はじめに
はじめに
「源泉徴収票は毎年必ずもらえるのだろうか?」と疑問に思っていませんか?この章では、そんな不安に答えるために本書の目的と読み方を丁寧に説明します。
本書の目的
この文書は、源泉徴収票の受け取り可否、発行時期、受け取り方法、退職や途中入社時の取り扱い、紛失時の再発行方法など、生活や手続きで必要になる疑問にわかりやすく答えることを目的としています。確定申告や所得確認、ローン手続きなどで必要になる書類の扱い方を具体例を交えて解説します。
想定する読者
- 会社員やアルバイト、派遣社員の方
- 退職・入社のタイミングで不安がある方
- 源泉徴収票の取り扱いを初めて学ぶ方
本書の流れ
続く章で、源泉徴収票の基礎から発行時期、記載内容、紛失時の対応、保管の重要性まで順を追って説明します。難しい言葉はできるだけ避け、具体例を用いて丁寧に解説しますので、安心して読み進めてください。
源泉徴収票とは何か
概要
源泉徴収票は、会社が1年間(1月~12月)に従業員に支払った給与や賞与、その際に差し引いた所得税や社会保険料などをまとめて記載した証明書です。会社は所得税法に基づき、従業員ごとに毎年作成・交付する義務があります。
主な記載項目(例)
- 支払金額:年間の給与や賞与の合計
- 源泉徴収税額:会社が差し引いた所得税の合計
- 社会保険料等の控除額:健康保険や年金など
- 扶養親族の数や控除に関する情報
- 支払者(会社)の名称・所在地、交付年月日
何のために使うか
源泉徴収票は、年末調整や確定申告で所得や税額を確認するために使います。また、ローン申し込みや各種手続きで収入証明として求められることがあります。
注意点
記載内容に誤りがあれば、早めに会社の総務・人事や経理に確認してください。大切な書類なので紛失しないよう保管し、必要時にすぐ出せるようにしておくと安心です。
源泉徴収票は毎年もらえるのか
原則
源泉徴収票は原則として毎年交付されます。会社で年末調整を行った場合、その内容を記載した源泉徴収票が発行されます。従業員は年ごとの所得や税金の状況を確認できます。
会社からの交付時期
会社は年末調整が終わった後、通常は翌年1月31日までに従業員へ源泉徴収票を交付する義務があります。例えば、2024年分の源泉徴収票は2025年1月末までに受け取ることが一般的です。
退職者の場合
退職した人には、原則として退職後1か月以内に源泉徴収票が発行されます。退職時に受け取れない場合は、会社へ請求するとスムーズです。
公的年金受給者の場合
公的年金を受け取っている人には、日本年金機構などが源泉徴収票(公的年金等の源泉徴収票)を発行します。通常は1月中旬ごろに送付されます。
補足(複数の勤務先やアルバイト)
1年の途中で会社を変えた場合や複数の勤務先がある場合は、それぞれの勤務先から個別に源泉徴収票が出ます。確定申告や手続きの際は、すべての源泉徴収票を揃えてください。
源泉徴収票がもらえるタイミング
概要
年末調整が会社で終わると、従業員に源泉徴収票が配られます。一般的に年末調整は12月に行われ、配布は12月~1月末ごろが目安です。会社の締めや事務処理の都合で前後することがあります。
年末調整後(給与所得者)
会社が年末調整を行った後、支払額や税額を確定して源泉徴収票を作成します。多くの会社は年末調整後に社員へ手渡しや郵送で配布します。例えば、12月に年末調整を済ませた会社なら、12月末から翌年1月中に受け取ることが多いです。
退職時
退職した場合は、退職した勤務先が原則として退職日から1か月以内に源泉徴収票を発行します。退職時に受け取れなかった場合は、会社に請求すれば郵送などで送ってもらえます。例:12月15日に退職したら、1月15日までに受け取れるはずです。
転職・中途入社のケース
年の途中で転職した場合、それぞれの勤務先がその在籍期間の源泉徴収票を発行します。年末調整を新しい勤務先で行うときは、前の職場の源泉徴収票が必要になるため、速やかに取り寄せましょう。
確定申告や追加発行
確定申告や住宅ローン控除などで追加の証明が必要な場合、会社に再発行を依頼できます。再発行には社内の手続きや手数料がかかることがあるので、早めに相談してください。
受け取り時の注意点
配布が遅れるときは総務・人事に確認しましょう。もし受け取れないまま年を越す場合、確定申告や各種手続きに影響するので早めの連絡が大切です。電子交付を行う会社もありますが、希望や条件は会社ごとに異なります。
源泉徴収票の記載内容
源泉徴収票には、その年に受け取った給与や税金の状況が一目で分かるように主要項目が記載されています。ここでは、実際にチェックしておきたい項目をわかりやすく説明します。
主な記載項目
- 支払金額(その年の給与等の総額)
- 給与所得控除後の金額(給与から所得控除を差し引いた金額)
- 所得税の源泉徴収税額(会社が天引きして納めた税金)
- 社会保険料等の金額(健康保険・厚生年金・雇用保険など)
- 各種所得控除の内容(扶養親族の数、配偶者控除、基礎控除など)
- 支払者・受給者の氏名・住所(事業所名や本人名)
項目ごとの見方(具体例)
例:年収500万円の場合、支払金額は500万円と記載されます。社会保険料が40万円なら「社会保険料等の金額」に40万円と表示され、源泉徴収税額が15万円ならその金額が記載されます。扶養親族が1人なら扶養の欄に「1」と書かれ、配偶者控除があればその控除額も記載されます。
確認ポイント
金額に誤りがないか、扶養の人数や控除の有無が正しいかを必ず確認してください。給与明細と照らし合わせると見落としが減ります。確定申告や各種手続きで必要になるため、内容を把握しておくことが大切です。
源泉徴収票の提出先と部数
- 会社は原則として合計4部を作成します。
- 従業員本人用(1部): 従業員に渡す正式な証明書です。年末調整の結果や源泉徴収された税額の確認、確定申告やローン申請などで使います。
- 税務署用(1部): 会社が税務署へ提出するためのものです。給与から差し引かれた源泉徴収税額や年末調整の内容を税務署に報告します。
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市区町村用(2部、給与支払報告書として): 住民税の計算や課税資料として市区町村に提出します。通常、1部は提出用、1部は控えや市区町村内部での処理用として扱われます。
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実務上の注意点
- 提出先は従業員の住所地に応じて市区町村が決まります。転居がある場合は住所を確認してください。
- 提出方法は手渡し、郵送、または電子申告(e-Taxや自治体の電子窓口)があります。電子提出を利用すると手続きが楽になる場合があります。
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複数の勤務先がある場合は、それぞれの勤務先が源泉徴収票を発行します。副業があるときは必要な分だけ受け取ってください。
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従業員への一言
受け取った源泉徴収票は大切に保管してください。複数の証明が必要な場合は、会社に写しの発行を相談できます。
源泉徴収票がもらえない場合・紛失した場合
発行されない場合の確認手順
まずは会社の経理担当者や人事に問い合わせてください。発行忘れや手続き上の遅れであることが多いので、口頭だけでなくメールで依頼内容と受け取り方法(郵送・手渡し・PDF)を伝えると安心です。
再発行の依頼方法と必要情報
再発行は社内の窓口に「再発行をお願いします」と伝えれば対応してもらえます。伝えるとよい情報:氏名、社員番号、対象の年、受取先住所やメールアドレス。本人確認が求められることがあるので、身分証や社内IDを準備してください。
再発行にかかる時間と注意点
再発行には数日〜数週間かかることがあります。繁忙期や担当者の不在で遅れる場合もあります。手続きの進捗を定期的に確認すると安心です。
会社に連絡が取れない・倒産時の対応
会社と連絡が取れない場合は、市区町村窓口や税務署に相談してください。退職届や給与明細、源泉徴収の代わりとなる書類で対応できる場合があります。年金機構が関係する場合は年金機構に問い合わせることも検討してください。
紛失した場合の確定申告対応
源泉徴収票を紛失しても、再発行を待てない場合は給与明細や銀行の振込履歴などで収入を証明し、税務署に相談しながら確定申告を進められます。可能であれば再発行を優先してください。
源泉徴収票の保管期間と重要性
保管義務について
源泉徴収票を保管する法的な義務は基本的にありません。ただし、実務上は後で必要になる場面が多いため、手元に残しておくことをおすすめします。
推奨される保管期間
- 少なくとも5年間は保管してください。過去数年分(3〜7年程度)を保存しておくと安心です。
保管しておく理由(具体例)
- 収入証明:住宅ローンや各種補助金、奨学金の申請で過去の収入を証明する必要があります。
- 確定申告:誤りの訂正や税務署からの問い合わせに備えて、過去分の書類が役立ちます。
- 年金・社会保険の確認:勤務先や加入履歴の確認に使います。
保管方法とポイント
- 紙での保管:ファイルやクリアホルダーで年度ごとに分け、湿気や火災に注意してください。
- デジタル保存:スキャンや写真で保存し、バックアップを2箇所以上に置くと安全です。PDF化して日付とファイル名を統一すると探しやすくなります。
- セキュリティ:個人情報が含まれるため、暗号化やパスワード保護を検討してください。
紛失した場合の対処
- 勤務先に再発行を依頼してください。退職済みでも、過去の勤務先に問い合わせれば再発行してもらえる場合があります。税務署では源泉徴収票そのものは発行しませんが、必要に応じて所得証明の手続きについて案内を受けられます。
注意点・発行されないケース
源泉徴収票に関する注意点と、発行されない代表的なケースを分かりやすくまとめます。
発行されない主なケース
- 業務委託や請負契約(フリーランス・個人事業主)で、雇用関係がない場合は原則として発行義務がありません。会社は別の書類で支払状況を示すことが多いです。例:個人で仕事を請け負った場合、給与ではなく報酬扱いになることがあります。
もらえないときの対処法
- 会社に発行を依頼してください。従業員であれば制度上、毎年1回の発行が原則です。誤りや紛失があれば再発行を求めましょう。
注意して確認すること
- 氏名や金額、支払期間が正しいか必ず確認してください。複数の会社で働いた場合は、それぞれから受け取る必要があります。受け取れない理由がはっきりしないときは、早めに会社の総務や給与担当へ問い合わせると安心です。
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