退職代行で訴えるリスクと損害賠償の実態を詳しく解説

目次

はじめに

本調査結果は、退職代行サービスを利用する際の法的リスクと実際の事例、対処法を分かりやすくまとめたものです。

  • 目的:退職代行利用そのものは違法ではない点を明確に伝え、どのような行為が会社からの訴えや損害賠償請求につながるかを具体例で示します。
  • 対象:退職を検討している方、退職代行を利用しようとする方、またはその家族や支援者の方。

本書では、引継ぎ義務や無断欠勤が問題になる理由、過去の判例や高額請求の事例を紹介します。さらに、会社から損害賠償を請求された場合の対処法と、リスクを避ける具体的なポイントも解説します。

章立てに沿って順に読み進めれば、退職代行を安全に利用するための注意点がつかめます。まずは全体像を把握してから、該当する章で詳しい対策をご確認ください。

退職代行利用自体は法的問題ではない

退職の自由は憲法で保障されています

労働者には、いつでも退職できる自由があります。口頭でも書面でも意思表示すれば退職の効力が生じます。退職代行は代理でその意思を伝える手段の一つに過ぎません。

退職代行自体は違法ではない

退職代行サービスを使ったこと自体で、直ちに違法行為や損害賠償の対象になるわけではありません。企業は、本人の真意が確認できれば退職を受け入れる義務があります。例えば、メールやSMSで本人確認が取れれば、退職は成立します。

企業の対応と注意点

企業側は退職の意思が本物か確認する合理的な対応を取る権利があります。電話で本人に確認したり、書面での意思表示を求めたりできます。しかし、代行を使ったことだけを理由に不当に退職を認めないことはできません。退職後の引き継ぎや未払いの債務など、別の問題が生じる場合は賠償対象となることもありますが、その点は別章で詳しく説明します。

損害賠償請求が認められる条件

要件1:会社に実際の損害があること

裁判で認められるには、会社に金銭的な損害や契約上の不利益が発生している必要があります。たとえば、代わりの人を雇う費用、取引先との違約金、受注の喪失などが該当します。単に業務が一時的に滞ったり、社内で混乱があっただけでは足りません。具体的な証拠が重要です。

要件2:退職者の故意または重大な過失によること

会社の損害が、退職者の故意や重大な過失によると認められる必要があります。単なるミスや通常の退職手続きの不足だけでは不十分です。たとえば、引継ぎを全く行わず、重要な顧客情報を削除した場合や、無断欠勤で納期を守れず大きな違約金が発生したようなケースが問題となり得ます。

要件3:損害額を具体的に算定・立証できること

損害賠償を求める際は、金額を具体的に示し証拠で裏付ける必要があります。見積書、契約書、請求書、取引履歴、社内報告書などが証拠になります。曖昧な「損害が大きい」といった主張だけでは裁判で認められにくいです。

企業が示すべきポイント(例)

  • どの損害が発生したかを明確にする(人件費、違約金、失った利益など)
  • 退職者の具体的な行為と損害との因果関係を示す
  • 損害額の算定方法を示す(見積り根拠や計算書類)

従業員が注意すること(実務的アドバイス)

  • 退職前は引継ぎの記録を残す
  • 重要書類やデータを削除しない
  • 無断欠勤や連絡を絶たない
  • 退職の意思表示は書面で行うと後の争いを避けやすい

これらの要件を満たさない主張は法的に認められにくいです。会社側が立証できるかどうかがカギになります。

引継ぎ義務違反が最大のリスク

引継ぎ義務とは

退職時に仕事を残さないようにする義務です。特に重要な案件や顧客情報、システムの権限などを適切に引き継ぐことは、職務上の信頼を守るために求められます。

いつ損害賠償が認められやすいか

会社が被った損害が具体的に示せる場合に認められやすくなります。たとえば、担当者が重要プロジェクトの手順を残さず退職して納期遅延や契約解除が生じた場合、被った損害と退職行為の因果関係が明確だと請求が成立しやすいです。一方で、単なる業務の不便や一時的な負担だけでは認められにくいです。

具体例

  • 重要な顧客の連絡先を引き継がずに退職し、取引が途絶えた
  • システムのパスワードや設定情報を渡さずに業務が停止した
    これらは会社側が損害として金額を算定しやすく、請求につながりやすいです。

退職時の実務的な注意点

引継書を作成し、上司や後任に渡すこと、関係者にメールで通知して記録を残すこと、重要データの引き渡しを証拠化することをおすすめします。退職代行を使う場合は代行に引継ぎの連絡や手配を依頼し、引継ぎを放棄したと誤解されないようにしてください。

無断欠勤後の退職も危険

なぜ危険なのか

長期間の無断欠勤の後に一方的に退職すると、その過程自体が「業務上の義務違反」とみなされやすくなります。会社は欠勤で生じた業務の遅れや代替人員の手配費用などを具体的な損害として主張し、損害賠償を求めることがあります。

具体的にどんな損害が問題になるか

  • プロジェクトの遅延で発生した取引先の違約金や信頼回復費用
  • 欠員を埋めるための派遣社員や時間外労働の追加費用
  • システムや設備の管理不備による事故対応費用
    これらは金額で算定され、合理性が認められれば賠償が認められる可能性があります。

会社が取る手続き

会社はまず書面で請求や警告を送ることが多く、未回収の場合は内容証明や法的手続きに進むケースもあります。退職届を出しているだけでは免責にならないことがあります。

身を守るための対応

無断欠勤になる前に、まずは会社へ事情を伝え、医師の診断書や緊急連絡の記録を残してください。退職を決めた場合は、書面での意思表示と未返却物の返却、未払い賃金の請求を同時に行うと安全です。状況が複雑なときは労働相談窓口や弁護士へ相談してください。

債務不履行・不法行為による退職

概要

退職の際に債務不履行や不法行為に当たる行為をすると、会社から損害賠償を求められる可能性があります。業務上の義務を怠ったり、故意に会社に損害を与えたりすることが問題です。

債務不履行とは

債務不履行は、雇用契約や就業規則で定められた義務を果たさないことです。例えば以下のケースが当てはまります。
– 重要な引継ぎを行わず業務が停止した
– 納期のある仕事を途中で放棄して大きな損失が出た
会社は、義務違反によって被った損害の賠償を請求できます。企業側は因果関係と損害の大きさを示す必要があります。

不法行為とは

不法行為は、他人の権利・利益を侵害する故意または過失の行為です。代表的な例は次の通りです。
– 顧客リストを持ち出して横流しした
– 機密情報を外部に漏らした
– 会社のデータを故意に消去した
これらは刑事責任に発展する場合もあります。

具体例で分かりやすく

  • 重要な取引先の連絡先を渡さず、取引が打ち切られた → 債務不履行
  • 顧客情報を競合に販売した → 不法行為(損害賠償+刑事追及の可能性)

損害賠償の範囲と判断基準

会社は実際に発生した損害や予見可能性を根拠に請求します。違法性の程度や行為の悪質さ、従業員の過失の有無が裁判で重視されます。裁判では、会社側が損害額の証明責任を負います。

会社の対応と実務上の注意点

会社はまず事実確認を行い、必要なら内容証明や損害賠償請求を行います。被告となるリスクを避けるため、従業員は次の点を守ってください。
– データや物品は必ず返却する
– 故意に情報を消去しない
– 引継ぎは可能な範囲で記録を残す
問題が複雑な場合は、労働問題に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

ケイズインターナショナル事件 – 実際の判例

事案の概要

入社直後に「病気で働けない」として退職した従業員に対し、会社は約1,000万円の損害賠償を請求しました。従業員は話し合いを拒否し、出社や引継ぎを行いませんでした。

裁判所の判断

東京地裁は会社側の請求を全面的には認めず、最終的に従業員に70万円の支払いを命じました。裁判所は会社の採用・管理体制にも問題があると指摘しましたが、従業員の対応にも過失があると判断しました。

裁判所が重視した点

  • 入社後すぐの退職である点と、会社側の配慮不足を考慮しました。
  • 一方で従業員が話し合いや引継ぎを拒否したことを重大な非協力行為と見なしました。
  • 損害額は全面的な算定ではなく、具体的な事情を見て減額しました。

実務上のポイント

  • 会社は採用時や管理で配慮を示す必要があります。
  • 従業員は病気を理由に退職する場合でも、診断書などの証拠や誠実な対応が重要です。
  • 退職時はまず話し合いで解決を図り、記録を残すと後の争いを避けやすくなります。

この判例は、双方の対応次第で損害賠償の有無・金額が大きく変わることを示しています。

高額請求の事例 – 480万円の損害賠償

事案の概要

営業職の社員が退職代行を通じて突然退職しました。担当していた主要顧客の契約が取り消され、進行中のプロジェクトが中止になりました。会社は代替対応の費用や逸失利益を計算し、約480万円の損害賠償を請求。裁判で一部が認められた事例です。

裁判で重視された点

裁判所は「引き継ぎが行われなかったこと」と「退職と損害との因果関係」を重視しました。具体的には、顧客とのやり取り記録が残らず、代替者を短期間で立てられなかった点、キャンセル料や再契約に要した費用などが認められました。

具体的に問題だったこと(例)

  • 引き継ぎ資料や連絡先が残されていない
  • 顧客が担当不在を理由に契約解除した
  • 会社が短期的に外注や補充を行い高額な費用が発生した

被害を減らすためにできること

営業など顧客関係が重要な職種では、退職時に最低限の連絡と引き継ぎを行うことが重要です。退職代行を使う場合でも、顧客情報や進行状況の整理、上司への引継ぎ案の提示などでリスクを下げられます。

損害賠償請求への対処法

受け取ったらまず落ち着いて確認

内容証明郵便は放置しないでください。届いたら送付日・請求額・請求理由・請求の根拠となる事実(日時・行為)を確認します。感情的に反応せず、内容を写真やスキャンで保存しましょう。

証拠を集める

出勤記録・メールやチャット履歴・引継ぎの有無を整理します。第三者の証言があるなら記録しておくと有利です。会社側の損害と自分の行為の因果関係を検証します。

会社への対応方法

不当だと思えば異議を示す文書を出します。請求の根拠や金額の明細を求め、誤りや過大請求を指摘しましょう。直接交渉が難しければ、内容証明での回答や示談の打診も選択肢です。

弁護士に相談する目安

請求額が高額、または会社が訴訟を示唆する場合は弁護士に相談してください。労働問題に詳しい弁護士なら交渉や必要な法的手続きの助言を受けられます。

訴訟になりそうな場合の注意点

証拠保全を徹底し、記録は削除せず保存します。安易な謝罪や認める発言は避け、専門家の助言のもと対応してください。

リスク回避のポイント

誠実な引継ぎを行う

退職時は引継ぎを丁寧に行うことが最も重要です。具体的には、業務の進行状況・関係者・納期を書いた引継書を作成し、後任や上司に口頭でも説明してください。例:顧客Aの対応履歴と次回対応日を一覧にする。これだけでトラブルを大幅に減らせます。

重要情報はきちんと共有する

顧客連絡先、ログイン情報(会社規定に従う)、契約書の所在など、業務に不可欠な情報を漏れなく伝えます。必要なら引継ぎ会を開き、複数人で確認して記録を残しましょう。

退職日までの出勤義務を守る

無断欠勤や早期退職は損害賠償リスクを高めます。体調不良などで出勤できない場合は早めに連絡し、指示を仰いでください。合意のない欠勤は避けましょう。

会社とのコミュニケーションを記録する

退職日や引継ぎ内容、合意事項は可能な限りメールなど書面で残します。口頭だけだと誤解が生じやすいので「いつ」「誰が」「何を」行ったかを記録しましょう。

問題が起きそうなときの対応

会社側から高額請求の可能性が示唆された場合は、冷静に証拠を集めて相談先(労働基準監督署や弁護士)に相談してください。早めの相談で負担を軽くできることが多いです。

退職代行を使う場合の注意点(簡潔に)

代行を使う際は業者に引継ぎ方法や退職日扱いを確認し、会社と交わした合意内容を記録しておきます。トラブルを避けるため、可能な限り自分でも引継ぎに関与すると安心です。

退職代行利用時の注意

基本的な考え方

退職代行を使っても、労働者としての法的責任は消えません。会社への義務(退職の届出、会社財産の返却、引継ぎなど)は残ります。代行業者は手続きを代行するだけで、責任の免除にはなりません。

具体的に注意する点

  • 退職の意思表示は記録に残す:メールや書面で残すと後々の証拠になります。口頭のみは避けてください。例:退職日と理由を明記したメール。
  • 会社財産の返却:パソコンや社員証、鍵などは必ず返却します。返却方法は記録を残しておきましょう。
  • 引継ぎの有無と内容:業務マニュアルや重要な連絡先を整理し、可能な範囲で引継ぎを行ってください。対応を放棄すると損害賠償の対象になる恐れがあります。
  • 未払い給与や手当の確認:最後の給与・有休買上げなどの未払いがないか確認し、問題があれば証拠を集めておきます。
  • 機密情報の扱い:顧客情報や社内資料を私的に保存・利用すると法的責任を問われることがあります。

会社から請求や連絡が来たら

  • 冷静に対応する:感情的な応酬は避けてください。書面やメールでやり取りを残しましょう。
  • 内容証明や弁護士を活用する:高額請求や脅しがある場合は、弁護士や労働組合に相談してください。

利用前にできる準備(チェックリスト)

  • 退職理由と日時を文書化する
  • 返却物リストを作る
  • 引継ぎ資料を用意する(最低限)
  • 未払の確認用に給与明細やタイムカードを保管する
  • 代行業者の契約内容を確認する(どこまで代行するか)

退職代行は便利ですが、義務や責任は本人に残ります。手続き前に準備を進め、問題が起きたら速やかに専門家へ相談してください。

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