就業規則における残業時間の基本と注意点を徹底解説

目次

はじめに

目的

本記事は、就業規則における残業時間の基礎をわかりやすく解説することを目的としています。経営者や人事担当者、働く人が、残業に関するルールを正しく定め・確認できるように作成しました。具体例を交え、実務で役立つポイントに絞って説明します。

本記事で学べること

  • 就業規則に記載すべき残業の基本項目
  • 法定労働時間との区別や計算方法
  • 残業時間の上限や36協定の位置づけ
  • みなし残業(固定残業代)の扱い方と注意点
  • 残業時間の端数処理や深夜・休日の取り扱い
  • トラブルが起きたときの基本的な対応

読み方と注意点

各章は順を追って理解できる構成です。専門用語は最小限にし、身近な例で補足します。実際の就業規則を整備する際は、労働基準法や労使協定、社会保険の制度などと照らし合わせてください。必要に応じて、労働基準監督署や専門家へ相談することをおすすめします。

就業規則に記載されるべき残業時間の基本

概要

就業規則には「労働時間」「休憩」「休日」「時間外労働(残業)」の規定を必ず設けます。残業に関する記載が不明確だと従業員との誤解や法令違反につながるため、具体的に示すことが大切です。

必ず記載する項目(例)

  • 残業の定義:所定労働時間を超えて働いた時間を残業と定める旨
  • 残業の計算方法:分単位・15分単位などの計算単位を明記
  • 割増賃金の支払い:残業時間に対する割増率(例:通常賃金の1.25倍)
  • みなし残業の有無:固定残業代がある場合は金額・時間・超過分の扱いを記載
  • 申請・承認手続き:残業許可の方法や事後申請の扱い

記載例(簡潔)

「所定労働時間を超える労働は残業とし、15分単位で切り上げて計算する。残業手当は通常賃金の25%を加算して支払う。」

曖昧な書き方と問題点

「必要に応じて残業させる」だけでは条件が不明瞭です。具体的な計算方法や手続きが無いと争いになります。

運用のポイント

  • 実務と就業規則を一致させる
  • みなし残業を採用する場合は例示を載せ、超過分の支給方法を明確にする
  • 労働者にわかりやすく周知する(説明会や書面配布)

法定労働時間と残業時間の区分・計算方法

法定労働時間とは

労働基準法では「1日8時間・週40時間以内」を基準とします。これを超える労働がある場合、法的に残業とみなされます。

所定労働時間との違い

会社は就業規則で所定労働時間(例:1日7時間、週35時間)を定めます。所定を超えた時間は「所定外労働」と呼びます。所定外でも法定内であれば割増賃金は不要です。法定を超えると割増が必要です。

法定内残業と法定外残業の区分

  • 法定内残業(所定外だが法定労働時間内):割増不要。給与は通常の時間単価で支払います。
  • 法定外残業(法定労働時間を超える):割増賃金が必要(通常は25%以上)。

残業時間の計算手順(具体例)

  1. 所定労働時間を確認(例:1日7時間、週35時間)。
  2. その週に実働した合計時間を計算(例:1日9時間×5日=45時間)。
  3. まず「法定労働時間(週40時間)」との差を求める:45−40=5時間(法定外残業)。
  4. 所定との差も見る:45−35=10時間(所定外合計)。このうち法定外の5時間が法定外残業、残る5時間が法定内残業です。

注意点

  • 割増率や扱いは雇用形態・就業規則で異なる場合があります。
  • 1日の基準(8時間)と週の基準(40時間)の両方でチェックしてください。
  • 変形労働時間制を導入している場合は計算方法が変わります。

残業時間の上限規制と36協定

概要

残業(時間外労働)の上限は法律と36協定で定められます。就業規則には上限を明記できますが、法令や36協定を超えてはいけません。

主な上限(わかりやすく)

  • 原則:月45時間、年360時間以内
  • 特別条項あり:月45時間を超えるのは年6回まで、年間上限は720時間
  • 時間外労働+休日労働:単月で100時間未満、2〜6か月平均で80時間以内

割増賃金

月60時間を超える法定外残業には割増率50%以上が必要です(深夜・休日分は別途)。

実務上のポイント(具体例)

  • 例1:通常の部署は月45時間以内に抑える。超える月は年6回までに限定。
  • 例2:繁忙期が集中する業務は特別条項を結び、年間で720時間を超えないよう管理する。

注意点

  • 36協定は労使で書面または電子で締結し、労働基準監督署に届け出ます。
  • 就業規則で上限を定める際は、36協定と整合させてください。

みなし残業制(固定残業代)の記載方法と注意点

■みなし残業制とは
あらかじめ一定時間分の残業代を給与に含めて支払う制度です。就業規則には制度の範囲と計算方法を明確に書きます。

■就業規則に必ず記載する項目
– みなし時間数:月●時間など具体的に記載します(例:月20時間)。
– 固定残業代の金額と計算根拠:基本給との内訳と残業代相当額を示します。
– 対象となる割増賃金の範囲:法定内残業、法定外残業、深夜・休日労働の扱いを明記します。
– 超過時の取扱い:実際の残業がみなし時間を超えた場合の追加支給方法を定めます。

■記載例(簡潔)
「月20時間の固定残業代として●●円を支給。20時間を超える分は時間外割増率により別途支払う。」

■注意点
– 36協定の範囲と整合させること。協定を超える設定は違法の恐れがあります。
– 給与明細に内訳を明示すること。労使間の誤解を防げます。
– 深夜や休日の割増は別途計算が必要な場合があるため、具体例を示しておくと安全です。
– 実務では定期的に運用を見直し、超過が常態化していないか確認してください。

■トラブル予防の一言
透明に書き、支払い方法と超過時のルールを明確にしておくと労使トラブルを減らせます。

残業時間の計算単位(切り捨てや端数処理)の注意

概要

残業時間の計算単位(切り捨て・切り上げ・四捨五入)は給与に直結します。30分未満を切り捨てる、30分単位で計算するといった規定がある場合、実際の労働時間と給与明細を照合し、不利な端数処理が行われていないか確認してください。

よくあるパターンと具体例

  • 1分単位で計算:実労働をそのまま集計します。例)残業20分→20分支給
  • 15分単位:8分は切り捨て、8分超は15分に切り上げなど
  • 30分未満切り捨て:残業29分は0分扱い。例)実残業29分→賃金支給なし

注意点(確認すべきこと)

  • 実働記録(タイムカード、PCログ、日報)と給与明細を照合する
  • 端数処理のルールが就業規則・雇用契約書に明記されているか
  • 明記がある場合でも、実労働分を支払う原則に照らして不利すぎないかを確認する

実務的な対応手順

  1. 記録を一定期間(数カ月)集め、実残業時間の合計を計算する
  2. 給与明細の残業時間や支払い額と差がないか比較する
  3. 不適切な切り捨てが疑われる場合は、証拠(ログや日報)と計算表を用意して人事に相談する
  4. 社内で解決しない場合は、労働相談窓口や弁護士に相談する

最後に

端数処理は日々の差が積み重なり賃金差になります。小さな記録も大切に保管し、疑問があれば早めに確認してください。

その他の残業関連規定(深夜・休日・休憩)

概要

深夜労働(22:00〜翌5:00)や法定休日の労働にも割増賃金の義務があります。就業規則や賃金規程に明確に書き、計算方法や重複時の扱いも示します。

深夜労働(割増賃金)

  • 法定:22:00〜5:00は通常賃金の25%以上を割増します。例:基本時給1,000円なら深夜は1,250円以上となります。
  • 記載例:”深夜労働(22時〜5時)は基本賃金に対し25%の割増賃金を支払う。”
  • ポイント:深夜割増は時間外割増とは別扱いで、該当する時間に対して合算して支払います。

休日労働(法定休日)

  • 法定休日の労働は35%以上の割増が必要です。企業が定めた振替休日や代休の運用も規則で定めます。
  • 記載例:”法定休日に労働した場合は基本賃金の35%の割増を支払う。振替休日の取得方法を別途規程とする。”

割増の重複適用(具体例)

  • 時間外(25%)+深夜(25%)=合計50%増
  • 法定休日(35%)+深夜(25%)=合計60%増
  • 就業規則に重複時の計算方法を明記し、誤解を防ぎます。

休憩時間(法定の基準と就業規則の記載)

  • 労働時間が6時間を超える場合:少なくとも45分の休憩
  • 労働時間が8時間を超える場合:少なくとも1時間の休憩
  • 休憩は労働から自由な時間でなければなりません。休憩の分割や有給扱いの扱いも明記してください。

実務上の注意点

  • 就業規則に割増率と具体的計算例を載せるとトラブルが減ります。
  • 深夜や休日の勤務記録を確実に残し、賃金計算の根拠としてください。
  • 変形労働時間制や交代制勤務では休憩や割増の取り扱いが変わるため、規程で具体化してください。

(就業規則には具体的な数値と計算方法、事例を載せることをおすすめします。)

残業規定に関するトラブル・対応策

はじめに

就業規則の残業規定が不明確だと、従業員との誤解や未払賃金の問題につながります。ここではよくあるトラブルと対応策を、実務的に説明します。

よくあるトラブル

  • 残業計算方法が記載されていない、または不明確
  • みなし残業(固定残業代)の範囲が曖昧で追加支払いが発生
  • 勤怠記録が不十分で未払残業の指摘を受ける
  • 36協定の届出漏れや上限超過による行政指導

原因別の対応策

  • 規定が曖昧:具体的な計算式(法定労働時間の超過分を何で割るか等)や端数処理を明記します。
  • 未払残業の疑い:過去の勤怠データを精査し、必要なら遡及支払いを検討します。就業規則と給与規程を整合させます。
  • みなし残業の誤用:みなしの対象時間・金額と超過時の支払い方法を明確に示します。実態が異なる場合は見直しが必要です。
  • 36協定違反:届出内容の確認と、時間外労働の抑制策(業務配分見直し、採用・外注の検討)を講じます。

予防措置

  • 年1回以上の就業規則見直しと、改正法令のチェック
  • 労使での説明会や書面交付で周知徹底
  • 打刻やシステムによる勤怠管理の導入・監査
  • 労務相談窓口の設置

万が一の対応フロー

  1. 事実確認(勤怠・給与・契約書)
  2. 社内調査と関係者ヒアリング
  3. 必要な是正措置と遡及支払いの検討
  4. 社外専門家(社労士・弁護士)への相談
  5. 行政対応が必要な場合は速やかに報告

チェックリスト(簡易)

  • 残業の計算方法は明記されているか
  • みなし残業の範囲は具体的か
  • 36協定は最新で届出済みか
  • 勤怠記録は改ざんされていないか
  • 定期的な見直し・周知の記録があるか

各項目を点検し、問題を小さなうちに解消することが重要です。

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