はじめに
本記事の目的
この連載では、アルバイトの年収が103万円以下の場合に源泉徴収票が発行されるか、所得税や源泉徴収の扱い、源泉徴収票が必要となる場面やもらえないときの対処法まで、やさしく丁寧に解説します。税金に不慣れな方でも理解できるように、具体例を交えて説明します。
読者対象
- 学生やパートで働く方
- 扶養に入るか迷っている方
- アルバイトの源泉徴収票の扱いを知りたい方
この記事で学べること
- 年収103万円の意味と注意点
- 源泉徴収票が発行される条件と実際の受け取り方
- 源泉徴収票が必要になる場面(年末調整・確定申告など)
- もらえない場合の対応方法
- 2025年以降の税制改正の扱い(概要)
読み方のポイント
各章は独立して読めますが、基礎から知りたい方は順にお読みください。具体例を多く用意していますので、自分の状況に照らして確認してください。分かりにくい用語はできるだけ避け、必要な場合は簡単に補足します。安心して読み進めてください。
アルバイトでも源泉徴収票はもらえる?
結論から言うと、アルバイトでも必ずもらえます。雇用形態にかかわらず、給与を支払う事業者は源泉徴収票の発行義務があります。所得税が発生しない年収でも、書類自体は発行されます。
発行義務と記載項目
源泉徴収票には、年間の給与総額や差し引かれた所得税の金額などが記載されます。企業は通常、翌年の1月31日までに発行しますので、年度末に受け取る準備をしておくと安心です。
年収103万円以下の場合の扱い(具体例付き)
例えば、カフェで年間80万円働いた場合、所得税はかからないことが多いですが、源泉徴収票には「給与80万円、源泉徴収税額0円」と記載されます。税額が0でも証明書として使えます。
利用される場面
源泉徴収票は年末調整や確定申告のほか、賃貸契約、保育園の入園手続き、ローン審査など収入証明が必要な場面で使われます。
受け取り方と注意点
退職後は会社が登録住所へ送付します。届かないときは人事・給与担当に早めに連絡してください。掛け持ちしている場合は勤務先ごとに発行されます。紛失したら再発行を依頼しましょう。電子交付を行う会社も増えていますが、その場合も受け取り方法を確認してください。
年収103万円以下の場合の所得税・源泉徴収
基本ルール
基礎控除(48万円)と給与所得控除(55万円)を合計すると103万円です。年間の給与収入が103万円以下なら、課税所得は基本的に0円となり、所得税は発生しません。つまり原則として給与からの源泉徴収(天引き)はありません。
源泉徴収されることがある場合
- 短期バイトや日雇いなどで雇用先が年間収入を把握できない場合、給与支払時に一時的に源泉徴収されることがあります。
- 掛け持ちで複数の勤務先があると、それぞれで源泉徴収されることがあります。最終的には年収合算で判断します(例:60万円+60万円=120万円なら課税)。
対処と注意点
- 源泉徴収されても、年末調整や確定申告で還付を受けられることが多いです。
- 主たる勤務先には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出すると、源泉徴収を抑えられる場合があります。
- 給与明細や源泉徴収票は必ず保管してください。年収で最終判定しますので、途中での一時的な徴収に慌てず対応しましょう。
源泉徴収票が必要となる場面
確定申告・年末調整
源泉徴収票は所得や源泉徴収税額を証明する書類です。確定申告や年末調整で正確な所得を示すために使います。
就職・転職時の年末調整
新しい勤務先で年末調整を受ける際、前の職場の源泉徴収票を提出します。年収が少なくても提出を求められることが多いです。
賃貸契約や住宅関連手続き
家賃審査や入居審査で収入確認が必要な場合、源泉徴収票が収入証明になります。安定した収入を示す資料として信頼されます。
保育園・幼稚園の入園手続き
保育料の算定や入園審査で所得を確認されることがあります。源泉徴収票があれば手続きがスムーズです。
奨学金・各種助成金の申請
奨学金や自治体の助成金申請で所得審査がある場合、源泉徴収票を提出します。所得額によって支給条件が変わります。
ローン・金融手続き
カードローンや住宅ローンの審査で収入を証明する資料として使えます。給与以外の所得が少ない場合でも役立ちます。
所得証明や各種書類の提出
役所や学校、勤務先から所得証明を求められたときにも有効です。年収103万円以下でも証明が必要な場面は多いです。
もらっておく理由と受け取り方
証明が必要になったときにすぐ出せるよう、源泉徴収票は退職時や年末に必ず受け取って保管してください。もらえない場合は勤務先に請求しましょう。
源泉徴収票がもらえない場合の対処
はじめに
源泉徴収票は雇用主が発行する法的な書類です。受け取れない場合は放置せず、順を追って対応しましょう。\n\n### まずは雇用主に再発行を依頼する
1. 口頭で確認:まずは職場の担当者や経理に直接伝えます。簡単な伝え方例:”源泉徴収票の再発行をお願いします。勤務期間は○年○月〜○月です。”
2. 書面(メールや文書)で依頼:口頭で動きがないときはメールや書面で正式に請求します。証拠を残すために有効です。
再発行依頼のポイント
- 氏名、マイナンバー(必要な場合)、勤務期間、連絡先を明記します。
- いつまでに欲しいかを書いておくと対応が早くなります。
雇用主が対応しないときの手順
- 記録を残す:やり取りのコピーや送信メールを保存します。
- 税務署に相談:証拠(給与明細、振込記録、雇用契約書など)を持参して相談してください。税務署は必要に応じて雇用主へ指導することがあります。
確定申告などで間に合わない場合の代替資料
- 給与明細や銀行振込の履歴で収入や源泉税額を示せます。税務署や税理士に相談して、代替書類で申告する方法を確認してください。
最後に
早めに記録を残し、順序立てて対応すると解決しやすいです。困ったときは税務署に相談することをおすすめします。
2025年以降の税制改正について
改正の概要
2025年12月から所得税の非課税基準が引き上げられます。現在の「年収103万円以下」から、まず「123万円以下」へ引き上げられる予定です。さらに段階的に「160万円以下」まで引き上げられることも示されています。
アルバイトに与える影響(例を交えて)
・年収110万円の方は、現状では所得税がかかることがありますが、2025年12月以降は非課税になる可能性が高くなります。
・複数のアルバイトを掛け持ちして合計が基準を超える場合は非課税にならない点に注意してください。
源泉徴収票への具体的な変化
非課税となる人が増えるため、源泉徴収票の「源泉徴収税額」が0円になるケースが増えます。支払金額(年収)はそのまま記載されますので、手元に保管しておいてください。
これからの対応(簡単な手順)
- 給与明細や年収見込みを確認する。2. 年内に合計収入が基準を超えそうなら早めに収入配分を見直す。3. 給与担当者に改正の影響を確認し、源泉徴収票の発行方法を確認する。
必要に応じて税務署や給与担当者に相談してください。
アルバイトの源泉徴収が発生するケース
アルバイトで源泉徴収が発生する代表的なケースを、やさしく分かりやすく説明します。
月収が約88,000円以上の場合
月ごとの給与が88,000円前後を超えると、給与から税金が差し引かれることがあります。たとえば月収が88,000円を超えると、毎月の支払時に源泉徴収が発生する可能性があります。
扶養控除等申告書の提出の有無
雇い先に「扶養控除等申告書」を出しているかどうかで、源泉徴収の扱いが変わることがあります。提出状況により差し引かれる税額が異なるため、雇用時に確認してください。
日雇いや単発バイト(1日9,300円以上)の場合
日雇いや単発の仕事では、1日当たりの給与が9,300円以上だと源泉徴収が発生することがあります。短期でも1日あたりの金額が基準を超えると、その場で差し引かれる場合があります。
年間の最終収入が103万円以下なら
上のいずれのケースでも、最終的な年間収入が103万円以下であれば、年末調整や確定申告で差し引かれた税金の還付を受けられる場合があります。手続きの方法は雇い先や税務署で確認してください。
掛け持ちや短期バイトの場合の注意点
掛け持ち収入は合算して判断します
複数のアルバイトをしている場合、各社からもらう源泉徴収票の「支払金額」を合算して年間収入を判断します。例えば、A先で60万円、B先で50万円なら合計110万円となり、103万円を超えるため所得税の課税対象になる可能性があります。
源泉徴収票は必ず保管しましょう
年ごとに各バイト先から発行される源泉徴収票を紛失しないように保管してください。年末調整を受けるのは原則1社(主たる勤務先)だけです。他のバイト先は源泉徴収票を発行し、確定申告の際に使います。
短期バイトの注意点
短期間で複数の職場を渡り歩くと、どこも年末調整を行わないことがあります。提出漏れや給与の合算忘れで税金が発生することがあるため、勤務期間が短くても源泉徴収票を請求して受け取ってください。
確定申告の可能性と相談
年間収入が103万円を超える場合は確定申告が必要になることがあります。不安な場合は税務署や税理士に相談すると安心です。
年末調整や確定申告は必要?
概要
年収103万円以下であれば、原則として所得税が発生しないため、年末調整や確定申告の手続きは不要です。特別な事情がなければ申告義務はありません。
いつ不要か
- 給与所得だけで年間収入が103万円以下
- 給与から源泉徴収されておらず、追加の所得税がない場合
申告が必要になる主なケース
- 給与を複数の会社から受け取っているとき(合計が103万円を超える可能性)
- 給与以外に副収入があるとき(例:フリマの利益、アルバイト以外の報酬)
- 医療費控除や寄付金控除などを受けたいとき
年末調整と確定申告の違い
年末調整は勤務先が行う給与所得の精算です。確定申告は自身で税額を申告・精算する手続きで、上記のような例外がある場合に必要になります。
ワンポイント
不安な場合は勤務先の総支給額や源泉徴収票を確認し、必要があれば税務署や市区町村の相談窓口に問い合わせてください。


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