はじめに
この文書は、源泉徴収票について初めて知る方や、手元にない場合の対応を確認したい方に向けた案内です。
- 何が書かれた書類か:源泉徴収票の役割を分かりやすく説明します。
- いつ必要になるか:転職時、確定申告、各種手続きでの具体例を挙げます。
- 発行時期と再発行:発行のタイミングや、手元にない時の対処法を手順で示します。
以降の章で順を追って詳しく解説します。専門用語は極力減らし、実例を用いて丁寧に説明しますので、ご安心ください。
源泉徴収票とは何か
概要
源泉徴収票は、会社などが従業員に対して1年間に支払った給与や賞与、退職手当と、それに対して源泉徴収した所得税の額をまとめた書類です。年末調整が済んだ後に発行され、多くの場合は翌年1月31日までに交付されます。退職時は退職後1か月以内に交付されます。
主な記載事項
- 支払金額:1年間に支払われた総額(給与・賞与など)
- 源泉徴収税額:会社が差し引いた所得税の合計
- 社会保険料等の金額:会社負担や本人負担の合計が記載されることがある
- 所得控除に関する欄:配偶者控除や扶養控除などの情報
- 支払者の名称・所在地と受給者の氏名
日常での使い方(具体例)
- 税務署への確定申告や還付手続きに添付します。
- 住宅ローンや賃貸契約で収入証明として求められることがあります。
- 給与明細が月ごとの記録であるのに対し、源泉徴収票は1年分をまとめた証明書です。したがって、年度の収入を一目で確認できます。
見るときのポイント
支払金額と源泉徴収税額の欄をまず確認しましょう。控除の欄に誤りがあると税額に影響しますので、氏名やマイナンバー(記載がある場合)も併せて確認してください。
第3章: 源泉徴収票が必要になる主なタイミング
1. 転職・入社のとき
新しい職場で年末調整や給与の税額計算を正しく行うために、前職の源泉徴収票を提出します。たとえば、4月に転職した場合、1月〜3月の所得が記載された源泉徴収票を渡すことで、年間の税額が正しく調整されます。
2. 収入証明が必要なとき
住宅ローン申請や保育園の入園申し込み、健康保険の扶養手続きなどで前年の収入を証明する書類として求められます。金融機関や行政窓口は、源泉徴収票を基に収入の裏付けを取ります。
3. 確定申告や副業があるとき
副業で給与を受け取っている場合や、医療費控除・寄付金控除などを申請する際に、各収入の源泉徴収票が必要です。複数の雇用先がある場合は、それぞれの源泉徴収票を用意します。
4. 退職時・失業給付・転職活動
退職後に失業給付を申請する際や、次の職場への提出、転職先が雇用保険などの手続きをする際に使います。退職時に必ず受け取り、紛失しないよう保管してください。
5. アルバイト・派遣のケース
短期間のアルバイトや派遣でも給与が支払われていれば、年末に源泉徴収票が発行されます。学生や副業者も提出が必要な場面がありますので、受け取ったら保管しましょう。
源泉徴収票が必要な理由と注意点
利用される場面と必要な理由
源泉徴収票は給与や報酬の支払い・税額・控除の公式な記録です。例えば、確定申告、住宅ローンの審査、社会保険の手続き、転職先での年末調整などで提示を求められます。これにより、所得の裏付けや税金の過不足が明確になります。
会社側の発行義務
会社は法令に基づき源泉徴収票を交付する義務があります。従業員は請求すれば再発行を依頼できます。具体例として、年明けに前年分の源泉徴収票が交付されるのが一般的です。
紛失・未交付時の対応と注意点
紛失した場合はまず勤務先の総務や給与担当に連絡してください。会社が発行できないときは税務署に相談することも可能です。交付が遅れる・されない場合は早めに問い合わせを行い、いつまでに対応するかを確認してください。
記載内容を確認するポイント
- 氏名・マイナンバー(必要時)の一致
- 支払金額や社会保険等の控除額
- 源泉徴収税額が記載されているか
誤りがあれば速やかに訂正を依頼しましょう。
実務上の一言アドバイス
転職や融資申請の前には手元にあるか確認し、紛失時は早めに再発行を依頼してください。会社が対応しない場合は税務署へ相談するとよいです。
源泉徴収票の発行時期
発行の基本時期
源泉徴収票は、年末調整が終わった後に会社が作成します。原則として翌年の1月31日までに交付されます。たとえば、2024年分の給与については、2025年1月31日までに受け取れます。
年の途中で入退社した場合
年の途中で退職した場合、退職後1か月以内に源泉徴収票を交付する義務があります。入社してその年のうちに勤務を続けている場合は、年末調整の対象となり、翌年1月31日までの交付になります。
電子交付と紙での請求
会社は電子交付で渡すことができます。電子交付を行う際は、受け取る人の同意や一定の要件が必要です。紙でほしい場合は、会社に請求すれば紙の源泉徴収票を発行してくれます。
届かないときの対応
期限を過ぎても届かないときは、まず人事・給与担当に問い合わせてください。退職後の1か月以内に届かない場合も同様です。どうしても解決しないときは、最寄りの税務署に相談するのが有効です。
手元にない場合の対応
源泉徴収票を紛失しても、会社に再発行を依頼できます。退職後でも可能ですから、必要になったら早めに手続きを行いましょう。
再発行を依頼する手順
- まず、勤務していた会社の経理・人事・総務の窓口に連絡します。連絡手段は電話・メール・窓口いずれでも構いません。メールは記録が残るため便利です。
- 依頼を受けた担当者が再発行手続きを行い、郵送または手渡し、電子交付で渡してくれます。
依頼時に伝える情報(用意すると早い)
- 氏名(旧姓がある場合は旧姓も)
- 社員番号や在籍期間
- 必要な年の明記(例:2024年分)
- 送付先住所・連絡先(メールアドレスや電話番号)
- 本人確認書類のコピーを求められることがあります
発行までの目安と注意点
- 通常、数日から1週間程度で発行されます。繁忙期や年末調整時期はもう少し時間がかかることがあります。
- 発行に費用がかかる会社は少ないですが、念のため確認してください。
再発行できない場合の対応
- 会社が既に存在しない、連絡が取れない場合は最寄りの税務署に相談してください。給与明細や銀行振込の記録を代わりの証拠として使える可能性があります。
- 確定申告の期限が迫っているときは、税務署に事情を説明して指示を仰いでください。
上記を参考に、早めに依頼しておくと安心です。
源泉徴収票が不要なケース
概要
個人事業主やフリーランスが得る事業所得には、原則として源泉徴収票を発行する義務がありません。家事使用人のみを雇っている場合や、給与の支払いが一切ない場合も不要です。
個人事業主・フリーランスの場合
個人で事業を行い、報酬が事業所得として扱われるときは、源泉徴収票は発行されません。たとえば、個人で経理・デザイン・ライティングの仕事を請け負い、請求書で報酬を受け取るケースです。この場合は契約書や請求書、領収書などで収入を記録します。
家事使用人のみを雇っている場合
家事使用人(家政婦や家事代行など)だけを雇用しており、一般の従業員に対して給与を支払っていなければ、源泉徴収票は不要です。雇用形態や支払い方法によっては、別の手続きが必要になることがあります。
給与支払いがない場合
給与や賞与などの支払いがなければ、源泉徴収票を発行する必要はありません。たとえば、ボランティアに対する謝礼が非常に少額で、給与とみなされない場合などです。
注意点
源泉徴収票が不要でも、収入や支払いを証明する書類は残しておきましょう。確定申告や各種手続きで求められることがあります。疑問があるときは、税務署や専門家に相談すると安心です。
まとめ
源泉徴収票が必要となる主な場面は転職時、収入証明が必要なとき、確定申告のときです。給与所得者は原則として毎年1枚受け取る書類ですので、紛失しないよう大切に保管してください。
ポイントは次の通りです。
- 受け取りと保管:受け取ったら中身を確認し、コピーをとって安全な場所に保管します。紙だけでなくスキャンしてデジタル保管する方法も便利です。
- 再発行の対応:手元にない場合は速やかに勤務先に再発行を依頼します。身分証明書や本人確認情報を求められることがあるため準備します。
- 提出時の注意:提出先の指定がある場合は、原本が必要かコピーでよいかを確認してください。手続きが間に合わないと不利益が出ることがあるので余裕をもって準備します。
源泉徴収票は収入を証明する重要な書類です。必要になった際は早めに確認・依頼して、各種手続きに支障が出ないようにしましょう。


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