はじめに
目的
病気を理由に退職を考えるとき、どう伝えれば良いか悩む方は少なくありません。本記事は、退職届の書き方や提出時の注意点、例文や必要な手続きを分かりやすくまとめることを目的としています。
この章で得られること
・記事全体の流れが分かります。
・病名公開の有無や診断書の扱いなど、後の章で詳しく扱うテーマを確認できます。
想定する読者
・病気や体調不良を理由に退職を検討している方。
・職場への伝え方や書類作成に不安がある方。
本記事の特徴と注意点
具体例を交え、専門用語をできるだけ避けて説明します。個別の法的判断や医療アドバイスが必要な場合は、医師や労働相談窓口に相談することをおすすめします。後の章で順を追って丁寧に説明しますので、まずは全体像をつかんでください。
病気を理由に退職する場合の基本
退職届は正式な書類です
退職届は口頭での申し出とは別に、会社に提出する正式な書類です。病気を理由に退職する場合でも、基本的には書面で提出します。会社の規定に従って手続きを進めることで、後のトラブルを防げます。
退職理由の書き方
一般的には「一身上の都合」と記載するのが無難です。具体的に「体調不良のため退職します」と書いても問題ありません。短く簡潔に理由を示すと、読み手に分かりやすく伝わります。
病名や症状の扱い
病名や詳しい症状は記載の義務はありません。個人情報やプライバシーを守るために、あえて病名を伏せる選択肢は十分あります。心配な場合は、会社と相談して情報の範囲を決めましょう。
診断書の有無
診断書を添えると会社の理解が得やすく、手続きもスムーズになります。診断書がなくても退職自体は可能ですが、休職や労災、各種手当の申請を考えるなら診断書を用意すると安心です。
会社とのコミュニケーション
退職の理由を伝える際は、感情的にならず事実を丁寧に伝えます。上司や人事には早めに相談し、引き継ぎや最終出社日などを調整すると円滑に進みます。
手続きの流れ(簡単)
- 上司へ相談
- 退職届の作成・提出
- 必要に応じて診断書の提出
- 引き継ぎと最終調整
以上が、病気を理由に退職する際の基本的な考え方と流れです。
退職届の書き方と例文
基本の構成
退職届は簡潔が基本です。日付・氏名・宛先・退職の意思表示・退職日・感謝の言葉を記載します。例:
例文(簡潔)
株式会社○○ 人事部 御中
私、○○は、一身上の都合により、○年○月○日をもって退職いたします。
○年○月○日
氏名:○○
例文(症状を少し詳しく)
株式会社○○ 人事部 御中
体調が一向に回復せず、医師から治療に専念するよう勧められたため、○年○月○日をもって退職いたします。勤務中はお世話になりました。感謝申し上げます。
○年○月○日
氏名:○○
精神的な不調の場合の表現
「心身のバランスを崩したため」や「適応障害のため」など、病名を書いても構いません。ただし会社を責める表現は避け、事実と今後の意向を中心に伝えます。
英語での記載例
Date, Name, Company
I hereby resign from my position effective [date] due to health reasons. Thank you for the support during my employment.
記載時のポイント
- 簡潔に事実を述べる
- 診断名を書くかどうかは任意
- 非難・責任転嫁の言葉を使わない
- 必要なら医師の意見書を用意する
提出方法とタイミング
提出の基本
退職の意思は、原則として退職希望日の2週間以上前に伝えるのが一般的です。会社の就業規則に特別な規定がある場合は、その規定に従ってください。口頭で伝えると誤解が生じやすいので、退職届を作成して提出すると確実です。
病気などやむを得ない事情がある場合
急な病気や通院などで出社できないときは、即日や短期間での退職が認められることがあります。医師の診断書や病院の領収書があると手続きがスムーズです。出社が難しい場合は、メールで退職届を送付し、届いた証拠(送信履歴)を残してください。
提出先と方法
退職届はまず直属の上司に提出し、その後人事部に回す流れが一般的です。上司に直接渡せない場合は人事部へメールで送っても差し支えありません。郵送する場合は配達記録の残る方法を利用してください。
引き継ぎと在職中の対応
可能な範囲で業務の引き継ぎを行ってください。引き継ぎが難しい場合は、重要な業務のポイントを書面化して共有すると助かります。急な退職でも、誠意を示すことで職場との関係が円滑になります。
提出後の確認事項
退職届を出したら、受領書やメールの返信をもらい、退職日や最終出勤日、有給消化の扱いなどを確認してください。証拠を残しておくことで後のトラブルを避けられます。
注意点とアドバイス
以下は、病気を理由に退職する際に知っておきたい注意点と実践的なアドバイスです。
1) 病名・症状の開示は任意
病名や詳しい症状を伝えるかどうかは本人の自由です。どうしても伝えたくない場合は「一身上の都合」で十分です。一方で、理由を伝えると職場の理解や配慮が得られることがあります。開示の範囲は自分で決め、無理に詳細を話す必要はありません。
2) 診断書の提出について
診断書は必須ではありませんが、提出すると会社側が状況を理解しやすくなります。休職や傷病手当金などの手続きが関係する場合は、医師の証明が必要になることがあります。診断書を出すかどうかは、事前に人事窓口に相談して判断してください。
3) 会社からの質問への対応
詳細を聞かれたときは、誠実に、そして簡潔に答えましょう。プライバシーに踏み込まれると感じたら、「差し支えがあるため詳しくは控えさせてください」と丁寧に伝えて構いません。対話は冷静に行い、感情的にならないよう心がけてください。
4) 円満退職のための一言
退職理由が病気でも、感謝の気持ちを添えると印象が良くなります。短くても「これまでお世話になりました。感謝しております。」と伝えると関係が保ちやすくなります。
5) 書面は記録として残る
退職届ややり取りは記録として残ります。言い回しは丁寧に、事実に沿って作成してください。後で確認が必要になったときに困らないよう、コピーを手元に保管しましょう。
6) 想定問答の準備
想定される質問と回答を事前に用意すると安心です。例:休職の可能性、引き継ぎの予定、通院の有無など。必要以上の情報は出さず、要点をまとめて答えられるようにしておきましょう。
必要があれば、具体的な例文や想定問答のテンプレートも作成します。遠慮なくお申し付けください。
参考例文
日本語例文(体調不良の場合)
私儀、このたび一身上の都合により、令和〇年〇月△日をもって退職いたします。体調が回復せず、医師から治療に専念するようすすめられたことから、退職を決意いたしました。何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
日本語:短めの例
このたび一身上の都合により、令和〇年〇月△日をもって退職いたします。長年お世話になり、心より感謝申し上げます。
書き換えのポイント(日本語)
- 日付は「最終出勤日」を明確に記載してください。\n- 体調については簡潔に触れ、詳しい病状は提出時に口頭で説明するか医師の診断書を添付してください。\n- 感謝の言葉を一言添えると印象が良くなります。
英語例文(Illnessによる退職の場合)
Dear [Supervisor’s Name],
I am writing to formally resign from my position at [Company Name], effective [Last Working Day]. Due to ongoing health issues, I am unable to continue performing my duties. I appreciate the opportunities I have had at the company and thank you for your understanding.
英語:フォーマルな例
Dear [Supervisor’s Name],
Please accept this letter as formal notice of my resignation from my position at [Company Name], effective [Last Working Day]. I regret to inform you that, due to medical reasons, I must step down to focus on treatment and recovery. Thank you for your support and the opportunities I have received during my tenure.
注意点
- 書面は控えを残してください。\n- 必要に応じて医師の診断書を準備してください。\n- 退職手続きや有給の扱いは人事部に確認すると安心です。
まとめ
病気を理由に退職する場合、退職届に病名や症状を詳しく書く義務はありません。プライバシーを守りつつ、必要に応じて診断書を添付すると円満に進みやすいです。提出方法やタイミングは体調や職場の状況に合わせて柔軟に決めてください。体調が許すなら引き継ぎを簡潔に行うと印象が良くなります。会社への感謝を伝えることが今後の関係維持につながります。
実務的なチェックリスト
– 退職の意思を上司に直接伝えるか書面で通知する
– 診断書があるならコピーを準備する
– 引き継ぎの要点をまとめて共有する(簡潔で構いません)
– 退職日や有給、給与の扱いを確認する
– 会社からの書類は受領証をもらう
体調を最優先に、無理のない範囲で対応してください。必要なら医師や専門家にも相談しましょう。円満退職のためには、誠意ある説明と感謝の一言が大きな助けになります。


コメント