はじめに
目的
この章では本記事の目的と読み方をやさしく説明します。本記事は、源泉徴収票に記載される「老人」区分や「内(内訳)」の意味・基準と、その見方・使い方をわかりやすく解説します。特に70歳以上の控除対象配偶者や扶養親族の扱い、社会保険料控除の内訳、控除額の違い、年末調整や確定申告での利用方法に焦点を当てます。
対象読者
会社員や年金受給者、給与担当者など、源泉徴収票を確認する人全般を想定しています。税金や手続きに不安がある方でも読みやすいよう、専門用語は最小限にして具体例を交えて説明します。
記事の構成と使い方
第2章以降で各項目を順を追って詳しく説明します。まずは全体像をつかみ、気になる章から読んでください。例として、70歳以上の配偶者がいる場合は配偶者や扶養親族の区分が変わり、控除額にも違いが出ます。本記事では具体的な判断基準や源泉徴収票上の見方を丁寧に示します。必要に応じて年末調整や確定申告での実務的な注意点も取り上げます。
源泉徴収票とは何か
概要
源泉徴収票は、1年間に支払われた給与や年金、天引きされた税金や控除額をまとめた証明書です。年末調整後や退職時に勤務先や年金支払者から交付されます。税金の計算結果や控除の確認に使う大切な書類です。
含まれる主な項目
- 支払金額(総支給額や年金の支給額)
- 社会保険料や生命保険料などの控除額
- 源泉徴収された所得税額
- 扶養親族の数や「老人」区分などの区分
主な種類と用途
源泉徴収票には給与所得用、退職所得用、公的年金用の3種類があります。税金の申告や住宅ローンの手続き、転職時の税手続きに使います。
いつ・誰に渡されるか
年末調整が終わる12月〜翌年1月ごろ、会社が従業員に交付します。退職した場合は退職時に受け取ります。年金受給者は年金支払者から送られます。
簡単な例と注意点
例えば、Aさんが会社で1年間に給与を受け取り年末調整を受けた場合、源泉徴収票でその年の総支給額、控除、税金が一目で分かります。紛失しないよう保管し、転職や確定申告の際に必ず提出してください。
「老人」区分の意味と基準
意味
「老人」欄は、源泉徴収票に記載する控除対象配偶者や扶養親族のうち、70歳以上の方を区別するための欄です。70歳以上に該当すると、控除額が通常より大きくなり、税負担が軽くなります。わかりやすく言うと、年齢に応じた優遇措置を示す欄です。
判定基準
判定はその年の12月31日時点の年齢で行います。つまり、12月31日に70歳以上であれば「老人」に該当します。年ごとの対象生年月日は西暦や和暦で表しますが、具体例を元に確認すると理解しやすいです。
具体例(例:令和6年分)
- 令和6年分の場合、昭和30年1月1日以前に生まれた方が該当します。
- 例えば昭和30年1月1日生まれの人は、令和6年12月31日時点で70歳以上になっているため「老人控除対象配偶者」や「老人扶養親族」に該当します。
注意点
- 年齢は12月31日時点で判定します。途中で70歳になっても年末に満たなければ該当しません。したがって、出生年月日の確認が大切です。
- 控除の扱いは配偶者か扶養親族かで区分が変わるため、源泉徴収票や年末調整の書類で正しく区分してください。
- 不明な点は勤務先の総務や税務署に確認すると安心です。
「内」や内訳の記載内容
「内」とは何を示すか
源泉徴収票の「社会保険料等の控除」欄で「内」と書かれている場合、総額のうちどの項目がいくらかを示しています。たとえば「社会保険料控除 120,000円(内、介護保険料 30,000円、国民健康保険料 90,000円)」のように、合計と内訳が並びます。合算額だけでなく、何が含まれているかを明確にするための表示です。
具体的に記載される項目
よく見られる内訳は次の通りです。
– 介護保険料(後期高齢者医療保険料を含む場合もあります)
– 国民健康保険料
– 後期高齢者医療保険料
– 年金から差し引かれた特別徴収の保険料
企業や自治体によって表現が少し異なることがありますが、基本は「どの保険料が合算されているか」を示します。
年金からの特別徴収(天引き)の場合の確認方法
年金から天引きされている場合、源泉徴収票に内訳が記載されることが多いです。源泉徴収票を見れば、どの保険料がいくら天引きされたかを直接確認できます。年末調整や確定申告で使う際は、源泉徴収票の内訳をそのまま使えます。
普通徴収(自分で支払う場合)の扱い
普通徴収で自治体や保険組合に直接支払った保険料は、源泉徴収票に内訳が載らないことがあります。その場合は、自治体発行の納付通知書や払込証明書、介護保険料払込確認書などで金額を確認・保管してください。確定申告の際はこれらが証明書類になります。
実務上の注意点
- 内訳がないときは、支払先(市区町村・年金事務所など)に証明書の発行を依頼してください。\n- 支払った年分が申告対象の年に該当しているか確認してください。年をまたぐ支払いや前納分の扱いに注意が必要です。
必要なときに正しい内訳を示せるよう、源泉徴収票と払込証明書を合わせて保存しておくことをおすすめします。
源泉徴収票の「老人」区分の記載方法
記載場所と対象項目
源泉徴収票の控除対象配偶者や扶養親族の人数欄に「老人」として記入します。該当するのは70歳以上の配偶者・親族です。
人数欄への記載方法
該当者がいる場合は、人数欄の「老人」に該当人数を記入します。一般の扶養人数と分けて数えるため、合計人数と内訳を確認してください。
配偶者控除欄の扱い
配偶者控除は「一般」と「老人」に分かれます。配偶者が70歳以上なら「老人」欄に〇を付け、該当者数欄にも1と記入します。70歳未満なら「一般」欄に記載します。
記入例
- 70歳以上の配偶者が1人いる場合:控除対象配偶者(老人)欄に「1」、配偶者控除の「老人」欄に〇。
- 自分の父が70歳で扶養に入っている場合:扶養親族(老人)欄に「1」を記入。
よくある間違いと注意点
- 年齢基準は年末時点で判断します。誕生日により対象外になることがあるので確認してください。
- 同一人物を重複して記入しないこと。
チェックポイント
- 年末時点の年齢を確認する
- 「一般」と「老人」の内訳を記入する
- 配偶者控除欄の〇を忘れない
必要があれば、具体的な源泉徴収票の画像や記入例でさらに詳しく説明します。
控除額の違いと注意点
控除額の違い
配偶者控除では、一般(70歳未満)の控除額が38万円、老人(70歳以上)は48万円になります。同様に扶養控除でも70歳以上の親族は「老人扶養親族」として、一般の扶養より多めの控除が受けられます。
年齢判定と対象者の条件
年齢はその年の12月31日時点で判断します。つまり年内に70歳に達していれば「老人」に該当します。控除を受けるには、配偶者や扶養親族の年間所得が所定の基準以下であることや、生計を一にしていることなどの条件があります。
注意点(申告・調整の観点)
- 配偶者控除と配偶者特別控除は所得に応じて適用が変わります。配偶者の収入が一定を超えると配偶者控除は受けられず、配偶者特別控除の対象になる場合があります。
- 扶養控除と配偶者控除は別枠ですが、同じ人に対して二重に同じ種類の控除を受けることはできません。
- 年の途中で年齢や家族状況が変わると年末調整や確定申告で反映が必要です。
実務上のポイント
- 年齢判定や収入の集計は年末までの状況で行うため、年末に近い時期の収入変動に気を付けてください。
- 年金やアルバイトなど複数の収入がある場合は合算して所得を判断します。
- 詳しい所得限度額や計算方法は法令で定められており、改正されることがあります。会社の総務や税務署に確認すると安心です。
年末調整や確定申告での利用
源泉徴収票は、年末調整や確定申告で税額を確定するときの重要な証明書です。給与や年金から差し引かれた税額や支払金額が記載され、各種控除の根拠にもなります。
年末調整での使い方
会社は従業員から控除に関する書類(扶養控除申告書、保険料の控除証明など)を集め、源泉徴収票の金額を確認して年内の過不足を精算します。従業員は、源泉徴収票の内容に誤りがないか確認し、必要な控除証明を期日までに提出してください。誤りがあれば早めに勤務先に連絡します。
確定申告での使い方
副収入がある、年の途中で退職した、年末調整を受けていないなどの場合は、源泉徴収票を添えて確定申告します。源泉徴収票は税金の計算に使う主要な書類なので、すべての勤務先からの源泉徴収票を忘れずに添付してください。
退職・年金受給者の扱い
退職時は退職した会社が源泉徴収票を発行します。年金受給者には年金の支払者が源泉徴収票を出すため、年金収入を合算して申告や年末調整に使います。
添付書類と注意点
保険料控除証明、配偶者や扶養の申告書、医療費の領収書などを準備します。源泉徴収票の記載漏れや誤記は税額に影響しますので、内容を必ず確認してください。複数の源泉徴収票がある場合はすべて揃えて提出します。
まとめと留意点
- 概要
「老人」区分は、一般に70歳以上で控除の対象となる人を示す重要な項目です。源泉徴収票の該当欄を確認することで、適用される控除や税額が変わる場合があります。
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確認しておくべき点
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「老人」欄の有無とチェックの有無をまず確認してください。
- 「内」や内訳は、社会保険料や各種控除の金額の内訳です。給与明細や年金通知と金額が一致するか照合します。
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年齢判定は多くの場合12月31日時点で行われますので、該当年の年齢を確認してください。
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手続き上の留意点
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金額や区分に誤りがあれば、まず勤務先の総務や支払者に訂正を依頼してください。
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年末調整や確定申告で使うため、源泉徴収票の原本は大切に保管し、必要ならコピーを用意します。
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相談先と対処法
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不明点は税務署、年金機構、市区町村窓口に相談すると安心です。勤務先の担当者にも確認してください。
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書類を持参する際は、本人確認書類や保険料の領収書など関連書類を準備すると手続きがスムーズになります。
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最後に
源泉徴収票の「老人」区分と「内」の内訳は、控除や申告に直結します。早めに確認し、疑問があれば速やかに問い合わせてください。


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