はじめに
本記事の目的
この記事は、会社側が退職者からの離職票再発行依頼にどのように対応すべきかを分かりやすく解説します。離職票の基礎知識、会社の責任と手続きの流れ、必要書類、よくあるトラブルと対処法まで順を追って説明します。
離職票とは何か
離職票は、雇用保険の手続きで使う重要な書類です。失業給付や再就職手続きで必要になります。例えば、引っ越しや書類整理の際に紛失するケースがよくあります。
なぜ会社の対応が重要か
会社は退職時に離職票を作成・交付する義務があります。退職者が紛失した場合、再発行の依頼が来ることがあります。本記事は会社が速やかかつ適切に対応するための実務的な手順と注意点を示します。
本記事の構成
次章以降で、再発行の法的な位置づけ、会社と退職者それぞれの手続き、会社が対応しない場合の対処法などを具体的に解説します。
離職票再発行の概要と会社側の責任
離職票の役割
離職票は退職者が失業給付を受ける際などに必要な公的書類です。紛失すると給付手続きが進められないため、重要度が高い書類です。
会社の責任
退職者から再発行の依頼を受けた場合、会社は対応する義務があります。対応を拒んだり放置したりすると、退職者が不利益を被ります。具体的には、会社はハローワークへ必要書類を提出して再発行手続きを行います。
再発行の手続き概要
会社は「雇用保険被保険者離職票再交付申請書」をハローワークに提出します。通常、会社が署名・押印して提出することで手続きが完了します。提出後、ハローワークで確認が済めば離職票が再交付されます。
実務上のポイント
申請には本人確認や退職日などの情報が必要です。例として、退職者が郵送で依頼する場合、本人の身分証コピーを添えて依頼書を送るよう案内するとスムーズです。費用は原則かかりません。
会社側が行う離職票再発行の手続き
手続きの流れ
退職者から再発行の依頼を受けたら、会社は次の順で進めます。
1. 退職者から依頼と本人確認書類(写しでも可)を受け取る。
2. 会社はハローワークへ「雇用保険被保険者離職票再交付申請書」を提出する。
3. ハローワークが再発行し、会社へ交付される。
4. 会社が退職者に離職票を渡す(郵送する場合は追跡可能な方法を推奨)。
提出書類と担当者
提出書類は主に再交付申請書です。社内では総務や人事が担当することが多く、担当者名と連絡先を退職者に伝えるとやり取りがスムーズになります。会社印が必要な場合があるので、事前に確認してください。
日数と郵送の注意点
再発行自体は手続きとして難しくありませんが、社内の事務処理やハローワークの処理、郵送のタイミングで日数がかかります。目安は数日から2週間程度ですが、余裕をもって依頼するよう案内してください。郵送する際は、追跡番号や簡易書留を使い、発送記録を控えると安心です。
よくある質問(簡潔)
・代理人に渡す場合:委任状や代理人の身分証が求められることがあります。
・費用:多くの場合、会社負担で対応しますが事前に確認してください。
退職者本人による再発行方法と会社側対応との比較
本人が直接申請する方法
- 窓口に行き、本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード等)を提示します。雇用関係を示す給与明細や雇用契約書があると手続きがスムーズです。
- ハローワークで事情を説明すると、その場で再発行が可能な場合は即日受け取れます。受け取れない場合は調査や事業主への照会を経て発行します。
必要書類の例
- 本人確認書類
- 最終の給与明細、雇用契約書、雇用保険に関する書類(分かれば被保険者番号)
会社側対応との比較
- スピード:本人申請は急ぎのときに有利です。会社の手続き待ちより早く受け取れることが多いです。
- 手間:本人申請は書類準備や窓口訪問が必要です。会社側が協力的なら会社に依頼する方が手間は少ないです。
- 場面:会社と連絡が取れない、対応が遅い、急ぎで必要なときは本人申請をおすすめします。
会社側が再発行手続きする際の注意点
再発行はハローワークへの申請で可能
会社が書類を紛失していても、再発行はハローワークに申請するため対応できます。まずは最寄りのハローワークに連絡し、必要書類と手順を確認してください。
確認が必要な項目
- 退職者の氏名・住所・生年月日
- 退職年月日と退職理由
- 雇用保険被保険者番号(分かれば)
社内では給与台帳や雇用契約書、タイムカードなどで照合します。例えば給与台帳で最終出勤日や支給状況を確認すると手続きが早まります。
手続きの迅速化と記録管理
再発行手続きが遅れると、退職者の失業給付申請に影響します。申請日・担当者名・提出書類の控えを必ず残し、進捗を退職者に連絡してください。
期限と例外
会社経由の再発行は退職後4年以内が原則です。4年を超えた場合は退職者本人がハローワークへ直接申請する必要があります。
個人情報と委任状
第三者が請求する場合は本人確認書類や委任状を求めます。個人情報は厳重に管理し、不要な情報提供を避けてください。
実務的な準備例
- 社内の記録をまとめる(勤務記録、給与明細)
- 担当窓口を明確にして連絡先を伝える
- ハローワークに事前相談し、用意すべき書類を確認する
以上を踏まえ、速やかで正確な対応を心がけてください。
会社側が再発行対応しない場合
状況の説明
会社が離職票を発行しない、あるいは退職者が会社への連絡を望まない場合、退職者本人がハローワークに申請して対応してもらえます。会社の手続きが不要と判断されるケースもあるため、ご自身の状況に合わせて進めます。
ハローワークでの手続きの流れ
- 書類をそろえて最寄りのハローワークへ行きます。窓口で事情を説明し、再発行の申請をします。
- ハローワークが必要書類を確認し、会社へ照会を行う場合があります。照会で対応が得られないときは、提出書類と記録を基に処理します。
用意する主な書類
- 身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード等)
- 給与明細や雇用契約書など雇用関係を示すもの
- 会社への連絡履歴(メールの写しや送付記録)があれば有利です
会社に連絡しない場合の注意点
会社へ連絡しない選択は可能ですが、ハローワークが会社へ確認できる場合は処理が早く進むことが多いです。手続きが長引くことを想定し、早めに相談窓口へ行ってください。
対応が得られないときの次の一手
ハローワークで解決しない場合は、労働局や労働相談センターに相談できます。必要に応じて労働基準監督署や弁護士の助言を求めることを検討してください。
まとめ―会社側の再発行対応のポイント
退職者から離職票の再発行依頼を受けたら、会社は速やかにハローワークへの申請手続きを行う責任があります。社内での担当者を明確にし、必要書類(雇用期間や離職理由を確認できる記録)をすぐに準備すると手続きが円滑になります。
会社対応が遅れると退職者の給付申請や次の就職手続きに支障が出ます。したがって、受付から申請までの目安を決め、例えば3営業日以内の処理を目標にするなど社内ルールを設けると良いでしょう。
退職者本人でもハローワークで再発行の手続きが可能です。会社の対応が間に合わない場合は、本人がハローワークへ行く方法や必要書類、窓口の案内を速やかに伝えてください。例えば身分証明書や離職に関する基本情報(雇用期間・事業所名)を事前に教えるだけでも手続きがスムーズになります。
最後に、再発行対応は退職者の生活に直結する重要な業務です。迅速で丁寧な対応を心がけ、記録を残しておくことでトラブルを防げます。


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