源泉徴収票で確認！アルバイト103万以下の確定申告ポイント

はじめに

目的

この文書は、アルバイトの年収が103万円以下の場合に関する源泉徴収票と確定申告の扱いを分かりやすく説明するためのものです。初めての方でも理解できるように、手続きや確認ポイントを具体例で補足します。

この章でわかること

• 本書の構成と読み方
• なぜ「103万円の壁」が注目されるのか
• 源泉徴収票や確定申告がどう関係するかの概略

対象読者

学生やパート・アルバイトをしている方、扶養の条件を気にしている方、初めて確定申告を考える方に向けています。

読み方の注意点

専門用語はなるべく避け、必要な用語は具体例で補足します。各章ごとに手続きや注意点を丁寧に説明しますので、気になる章から順に読んでください。

源泉徴収票とは？アルバイトでも必ずもらえる重要書類

源泉徴収票の基本

源泉徴収票は、その年に勤務先から支払われた給与や、そこから天引きされた所得税の額が記載された書類です。正社員だけでなく、アルバイトやパートにも発行されます。雇い主は従業員に対して発行する義務があります。

アルバイトでも必ずもらえる理由

勤務先は、年の最後の給与を支払う際や退職したときに源泉徴収票を交付しなければなりません。たとえば、年末まで勤務したアルバイトでも、短期で辞めた場合でも発行されます。

記載されている主な内容（具体例で説明）

• 支払金額：その年に支払われた合計の給与額（交通費を除く場合などがある）
• 源泉徴収税額：天引きされた所得税の合計
• 社会保険料や雇用保険の控除額が記載されることもあります

いつ必要になるか

確定申告、年末調整、転職先での手続きなどで使います。たとえば、Wワークで年末調整を受けていない場合は確定申告に添付します。

受け取り方の注意点

年末に渡されない、退職後に届かないときは勤務先に確認してください。発行は勤務先の義務なので、早めに相談するとよいです。

年収103万円以下のアルバイトは所得税がかからない

概要

年収が103万円以下のアルバイトは、原則として所得税がかかりません。これは給与所得控除と基礎控除の合計で課税対象となる所得がゼロになるためです。世間でいう「103万円の壁」はこの仕組みに由来します。

なぜ税金がかからないのか（わかりやすい式）

計算は簡単です。
年収 − 給与所得控除 − 基礎控除 = 課税される所得
この結果が0以下になれば所得税は発生しません。給与所得控除は給与所得者の必要経費の見合い、基礎控除は誰にでも使える控除です。

掛け持ちアルバイトの場合

複数のアルバイトがあるときは、それぞれの給与を合算して判断します。たとえば、Aの仕事で60万円、Bの仕事で50万円なら合計110万円となり、103万円を超えるため課税の対象となり得ます。

ただし、住民税や社会保険の取り扱いは所得税と別のルールがありますので注意してください。将来の基準変更（例：令和7年分以降160万円になる予定）に関する情報は、現時点の扱いと区別して確認してください。

次章では、年収103万円以下でも源泉徴収が行われる場合について詳しく説明します。

103万円以下でも源泉徴収される場合がある

はじめに

年収が103万円以下でも、給与から所得税が天引きされていることがあります。源泉徴収票に記載された「源泉徴収税額」を必ず確認してください。ここでは主な原因と確認・対応方法を分かりやすく説明します。

源泉徴収が行われる代表的なケース

• 年の途中で退職した場合
• 年末調整を受けられず、その時点で徴収された税金が戻らないことがあります。
• 扶養控除等申告書を提出していない場合
• 申告書がないと会社は高めの税率で源泉徴収します（特に副業先など）。
• 掛け持ち（複数の勤務先）がある場合
• 主たる勤務先でない職場では多く徴収されることがあります。
• 月ごとの給与が一時的に高い場合
• 給与計算が月単位で行われ、結果的に税が差し引かれることがあります。

源泉徴収票の確認ポイント

• 「支払金額」と「源泉徴収税額」を見てください。源泉徴収税額が0でなければ、確定申告や還付の可能性があります。
• 勤務期間や扶養申告の有無もチェックしてください。

税金が引かれていたらどうするか

• 年間の合計が103万円以下で、税が引かれているなら還付を受けられることが多いです。まず源泉徴収票を集め、次章で説明する確定申告の手続き（還付申告）を検討してください。

例：アルバイトBさんは月収9万円を12か月で合計108万円に近いが、年途中での給与変動や扶養申告未提出で一部の月に源泉徴収が発生し、年末に税が記載されることがあります。

各項目は次章以降で具体的な手続きや必要書類とともに詳しく説明します。

103万円以下の場合の確定申告の必要性と還付申告

概要

年収103万円以下のアルバイトは、原則として所得税がかからないため確定申告は不要です。給与所得者で年末調整が適正に行われていれば、通常は申告の必要はありません。

還付申告が必要になる場合

給与から所得税が天引きされているときは、払い過ぎた税金を取り戻すために「還付申告」を行えます。たとえば年収が100万円であっても、月ごとの計算で源泉徴収がされていれば、年末調整がされず税金が残ることがあります。その場合、確定申告期間外でも過去5年分まで遡って還付申告できます。

具体例

月給8万円で年間96万円の例。毎月少額ずつ源泉徴収があり年間で5,000円天引きされていたとします。年収が103万円以下なら本来は税金は不要なので、この5,000円は還付対象です。

確認と準備

まず源泉徴収票や給与明細で「源泉徴収税額」を確認してください。0円なら申告不要、金額があれば税務署またはe-Taxで還付申告を検討します。添付書類や手続きは次章で詳しく説明します。

確定申告の手続きと必要書類

必要な書類

• 源泉徴収票（アルバイト先から受け取る）
• 確定申告書（国税庁の作成コーナー、税務署、ソフトで入手）
• マイナンバーカードまたは本人確認書類（運転免許証など）
• 還付金受取のための銀行口座情報（通帳やキャッシュカード）
• 各種控除の証明書（社会保険料、生命保険料、医療費は領収書など）

手続きの手順（簡単な流れ）

1. 書類をそろえる：源泉徴収票の「支払金額」「源泉徴収税額」を確認します。具体例：支払金額が200万円、源泉徴収税額が2万円なら、そのまま申告書に転記します。
2. 申告書を作成する：国税庁の「確定申告書作成コーナー」や申告ソフトを使うと転記ミスが減ります。第一表・第二表ともに漏れなく記入してください。
3. 控除を反映する：医療費控除や保険料控除がある場合は、証明書類を基に金額を記入します。

提出方法と添付書類

• e-Tax（マイナンバーカード方式やID・パスワード方式）でオンライン提出できます。手間が少なく還付も早いです。
• 税務署に持参または郵送する方法もあります。なお、源泉徴収票は申告書作成時に必要ですが、提出時の添付は原則不要です。念のためコピーは保管してください。

よくある注意点

• 転記ミスを防ぐため、源泉徴収票と申告書を見比べながら作成してください。
• 還付口座の名義は本人名と一致させると手続きがスムーズです。
• 期限内に提出すること。通常は年に一度の申告期間がありますので忘れずに行いましょう。

源泉徴収票をもらえない場合の対処法

最初にすべきこと

源泉徴収票は勤務先に発行義務があります。まずは担当部署（総務・人事・給与担当）に「源泉徴収票を受け取りたい」と明確に伝えましょう。口頭だけでなくメールや文書で依頼すると記録に残せます。

具体的な依頼方法（例）

• メール例：「源泉徴収票の発行をお願いします。郵送または電子データで受け取りたいです。送付先は○○です。」
• 伝える内容：氏名、社員番号（あれば）、勤務期間、送付先住所やメールアドレス。

退職後や年末調整を受けていない場合でも

退職した場合や年末調整を受けていない場合でも、会社は源泉徴収票を発行します。退職時に渡されなければ、退職後でも請求できます。郵送をお願いすれば対応してくれることが多いです。

発行されない場合の次の一手

直接頼んでも発行されないときは、税務署に相談してください。税務署は源泉徴収票の扱いについて助言をくれます。相手が明確に拒否する場合は、労働相談窓口や弁護士への相談も検討してください。

受け取った後に必ず確認すること

源泉徴収票の金額（支払金額・源泉徴収税額）と氏名・マイナンバーや住所が正しいか確認しましょう。誤りがあれば再発行を依頼し、必要なら還付申告や修正手続きを行ってください。

よくある疑問と注意点

源泉徴収票が複数ある場合

アルバイトを掛け持ちしていると、それぞれの職場から源泉徴収票が出ます。所得判定は各社分を合算して行います。たとえばA社で年収40万円、B社で70万円なら合計110万円として扱います。

年末調整は1社だけ

年末調整は原則1社でしか受けられません。掛け持ちのときは、主たる勤務先で年末調整を受け、副業分は確定申告で精算する必要が出ることがあります。

103万円を超えるとどうなるか

年間合計が103万円を超えると所得税が発生します。また、扶養控除の対象や社会保険・被扶養者の判定に影響する点に注意してください（社会保険の扱いは目安として約130万円など条件があるため、勤務先や保険者に確認してください）。

手続き上の注意点

• 源泉徴収票は必ず全て集める
• 税金が過払いなら確定申告で還付を受けられる
• 申告にはマイナンバーや銀行口座が必要
• 提出期限（通常は翌年3月中旬）を守る

疑問があれば、まず源泉徴収票を手元にして税務署や勤務先に相談してください。どの収入を合算するか、申告が必要かを具体的に確認できます。

まとめ：103万円以下のアルバイトは、源泉徴収票の内容次第で確定申告を検討しよう

重要なポイント

• 年収103万円以下で所得税が天引きされていなければ、原則として確定申告は不要です。
• 源泉徴収票に「源泉徴収税額（所得税額）」が記載されている場合は、還付申告で税金が戻る可能性があります。
• 源泉徴収票は必ず受け取り、内容を確認して保管してください。

具体的な確認方法（例）

• 源泉徴収票の「支払金額」が90万円、「源泉徴収税額」が5,000円なら、所得税が天引きされています。申告すれば還付を受けられることが多いです。

手続きの流れ（簡単）

1. 源泉徴収票を用意
2. 確定申告書を作成（税務署窓口かe-Tax）
3. 提出して還付を受ける

注意点

• 年の途中で複数の勤務先がある場合は合計収入で判断します。
• 源泉徴収票をもらえないときはまず勤務先に請求し、それでも解決しない場合は税務署に相談してください。

最後に

源泉徴収票を確認するだけで、申告の要否が分かります。少額でも税額が引かれているなら還付申告を検討し、早めに手続きを行ってください。