はじめに
本資料の目的
本資料は、源泉徴収票の再発行に関する基本的な情報を分かりやすくまとめたガイドです。源泉徴収票が手元にない、紛失した、または再発行の手続き方法が分からない方に向けて作成しました。
対象となる方
- 会社員やアルバイトで源泉徴収票が必要な方
- 退職者や転職者で過去の書類を取り寄せたい方
- 経理や人事担当者で対応方法を確認したい方
本資料で分かること
次章以降で、再発行が法的に可能か、依頼できる期間、依頼の方法、即日対応の可否、特殊な雇用形態での注意点、会社が対応できない場合の対処法、企業の手続きの流れを順に解説します。
読み方のポイント
まず自分の状況(在職中か退職済みか、いつの分が必要か)を確認してください。必要な情報を把握すると、再発行の依頼がスムーズになります。
源泉徴収票の再発行は法的に可能
概要
源泉徴収票は所得税法に基づき、会社が従業員に交付する義務があります。紛失しても会社に再発行を依頼できます。
法的根拠と意味
法律は会社に交付の義務を定めています。つまり会社は従業員から請求があれば再発行に協力する義務があります。具体例:引越しで書類を失くした場合でも、会社に頼めば再発行してもらえます。
再発行回数と期間の制限
再発行の回数に法的な上限はありません。会社の保存状況によっては過去数年分でも対応してもらえることが多いです。たとえば退職後に5年前の源泉徴収票が必要でも、会社に請求すれば発行してもらえる場合があります。
転職後の対応
転職している場合でも、前職の会社に依頼できます。連絡先が不明なら、会社の総務や人事に電話やメールで問い合わせるとよいです。
注意点
会社により再発行に手数料や本人確認書類の提出を求めることがあります。また、会社が倒産している場合は対応が難しいので、後の章で代替手段を説明します。
再発行依頼の対象期間
対象期間(原則)
源泉徴収票は、原則として過去7年分まで再発行を依頼できます。これは事業者が源泉徴収簿などの記録を法定の保存期間(7年)保持するためです。過去7年以内であれば、勤務先に頼めば写しを出してもらえる可能性が高いです。
年度を正確に伝える重要性
再発行を依頼する際は、必ず対象の「年」を正確に伝えてください。源泉徴収票は1月1日から12月31日までを1年として扱います。例えば「2020年分の源泉徴収票」を依頼すると、事業者はその年の支払金額や控除を確認して該当書類を探せます。誤った年度を伝えると探す手間が増え、対応が遅れます。
年度が不明なときの確認方法
年度がはっきりしない場合は、次の方法で確認してください。
– 給与明細や振込履歴を確認する(年ごとの総支給額や最終支給月で判断できます)。
– 雇用期間や退職日を基に推定する(例:2020年3月に退職した場合は2020年分が必要)。
– 勤務先の人事・総務に在籍期間を伝え、担当者に確認してもらう。
これらを伝えると担当者が探しやすくなります。
7年を超える場合の扱い
法定の保存期間を超えると、企業側で原本が残っていない場合があります。ただし、企業が自主的に長く保管していることもあるため、まずは依頼してみてください。保管がない場合は、税務署や当時の給与記録で代替できるか相談するとよいでしょう。
再発行依頼の方法と申請先
再発行依頼は、源泉徴収票を発行した会社の総務・人事や給与担当に連絡します。以下の方法別に手順と注意点をまとめます。
連絡先の確認
まず発行元の部署名や担当窓口を確認します。退職後に連絡する場合は、会社の代表番号や旧メールアドレスでも対応してもらえます。
電話
電話で依頼する際は、氏名・生年月日・在職期間・発行年を伝え、処理に必要な書類や到着までの目安を確認します。対応した担当者名をメモしておきます。
メール
件名に「源泉徴収票再発行依頼」と明記し、必要事項(氏名、住所、連絡先、在職期間、発行年)を記載します。本人確認書類のコピーを添付するよう求められることがあります。
郵送(書面)
依頼書を郵送する場合は、返信用封筒と切手を同封すると処理が早くなります。署名入りの依頼書と本人確認書類のコピーを必ず同封してください。
代理人による依頼
本人以外が請求する場合は、委任状と依頼人・代理人双方の本人確認書類が必要です。事前に会社に必要書類を確認してください。
専用フォームや手数料
企業によっては専用フォームや申請書があり、発行手数料を設定している場合があります。事前に問い合わせて指示に従ってください。
即日再発行の可能性と通常の期間
即日再発行が可能な場合
電子交付に対応している会社では、本人確認が済めば即日でPDFを発行することが多いです。社内の給与システムからダウンロードしてメールで受け取る、または窓口で印刷して手渡しする例があります。たとえば、社内Webから「源泉徴収票を発行」ボタンで即時ダウンロードできるケースです。
通常の所要期間と理由
一般的には約1~2週間かかります。理由は過去の記録確認、担当部署の確認・押印、郵送手配などの業務工程です。紙での発行や繁忙期(年末調整後など)はさらに時間がかかる場合があります。
依頼時に伝えるべきことと急ぎの場合の対処
依頼する際は、氏名・社員番号・対象年度・必要な理由(例:住宅ローンで提出期限あり)を伝え、目安の期間を確認してメールなどで受け取ると安心です。急ぎの場合は、窓口での受取や電子発行を相談し、身分証明書や上司の承認を用意すると対応が早くなる可能性があります。次章で、会社が対応できない場合の対処法を説明します。
特殊な雇用形態での再発行依頼
概要
派遣、パート・アルバイト、公務員、年金受給者など、雇用形態が通常と違う場合でも、源泉徴収票の発行・再発行の義務はあります。誰が給与を支払っているかを基準に、まず発行元を特定しましょう。
誰に依頼するか(具体例)
- 派遣社員:雇用関係のある派遣元(派遣会社)に依頼します。派遣先ではなく、給与を支払う側が発行します。
- パート・アルバイト:給与を支払う事業者(勤務先)に依頼します。雇用形態に関係なく発行対象です。
- 公務員:所属部署の総務課や人事課に連絡します。自治体や省庁ごとに担当窓口が決まっています。
- 年金受給者:公的年金の源泉徴収票は日本年金機構、共済年金なら共済組合などが発行します。
- 個人事業主・フリーランス:報酬を支払った事業者に確認します。多くは支払調書が使われることもあるので、どちらが発行されるか確認してください。
依頼時に用意するもの
- 氏名、本人確認書類(コピー可)
- 在籍期間や支払を受けた期間が分かる情報
- 住所や連絡先、マイナンバーは通常不要だが問われたら案内に従ってください。
依頼の手順
- まず電話やメールで担当窓口を確認します。
- 再発行を文書かメールで依頼すると処理が早まります。氏名・在籍期間・交付先を明記してください。
- 発行までの目安期間や受け取り方法(郵送・窓口)を確認します。
よくあるケースとポイント
- 雇用主が変わっている年は、各雇用主ごとに請求します。
- 支払者が事業を停止・廃業した場合は、後続の対応が必要です(詳細は第7章を参照ください)。
上記を参考に、まずは給与支払者の総務や人事へ穏やかに連絡してください。
会社が対応できない場合の対処法
破産・清算の場合の窓口確認
会社が倒産しているときは、破産管財人や清算人が源泉徴収票の窓口になります。法務局の「会社の登記の公告」や官報で破産管財人・清算人の氏名や連絡先を確認してください。具体例:法務局の検索ページで会社名を入力し、公告情報を開くと連絡先が載っていることがあります。
窓口が対応しないときの記録作り
電話で済ませず、書面(メールや内容証明)で再発行を依頼すると記録が残ります。届いた返信や不応答の証拠は、後の相談時に役立ちます。例えば、メールを送って1週間返事がなければ、内容証明を送るといった手順が効果的です。
税理士や専門家に相談する
窓口が対応しない場合は税理士に相談してください。税理士は法律に基づく企業の発行義務について助言できます。必要なら代理で交渉したり、税務署とのやり取りの補助をしてくれます。
税務署への相談と注意点
税務署は源泉徴収票そのものを発行しませんが、手続き方法や代替書類の扱いについて案内してくれます。税務署に相談する際は、会社に連絡を取った記録や公告の写しを提示してください。
まとめの代わりに一言
まずは公告で窓口を確認し、書面で依頼すること。対応が得られない場合は税理士や税務署に相談して、適切な手続きや証拠保全を進めてください。
再発行手続きの流れと企業側の対応
はじめに
企業は源泉徴収票再発行で本人確認、データ確認・作成、交付の順で対応します。各工程で丁寧な説明と記録を残すことが大切です。
1. 受け付けと本人確認
・来社や郵送、メールで依頼を受け付けます。退職者も同様に受け付けます。
・本人確認は厳格に行います。運転免許証やマイナンバーカード、住民票などを確認します。代理人が受け取る場合は委任状と代理人の身分証が必要です。
2. データ確認・作成
・給与台帳や支払記録を照合し、過去の源泉徴収票の写しと突き合わせます。
・誤りがあれば訂正し、新しい源泉徴収票を作成します。社内で承認印や電子署名を付けることが一般的です。
3. 交付方法と期間
・交付方法は対面交付、郵送(簡易書留等)、電子交付の三つが主流です。電子交付は本人の同意が必要です。
・通常は数日から2週間程度で対応しますが、即日発行が可能な会社もあります。対応期間は事前に案内してください。
4. 受け取り後の確認と保管
・受け取ったら氏名、支払金額、源泉徴収税額、支払年月日を確認してください。誤りがあれば速やかに連絡します。
・受け取った源泉徴収票は確定申告などに必要なので大切に保管します。
5. 企業が留意すべき点
・本人確認を徹底し、個人情報を適切に管理します。
・退職者には郵送やメールで丁寧に案内し、問い合わせ窓口を明示します。
・再発行記録を残し、社内対応のルールを明確にします。


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