はじめに
本記事の目的
本記事は、退職届に記載する「辞める日(退職日)」の正しい書き方や決め方、注意点を分かりやすく解説します。退職届に必要な日付の種類や、法律や就業規則に基づくルール、会社とのやりとりで気を付けるべき点まで網羅します。初めて退職手続きをする人にも読みやすいように具体例を交えて説明します。
誰に向けた記事か
- 退職を検討している社員
- 退職届を書く必要がある人
- 会社との日程調整で迷っている人
簡単に準備できるチェックリストも紹介します。
本記事で得られること
- 退職届に書くべき日付の種類が分かる
- 退職日の決め方の基本と注意点が分かる
- トラブルを避けるための実務的ポイントを知る
読み方の目安
各章は独立して読めます。まずは第2章で『退職届に書くべき2つの日付』を確認すると全体がつかみやすくなります。必要に応じて就業規則や労働契約書も手元にご用意ください。
退職届に書くべき2つの日付とは
1)退職日(実際に辞める日)
退職日は雇用契約が終わる日です。給料計算や社会保険の資格喪失日になるため、非常に重要です。例えば「退職日:2025年7月31日」のように明記します。最終出社日と同じ日になる場合が多いですが、ケースによって最終出社日が前後することもあります。
2)退職届提出日(書類を出した日)
退職届提出日は、退職届を会社に渡した日です。通常は退職日より前になります。提出日を明記することで、会社が後から一方的に退職日の変更を主張するリスクを減らせます。
なぜ両方必要か
両方を書けば、いつ辞めるつもりだったか、いつ意思表示したかが明確になります。給与・保険の手続きに関わる基準日と、意思表示の証拠が分かれるため、トラブル防止に役立ちます。
書き方のポイントと実例
- 日付は西暦または和暦で統一する(例:2025年7月31日)
- 提出方法と受領の証拠を残す(直渡しで受領印をもらう、メールで送付して送信済み画面を保存、あるいは内容証明郵便)
- 提出日と退職日が同じ場合は、その旨を明確に記載する
これらを丁寧に記しておけば、後々の誤解や争いを避けやすくなります。
退職日(辞める日)の決め方とルール
概要
退職日は本人と会社(上司)が相談して決めます。民法では正社員は「2週間前の申し出」で退職できますが、職場ルールで短期では対応できないことがあります。業務引き継ぎや繁忙期を考え、早めに相談するのが現実的です。
民法上の最低ライン
民法は最短で2週間前の申告を認めます。急な事情で早く辞めたい場合はこの規定を根拠にできますが、引き継ぎや欠員対応で職場に負担がかかります。
就業規則と会社のルール
多くの会社は就業規則に「1ヶ月前」など期間を定めます。会社のルールが短くとも民法の基準を下回ることはできません。ルールが長ければ、それに従う必要があります。
相談のタイミング(目安)
実務では1〜3ヶ月前に上司へ相談・申し出するのが望ましいです。理由は引き継ぎ準備、残業調整、募集と採用のスケジュールを確保するためです。
決め方の手順(実践)
1) 就業規則を確認する。2) 上司に口頭で相談し、候補日を複数用意する。3) 退職届に確定日を記載して提出する。4) 引き継ぎ計画を作成する。
注意点
部署の繁忙期やプロジェクト納期は考慮しましょう。会社と日程で折り合いがつかない場合は、書面でやり取りを残すとトラブル防止になります。
退職届における日付の正しい書き方
文中で退職日を明記する
退職届には「退職いたします」とするだけでなく、必ず具体的な退職日を書きます。例:「このたび、一身上の都合により、2025年3月31日をもって退職いたします。」といった書き方が一般的です。
提出日(作成日)は文末に記載する
書類の最後に提出日(作成日)を記載します。提出日と退職日を混同しないよう、退職日が本文、提出日が末尾に来るレイアウトにしてください。
日付の書き方の例
- 本文:2025年3月31日をもって退職いたします。
- 末尾:2025年2月28日(提出日)
注意点
退職日を書かないと、会社側が退職時期を決める余地が生じます。期日を明確にすることでトラブルを防げます。
署名・印の位置
提出日と氏名の下に署名または自署、必要なら実印や認印を押します。日付と署名の位置が分かれていると書類として明瞭になります。
退職日を記載する重要性とトラブル防止
なぜ退職日を明記するべきか
退職届に退職日を明確に書く理由は主に二つあります。ひとつは、会社側が一方的に退職日を変更したり、退職時期を引き延ばしたりすることを防ぐためです。もうひとつは、給与未払い・離職票の日付ミスなどトラブルが起きたときに、あなたの主張を裏付ける証拠になるためです。
よくあるトラブル例
- 引き継ぎが終わるまで退職できないと言われ、想定より長く働かされた
- 最終給与や退職金の支払い日がずれて未払いが発生した
- 離職票の日付が誤って作成され、失業給付に影響した
トラブルを防ぐための具体策
- 退職届には「提出日」と「退職希望日(最終出社日)」を明記する
- 提出は対面で手渡しし、受領印やメールの受領返信をもらう
- コピーを保管し、写真やスキャンで記録しておく
- 会社が頑なな場合は内容証明郵便で提出する方法もあります
争いになったときの対応
まずは記録を整理し、労働局や労働基準監督署に相談してください。必要なら労働相談窓口や弁護士に相談すると解決が早まります。明確な日付があれば、解決に有利になります。
会社が退職日を決めることはできるのか
結論
会社が一方的に退職日を決めることは原則として認められません。労働者が退職の意思を示せば、民法により申し出から2週間で退職できます。労働者の意思が尊重される点をまず押さえてください。
法的な立場(民法の規定)
民法では期間の定めのない雇用契約を当事者が解除する場合、通常は2週間後に効力が生じます。企業側が「あなたは○月○日で辞めてください」と一方的に決めることは原則として無効です。ただし、労働契約や労使間の合意で別段の定めがあればその内容が優先されます。
就業規則や就業約款の影響
就業規則に「退職の意思表示は1か月前までに行う」と明記されていることがあります。これは会社の運営上のルールであり、守るべきケースが多いです。したがって、就業規則がある場合は会社と話し合い、合意を得る努力が必要です。
会社から退職日を指定されたときの対処法
- まず書面やメールで理由と希望日を確認してください。2. 合意できない場合は労働基準監督署や労働相談窓口に相談しましょう。3. 引継ぎや有給消化、残業代などの実務面も忘れずに確認してください。
実務的な注意点
- 退職日は労使の合意で決めるのが望ましいです。- 会社が業務上の理由で希望日を変えるよう依頼することはあります。柔軟に交渉すると円満解決につながります。- トラブルが深刻なら第三者機関に相談を検討してください。
(この章は就業規則や個別契約によって変わるため、具体的なケースは専門家に相談してください。)
「最終出社日」と「退職日」の違い
意味の違い
最終出社日:実際に会社に出勤して業務や引き継ぎをする最後の日です。出勤簿やタイムカードで確認します。
退職日:雇用契約が正式に終了する日です。社会保険や雇用保険、給与計算の基準になります。
日付が異なる代表例
有給をすべて消化する場合、最終出社日が退職日より前になります。逆に欠勤扱いで最終出社日が遅れることもあります。
退職届にはどちらを書くか
退職届には必ず退職日(契約終了日)を明確に記載します。最終出社日は別メールや引継書で合意しておくと誤解を防げます。
実務上の注意点(チェックリスト)
- 人事に退職日と最終出社日の扱いを確認する
- 有給消化や給与の最終支給日を確認する
- 書面で合意を得てコピーを保管する
この違いを明確にしておくと、手続きやトラブルを防げます。
実際のスケジュール例と注意点
一般的な流れ(例)
- 1~3か月前:上司に口頭で退職の意思を伝える。業務の繁忙や引き継ぎの長さを確認します。
- 1か月~2週間前:退職届を提出し、退職日を正式決定します。会社規程の猶予期間がないか確認してください。
- 最終出社前:引き継ぎ資料を作成し、後任やチームと引き継ぎを行います。最終出社日を調整します。
- 退職日:離職手続きや貸与物の返却、雇用保険や健康保険の案内を受けます。
具体的な日付例
- 例1(1か月前通知):6月30日退職→5月30日ごろ上司に意思表明→6月1日退職届提出→6月下旬に引き継ぎ完了
- 例2(2週間調整):3月31日退職→3月10日退職届提出→3月15~29日で引き継ぎや最終出社
注意点
- 提出時期は会社規程と労働契約を優先してください。口頭だけで終わらせず、書面で残すとトラブルを防げます。
- 有給消化や引き継ぎ期間は早めに相談しましょう。急な変更は業務に支障を与えるため避けます。
- 会社が退職日を調整する場合もあるので、連絡はこまめに行い意思疎通を保ってください。
円満退社のために、上司・人事と相談しながら計画的に進めることをおすすめします。


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