はじめに
この記事の目的
この章では、この記事全体の目的と読み方の目安をお伝えします。源泉徴収票の「空欄(ブランク)」や、もらえない・紛失した際の対応を分かりやすく解説するための導入です。
本記事で分かること
- 源泉徴収票の役割と見方
- 空欄ができる主な理由
- 発行されない・紛失時の具体的な対処法
- 転職や空白期間がある場合の扱い
- よくある質問と実務上の注意点
誰に向けた記事か
会社員・派遣・アルバイト・フリーランスから転職した人、または源泉徴収票の扱いに不安がある方に向けています。税や手続きに詳しくない方でも読み進めやすいよう、専門用語は最小限にし具体例で説明します。
読み方の目安
一章ずつ順に読めば理解が深まります。まずは次章で源泉徴収票の基本を確認してください。
源泉徴収票とは何か
概要
源泉徴収票は、会社などの支払者が従業員に対して発行する年間の収入や源泉徴収した所得税の額をまとめた公式書類です。年末調整や確定申告、住民税の手続き、金融機関での収入証明などに使います。
誰が発行するか・いつ受け取るか
雇用主(会社・事業者)が発行します。一般的に翌年の1〜2月に渡されることが多いです。アルバイトやパート、複数の勤務先がある場合は勤務先ごとに発行されます。
主な記載内容(わかりやすく)
- 支払金額:年間の給与や賞与の合計
- 源泉徴収税額:給与から差し引かれた所得税の合計
- 社会保険料等:健康保険や年金の自己負担分
- 各種控除:配偶者控除や扶養控除など
- 支払者と受給者の情報:会社名、氏名、マイナンバーの一部など
受け取ったら
受け取ったら大切に保管してください。年末調整や確定申告で必要になりますし、ローン申請時の収入証明にも使えます。記載に誤りがあれば勤務先に確認しましょう。
源泉徴収票の「ブランク(空欄)」が発生する主なケース
代表的なケース
- 年の途中で退職し、その年に給与から所得税が徴収されなかった場合:たとえば短期間の勤務で年間課税所得が少ないと、源泉徴収税額欄が空欄になることがあります。
- 給与の一部が源泉徴収対象外だった場合:非課税の通勤手当や福利厚生で支給された金額は、源泉徴収欄に影響しないため空欄になります。
- 支払形態や支払先の違い:個人間の一時的な支払い、あるいは源泉徴収の対象にならない支払い形態だと空欄になります。
控除関係の空欄例
- 配偶者控除・扶養控除欄:要件を満たしていないと空欄になります。たとえば扶養がいない、配偶者の所得が控除対象外の場合などです。
- その他の控除(社会保険料控除、生命保険料控除など):年末調整や申告で手続きをしていなければ記載されません。
ポイントと対応方法
- 空欄は仕様上の表示であり、不正とは限りません。まずは勤務先の総務や担当者に確認してください。
- 必要なら、源泉徴収票の再確認や再発行を依頼し、疑問が残る場合は税務署へ相談してください。
源泉徴収票がもらえない・紛失した時の対応
発行義務と受け取り時期
退職した場合、原則として1か月以内に前職から源泉徴収票を受け取ります。会社には発行義務がありますので、まずは前職に発行を依頼してください。
もらえないときの手順
- 文書やメールで発行を正式に依頼し、やり取りは保存します。例:退職日や勤務期間、必要枚数を明記して依頼する。
- それでも発行されない場合は、所轄の税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出できます。届出書は税務署で入手またはダウンロード可能です。
- 会社が倒産している場合でも、税務署へ事情を伝えれば対応してもらえます。
紛失した場合
- まずは前職に再発行を依頼します。再発行が難しいときは、税務署へ届出を行います。
- 再発行依頼は郵送やメールで行い、証拠を残すと良いです。
年末調整や確定申告への影響
年末調整に間に合わない場合や源泉徴収票が無い場合は、自分で確定申告を行います。税務署に相談すれば、手続きの案内や必要書類を教えてもらえます。
実務上のポイント
- 依頼は文書で行い保管する。
- 税務署には事情を具体的に伝える(会社名、退職日など)。
- 不明点は税務署に早めに相談してください。
源泉徴収票の提出が不要な場合
いつ提出が不要になるか
転職のタイミングによっては、前職の源泉徴収票を新しい勤務先に提出する必要がありません。代表的なケースは次のとおりです。
- 退職日が12月31日以前で、翌年1月1日以降に入社した場合。前職の給与と納税が退職した年で完結していると、新職場の年末調整に影響しません。
- 前職で年末調整や最終の所得清算が済んでおり、当該年の税務関係が終わっている場合。
具体例
- 例1: 2024年12月20日に退職、2025年1月5日に入社。2024年分の所得は前職で完了しているため、新職場へ提出不要です。
注意点と確認事項
- 前職で源泉徴収票が発行されているかを確認してください。発行済みでも、新職場に提出しないでよい場合がありますが、自分の記録として保管してください。
- 同じ年に複数回転職したり、前職の税金が未精算の場合は、新職場での年末調整に前職の源泉徴収票が必要です。
- 不明な点は前職の総務や新職場の人事、または税務署に相談してください。
簡潔に言えば、前職の収入と納税が退職した年で完結している場合は、新職場に源泉徴収票を提出する必要は基本的にありません。必要かどうか迷ったら、まず源泉徴収票を確認し、総務に相談しましょう。
空白期間(ブランク期間)と源泉徴収票
空白期間はどう記録されるか
転職や休職で働いていない期間は、源泉徴収票や社会保険の履歴に反映されます。たとえば前年に所得がなく源泉徴収票が発行されなければ、その年の給与支払いがなかったことが分かります。雇用保険や年金の加入記録からも在職・離職の期間が確認できます。
空白期間が問題になる理由
経歴の空白を隠すと、採用後に経歴詐称と判断される恐れがあります。解雇や内定取り消しにつながる場合もあるため、正直に伝えることが重要です。空白自体は通常問題になりません。理由と行動(病気療養、育児、留学、自己学習など)を説明すると理解を得やすくなります。
具体的な対応方法
- 正直に説明する:履歴書や面接で理由を明確に伝えます。短くても誠実に述べます。
- 証拠を用意する:源泉徴収票がない場合は給与明細、雇用契約、離職票、医師の診断書や職業訓練の受講証明などを用意します。
- 収入がない年がある旨を説明する:源泉徴収票が無い=不正ではない旨を補足します。
- 事前に相談する:入社手続きで不明点があれば人事に相談します。書類で説明すれば安心材料になります。
注意点
空白期間を埋めるために事実と異なる記載をするとリスクが高まります。時間がある場合は学習や資格取得、ボランティアなどの活動で説明できる経験を作ると良いでしょう。
よくあるQ&A
Q1: 源泉徴収票に空欄があると問題ですか?
空欄になるのは、控除の条件を満たしていない、あるいは給与から所得税の源泉徴収が発生していない場合が多く、通常は問題ありません。受け取った給与や手当があるのに主要な欄(支払金額や源泉徴収税額など)が空欄なら、まず給与明細と照らし合わせてください。矛盾があれば勤務先に確認し、必要なら訂正を求めます。訂正が得られないときは税務署に相談してください。
Q2: 源泉徴収票をもらえない・なくしたらどうすればいいですか?
まず前職に再発行を依頼します。会社が倒産しているなど発行が難しい場合は、税務署に状況を説明して指示を受けます。確定申告で収入を申告すれば税額の調整ができますので、給与明細や振込記録を保存しておくと手続きがスムーズです。
Q3: 転職先に前職の源泉徴収票を必ず出す必要がありますか?
同じ年に複数の会社で働く場合は、年末調整のために前職の源泉徴収票があると便利で、多くの場合提出を求められます。一方、前職で該当年に収入がなかったり、前年以前の話なら提出は不要です。源泉徴収票がないときはあらかじめ新しい勤務先に相談してください。
Q4: 複数の給与があるときの注意点
複数の会社から給与がある場合、それぞれの源泉徴収票を揃えて確定申告する必要があります。年末調整だけで済まないことがあるので、早めに準備しましょう。
まとめ・注意点
源泉徴収票の空欄は制度の仕様や個別の事情によることが多く、必ずしも不備ではありません。ただし、退職や転職の際は必ず受け取り、内容を確認してください。
- 受け取りと確認
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退職時は会社が発行する義務があります。金額や勤務期間に誤りや空欄がないか確認しましょう。
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紛失・未発行への対応
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まず勤務先に再発行を依頼します。再発行できない場合は税務署に相談してください。早めに行動すると手続きがスムーズです。
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空白期間の扱い
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空白期間を意図的に隠すと後で不利になります。短期の無職期間や給与のない時期は正直に説明し、必要に応じて証拠(離職票・雇用契約の写しなど)を揃えましょう。
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書類管理の重要性
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源泉徴収票は年末調整や確定申告で必要です。紙だけでなくスキャンして保存すると安心です。
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不明点や不安がある場合
- 税務署や最寄りの税理士に相談してください。早めに相談すると誤解や手続き遅延を防げます。
以上を踏まえ、受け取り・確認・保存を徹底し、問題があれば速やかに相談・対応してください。


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