はじめに
本調査結果は、離職票の提出期限に関する情報をまとめたものです。これから、企業側の提出期限と罰則、従業員側の提出期限の違い、離職票が手元に届くまでの流れと期間、2025年からの新しい受け取り方法、失業保険申請との関連性について、それぞれ詳しく解説します。
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目的:離職票は失業保険の手続きで重要な書類です。提出の遅れや手続きの不備で給付開始が遅れることがあります。実務上の注意点を分かりやすく示します。
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読み方の目安:各章で「誰が」「いつ」「何をするか」を明確に説明します。専門用語は最小限に留め、具体例を交えて解説します。
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想定読者:会社の総務・人事担当者、退職予定の従業員、手続きに不安のある方が対象です。初めての方でも理解できるようやさしく丁寧に説明します。
企業側の提出期限と罰則について
提出期限の起算日
雇用保険法施行規則第7条により、企業は離職者について所轄のハローワークへ必要書類を提出する義務があります。起算日は「従業員が雇用保険の資格を喪失した日の翌日」です。通常は退職日の翌日が起算日となり、そこから10日以内に手続きを行ってください。例えば、退職日が1月10日なら、1月11日から起算して10日目の1月20日までが期限です。
期限を過ぎた場合の影響と罰則
期限を守らないと離職者の失業給付の受給開始が遅れ、本人に不利益が生じます。加えて、提出遅延に対して行政指導や罰則の対象となる可能性があります。罰則は状況により異なるため、社内で迅速に対応することが重要です。
企業がとるべき具体的対応
- 退職手続きのフローに提出期限を明記し、担当者を決めます。
- 退職届受理後すぐに必要書類を準備し、起算日をカレンダーに登録します。
- 郵送や電子申請の方法を確認し、余裕をもって提出します。
提出時の必要書類と注意点
一般には「離職証明書」や「雇用保険被保険者資格喪失届」などが必要です。給与や出勤の記録に不備があると再確認を求められ、再提出で遅延することがあります。記入ミスを避けるため、複数人で確認する体制を作ってください。
従業員側の提出期限について
法律上の立場
従業員がハローワークへ離職票を提出する「法律上の明確な期限」は定められていません。退職者に対する罰則や提出義務の罰則規定は基本的に存在しませんので、慌てず手続きを進められます。
失業給付の受給期間と実務上の注意
失業給付を受けられる期間は、退職日の翌日から原則1年間です。したがって、給付を満額で受け取りたい場合は、実質的に1年以内に離職票をハローワークへ持参し、求職の申し込みを行う必要があります。
手続きの具体例(持ち物など)
- 離職票(事業主から交付されたもの)
- 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 印鑑、預貯金の通帳または口座番号
窓口で求職申込みを行い、失業認定の案内を受けます。
遅れた場合の影響
提出を遅らせると、受給可能期間が短くなります。給付開始のタイミング次第で支給総額が減るため、早めの手続きをおすすめします。
実務的な一言アドバイス
離職後はまず離職票の到着を確認し、受け取り次第速やかにハローワークへ行くと安心です。必要があれば事前にハローワークへ電話で確認してください。
離職票が手元に届くまでの流れと期間
流れの概要
- 従業員が退職の意向を会社に伝え、離職票の発行を依頼します。会社に依頼した時点で手続きが始まります。
- 会社が、退職日の翌々日から起算して10日以内にハローワークへ必要書類を提出します。会社の担当者が書類を準備して窓口へ持参または郵送します。
- ハローワークが書類を受け取り、離職票を作成・発行します。
- 会社がハローワークから受け取った離職票を従業員へ郵送します。これで従業員の手元に届きます。
目安の期間
一般的には退職日から約10日〜2週間程度で届きます。会社が書類を早めに提出すれば1週間ほどで届く場合もありますが、書類準備や郵送に時間がかかると2週間前後かかります。
具体例
例:退職日が5月1日の場合
– 会社は5月3日から数えて10日以内にハローワークへ提出します(5月13日までが目安)。
– ハローワーク処理と郵送を含め、従業員の手元には5月中旬ごろに届くことが多いです。
届かない・遅れていると感じたときの対応
- まず会社の総務や担当者に到着予定を確認してください。書類提出の有無や発送日を確認できます。
- 会社に連絡が取れない場合は、最寄りのハローワークに相談してください。提出の有無や処理状況を確認できます。
- 郵送中の紛失が心配な場合は、会社に追跡可能な方法での再発送を依頼すると安心です。
以上が離職票が手元に届くまでの一般的な流れと期間です。手続きは会社とハローワークのやり取りが中心になるため、疑問があればまず会社へ問い合わせるとスムーズです。
2025年1月からの新しい受け取り方法
■ 変更の概要
2025年1月20日から、希望する離職者はマイナポータルで離職票を受け取れるようになりました。これまでは企業から郵送が基本でしたが、離職票のほか資格喪失確認通知書や雇用保険被保険者離職証明書も受け取れます。電子交付により受け取りがより迅速になります。
■ 利用に必要な準備
– マイナンバーカード(電子署名でログインします)
– マイナポータルの利用環境(スマホのNFC、またはICカードリーダーがあるPC)
– 受け取りを希望する旨を企業に伝える(企業が電子交付に対応している必要があります)
■ 利用手順(簡単な流れ)
1. マイナポータルにログインします。
2. 「届出・受取」や雇用保険関連のメニューを選びます。
3. 離職票などの電子交付案内が表示されたら受け取りを確定します。
4. ダウンロードして保存・印刷します。
■ 主なメリット
– 郵送より速く手元に届きます。
– 紙の紛失リスクが減ります。
– いつでもどこでも確認・保存できます。
■ 注意点
– 企業側が電子交付に対応していない場合は利用できません。
– 企業の手続きが完了していないと受け取れません。
– 一部の窓口では紙の原本を求められることがあるため、印刷しておくと安心です。
■ よくある質問(簡潔に)
Q: 郵送を希望できますか?
A: はい、希望し続ければ従来どおり郵送で受け取れますが、事前に企業に伝えてください。
Q: すぐ受け取れますか?
A: 企業側の手続き完了後に交付されます。企業の処理時間に依存します。
失業保険申請との関連性
申請期限と手続き
離職日の翌日から1年が失業保険の申請期限です。期限内に離職票をハローワークに提出し、求職の申し込み(求職登録)を行ってください。申請日(求職申し込みをした日)が受給手続きの起点になります。
給付開始の流れ(例)
失業給付はまず7日間の待機期間があり、その後に給付制限がある場合はその期間を経て支給が始まります。2025年4月以降、自己都合退職の給付制限は1か月に短縮されます。例えば4月1日に自己都合で退職した場合、7日間の待機期間と1か月の給付制限期間を経て、制限終了後に失業給付が開始します。
離職票が遅れた場合の対応
離職票の発行が遅れても、あきらめず早めにハローワークに相談してください。給与明細や退職届など退職を証明する書類を持参するとスムーズです。離職票到着後、速やかに提出すれば1年の申請期限内であれば手続きできます。
手続きのポイント
・申請は期限内に必ず行うこと。早めの求職申し込みが受給開始日の確定に役立ちます。
・給付開始日は待期期間と給付制限期間の終了後になりますので、スケジュールを確認してください。
・不明点はハローワークに相談すると適切な案内が受けられます。


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