はじめに
この記事の目的
この章では、源泉徴収票がいつ頃手元に届くのかを分かりやすく説明します。会社員・退職者・公的年金受給者それぞれの受け取り時期や受け取り方、届かないときの基本的な対処の考え方を、この後の章で詳しく解説します。
読者対象と概要
- 会社員やこれから退職する人
- 年金を受け取っている人
- 源泉徴収票の受け取り時期が気になる人
この記事を読めば、いつ頃届くのかの目安と、届かなかった場合にまず取るべき行動が分かります。たとえば「年明けに会社から郵送される」「年金は年明けに発送されることが多い」といった一般的な流れを理解できます。
本記事の構成
第2章以降で、会社員・退職者・年金受給者ごとに具体的な時期と手続き、届かない場合の対策を順に説明します。必要に応じて、実際の問い合わせ先や確認のコツもお伝えします。
会社員の場合(給与所得者)
通常の受け取り時期
年末調整が終わったあと、12月の給与明細と一緒に源泉徴収票を受け取ることが多いです。会社は翌年1月31日までに従業員へ交付する義務があります。例えば、会社員Aさんは1月中に人事から封筒で受け取り、手元に保管します。
退職時の交付
年の途中で退職した場合は、退職日の1か月以内に源泉徴収票を受け取れます。退職の翌月に届かないと感じたら、まずは退職先の総務や人事に問い合わせてください。
電子交付(ダウンロード)
近年は電子交付も増えています。会社ごとに配布方法は異なります。社内ポータルからダウンロードする、メールで案内が来るなど具体例はさまざまです。ログイン方法や保存の仕方は勤務先の案内を確認しましょう。
源泉徴収票の見方(主な項目)
- 支払金額:その年に支払われた給与の合計です。例:年収300万円ならここに表示されます。
- 源泉徴収税額:会社が天引きした所得税の合計です。
- 社会保険料等の金額:健康保険や年金の自己負担分が載ります。
見本と照らして数字に誤りがないか確認してください。
受け取ったらすること(具体的手順)
- 金額を確認する(支払金額・源泉徴収税額・控除項目)。
- 不一致があれば給与担当へ連絡する。具体例:給与明細と支払金額が合わない時は明細を添えて相談。
- 確定申告や住宅ローンなどで必要な場合はコピーを保管する。
よくあるトラブル(簡潔)
- 交付が遅い:1月31日を過ぎたら催促する。
- 紛失した:会社に再交付を依頼する。電子交付なら再ダウンロードの方法を確認してください。
退職者の場合
退職後は最終給与が確定してから1か月以内に源泉徴収票が郵送されることが一般的です。まずは到着予定を待ち、届かない場合の対処方法を段階的にご案内します。
■ 届かないと感じたときにまずすること
・前職の人事・総務・経理へ電話やメールで問い合わせます。問い合わせ時は「最終勤務日」「最終支給額」「源泉徴収票の送付先」を伝えてください。受取方法(郵送・手渡し)を確認します。
■ 催促しても送ってもらえない場合
・電話だけでなく、メールや書面で催促の記録を残します。送付期限を明記すると対応が早くなることがあります。
■ 税務署への手続き
・会社がどうしても交付しない場合、「源泉徴収票不交付の届出手続」を税務署で行えます。必要書類は本人確認書類と、これまでのやり取りの記録(メールや送付依頼の控え)です。税務署で事情を説明すると、会社に交付を促す仕組みや、確定申告時の対応方法を案内してくれます。
■ 確定申告の準備
・源泉徴収票が間に合わない場合は、給与明細や銀行の振込記録を用意し、税務署に相談して確定申告を行います。金額の根拠を示す資料を揃えると手続きがスムーズです。
小さな手間でも記録を残すことが重要です。早めに行動すると、手続きが楽になります。
公的年金受給者の場合
公的年金を受け取っている方向けに、源泉徴収票の受け取り方法と確認ポイントをやさしく説明します。郵送と電子の両方があるため、まずはどちらで受け取れるかを確認しましょう。
発送時期と目安
- 源泉徴収票は毎年1月8日から16日にかけて順次郵送されます。2025年(令和7年)は1月8日(水)~16日(木)に発送予定です。
- 郵便事情を考え、届くまで概ね8日程度待つ案内が出ています。住所変更がある場合は届きにくくなるので注意してください。
電子データでの受け取り方(具体例)
- マイナポータルや「ねんきんネット」で、1月7日以降に確認・ダウンロードできます。
- 例:マイナポータルにログイン→届出・書類の確認→公的年金の源泉徴収票を選んでダウンロード。ねんきんネットでも同様に表示・保存できます。
- 電子で保存しておくと、確定申告や各種手続きで便利です。
受け取ったあとの確認ポイント
- 支払金額、源泉徴収税額、支払者(年金支給機関)の名称、受給者名などが正しいか確認してください。
- 金額や記載に不明点があれば、年金事務所または支給機関に問い合わせましょう。
※ 届かない場合の詳しい対処法は第5章で解説します。
源泉徴収票が届かない場合の対処法
概要
年明けに届くはずの源泉徴収票が手元にない場合、まずは発行元に問い合わせることが基本です。ここでは会社員・退職者と年金受給者それぞれの対処法を、具体的な手順と準備物を挙げてわかりやすく説明します。
会社員・退職者の場合
- 勤務先(または退職した会社)にまず連絡します。総務や人事担当に「源泉徴収票の送付状況」を確認してください。メールや電話の記録を残すと後で役に立ちます。
- 会社側で「再発行」や「発送漏れ」の対応ができるか確認します。再発行を依頼する際は、宛先や旧住所の変更がないかも合わせて伝えてください。
- 会社が発行に応じない、または長期間発行されない場合は最寄りの税務署で「不交付の届出」を行います。税務署に行く際は本人確認書類、給与明細や離職票など、収入を示す書類を持参してください。税務署で手続きをすれば、確定申告に必要な対応について案内を受けられます。
年金受給者の場合
年金の源泉徴収票は通常1月8日~16日の間に発送されます。この期間を過ぎても届かないときは、最寄りの年金事務所や日本年金機構の窓口に問い合わせてください。問い合わせ時は受給者番号や年金証書、現住所が確認できるものを用意すると手続きがスムーズです。
問い合わせ時のポイント
- 問い合わせは電話だけでなく、可能ならメールや書面で行い記録を残してください。
- 会社や年金機関に再発行をお願いした際の対応期限を確認し、改善がない場合は税務署へ行く旨を伝えておくと良いでしょう。
- 確定申告の期限が近い場合は早めに税務署に相談してください。書類が揃わない場合の代替手続きについて案内を受けられます。
必要な手順を順番に進めれば、源泉徴収票がなくても税務上の対応ができます。不安な点は税務署や年金事務所に相談して確認してください。
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