの手続きで必要になることがあります。目安として数年間(一般には5年程度を想定)は保管することをお勧めします。紙は折らずにクリアファイルで保存し、スキャンして電子データでバックアップを取ると安心です。 -
発行形態の違いに注意
会社によって紙の手渡し、郵送、電子発行(PDF配布など)と発行方法が異なります。電子発行の場合は原本として認められるかや受信方法(社内システム、メールなど)を確認し、必要なら印刷して保存してください。 -
再発行や訂正を依頼する際のポイント
いつまでに必要か(確定申告期限や手続き締切)を伝え、訂正理由と正しい情報を明示して依頼します。証拠となる給与明細などがあれば添付すると手続きがスムーズです。 -
個人情報の扱い
源泉徴収票には個人情報が記載されています。第三者に渡す際は用途を明確にし、コピーを渡す場合でも不要な情報をマスキングするなど注意してください。 -
よくあるトラブルと対処例
・届かない:問い合わせ→再送や再発行依頼
・誤記載:訂正を依頼→訂正後の再発行を受け取る
・紛失:再発行を依頼し、今後は電子保存を検討
以上を心掛けることで、源泉徴収票に関するトラブルを減らし、手続きをスムーズに進められます。
源泉徴収票が欲しい時の具体的な入手手順
はじめに
まず「いつまでに」「何のために」必要かを明確にしてください。必要理由(確定申告・住宅ローン手続きなど)を伝えると対応が早くなります。
1. 在職中の方(会社に依頼)
- 人事・総務・経理など担当部署に連絡します。
- 「対象年」「氏名」「社員番号」「郵送先(またはPDF希望)」を伝えます。
- 返信が遅い場合は電話で再確認します。対応に数日~数週間かかることがあります。
2. 退職した方(前職への依頼)
電話かメールで前職の担当者に依頼します。退職年月、在籍時の氏名や生年月日を伝えると手続きが進みやすいです。住所変更がある場合は新しい住所を必ず伝えてください。
3. 紛失して再発行が必要な場合
再発行を依頼するときは、紛失した旨と再発行を希望する年を伝えます。社内手続きや確認で時間がかかることがあります。
4. 公的年金等の源泉徴収票
公的年金の源泉徴収票は日本年金機構で手続きを行います。年金番号、氏名、住所などが必要です。窓口か郵送、または機構の案内ページに従ってください。
依頼時の文例(メール)
件名:源泉徴収票発行のお願い
本文:○○年分の源泉徴収票の発行をお願いいたします。氏名、社員番号、郵送先(またはPDF希望)を記載の上、返信をお待ちしております。
最後に
早めに連絡すると安心です。相手が対応しやすいように必要情報を揃えて伝えてください。
源泉徴収票がもらえない場合の対応
概要
何度依頼しても源泉徴収票が交付されない場合は、相談や調査を依頼できます。会社には交付義務があるため、正当な理由なく拒まれることは本来ありません。
まず確認すること
- いつまでに欲しいかを明確に伝えます(例:確定申告期限)。
- 口頭だけでなく、メールや書面で交付を依頼し、記録を残します。
行動ステップ(具体的)
- 会社に再度書面で依頼する(送付控えを保管)。
- 返答がない、または拒否されたら、記録(給与明細・契約書・依頼のやり取り)を整理します。
- 最寄りの労働基準監督署または税務署に相談する。労基署は労働関係の違反を確認し、税務署は申告に必要な書類について助言します。
相談時に持参するもの
- 身分証明書
- 雇用契約書や就業規則(あれば)
- 給与明細、出勤記録
- 会社へ依頼したメールや書面のコピー
留意点
- 労基署や税務署は状況に応じて会社へ働きかけますが、対応に時間がかかる場合があります。期限が迫っている時は、税務署に相談して確定申告の方法を確認してください。
- まずは冷静に証拠を集め、書面での依頼を徹底することが解決の近道です。
源泉徴収票が必要な主なシーン例
はじめに
源泉徴収票は給与や税金の証明書です。ここでは、生活のさまざまな場面で具体的にどんなときに必要になるか、分かりやすく例を挙げて説明します。
主なシーン例
- 確定申告の提出
-
年末調整で済まなかった所得や副業収入があるとき、申告書に源泉徴収票を添付して税額を計算します。
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転職時の書類提出
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新しい勤務先が前年の給与や税額を確認するために提出を求めます。雇用保険や年末調整の手続きで必要です。
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住宅ローンや自動車ローンの審査
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借入審査で収入の裏付けとして使います。金融機関は最新の源泉徴収票を求めることが多いです。
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保育園・幼稚園・福祉サービスの申請
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利用料の算定や補助金の判定で世帯収入を証明するために必要です。
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ビザ・在留資格や各種控除の申請
- 在留資格変更や配偶者控除など、収入証明が求められる手続きで使います。
用意する際の注意
- 提出先が最新の年分を指定する場合が多いので、直近の源泉徴収票を用意してください。
- コピーや原本提出の指定があるか事前に確認してください。
まとめ:源泉徴収票を確実に入手するコツ
要点を押さえる
必要なタイミング(確定申告、年末調整、住宅ローン審査、転職など)を事前に把握し、提出期限の前に会社へ依頼します。早めの依頼で手続きがスムーズになります。
具体的な行動(すぐできること)
- 人事・給与担当へいつまでに必要かを伝える。期限と使途(例:確定申告用)を明記する。
- 発行方法を確認する(紙・PDF・社内システム)と送付先を伝える。
- 受け取ったら氏名・支払金額・扶養等が正しいかすぐに確認する。
紛失や過去分の入手
紛失したらすぐに再発行を依頼します。転職前の分は前職へ問い合わせてください。再発行に時間がかかることもあるので早めに行動しましょう。
保管のコツ
重要書類なのでスキャンしてデジタル保存し、原本は最低5年は保管してください。銀行や役所の手続きで見せることがあるため、コピーを取り出しやすい場所に保管すると安心です。
これらを習慣化すれば、源泉徴収票を確実に入手できます。


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