はじめに
目的
この文書は、源泉徴収票を紛失した場合に取るべき行動を分かりやすくまとめています。再発行の依頼先や手続きの流れ、時間や費用の目安、再発行が難しいときの対処法、代替書類の利用方法まで幅広く扱います。
対象読者
会社員、アルバイト、パート、年金受給者、退職者や転職者など、源泉徴収票が必要になるすべての方を想定しています。税務手続きや住宅ローンの申請などでお困りの方に役立つ内容です。
源泉徴収票とは
源泉徴収票は、給与や賞与から天引きされた税額や年間の支払額を証明する書類です。確定申告や年末調整、各種手続きで必要になります。紛失すると手続きが遅れたり、書類の提出が求められたりします。
本書の使い方
次章以降で、紛失時の基本的な対処方法、再発行手続き、かかる時間や費用、代替書類の例などを順に説明します。まずは落ち着いて、どの書類が必要かを確認してください。
源泉徴収票を紛失した場合の基本的な対処方法
はじめに
源泉徴収票を失くしたときは、まず勤め先に連絡することが基本です。会社が発行元なので、再発行や代替手続きの案内をしてくれます。
まず連絡する先
- 現職の方:総務部、人事部、経理部など給与を扱う部署
- 転職者:前の勤務先(退職後でも再発行を依頼可能)
- 派遣やアルバイト:派遣元や雇用主の担当窓口
再発行依頼時に伝える情報(例)
- 氏名、社員番号(ある場合)、生年月日
- 勤務期間(いつからいつまで)と何年分の源泉徴収票が必要か
- 連絡先(電話番号・メール)と受け取り方法(郵送・窓口受取など)
- 紛失の旨を簡潔に一言伝える
依頼の際のポイント
- 電話で伝えた場合は、後でメールで内容を残すと安心です。
- 会社によっては本人確認書類の提示や手数料が必要になることがあります。事前に確認してください。
- 再発行がいつまでに必要か(確定申告の期限など)を伝えると対応が早くなります。
連絡がつかない場合の初動
連絡先が分からない、会社と連絡が取れないときは、勤務先の就業規則や給与明細を確認して担当部署を探しましょう。次の手続きについては、別章で詳しく説明します。
再発行の手続き方法と流れ
依頼方法
再発行は電話、メール、または書面で会社の経理担当部署に依頼します。まずは在籍していた会社に連絡し、どの手段を受け付けるか確認してください。例:担当宛にメールで「源泉徴収票の再発行をお願いします。年度:●年分」と送る。
本人以外の依頼
本人以外でも依頼できます。代理人(家族や税理士など)が行う場合は、委任状や本人確認書類の写しを添付するよう求められることがあります。税理士経由なら税理士の名刺や委任状があると手続きがスムーズです。
郵送依頼のマナー
郵送で依頼する場合は、返信用封筒と切手を同封するのが一般的なマナーです。封筒には返送先住所と宛名を忘れずに記載してください。封筒に「源泉徴収票在中」と記すと取り扱いが分かりやすくなります。
伝えるべき情報
再発行を依頼するときは、以下を明確に伝えます:
– 氏名(旧姓がある場合は旧姓も)
– 在籍期間または該当年度
– 退職日(退職済みの場合)
– 連絡先(電話/メール)
法定保存期間と注意点
会社の源泉徴収票の法定保存期間は7年です。対象年度が保存期間内であることをまず確認してください。保存期間を過ぎると再発行できない場合もありますので、必要な年度は正確に伝えてください。
手続きの流れ(目安)
- 連絡して受け付け方法を確認
- 必要書類(本人確認、委任状)を提出
- 会社が書類を確認して再発行
- 郵送または手渡しで受け取り
受け取りまでの具体的な期間は会社によって異なります。事前にいつ頃届くか確認しておくと安心です。
再発行にかかる時間と費用
再発行にかかる時間
源泉徴収票の再発行は会社の対応状況で大きく変わります。専任の総務・人事がいる大企業では数日以内に対応してもらえることが多いです。中小企業や担当者が兼務している場合は1週間〜2週間程度かかることがあります。郵送を依頼すると、発送作業と配達でさらに数日〜1週間が加わります。
費用の目安
基本的には再発行自体に手数料はかからないことが多いです。ただし、事務手数料として数百円(例:200〜500円)を請求する会社や、郵送料は従業員負担となることがあります。特急便や書留を希望する場合は実費が上乗せされます。
即日発行は可能か
即日発行は難しい場合が多いです。社内で申請から捺印までの手続きが整っている場合は当日中に受け取れることもありますが、期待せず余裕を持って依頼してください。
手続きを早めるためのポイント
- 事前に必要事項(氏名、在職期間、送付先)をまとめて伝える
- メールでPDF発行を依頼する(会社の方針による)
- 郵送費用の支払い方法を確認する
- 期限がある場合は早めに理由を伝えて優先対応をお願いする
最終的には会社ごとの運用が決め手になります。まずは人事・総務に状況と費用負担を確認してください。
源泉徴収票が見当たらない場合の事前確認
概要
源泉徴収票を再発行依頼する前に、まず自分で見落としがないか確認しましょう。近年はペーパーレス化が進み、デジタルで交付されていることが多くなりました(2019年4月以降、確定申告時に源泉徴収票の提出が不要になった影響もあります)。
探すべき場所(具体例)
- メール(受信・迷惑メール): 件名に「源泉徴収票」「給与明細」「年末調整」などの語で検索してください。PDFが添付されている場合があります。
- 社内ポータル/人事システム: 会社のクラウドやポータルにPDFが保管されていることがあります。
- 個人用クラウドやフォルダ: Google Drive、OneDrive、パソコンの「書類」フォルダなどを確認してください。
- 郵便受け・自宅保管: 紙で届いている場合もあるので郵便物やファイルを見直しましょう。
発行時期の確認
源泉徴収票は原則、年末調整後の翌年1月以降に交付されます。複数の勤務先がある場合は、それぞれの会社から交付される時期が異なる可能性があります。発行時期を把握しておくと、再発行依頼のタイミング判断に役立ちます。
一言アドバイス
まずはデジタルと紙の両面で念入りに探すことが最も近道です。見つからない場合は会社の人事・総務に確認してください。
会社が再発行に応じてくれない場合の対処法
概要
会社が源泉徴収票を出してくれない場合は、所轄の税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出します。給与明細があればコピーを添付すると手続きがスムーズです。
手順(具体例で説明)
- まず会社へ再請求する:メールや書面で請求日時と内容を残してください。証拠になります。
- 税務署へ届出書を提出:所轄税務署で窓口または郵送で提出します。給与明細や振込明細を添付します(例:◯年分の給与明細コピー)。
- 税務署から会社へ指導が入る:税務署が確認・指導し、通常は発行されます。
会社が倒産している場合
会社が倒産・清算中なら、破産管財人や清算人に源泉徴収票の発行を依頼してください。発行が難しいときは税務署で相談し、給与明細等をもとに確定申告が可能か確認します。
発行されないときのポイント
- 添付書類は多めに用意する(給与明細、振込記録、雇用契約書など)。
- 証拠になる請求の記録(メールや書面)を保存してください。
- 必要なら税務署で相談窓口や、労働相談(ハローワークや労働局)も利用を検討してください。
以上の手順で多くの場合解決します。税務署に相談して進めると安心です。
源泉徴収票の代わりになる書類
概要
源泉徴収票が手元にない場合でも、別の書類で確定申告ができる場合があります。まずは税務署に相談することをおすすめします。
主な代替書類
- 給与明細(12か月分や年末の明細): 支払金額や源泉徴収額が分かれば有力な証拠になります。
- 支払調書: フリーランスや個人事業主の報酬で使われます。
- 会社発行の証明書: 支払証明や賃金台帳の写しなど、会社に依頼してもらえます。
書類を使うときの注意点
- 支払期間と金額が源泉徴収票と一致するか確認してください。
- 原本または会社の押印・サインがある写しが望ましいです。
- 書類だけで不十分な場合、税務署から追加の確認を求められます。
手順の目安
- まず税務署に相談して利用可能か確認する。2. 必要書類を会社や取引先に依頼する。3. 不足があれば税務署の指示に従って補足資料を準備する。
例: 給与明細12か月分と年末調整で使った保険料の領収書を揃えれば、源泉徴収票がなくても申告できることがあります。
年金受給者の源泉徴収票の対処方法
概要
年金から所得税が差し引かれている場合は、日本年金機構が源泉徴収票(支払金額や税額を記載)を送付します。確定申告や年末調整で必要になることがあります。
受け取りと届く時期
通常は年明け(1〜2月頃)に前年分の源泉徴収票を年金受給者の住所へ郵送します。年金種類や支給方法で前後することがあります。
紛失した場合の手順
まず郵便物を再確認し、家族に尋ねます。見つからない場合は日本年金機構に連絡して再発行を依頼します。年金事務所の窓口や電話窓口で本人確認(基礎年金番号・本人確認書類)を求められます。
再発行と代替書類
日本年金機構は再発行に応じます。再発行までに時間がかかる場合は、年金支払証明や年金決定通知書を代わりに使えることがあります。税務署に相談すると扱いを確認できます。
確定申告での扱い
源泉徴収票があれば税額控除が明確になります。再発行が間に合わないときは、受給額と差し引かれた税額を書面で示し、税務署に相談すると対応方法を教えてくれます。
注意点
代理人が手続きする場合は委任状が必要です。住所変更があると届かないため、事前に日本年金機構へ住所変更の届出を出してください。


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