はじめに
このドキュメントは、英語版在職証明書(Certificate of Employment)について、基礎から実務までやさしく解説するために作成しました。
目的
英語の在職証明書が必要な場面で、どの情報をどう記載すればよいかを具体的に示します。海外転職、留学、ビザ申請などで役立つ実例を交えて説明します。
対象読者
- 在職証明書を英語で用意する必要がある方
- 人事担当者や総務担当者で英語文書の作成を任された方
- 外国機関に提出する書類の準備を行う方
本書の使い方
各章は独立して参照できます。まずは本章で全体の流れをつかみ、必要に応じて該当する章に進んでください。実際に使えるテンプレートや注意点も後半で紹介します。
英語版在職証明書とは
基本の意味
在職証明書(Certificate of Employment)は、企業が従業員の在籍や雇用期間を公式に証明する書類です。英語版は日本語以外の場面で提出するために作成されたものです。
英語版の特徴
英語で記載するため、職名や雇用期間、雇用形態(正社員・契約社員など)、在職状況を英語表現で明確に示します。給与欄は求められる場面のみ記載することが多いです。
発行者と形式
通常は人事部や総務が会社のレターヘッドで作成し、署名と社印(または署名の代わりになる担当者名)を付けます。提出先により原本、英訳(公的な認証付き)のいずれかが求められます。
主な用途(例)
海外転職、留学・海外就職、ビザ申請、銀行口座開設やローン手続きなど、在職の事実を英語で示す必要がある場面で使います。
現在在職と過去在職の違い
「現在在職証明」は現時点で勤務中であることを示し、「退職証明」は過去の在籍を示します。用途に合わせて記載内容を変えてください。
正確性の重要性
事実と異なる記載はトラブルの原因になります。発行前に内容を確認し、必要なら上司や人事に相談してください。
英語版在職証明書が必要な主なケース
1. 外資系企業や海外企業への応募・採用
海外や外資系の企業は、履歴や職務内容を英語で確認します。採用時に雇用期間、役職、業務内容、雇用形態を求められることが多いです。例:“Employed as Senior Engineer from April 2018 to March 2022.”
2. 海外法人への転職・出向・駐在
海外支社や現地法人へ移る際に、これまでの職歴を英語で証明します。転職先が現地での手続きに使うため、正式な社印と担当者の署名が必要になることが多いです。
3. ビザ申請(就労ビザ・配偶者ビザ・永住申請)
各国のビザ審査で雇用の事実や収入源を説明する書類として求められます。雇用期間や雇用形態、年収などが明記されていると審査がスムーズです。
4. 留学・奨学金申請
奨学金や交換留学で「在職」や「休職」状況を示す必要がある場合に使います。大学や奨学金団体が英語文書を指定することがあります。
5. 金融機関や不動産手続き
海外口座開設やローン申請、賃貸契約などで収入と雇用の証明を求められます。英語の在職証明は審査を速めます。
6. 行政手続き・年金・保険
外国の行政機関や保険会社が雇用情報を確認する際に必要です。公的な手続きでは原本と英語版の両方を求められる場合があります。
7. 取引先からの信用確認・入札
海外企業との取引や入札で会社が雇用の裏付けを求めることがあります。在職期間や職務内容が取引の信頼性に関わります。
必要な場面によって記載項目や書式が異なります。申請先の指定があれば、それに合わせて作成してください。
英語版在職証明書の記載項目
1. 基本情報(必須)
- 氏名(フルネーム)例:Taro Yamada(パスポート表記と一致させる)
- 生年月日 例:1990-01-01(年-月-日)
- 住所(現住所)
2. 勤務情報(必須)
- 入社年月日(入社日)
- 勤務地(部署や支店名)
- 雇用期間(在職中は“Present”表記も可)
- 雇用形態(正社員・契約社員・派遣など)
- 勤務時間・就労形態・勤務日数(例:週5日、1日8時間)
- 職種・業務内容・役職(具体的に)
3. 会社情報(必須)
- 会社名(英語表記)
- 会社所在地(住所)
- 事業者名・代表者名
- 連絡先(電話・メール)
4. 給与・年収(提出先指定時)
- 提出先が指定する場合は月給・年収を明記可能です。数値を記載する際は通貨単位(JPY, USDなど)を付けます。
5. 押印・署名
- 会社の印鑑または代表者の署名を必ず入れます。発行日と発行者の役職も明記してください。
6. 記載上の注意点
- 日付や氏名はパスポートや公的書類と一致させます。略語を避け、簡潔な英語で説明します。連絡先は検証用に有効なものを記載してください。必要に応じて、提出先の指定項目を優先して追加します。
英語版在職証明書のフォーマットとテンプレート
概要
法律で定められた様式はありません。企業ごとに独自フォーマットで作成できます。用途に応じて必要項目をそろえ、シンプルで読みやすい体裁を心がけます。
基本の構成
- 会社名・ロゴ
- 発行日
- 宛名(To whom it may concern または特定の宛先)
- 従業員氏名(英文表記)
- 勤務期間(Start date — End date)
- 職種・役職
- 雇用形態(Full-time, Part-time, Contractなど)
- 勤務先住所・連絡先
- 発行者署名と役職
簡単なテンプレート例(英語)
To whom it may concern,
This is to certify that [Employee Name] has been employed with [Company Name] as [Job Title] from [Start Date] to [End Date]. Employment type: [Full-time/Part-time]. Work location: [Address].
If you require further information, please contact us at [Phone/Email].
Sincerely,
[Signature]
[Name], [Title]
ファイル形式と配布
WordやPDFでの作成・保管が一般的です。社内ではテンプレートをWordで保持し、依頼ごとに必要項目を差し替えてPDFで発行すると便利です。Excelでの一覧管理も役立ちます。
カスタマイズのポイント
用途(ビザ、銀行口座、転職など)に合わせて項目を加減します。フォントは読みやすいものを選び、日付表記は国際的に分かりやすい形式(YYYY-MM-DDやMonth Day, Year)を推奨します。
利用時の注意
署名・社印の有無を確認してください。重要書類には必ず発行者の連絡先を明記し、虚偽記載は避けます。
作成時の注意点
1. 個人情報の取り扱い
在職証明書には氏名、住所、社員番号、生年月日など多くの個人情報が含まれます。必要のない項目は記載しないでください。例えば提出先が在職期間だけを求める場合は住所や生年月日を省略します。発行や保管はアクセスを限定し、電子ファイルはパスワードや暗号化で保護しましょう。
2. 退職者・氏名変更の扱い
退職者用は在職時の氏名・役職・所属を記載します。結婚等で氏名が変わっている場合でも、在職時の情報を用いるのが原則です。現在の連絡先が必要な場合は「現氏名(旧姓: ○○)」のように両方を併記すると分かりやすいです。
3. 提出先の要件確認
提出先が求める項目・様式・言語・公証の有無を事前に確認してください。例として、海外の大学は英語原本と翻訳の両方、またはアポスティーユを求めることがあります。書式が指定されている場合はそれに合わせて作成します。
4. 署名・押印・発行日
発行者の氏名・連絡先、発行日を必ず記載します。企業印や署名が必要かどうかを確認し、押印や署名は発行当日に行ってください。コピーを送る際は原本の扱いも明示します。
5. 保管と送付の方法
原本は安全な場所で保管し、電子送付は暗号化付きの方法やパスワード付きZIPを利用してください。郵送する場合は追跡可能な書留や配達記録が残る方法を選びます。
6. 発行前の最終チェックリスト
- 提出先が指定する項目に合っているか
- 氏名表記(在職時の表記)と現連絡先が明示されているか
- 発行日・発行者情報が記載されているか
- 署名・押印の有無を確認したか
- 不要な個人情報を含めていないか
この章の注意点を守ることで、情報漏洩のリスクを減らし、提出先の要望にも適切に対応できます。必要に応じて総務や法務と相談してください。
英語版在職証明書の申請方法
概要
英語版在職証明書は、勤務先の人事部または総務部に申請します。申請手順を整理すると、準備→提出→確認→受け取りの流れです。以下で具体的に説明します。
申請先と窓口
- 人事部・総務部が基本の窓口です。部署により担当者が決まっているので、まずは社内規程やイントラを確認してください。
必要書類
- 本人確認書類(社員証、身分証の写し)
- 英語版在職証明書の用途(ビザ、海外口座、留学等)
- 納期(希望日)と送付方法(PDF/郵送)
申請手順(簡潔)
- 必要情報をまとめる(在職期間、役職、年収要否など)
- 人事・総務へメールまたは申請フォームで依頼する
- 担当者と内容を確認し、修正を依頼する
- 完成後に受け取りまたはメール受信
英語での申請例(メール)
Subject: Request for Employment Certificate (English)
Dear HR team,
I kindly request an employment certificate in English for the purpose of [purpose].
My details: Name: [氏名], Employee ID: [番号], Department: [部署].
Preferred delivery: PDF by email / postal mail to [住所].
Required by: [日付].
Thank you for your assistance.
Best regards,
[氏名]
受け取りと確認
受け取ったら氏名・在職期間・役職などに誤りがないか必ず確認してください。誤りがあれば速やかに修正依頼を出しましょう。
注意点
- 希望納期は余裕を持って伝えてください。一般に数日から1週間が目安です。
- 法的な認証(アポスティーユ等)が必要な場合は追加手続きが必要です。
在職証明書の英語訳サービス
サービスの種類
- 翻訳会社:専門の校閲やフォーマット調整を含み、原本に合わせた英語版を作成します。法的書類の扱いに慣れている会社が多いです。
- フリーランス翻訳者:コストを抑えやすく、短納期対応も可能です。会社名や業界特有の表現に精通した翻訳者を選ぶと安心です。
- 認証・公証対応サービス:翻訳だけでなく、公証役場での認証やアポスティーユ申請まで代行する業者もあります。
利点と注意点
- 利点:原本と形式を合わせた英文を迅速に受け取れる点です。提出先の指定フォーマットに合わせて作成してくれます。
- 注意点:職務名や給与の訳出、社印や署名の再現に誤りがあると受理されないことがあります。依頼前に提出先の要件を必ず確認してください。
依頼時のチェックリスト
- 原本(スキャン)と提出先の指示書を用意する。
- 必要な記載項目(雇用期間、職位、勤務形態など)を明示する。
- 納期と納品形式(PDF、英語原稿+和文対照など)を指定する。
- 公証やアポスティーユが必要か確認する。
選び方のポイントと流れ
- 実績とレビュー、業界経験を確認します。サンプル翻訳やクイックチェックを依頼するとイメージが掴めます。
- 流れ:見積→原本提出→翻訳→校正→最終確認→納品。修正は事前に回数や期限を決めておくと安全です。
英語版在職証明書テンプレートの入手先
概要
英語版在職証明書のテンプレートは、企業が手軽に準備できるよう多くの場所で配布されています。用途に合わせて無料のものと有料のものを使い分けると便利です。
無料で入手できる主な場所
- IndeedやLinkedInの採用関連ページ:英語表現の参考になるテンプレートが見つかります。具体的な記載例があるので編集しやすいです。
- Money Forwardやfreeeなどの人事労務サービス:雛形やサンプルを公開していることが多く、WordやPDFでダウンロードできます。
- 各自治体の労働・雇用支援ページ:在職証明書の様式を英訳した例を掲載していることがあります。地域の担当窓口に問い合わせると案内がもらえます。
有料・専門サービス
- 翻訳会社や社会保険労務士事務所:公的書類に適した正式な英訳や押印が必要な場合に向きます。証明の正確さを重視する場面で役立ちます。
- テンプレート販売サイト:書式やデザインにこだわる企業向けにカスタマイズ可能な雛形を提供します。
入手時のポイント
- ファイル形式(Word/PDF)を確認し、編集可能か確かめてください。
- 記載例が実務に合うか、会社名・役職・日付表記の形式が適切かをチェックしてください。
- 公的手続きや在外公館提出には、専門家による確認や認証が必要な場合があります。
まとめ・活用ポイント
重要なポイント
英語版在職証明書は、海外での就職・ビザ申請・住宅手続きなどで求められる基本書類です。氏名、所属、在職期間、役職、雇用形態、発行日や署名は必ず明記してください。誤字や曖昧な表現は手続きの遅延につながります。
活用のコツ
- 目的に合わせたフォーマットを用意します。例:ビザ用は雇用条件を詳しく、賃貸用は在職確認のみで十分です。
- 英語表現は公式で簡潔に。役職名や期間は数字やISO形式(YYYY-MM-DD)で示すと分かりやすいです。
- 原本とスキャンを両方保管し、必要時にすぐ提出できるようにしておきます。
申請・管理チェックリスト
- 会社の正式レターヘッドで発行されているか
- 署名と連絡先が記載されているか
- 英語の綴りや日付形式に誤りがないか
- 公証や翻訳証明が必要か事前に確認する
使う際の注意点
第三者に提出する前に、発行元へ内容確認を依頼してください。公的手続きでは追加の証明(アポスティーユや公証)が求められる場合があります。状況に応じて翻訳サービスや行政窓口へ相談すると安心です。
これらを準備しておくと、海外での手続きがスムーズになります。必要な場面で迅速に対応できるよう、定期的に在職証明書の最新版を保管しておきましょう。


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