はじめに
この文書の目的
この文書は、源泉徴収票が1年未満の勤務期間でも発行されるか、いつ発行されるか、どの期間を対象とするかを分かりやすく解説します。退職や転職で短期間だけ働いた場合に生じる実務的な疑問に答えることを目的とします。
対象読者
短期雇用や転職を経験した人、年末調整や確定申告を控えた人、源泉徴収票の扱いに不安がある人向けです。税務や労務の専門知識がなくても理解できるように書いています。
本書で扱う主な内容
- 源泉徴収票の対象期間とは何か
- 1年未満の勤務でも発行されるかの基準
- 記載内容と注意点、よくある誤解
- 取得・保管・利用の方法と提出先
- 実務でよくあるQ&A(具体例つき)
読み方のポイント
各章は具体例と図を使わずに平易に説明しています。まず第2章で対象期間の基本を押さし、第3章で短期勤務時の実務を確認してください。必要に応じてQ&Aに目を通すと、実際の状況に当てはめやすくなります。
源泉徴収票の対象期間とは
概要
源泉徴収票は、その年の1月1日から12月31日までに会社が支払った給与や控除、徴収した所得税の金額をまとめた書類です。会社員は年末調整後に毎年1回受け取るのが一般的です。記載される期間は暦年(カレンダー年)で、年度(4月~翌年3月)ではありません。
途中退職・転職した場合
年の途中で退職や転職をしたときでも、その時点までに支払われた分について源泉徴収票を発行します。例えば1月〜3月にA社で働き、4月からB社に転職した場合、A社とB社からそれぞれその年に支払った分の源泉徴収票を受け取ります。
複数の勤務先や短期間勤務の扱い
同じ年に複数の勤務先があれば、勤務先ごとに源泉徴収票が発行されます。短期間のアルバイトや派遣でも、給与が支払われて税金が天引きされていれば発行されます。
注意点
・源泉徴収票は年ごとの合算に使います。確定申告や年末調整で複数の源泉徴収票を提出する必要がある場合があります。
・書類の対象期間は常に1月1日〜12月31日なので、年度で管理していると見落としやすい点に注意してください。
1年未満の勤務でも源泉徴収票は発行される
概要
短期間の勤務でも、会社は源泉徴収票を発行します。退職した年の1月1日から退職日までに支払われた給与や差し引かれた所得税が記載されます。転職やアルバイトで数か月だけ働いた場合も同様です。
発行の時期と義務
会社は退職後1か月以内に源泉徴収票を交付する義務があります。もし受け取れないときは、会社に請求してください。郵送やメールでの交付に応じる会社も増えています。
具体例
例1:3か月のアルバイトで給与が支払われた場合、その期間の合計給与と源泉徴収税額が記載されます。
例2:年内に2社で働いた場合、各社がそれぞれの源泉徴収票を発行します。確定申告や年末調整でこれらを合算します。
受け取り後の扱い
源泉徴収票は確定申告や新しい勤務先での年末調整に必要です。大切に保管してください。万が一、会社が発行しない場合は最寄りの税務署に相談してください。
源泉徴収票の記載内容と注意点
源泉徴収票に記載される主な項目
- 支払金額(その年に実際に支払われた給与・賞与の合計)
- 所得控除の内訳(社会保険料や扶養控除など)
- 源泉徴収税額(会社が天引きした所得税の合計)
- 支払者や受給者の氏名・住所などの基本情報
具体例:12月分の給与が翌年1月に支払われた場合、その金額は翌年分の支払金額として記載されます。
支払月が基準になることの注意点
給与は「働いた月」ではなく「支払われた月」が基準です。年をまたぐ給与の扱いに注意してください。年末調整は原則としてその年に支払われた給与が対象になります。
退職・転職時の扱い
退職時に発行された源泉徴収票は、転職先に提出します。転職先で年末調整を受ける際や、自分で確定申告をする際に必要です。紛失した場合は前の勤務先に再発行を依頼してください。
記載ミスや確認ポイント
- 支払金額や源泉徴収税額が合っているか確認します。給与明細と照合してください。
- 社会保険料や扶養の情報に誤りがあれば早めに会社に連絡しましょう。
- 複数の勤務先がある場合、合算すると税額が変わることがあります。その場合は確定申告が必要になることがあります。
記載内容を早めに確認し、疑問があれば速やかに勤務先に相談してください。
源泉徴収票の取得・保管・利用方法
受け取り方法
- 退職時や年末調整後に会社から交付されます。通常は紙で渡されますが、電子交付に対応する会社もあります。
紛失や再発行の手続き
- 紛失したら勤務先の総務・人事・給与担当に連絡してください。再発行は会社が対応します。本人確認のため氏名・在籍期間などを伝えるとスムーズです。
保管の目安と方法
- 確定申告や転職時に必要なので、最低1年間は手元に保管することをおすすめします。会社側は源泉徴収簿を7年間保存する義務がありますが、従業員本人に法的な保管義務はありません。
- 保管はファイルや封筒に分けて整理し、電子化する場合はスキャンしてバックアップを残すと安心です。
利用場面
- 確定申告、年末調整の手続き、再就職先への提出、住宅ローンなどの収入証明として使われます。
注意点
- 個人情報が含まれるため、安易に第三者に渡さないようにしてください。再発行に時間がかかる場合があるので、早めに依頼しましょう。
1年未満勤務時の具体的なQ&A
ここでは1年未満勤務の場合に多い疑問をQ&A形式でわかりやすく整理します。
Q1: 入社した年の途中で退職した場合、源泉徴収票はどうなる?
その年の1月1日から退職日までに支払われた給与と源泉徴収税額が記載された源泉徴収票が発行されます。退職時に交付されることが多いので、まずは会社に確認してください。
Q2: 複数の会社で働いた場合はどうする?
それぞれの会社から源泉徴収票が発行されます。転職先で年末調整を受ける場合は、前の会社の源泉徴収票を提出します。年末調整ができない場合や自分でまとめて精算したい場合は、すべての源泉徴収票を使って確定申告します。
Q3: パート・アルバイトでも必要ですか?
雇用契約に基づく労働(パート・アルバイト含む)であれば、会社に源泉徴収票を発行する義務があります。一方、業務委託など雇用関係がない場合は源泉徴収票の発行義務はありません。
Q4: 源泉徴収票が届かない、紛失したときは?
まず前の勤務先に連絡して再発行を依頼してください。会社が対応できない場合は、給与明細や振込記録を保存しておき、確定申告の際にそれらを使って申告します。
Q5: 記載に誤りがあった場合は?
金額や年数に誤りがあれば、勤めていた会社に訂正を依頼してください。会社は訂正した源泉徴収票を再発行できますので、早めに連絡しましょう。
Q6: 確定申告が必要かどうか教えてください。
複数の源泉徴収票がある場合や、最終勤務先で年末調整がされていない場合は確定申告が必要になることが多いです。不安があるときは、税務署や税理士に相談すると安心です。
まとめ
要点のまとめ
1年未満の勤務でも、勤務した年に支払われた給与全額が記載された源泉徴収票は必ず発行されます。退職や転職の際には発行を受け取り、内容を必ず確認してください。
受け取りと確認のポイント
受け取ったら、氏名や金額、支払期間などに誤りがないか確認します。誤りがあれば前職の総務や給与担当に連絡して訂正や再発行を依頼してください。
利用と保管のポイント
源泉徴収票は次の職場への提出や確定申告で必要になります。紛失しないよう大切に保管し、データ化してコピーを残すと安心です。
受け取り忘れや未発行の場合
退職後に受け取っていないと気づいたら、まず前の勤務先に問い合わせてください。対応が難しい場合は税務署に相談すると、手続きの助言が得られます。
どなたでも分かりやすく、必要な手続きが進められるように、源泉徴収票は早めに受け取り内容を確認し、確実に保管しておくことをおすすめします。
コメント