就業規則と残業規定の基礎知識と実務注意点を詳しく解説

目次

はじめに

本資料の目的

本資料は、就業規則における「残業」に関する規定を、実務担当者や経営者、人事労務担当が分かりやすく整備できるようにすることを目的としています。法的な根拠や最低限押さえるべきポイントを整理し、具体的な記載例や運用上の注意点も示します。

対象読者

  • 中小企業の人事・総務担当者
  • 就業規則を見直す経営者
  • 労務管理の基礎を知りたい担当者

専門用語は必要最小限に留め、具体例を使って説明します。たとえば「36協定」「割増賃金」「みなし残業」などの用語は、用途に応じてわかりやすく補足します。

本資料で扱う項目

  1. 残業の定義と法的位置づけ
  2. 残業代(割増賃金)の取扱い
  3. 残業時間の上限と36協定の関係
  4. 就業規則への記載例と実務のポイント
  5. その他の注意点(管理職やフレックス制など)

使い方と注意点

各章は実務ですぐ使えるよう、記載例や運用のコツを盛り込みます。就業規則の改定は労働者代表の意見聴取や届出が必要です。実際の改定時は、労務の専門家と相談することをおすすめします。

残業の定義と法的位置づけ

残業とは

残業は、会社が定めた所定労働時間を超えて働くことを指します。たとえば就業時間が9時〜17時(休憩1時間)の場合、実働7時間を超えて働けばそれは残業です。日常用語では「残業」を使いますが、法律ではより細かく分類します。

労働基準法上の分類

労働基準法は「時間外労働」「休日労働」「深夜労働」に分けます。時間外労働は法定労働時間(原則1日8時間・週40時間)を超える働き方です。休日労働は法定の休日に働くこと、深夜労働は午後10時〜午前5時の間に働くことを指します。

所定労働時間と法定労働時間の違い

会社が定める所定労働時間が法定より短い場合、所定を超えても法定の範囲内なら割増賃金の扱いが異なる点に注意してください。一方で法定を超えれば割増賃金(残業代)の支払い義務が生じます。

実務上のポイント

残業を指示する際は就業規則や労働契約に基づいて行ってください。長時間労働には36協定の締結が必要です。また記録を残し、割増賃金の計算根拠を明確にしておくとトラブルを避けられます。

残業代(割増賃金)の取扱い

法定外残業(法定労働時間を超える労働)

法で定める労働時間(原則1日8時間・週40時間)を超えた労働には25%以上の割増賃金が必要です。月60時間を超える残業には50%以上の割増率が適用されます(2023年4月から中小企業も対象)。計算は基本時給に割増率を掛けます。例:基本時給1,000円の場合、法定外は1,000×1.25=1,250円、60時間超分は1,000×1.5=1,500円です。

法定内残業(所定労働時間と会社の定め)

会社が定める所定労働時間を超えても、法定労働時間内であれば法的な割増義務はありません。ただし就業規則や雇用契約で支払うと定めれば、その取り扱いに従います。具体例を就業規則に明記してください。

深夜・休日の割増

深夜(22時〜5時)は25%以上、法定休日の労働は35%以上の割増が必要です。割増は重ねて計算します。例:深夜に法定外残業をした場合、法定外25%+深夜25%=合計50%増(基本給×1.5)になります。

みなし残業制(固定残業代)の注意点

固定残業代を導入する場合、就業規則や雇用契約に「何時間分の割増に相当するか」「法定内・法定外・深夜・休日のどれを含むか」を明記します。実際の残業時間がみなし時間を超えたら、超過分を追加で支払います。逆に実労働が少ないからといって減額してはいけません。

支払いと記録のポイント

割増賃金の算定基礎(基本給の算出方法)と計算例を明示し、タイムカードや勤怠データで実労働時間を記録してください。透明にすることでトラブルを防げます。

残業時間の上限と36協定

法定上限(基本)

労働時間の上限は厳しく定められています。原則として時間外労働は年間720時間、単月では100時間未満(休日労働を含む)、2~6か月の平均で月80時間以内が上限です。企業はこれを超えないよう管理する責任があります。

特別条項付き36協定

繁忙期などに特別条項を付けた36協定を結べますが、それでも上限があります。特別条項があっても年間960時間、単月は100時間未満、2~6か月平均は80時間以内が上限です。超過が常態化しないように対策を講じてください。

就業規則での上限設定

会社は就業規則でさらに厳しい上限を定めることができます。例として「月60時間まで」などです。ただし、就業規則の上限は36協定の上限を下回る内容にしてください。明記して労働者へ周知します。

残業許可制を導入する際の実務ポイント

残業申請→上長承認→勤怠システム記録の流れを構築します。上限に近づいた場合は自動で警告する仕組みや、健康配慮の面談を行う運用が有効です。制度は就業規則に明記し、説明会や書面で周知しましょう。

実務上の注意

上限に達しそうな月は代替措置(人員調整、業務の見直し、早期の代休付与)を検討します。記録と証拠を残し、労使で状況を共有することが重要です。

就業規則への記載例と実務のポイント

記載すべき基本項目

  • 残業の定義(所定労働時間を超える労働、所定外労働の扱い)
  • 割増賃金の支給基準(時間外、深夜、休日の率)
  • 残業時間の上限と36協定の有無・届出状況
  • みなし残業の有無・金額・対象範囲
  • 残業の申請・承認手続き(残業許可制の運用方法)

みなし残業(固定残業)に関する記載例

  • 対象者・対象業務を明示する
  • 固定残業代の金額とその内訳(何時間分か)を記載する
  • 超過分は実費で支払う旨を明記する

残業許可制の運用方法

  • 事前申請と上長承認を原則とする
  • 緊急時の事後申請手続きと報告期限を定める
  • 違反時の対応(業務命令・指導など)を規定する

端数処理の注意点

  • 30分未満切り捨て等は労働者に不利益にならない範囲で可能だが、実態と合わない運用は違法となる
  • 日々の実績と給与計算の整合性を保つこと

業種別の特例

  • 建設業・運送業・医師等は別規定があるため、該当する場合は条項にその旨を追記する

記載例(短文)

  • 「当社は所定就業時間を超える労働を時間外労働とし、時間外労働に対しては法定の割増率で賃金を支払う。」
  • 「固定残業代制度を適用する場合、○時間分の固定残業代として月額○○円を支払う。超過分は別途支払う。」

実務のポイント

  • 就業規則は明確に書き、従業員に周知する
  • 実際の運用が規則に沿っているか定期的に確認する
  • 労基署の運用や判例を踏まえ、疑義は社労士等に相談する

その他の注意点

就業規則で上限と許可制を設ける

無意味な残業や生活残業を防ぐため、残業時間の上限(例:月45時間)や原則として事前許可制を規定します。事前申請と上長承認、緊急時の事後申請ルールを明記してください。例:通常は事前申請、緊急時は24時間以内に報告。

周知と同意の徹底

規定を作成したら労働者に説明し、書面やメールで周知します。説明会やFAQを用意し、同意を得る記録(署名や受領ログ)を残してください。周知が不十分だと規定が無効になる場合があります。

記録と運用のポイント

タイムカードや勤怠システムで残業時間を正確に記録し、承認履歴を保存します。管理者は定期的に超過傾向を確認し、是正指導を行ってください。具体例:月初に前月の残業集計を確認し、対象者には個別面談を実施。

定期的な見直し

法改正や働き方の変化に対応するため、年1回以上は就業規則と運用を見直します。労働者代表や産業医の意見を取り入れると実効性が高まります。

実務チェックリスト

  • 上限・許可制を規定する
  • 周知方法と同意の記録を残す
  • 勤怠・承認の記録を整備する
  • 定期的に見直し、関係者の意見を反映する

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