年金手帳と入社時に知っておきたい重要な手続きのポイント

2025 11/05

はじめに

概要

本章では、本記事の目的と読み方をやさしく説明します。2022年4月以降に変わった年金手帳制度を踏まえ、入社時の年金手帳や基礎年金番号通知書の取り扱い、提出の必要性、紛失時の対応、マイナンバー活用など実務で重要な点をわかりやすく整理します。

本記事の目的

企業の人事・総務担当者や入社手続きを行う方が、最新の制度に沿った実務フローを正しく理解できるようにします。具体例を交え、現場で困らないためのポイントを示します。

対象読者

人事・総務担当者
新しく入社手続きを行う方
年金手続きに不安のある管理職や担当者

本章の読み方

まずは本章で全体像をつかんでください。続く章では制度の背景、必要書類、提出場面、DXやマイナンバーの扱い、よくあるQ&Aを順に解説します。各章は実務で使えるチェックリスト形式でも整理しています。安心して読み進めてください。

注意点

本記事は制度変更を踏まえた実務の整理が目的です。個別の事例や法的判断が必要な場合は、所轄の年金事務所や専門家に相談してください。

年金手帳の役割と制度変更の背景

年金手帳の基本的な役割

年金手帳はこれまで公的年金の加入を示す冊子として使われてきました。基礎年金番号や氏名、加入履歴が記載され、事業所の手続きや年金相談で提示を求められることがありました。たとえば入社時に番号の確認が必要な場合、手帳を見せることでスムーズに手続きが進みました。

制度変更の背景と目的

2022年4月から新規発行が中止され、代わりに基礎年金番号通知書が交付されるようになりました。この変更は行政手続きの効率化と、マイナンバーによる情報の一元管理を進めるためです。紙の冊子を全員に配る負担を減らし、番号管理を統一する狙いがあります。

具体的な影響と利用者の対応

既に持っている年金手帳は引き続き有効です。新たに番号が必要な人には通知書が発行されます。実務では、事業所が提示を求める書類が変わることがあるため、通知書や番号を大切に保管してください。紛失時は日本年金機構に再発行の方法を確認するとよいです。

入社時の年金手帳・基礎年金番号通知書の必要性

概要

2022年4月以降、原則としてマイナンバー（個人番号）を提出すれば、年金手帳や基礎年金番号通知書を別途提出する必要はありません。会社はマイナンバーから基礎年金番号を確認できるため、手続きが簡略化されています。とはいえ、個別の確認が必要な場合は提出を求められることがあります。

マイナンバー提出で済む場合と例外

通常はマイナンバーカードまたは通知カードの写しで年金番号の扱いが完了します。
例外として、基礎年金番号の漢字氏名の確認や過去加入履歴の照合が必要な場合、年金手帳や基礎年金番号通知書の提示を求められることがあります。

20歳未満で就職する場合

20歳未満で初めて就職する場合は、基礎年金番号通知書が発行されることがあります。発行された通知書は手続きで使うため、入社時に提出を求められることが多いです。未発行の場合は、市区町村や年金事務所に相談すると取得方法を案内してくれます。

実務的な準備と注意点

入社書類には「マイナンバーの提出をもって年金情報の確認とする」と明記されることが多いです。企業から別途要求があれば速やかに対応してください。
年金手帳を紛失した場合は、基礎年金番号通知書や市区町村・年金事務所での再発行手続きを案内します。必要な場合は本人確認書類を準備してください。
海外在住歴や改姓などで情報が複雑な方は、事前に年金事務所へ確認しておくと入社手続きがスムーズになります。

入社時の提出物は会社によって若干異なります。まずは人事担当に現在の扱いを確認し、マイナンバーの提出と必要書類の準備をしておくと安心です。

入社手続きの実務フローと注意点

1. 入社案内での明記

採用通知や入社案内書に「年金手帳または基礎年金番号通知書、マイナンバーの提出」を明確に記載します。提出期限と提出方法（持参・郵送・オンライン）を分かりやすく示します。

2. 受け取りと確認の実務フロー（主な手順）

入社初日に本人確認と書類提出を依頼します。
受領担当が書類の原本を確認し、必要箇所を写し取ります。
内容を社内の雇用管理システムに登録します。
ナンバー類は暗号化した場所で保管し、アクセス権を限定します。

3. 提出がない・紛失時の対応

社員が年金手帳等を持参していない場合、会社は日本年金機構へ照会できます。本人が紛失した場合は最寄りの年金事務所で再発行手続きを行います。多くの場合、マイナンバーがあれば照会で手続きが完了します。

4. マイナンバー取り扱いの注意点

マイナンバーは厳格な管理が必要です。収集前に目的を明示して同意を得てください。電子保存時は暗号化、紙は施錠保管し、保存期間終了後は適切に廃棄します。

5. その他の実務上の留意点

派遣や短期雇用、外国人雇用では提出書類が異なる場合があります。人事は例外対応の手順を準備し、社員に丁寧に案内してください。

年金手帳・基礎年金番号通知書の提出が求められる主な場面

概要

入社時の社会保険手続きや転職時の処理、年金受給手続きなどで年金手帳や基礎年金番号通知書の提出を求められます。ここでは具体的な場面ごとに、誰が何を提出するか、注意点をわかりやすく説明します。

1. 入社時（最も一般的な場面）

会社は健康保険や厚生年金の加入手続きで基礎年金番号を確認します。本人が年金手帳や通知書を提出します。持参が難しい場合は番号が記載された書類や本人確認書類で対応できることがあります。

2. 転職時

原則として新しい勤務先へ提出します。離職期間が短く前職の被保険者資格が継続している場合は、会社間で情報をやり取りするだけで足りることがあります。

3. 年金受給・給付請求時

年金の請求、各種給付の手続きで基礎年金番号が必要です。年金事務所や年金機構へ提出します。手続きがオンラインで完結できない場合は原本の提示を求められることがあります。

4. 氏名・住所変更や再発行など

氏名や住所を変更する際、または年金手帳を紛失した際の再発行手続きでも提出や確認が必要です。紛失時は再発行手続きの方法を早めに確認してください。

注意点（短い補足）

・提出は本人が行うのが基本ですが、会社が代行するケースもあります。
・番号の確認ができれば原本でなく写しや別書類で済む場合があります。

年金手帳の種類・基礎年金番号通知書との違い

概要

年金手帳は2022年3月までに発行された冊子型の証明書です。2022年4月以降は同じ役割を持つ「基礎年金番号通知書」が発行されます。どちらも氏名や基礎年金番号、年金記録に関する情報を示しますが、扱い方に違いがあります。

年金手帳（従来の冊子）の特徴

発行期間：原則として2022年3月までに交付されたもの。
記載内容：氏名、基礎年金番号、年金加入記録などの記入欄が冊子にあります。
再発行：紛失した場合、原則として再発行できません。手元にない場合は年金番号の確認手続きを行う必要があります。

基礎年金番号通知書（現在）の特徴

発行開始：2022年4月以降に交付される様式です。
記載内容：氏名と基礎年金番号が記載され、必要な情報は通知書で確認できます。
再発行：紛失した場合、最寄りの年金事務所で再発行（番号の確認書類の交付）を受けられます。

実務上の違いと注意点

会社の入社手続きでは、どちらでも基礎年金番号の提示で問題ありません。古い年金手帳がある場合は番号確認の証拠になります。
年金手帳は再発行不可なので紛失時は早めに年金事務所で番号確認をしてください。通知書は再発行できるため、再入手が比較的容易です。
原本は重要情報を含むため、会社での取り扱いや社員の保管方法を定めておくと安心です。

DX化・マイナンバー利用の進展

概要

マイナンバーの利用拡大により、年金関連手続きのDX化が進んでいます。企業は紙の年金手帳や郵送に頼らず、オンラインで基礎年金番号や資格取得・喪失の手続きを行える場面が増えました。これにより入社手続きの所要時間が短縮します。

企業側のメリット

手続きの自動化でヒューマンエラーを減らせます。例：社員情報とマイナンバーを紐づけ、社会保険の資格取得届をシステムで自動作成・送信します。
進捗管理がしやすくなり、入社から各種手続き完了までの見える化が可能です。

個人情報・セキュリティの配慮

マイナンバーは特に厳重に管理する必要があります。アクセス権限の設定、暗号化、ログ記録、廃棄ルールの整備を行ってください。従業員には収集目的と管理方法を明確に説明しましょう。

実務上のポイント

導入前に現行フローを整理し、どこを自動化するかを決めます。
外部システムと連携する場合はAPI仕様や認証方式を確認します。
マイナンバーカードを持たない人への代替手続きも用意します。

導入後の運用と教育

システム導入後は定期的に運用状況を見直し、担当者へ研修を行ってください。トラブル時の対応手順をマニュアル化しておくと安心です。

よくあるQ＆A

Q1: 入社時に年金手帳は必須ですか？
A: 原則として年金手帳そのものは不要です。ただし、基礎年金番号や本人確認のために番号を確認されることがあります。番号が分かれば手続きは進みます。
Q2: 年金手帳を持っていません。どうすればいいですか？
A: 新卒や転職で手元にない場合は、基礎年金番号通知書やマイナンバーで対応できます。どちらもないときは、会社が日本年金機構に照会して番号を確認します。
Q3: マイナンバーで代用できますか？
A: マイナンバーがあれば本人確認や手続きに使えます。ただし、基礎年金番号の提示を求められたときは、番号の確認を会社に依頼してください。
Q4: 基礎年金番号が分からないと給与計算や年金に影響しますか？
A: すぐに手続きが止まることは少ないですが、早めに番号を確認してください。会社が照会すれば通常は問題なく処理できます。
Q5: 紛失時の手続きは？
A: 再発行の手続きや会社を通した照会が可能です。再発行には本人確認書類が必要になります。
Q6: 個人情報の扱いが心配です。どう管理されますか？
A: 会社は個人情報保護の規程に基づいて管理します。不安があれば、誰がどの目的で利用するかを確認してください。

必要な場合は、会社の総務や人事に早めに相談してください。

まとめ・実務のポイント

入社手続きにおける年金関係書類のポイントを簡潔にまとめます。2022年4月以降、原則として年金手帳の提出は不要で、マイナンバーで手続きできます。紛失時は年金事務所で「基礎年金番号通知書」を再発行してもらえます。

実務チェックリスト：

まずは会社の指示を確認する。企業ごとに運用が残る場合があります。したがって、求められた書類は速やかに準備してください。
紛失時の対応：年金事務所に申請し、本人確認書類を用意して再発行を受け取ります。発行後は写しを会社に提出します。
マイナンバー提出：マイナンバーカードや通知カードで番号を確認します。コピーは厳重に管理し、不要になれば速やかに廃棄してください。
個人情報の管理：原本は本人が保管し、会社へ提出する際は提出物の扱いを確認します。
役所連絡と記録：手続き日時、受領書、問い合わせ内容は記録して保管し、雇用中に番号に変更が出たら速やかに会社へ伝えます。

制度移行期のため、人事担当と連携して対応してください。不明点は年金事務所や社会保険労務士に相談すると安心です。