はじめに
背景
年末調整や確定申告で必要になる「源泉徴収票」は、給与や税金の確認に欠かせない書類です。近年、マイナンバーカードを使ってコンビニで証明書を受け取れるサービスが広がり、源泉徴収票も同様に取得できるかどうかが関心を集めています。
目的
本記事は、源泉徴収票をマイナンバーカードやマイナポータルを通じてどのように確認・取得できるかを、分かりやすく整理して解説します。実際の手順や注意点、コンビニ交付サービスの仕組みも紹介します。
対象読者
- 給与所得者で源泉徴収票の取得方法を知りたい方
- マイナンバーカードを持っていて便利な利用法を探している方
- 企業の総務担当や税務手続きを楽にしたい方
本記事の構成（全7章）
第1章 はじめに（本章）
第2章 源泉徴収票とは
第3章 マイナンバーカードを使った証明書のコンビニ取得サービス
第4章 源泉徴収票はコンビニで取得できるか？
第5章 マイナポータル連携による源泉徴収票データ取得
第6章 コンビニで取得できる証明書の種類と注意点
第7章 今後の展望とまとめ
読み方のポイント
各章は実務に役立つ情報を中心にまとめています。はじめての方にも分かるよう具体例を交えて説明しますので、必要な章からお読みください。
源泉徴収票とは
概要
源泉徴収票は、給与支払者（会社など）が従業員に交付する証明書です。その年に支払った給与や賞与、社会保険料の控除額、源泉徴収された所得税の額などが記載されます。確定申告や各種手続きで必要となるため、大切に扱う必要があります。
記載される主な項目
- 支払金額（給与・賞与の合計）
- 社会保険料などの控除額
- 源泉徴収税額（会社が天引きした所得税）
- 支払者（会社）と受給者（従業員）の氏名・住所
具体例：年収300万円なら、支払金額欄に300万円、そこから社会保険料や控除が引かれた後の課税対象額や天引きされた税額が記載されます。
いつ必要か
- 確定申告を行うとき
- 住宅ローン控除の手続き開始時
- 年末調整の内容を確認するとき
- 失業手当や各種給付の申請に添付する場合
入手と再発行
通常は年末に会社から交付されます。手元にない場合や紛失した場合は、勤務先の総務・人事に再発行を依頼してください。会社が発行できないときは、税務署や関係機関での対応方法を相談します。
保管のポイント
源泉徴収票は少なくとも5年間は保管してください。記載内容に誤りがあれば早めに勤務先に確認し、修正してもらいましょう。電子データで受け取れる場合は、印刷やバックアップを取って保管すると安心です。
マイナンバーカードを使った証明書のコンビニ取得サービス
サービスの概要
多くの自治体が導入しているコンビニ交付サービスでは、マイナンバーカード（利用者証明用電子証明書付き）を使って、コンビニのマルチコピー機から各種証明書を取得できます。窓口に行かずに早朝や夜間でも利用できる点が便利です。
利用に必要なものと時間
必要なものはマイナンバーカードのみです。通知カードや住民基本台帳カードは使えません。利用時間は自治体により差はありますが、一般的に午前6時30分～午後11時まで使えることが多いです。操作時に暗証番号（4桁など）の入力が必要になります。
取得できる証明書の例
代表的なものは住民票の写し、印鑑登録証明、所得証明（市県民税の証明）などです。どの証明書を出せるかは自治体で異なるため、前もって自治体の案内を確認してください。
注意点
所得証明書は取得できても、給与の源泉徴収票は多くの場合コンビニ交付の対象外です。発行できる年度や住民登録の条件も自治体ごとに違います。カードの暗証番号を忘れたり、電子証明書の有効期限が切れていたりすると利用できません。具体的な手順や手数料は各自治体の案内ページを確認してください。
源泉徴収票はコンビニで取得できるか？
結論
現在、原則として源泉徴収票はコンビニ交付サービスの対象外です。多くの自治体がコンビニで発行するのは所得証明書や課税証明書などで、源泉徴収票は給与を支払った事業所が交付します。
なぜコンビニで取得できないのか
源泉徴収票は事業所が給与計算の結果を示す書類で、支払者の情報や源泉徴収額が記載されます。発行者が事業所であるため、自治体のコンビニ端末で交付できる仕組みになっていません。また、企業側での確認や押印が必要な場面が多い点も理由です。
コンビニで取得できるもの（例）
- 所得証明書、課税証明書
- 住民票の写しや印鑑証明（自治体による）
これらはマイナンバーカードを使ってコンビニ端末で取得できる自治体が多いです。
代替手段
1) 会社から直接受け取る：年末調整後に交付されるのが一般的で、不足時は総務・人事に再発行を依頼してください。
2) マイナポータル連携：企業や税務のデータをオンラインで確認・取得できる場合があります（2025年10月時点での主流の方法）。
3) 自治体発行の所得証明で代替できる場合：申請先の要件を確認してください。
今後の見通し
一部自治体や制度改正で対応が広がる可能性はありますが、現時点では会社から直接受け取るか、マイナポータル等のデジタル手段を利用するのが実務上の主な方法です。問い合わせは勤務先の担当部署かマイナポータルの案内窓口へどうぞ。
マイナポータル連携による源泉徴収票データ取得
概要
マイナポータルとe-Taxを連携すると、給与所得の源泉徴収票などを電子データで取得し、確定申告書の作成や送信にそのまま使えます。手作業での入力が減り、ペーパーレスで非対面の手続きが可能です。
準備
- マイナンバーカード（読み取り対応のスマホかICカードリーダー）
- マイナポータルの利用登録
- e-Taxの利用環境（利用者識別番号など）
- 勤務先（給与支払者）がマイナポータル連携に対応していること
取得の手順（概略）
- マイナポータルにマイナンバーカードでログイン
- マイナポータルとe-Taxの連携を有効化
- 給与支払者が提供する源泉徴収票情報を選択して取得
- 取得したデータを確定申告書作成画面に反映
- 内容を確認してe-Taxで送信
利用できる場面とメリット
確定申告や年末調整の確認に便利です。入力ミスが減り、書類の保管や郵送が不要になります。
注意点
- 会社側が対応していないと利用できません。
- 提供されるデータの範囲や反映時期が会社ごとに異なります。
- 個人情報を扱うため、ログイン情報の管理に注意してください。
利用前に勤務先の対応状況を確認すると安心です。
コンビニで取得できる証明書の種類と注意点
主な取得可能な証明書
- 住民票の写し（個人や世帯分）
- 印鑑登録証明書
- 所得証明書・課税（非課税）証明書（市区町村発行）
- 戸籍謄本・抄本、戸籍の附票の写し
主な利用例
- 住民票：転入手続き、各種申請、奨学金などの提出書類
- 印鑑証明：不動産売買や契約時の本人証明
- 所得・課税証明：奨学金、保育料や税務関係の確認
- 戸籍：婚姻届や各種身分関係の証明
取得に必要なものと手順
- マイナンバーカードを用意し、交付端末で暗証番号（利用者証明用の4桁）を入力します。
- 画面で証明書の種類や必要部数を選び、料金を投入またはキャッシュレスで支払って受領します。
- 印鑑証明を出すには、事前に印鑑登録が済んでいる必要があります。
手数料・対応状況
- 手数料は自治体ごとに異なりますが、一般に1通100〜300円程度です。
- 提供する証明書の種類や対応時間は市区町村で違います。窓口とメニューが同じとは限りません。
注意点
- 源泉徴収票はコンビニ交付の対象外です。
- 取得できるのは基本的に本人分のみで、代理取得には自治体のルールや委任状が必要です。
- 戸籍や課税証明など一部書類は一刻も早い対応が必要な場合があり、事前に市区町村の案内を確認してください。
今後の展望とまとめ
現状のポイント
- 現時点（2025年時点）では、源泉徴収票をコンビニで紙として直接取得することはできません。ただし、所得証明など一部の証明書はマイナンバーカードを使ってコンビニで取得できます。
- マイナポータル連携を通じて電子データとして源泉徴収票情報を受け取れる仕組みが整いつつあります。会社側が連携に対応すれば、確定申告や各種手続きが大幅に簡素化されます。
今後の期待される変化
- 電子化・システム連携の拡大で、給与データや源泉徴収情報がオンラインでやり取りされやすくなります。たとえば、会社の給与システムとマイナポータルが直接つながれば、従業員は申告用のデータをワンストップで取得できます。
- 書類の提出や再発行の手間が減り、窓口や郵送の負担が軽くなります。
個人ができる準備
- マイナンバーカードを取得し、マイナポータルを使える状態にしておきましょう。
- 勤務先にマイナポータル連携の対応状況を確認し、対応が進めば利用方法を覚えておくと便利です。
- 電子データの取り扱いに備え、PDF保存やバックアップの習慣をつけてください。
注意点
- 電子化は利便性を高めますが、情報漏えい対策や本人確認の方法に注意が必要です。パスワード管理や端末のセキュリティを強化してください。
- 会社が連携に対応していない場合は、従来どおり紙の源泉徴収票が必要になります。必要な場合は勤務先へ発行を依頼してください。
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