はじめに
退職時期の希望を伝えるときは、端的なキーワードを準備すると相手に伝わりやすく便利です。本書では、履歴書や面接、エージェント登録で使える書き方や、希望時期を決める際の考え方、実際の伝え方例を順に解説します。
目的
転職活動では、時期の表現があいまいだと手続きが滞ったり、相手に不安を与えたりします。明確に示すことで調整がスムーズになり、選考や入社日の設定がしやすくなります。
ここで覚えてほしいポイント
- 短く具体的なキーワードを用意する(例:即日、1か月以内、3か月以内、応相談、年度末)
- 今の職場の退職規程や必要な引き継ぎ期間を確認してから伝える
- 嘘は避け、可能な範囲で柔軟性を示す
次章以降で、具体的な書き方と伝え方の例を丁寧に紹介します。
よくある退職時期の書き方
退職時期は応募先に伝わりやすく、現職との調整がしやすい書き方が大切です。ここでは代表的な表現と使い分け、注意点を分かりやすく解説します。
代表的な書き方と例
- 「〇年〇月末日退職予定」
- 明確な最終出社日を示します。手続きや有給消化が確定しているときに使います。
- 「〇年〇月中の退職を希望」
- 月単位での希望を示します。微調整を残したい場合に便利です。
- 「内定後〇か月以内に退職可能」
- 内定から退職までの目安を示します。転職先の入社時期に合わせやすく伝わります。
- 「現職の引き継ぎ完了後、〇か月後に入社可能」
- 引き継ぎを優先する姿勢を示します。相手に安心感を与えます。
書き方のポイント
- 日付はできるだけ具体的に書きます。曖昧さは選考の遅れにつながります。
- 「応相談」「前倒し可能」などの補足を加えると柔軟性を示せます。
- 履歴書や応募フォームでは短く簡潔に。面接で詳細を伝えます。
注意点とよくある誤り
- 現職の規定(退職届の提出時期や有給)を確認してから記載してください。
- 「即日」や「未定」は誤解を招きやすいので避け、調整中なら「応相談」と書きます。
使える短文テンプレート
- 〇年〇月31日退職予定
- 〇年〇月中の退職を希望(応相談)
- 内定後1~2か月以内に退職可能
- 引き継ぎ完了後、1か月以内に入社可能
これらを基に、実際の状況に合わせて表現を調整してください。
退職時期の希望を決めるポイント
1) 就業規則を最初に確認する
多くの会社は「退職の何か月前までに申告」と定めています。まずは就業規則や雇用契約書を見て、必要な申告期間を逆算してください。例:規則が1カ月前なら、6月末退職を希望する場合は5月末までに申告します。
2) 転職先の入社時期を合わせる
理想は「現職の最終勤務日=次の職場の入社前日」です。入社日が4月1日なら、現職の最終勤務日は3月31日にするとスムーズです。余裕が必要なら、引越しや休養日を考えて数日〜数週間の猶予を設けると安全です。
3) ボーナスと有給の扱いを考える
ボーナス支給日が近い場合は、支給後に退職する選択を検討してください。有給は会社の規定で取得可否や買取りが異なります。消化を前提に退職日を決めるか、消化できないときに買い取りや調整を相談する準備をしましょう。
4) 実務上の調整ポイント
引継ぎ計画を早めに作り、引継書や業務マニュアルを整えます。重要な案件は誰が引き継ぐか明確にし、関係者へ周知してください。上司へは口頭で相談した後、正式に書面で提出するのが礼儀です。
5) 例外や相談の余地
どうしても希望日にできない場合は、上司や人事、転職先の担当者に相談して調整します。柔軟に交渉すると両者にとって負担が減ります。
面接やエージェントでの伝え方例
基本の伝え方
面接やエージェントには、結論を先に伝えます。例:「退職時期の希望は、〇年〇月末日です。」理由や調整可能性を続けて伝えると安心感を与えます。
面接での具体例
- 固定日を伝える場合:
「現在の業務の引き継ぎと有給消化を考え、退職は〇年〇月末を希望しています。入社はその翌月から可能です。」 - 目安で伝える場合:
「内定から約〇か月後の退職を想定しています。具体的な日程は採用後に確定したいです。」
エージェントへの伝え方
エージェントには現状の制約を明確に伝えます。例:
「現職の規定により、退職申し出から最短で〇か月後の退職となります。候補日をいくつか挙げることもできます。」
想定される質問への回答例
- すぐに入社できますか?:”最短で〇月〇日から可能です。ただし引き継ぎで多少前後する可能性があります。”
- 有給は消化できますか?:”有給消化を見込んでおり、約〇日間を予定しています。調整は可能です。”
伝える際のポイント
- 具体的な日付や月数を示す。曖昧な表現は避ける。
- 正直に現状を説明し、調整可能かどうかを付け加える。
- 面接では短く端的に、エージェントには背景を細かく伝える。
これらを参考に、自分の事情に合わせて表現を準備してください。
退職時期の相談ポイント
転職先が決まっているか、ボーナスや有給の扱い、業界の繁忙期などを踏まえて退職時期を相談すると、無理のない移行ができます。以下のポイントを順に確認してください。
転職先が決まっている場合
- 入社日を確認し、引継ぎに必要な期間を逆算します。短期間での調整が必要な場合は、入社日を前倒しできるか先方に相談します。
- ブランク期間が発生するなら、給与の途切れや保険手続きを見越して計画します。
ボーナスや有給の扱い
- ボーナス支給月の前後は退職時期の重要ポイントです。支給条件を就業規則で確認します。
- 有給消化は会社の規程に従い、消化が難しい場合は買い取りや調整を相談します。
業界の繁忙期と引継ぎ
- 繁忙期を避けると引継ぎがスムーズです。繁忙期がある業種は早めに上司と調整します。
- 引継ぎ資料は実務手順、関係者連絡先、未完了タスクを明記します。
相談相手と伝え方のタイミング
- 直属の上司、人事、転職エージェント、家族に分けて相談します。優先度は上司→人事です。
- 伝える際は希望日を2案提示し、業務への影響を説明します。
実務的チェックリスト
- 就業規則の退職手続き確認
- 退職届の提出時期決定
- 有給残日数とボーナス条件確認
- 引継ぎスケジュール作成と関係者共有
- 保険・年金・給与の手続き準備
これらを整理して相談すれば、円滑に退職準備を進められます。


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