懲戒解雇の無断欠勤日数とは?基準と注意点を詳解

目次

はじめに

本記事の目的

この章では、無断欠勤が続いた場合に企業が懲戒解雇を検討する際の基本的な考え方を分かりやすく説明します。法律上に明確な日数の定めはない一方、実務では「14日間程度」が目安とされることが多い点について触れます。

誰に向けた記事か

人事・総務の担当者、経営者、また従業員本人や労務問題に関心のある方に向けて書いています。専門用語は最小限にして、具体例や手続きの流れを中心に説明します。

本記事で扱う内容の概要

第2章で法律上の基準、第3章で14日という目安の理由、第4章で懲戒解雇を有効にするための手続き上の注意点を解説します。第5章では証拠の集め方と会社側の対応、第6章で就業規則や“自然退職”に関する取り扱いを、第7章で企業が注意する実務上のポイントを紹介します。

この記事を通じて、無断欠勤に対して適切に対応するための考え方と実務のポイントを身につけていただければ幸いです。

無断欠勤で懲戒解雇となる日数の法律上の基準

法律そのものに明確な日数はない

日本の法律には「何日以上で懲戒解雇」と明確に定めた条文はありません。企業が懲戒解雇を行うには、個別の事情と社会通念に照らして正当と判断される必要があります。

通達や判例の目安 — 「14日間(2週間)」

厚生労働省の通達や多くの判例を踏まえると、一般に「14日以上の連続した無断欠勤」が懲戒解雇の目安とされています。たとえば、東京地裁(平成12年10月27日)は14日以上の無断欠勤を理由にした懲戒解雇を正当と認めた例があります。

短期間の扱い

一方で、6日程度など短期間での懲戒解雇は裁判所が不当と判断するケースが多くみられます。短期間の場合は、欠勤の理由確認や注意・警告の有無、代替措置の必要性などを厳しく見られます。

企業が確認すべき点(簡単な例)

  • 連絡が取れない日数が続いているか
  • 従業員に連絡や出社督促を行ったか(電話・メール・書面)
  • 就業規則に無断欠勤の扱いが明記されているか
  • 業務への影響の程度
    これらを記録しておくことが重要です。

なぜ「14日間」が目安になっているのか

基準の出所

労働基準監督署の運用基準である「解雇予告の除外認定」が根拠です。ここでは「原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」を事由として挙げています。つまり行政の運用指針が、企業側の判断に一定の目安を示しています。

14日を目安とする理由

短期間の欠勤は事情が多様であり、急病や交通事情など正当な理由が存在することが多いです。14日間という期間は、本人に連絡や説明の機会を与え、かつ企業が業務継続を図るために合理的に判断できる区切りとされています。長期にわたり無断で欠勤し連絡もない場合、企業は業務運営に支障が出るため、労働者側の責任が重いとみなされやすくなります。

具体例と判断のポイント

  • 例1:通知や電話、内容証明で出勤を促したが14日たっても応答がない場合は、目安にあたります。
  • 例2:短期間の無断欠勤が繰り返され、合計で相当期間に至る場合は慎重に判断されます。
    判断では、欠勤の理由(病気など)、企業の督促の有無、就業規則の定め、過去の勤務態度などを総合的に見ます。行政基準は目安であり、最終的には個別事案の事情で有効性が左右されます。

懲戒解雇を有効にするための注意点

就業規則の明記と運用

就業規則に「無断欠勤○日以上で懲戒解雇」と明記し、具体的な日数や連絡方法を定めます。運用は全社員に平等に行い、周知文書や雇入れ時の説明で証拠を残します。例:欠勤連絡は電話・メールのどちらを可とするかを明記する。

事実確認と弁明の機会

欠勤事実を確認したら書面で通知し、本人に弁明の機会を与えます。面談や書面での回答期間(例:5営業日)を設定すると合理性が高まります。会社は一方的に判断せず、本人の説明を記録します。

証拠の収集と保管

欠勤記録、連絡履歴、業務への影響を示す資料をそろえます。メールや出勤簿、業務代行の記録、場合によっては医師の診断書も重要です。証拠は時系列で整理し、保存期間を定めて保管します。

やむを得ない事情への配慮

病気や介護、事故などの事情がある場合は慎重に判断します。理由が認められると懲戒解雇は無効となることが多いため、事情聴取や医療機関への確認を行います。

処分の相当性の判断

処分は違反の重さや再発防止の必要性と釣り合うことが必要です。短期間の無断欠勤(例:10日未満)で即懲戒解雇すると裁判で無効とされるリスクが高くなります。しかし、長期かつ故意の無断欠勤は有効と認められる場合があります。過去の運用と整合性を保つことも大切です。

証拠の重要性と会社側の対応

はじめに

無断欠勤で懲戒解雇を検討する際、確実な証拠が欠かせません。証拠が弱いと解雇が無効になる恐れがあるため、最初から慎重に記録を残します。

集めるべき勤怠記録

タイムカードや出勤簿、日報、勤怠システムのログを保存します。具体例として、打刻の有無やシステムのアクセス履歴をPDFやスクリーンショットで出力して保管します。

連絡がないことの証拠

電話の発信履歴、メールやSMSの送受信履歴、社内チャットのログを保存します。連絡した日時・方法・文面を明確にしておくと証拠性が高まります。

督促の記録

口頭だけでなくメールや文書で督促し、その経過を日付入りで記録します。内容証明郵便を使うと証拠力が強くなります。

職場関係者の証言・面談記録

上司や同僚の目撃証言、面談の議事録(日時・場所・参加者・発言要旨)を作成します。可能なら署名や捺印をもらっておくとよいです。

証拠の保存と注意点

電子ファイルはタイムスタンプや出力日を残し、原本は別フォルダで保管します。個人情報の取り扱いに配慮してください。

法的リスクへの配慮

証拠が不十分だと懲戒解雇が争われ、会社側の負担が大きくなります。労務担当や弁護士と連携し、記録の取り方や手続きを確認してください。

就業規則と「自然退職」規定の活用

規定を作る意義

就業規則に無断欠勤に関する具体的な日数と扱いを明記すると、トラブルを未然に防げます。懲戒解雇と自然退職の区別を示すことで、対応方針が明確になります。

具体例(文言の例)

  • 「連続して30日以上無断欠勤し、所在が確認できないときは自然退職とする」
  • 「無断欠勤が14日を超えた場合、就業規則に基づき懲戒対象とする」
    例を参考に、自社の実情に合わせて日数や条件を調整してください。

運用上の手順

  1. 電話、メール、緊急連絡先、書留などで所在確認を行い、記録を残す。
  2. 所在不明のまま規定日数を経過したら、書面で退職扱いの通知を出す。
  3. 社会保険や給与計算の手続きを行う。

注意点

  • 規定は労働基準法に沿って作成し、従業員に周知してください。
  • 所在確認の努力や通知を怠ると争いになる恐れがあるため、記録を丁寧に残します。
  • 自然退職にすると退職金や解雇の有無で扱いが変わるため、就業規則と運用を整えておきます。

活用のメリット

自然退職規定を適切に運用すれば、解雇手続きよりも事務処理がスムーズになり、社内の対応が一貫します。従業員に不利益を与えないよう配慮しつつ、早めに規定と手順を整えましょう。

企業が注意すべきポイント

無断欠勤を理由に懲戒解雇を検討する際、企業は多方面から慎重に判断する必要があります。以下の点を順に確認してください。

欠勤日数の把握

欠勤の日数を正確に記録します。連続欠勤の日数だけでなく、途中の連絡有無や断続的な欠勤も含めて記載します。目安の「14日間」は参考であり、個別事案で差が出ます。

就業規則の確認と周知

就業規則に懲戒の基準や手続きを明記しているか確認します。実際の運用と規則が一致しているかも重要です。規則が未整備ならまず整備し、社員に周知します。

本人との連絡記録

電話・メール・書面などの連絡履歴を残します。連絡が取れない場合に取った対応(訪問、内容証明郵便など)も記録しておきます。

やむを得ない事情の確認

病気や事故、家庭の事情など合理的な理由がないか確認します。事情がある場合は医療証明などで裏付けを求める配慮が必要です。ここで見落とすと懲戒が無効になる可能性があります。

証拠の確保(重要)

出勤簿、タイムカード、勤怠システムのログ、上司の報告書、社内メールなど関連証拠を保存します。証拠は後の争いで重要になります。

個別事情と外部相談

個別事案は裁判例で評価が分かれることが多いです。労働局や弁護士に相談し、リスクを確認してください。

いずれの場合も慎重に対応して、記録と説明責任を果たすことを心がけてください。

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