はじめに
この章では、本記事の目的と読者の想定、全体の構成をわかりやすく説明します。
目的
公務員が源泉徴収票を紛失した場合、再発行の方法や手続き先、かかる期間や費用、注意点などを丁寧に解説します。確定申告や住宅ローン申し込み、各種手続きで源泉徴収票が必要になる場面を想定して情報をまとめています。
想定する読者
・現職の国家公務員・地方公務員
・退職後に源泉徴収票が必要になった方
・人事や総務担当者で再発行手続きを確認したい方
本記事で扱う内容の流れ
第2章以降で、再発行の意味と基本的な流れを説明し、国家公務員と地方公務員での依頼先の違い、申し込み方法、期間や費用、注意点、年金受給者やハローワーク・税務署に関する取扱いなどを順に解説します。具体的な手続き方法やよくある質問も章ごとに丁寧に示しますので、必要な場面で迷わず進められるようになります。
この章は導入です。続く章で具体的な手順や注意点を見ていきましょう。
公務員の源泉徴収票再発行とは
概要
公務員が受け取る源泉徴収票は、1年間の給与や税額を証明する重要な書類です。納税申告、転職先への手続き、金融機関でのローン申請などで必要になるため、紛失や破損があれば再発行が可能です。民間企業とは窓口や手続きの流れが一部異なる点があります。
再発行が必要になる代表例
- 確定申告で前年分の給与所得を証明する場合
- 転職先で前職の所得証明が必要な場合
- 住宅ローンや各種補助金の申請で提出を求められた場合
誰が依頼できるか
現職の公務員本人が原則です。退職後や死去した場合は、法定相続人や委任を受けた代理人が手続きを行えることが多いです。代理人が手続きする際は、委任状や本人確認書類が必要になります。
民間企業との主な違い(簡潔に)
- 発行窓口が人事・給与担当の部署や各自治体の庁内窓口になる点
- 機密性の確保のため、本人確認を厳格に求められる点
- 書式や押印の扱いが組織ごとに決まっている点
注意点(次章で詳述)
再発行手続きの具体的な流れや必要書類、かかる時間などは組織ごとに異なります。次の章で手続きの基本的な流れを分かりやすく説明します。
公務員の源泉徴収票 再発行の基本的な流れ
概要
公務員の源泉徴収票は、現職でも退職後でも勤務先に頼めば再発行してもらえます。本章では、依頼から受け取りまでの一般的な流れを分かりやすく説明します。
再発行の基本ステップ
- まず連絡する
-
現職の場合は勤務している部署の総務・人事担当に連絡します。退職後は在籍していた部署や人事課に連絡します。
-
必要事項を伝える
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再発行してほしい年(例:令和3年分)、氏名、職員番号や旧姓があればその旨を伝えます。退職者は退職年月日も伝えます。
-
本人確認と書類の提出
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本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)が必要です。代理人が受け取る場合は委任状と代理人の身分証が求められることが多いです。
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受け取り方法を決める
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窓口で受け取る、郵送でもらう、所属によってはPDFで送付してくれることもあります。希望する方法を伝えてください。
-
受け取りと確認
- 受け取ったら氏名・金額・年などに誤りがないか確認してください。誤りがあれば速やかに担当へ連絡します。
具体例
- 在職中の例:総務に電話で依頼し、当日か数日で窓口受け取り。
- 退職後の例:人事課に郵送依頼し、本人確認書類を返送して郵送受領。
注意点
- 多くの場合、再発行に手数料はかかりませんが部署ごとに対応が異なります。
- 発行にかかる日数は数日〜数週間と幅があります。早めに連絡することをおすすめします。
代理での依頼について
- 家族や勤務先の総務が代理で受け取る場合、委任状と本人確認書類を準備してください。代理受領の条件は所属機関に確認してください。
国家公務員・地方公務員で異なる依頼先
勤務先が国家公務員か地方公務員かで、源泉徴収票の発行を依頼する相手が変わります。まずはご自身の所属区分を確認してください。
国家公務員の場合
- 主な依頼先:国家公務員共済組合連合会(共済組合)、または在職していた省庁・機関の人事課や総務課
- ポイント:共済組合に直接依頼できるケースが多く、退職後も共済組合または所属部署で対応可能です。申請では本人確認書類や在職期間が分かる情報が必要になります。
- 手続き方法:窓口・郵送が一般的ですが、所属によっては専用フォームやメール案内があるため、まず所属先に確認してください。
地方公務員の場合
- 主な依頼先:地方職員共済組合、勤務していた自治体の人事課・財政課、学校職員なら教育委員会
- ポイント:自治体ごとに窓口や運用が異なります。共済組合を通す場合と自治体が直接発行する場合があるため、まず自治体の担当部署へ連絡してください。
代理申請・退職後の注意点
- 代理人が申請する場合は委任状と代理人の本人確認書類が必要です。
- 発行までの期間や手数料は発行元で異なるため、早めに問い合わせてください。
- 発行元が異なれば提出書類や申請先が変わりますので、勤務時の所属情報を手元に用意しておくと手続きがスムーズです。
源泉徴収票再発行の申し込み方法
概要
源泉徴収票は電話・メール・書面(郵送)などで再発行を申請できます。申請時には氏名や生年月日、在籍期間など本人を特定できる情報と、再発行を希望する年度を明確に伝えます。手続きが完了すると自宅へ郵送されるのが一般的です。
申請方法別の流れ
- 電話:総務・人事担当へ連絡し、必要事項を伝えます。担当から書面の提出や本人確認方法を案内されることが多いです。電話で受け付けた後、書類が郵送される場合があります。
- メール:所属部署の公式メール宛に必要情報を送ります。個人情報を含むため、添付ファイルで本人確認書類の写しを求められることがあります。担当から返信で手続き方法を案内されます。
- 郵送(書面):申請書と本人確認書類の写し、返信用封筒と必要な切手を同封して送ります。窓口持参が可能な場合は即日対応してもらえることもあります。
申請時に準備する情報・書類(主な例)
- 氏名(旧姓がある場合は旧姓も)
- 生年月日
- 連絡先(電話番号・メールアドレス)
- 在籍期間(入庁日・退職日)や職員番号
- 再発行を希望する年度
- 送付先住所
- 本人確認書類の写し(運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 代理申請の場合は委任状と代理人の本人確認書類
郵送での注意点
返信用封筒と切手を同封するよう案内されることがあります。返信用封筒は宛先を明記し、切手の種類(普通郵便か簡易書留など)は担当窓口の指示に従ってください。個人情報を送る際は封筒をしっかり封し、必要に応じてコピーを取って控えを保管してください。
受け取り・確認のポイント
申請後に届く書類の記載内容を必ず確認してください。代理人で受け取る場合は委任状と代理人の身分証が必要です。問い合わせ番号や申請日を控えておくと、処理状況を確認しやすくなります。
よくあるミスと対策
- 必要事項の記載漏れ:申請前にチェックリストを作ると良いです。
- 本人確認書類の同封忘れ:写しが求められる場合が多いので事前に確認してください。
- 返信用封筒・切手の不備:郵送が戻る原因になるため、封入物を再確認してください。
不明な点は、まず所属の総務・人事担当に相談してください。手続きの方法や必要書類を具体的に案内してくれます。
再発行にかかる期間・費用
概要
源泉徴収票の再発行には、通常2週間から1か月程度かかります。申請の時点や事務処理の状況で前後しますので、余裕を持って申請することをおすすめします。
期間の目安
- 通常:申請から発行まで2週間〜1か月程度。窓口での即日対応は例外的です。具体的な日数は所属機関や時期によって変わります。
- 窓口受け取り:本人確認ができれば数日〜当日中に対応する自治体や機関もあります。
遅延しやすい要因
- 年度末や給与処理の繁忙期
- 人事異動や退職などで記録の照合が必要な場合
- 代理申請で委任状や追加書類が必要な場合
費用について
- 多くの場合、再発行自体に手数料はかかりません。発行は無料のケースが一般的です。
- 郵送を希望する場合、送料は自己負担になります。簡易書留や速達を希望すると別途実費がかかります。
- まれに文書交付手数料を設定している機関もあるため、事前に確認してください。
申請時のポイント
- 必要書類(本人確認書類、委任状など)を事前に確認して揃えると手続きが速くなります。
- 緊急で必要な場合は、受取方法(窓口受取か郵送か)を確認し、可能であれば窓口を利用してください。
再発行時の注意事項
法定保存期間と再発行可能期間
源泉徴収票は法定保存期間が7年間です。一般に過去7年分であれば再発行を依頼できます。例えば、2018年分は2025年の間は保存義務範囲に入りますので再発行が可能です。
事業者が倒産・連絡不能の場合の対処
勤務先が倒産したり、担当者と連絡が取れないときは、手続きを一度に諦めないでください。支払調書や給与明細が残っていれば、それで対応できる場面があります。金融機関や年金機構へ提出する際は、代替書類が認められるか事前に確認しましょう。
代替書類の例と注意点
- 給与明細:年末調整後の最終明細があれば有力な証拠になります。\n- 支払調書:報酬や給与の支払いを証明します。\n- 所得証明や源泉徴収票の写し:自治体や過去の確定申告の控えも有効です。
代替書類は書式や記載内容が審査されます。金額や支払者名が明確であることを確認してください。
税務署・自治体への相談
再発行が難しい場合は税務署や市区町村の窓口に相談できます。税務署は書類の代替方法や申告の取り扱いを案内します。相談するときは、本人確認書類や手元にある給与明細などを持参すると話がスムーズです。
本人確認と依頼時の準備
再発行を依頼する際は、本人確認書類(運転免許証など)と再発行を求める年次・期間を明確に伝えてください。相手先が不明瞭な場合は、勤務期間や給与支払の痕跡(通帳の入金履歴など)を用意しておくと手続きが円滑になります。
年金受給者の場合
連絡先・申請先
年金の源泉徴収票は、基本的に日本年金機構(厚生年金・国民年金での年金支給)や、共済組合(公務員時代の共済年金の受給者など)に申請します。まずは受給している年金を管轄する機関に電話や窓口で問い合わせてください。
必要書類
- 基礎年金番号(年金手帳や年金通知書で確認)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード等)
- 申請書(機関が定める様式)
具体例:年金通知書の控えがない場合は、基礎年金番号を別の書類で確認して申請します。
手続きの流れ
- 管轄機関に連絡し、再発行の申請方法を確認します。
- 指示に従い必要書類を郵送または窓口で提出します。
- 機関で本人確認後、源泉徴収票を発行します。
発行までにかかる日数は機関によって異なります。多くの場合、郵送で数日〜数週間を見込んでください。
注意点
- 発行手数料は原則無料のことが多いですが、機関ごとに異なりますので事前確認をおすすめします。
- 代理人が申請する場合は委任状が必要です。
- この源泉徴収票は確定申告や金融機関での手続きで必要になることがあるため、紛失しないよう保管してください。
ハローワーク・税務署等では発行できない
概要
ハローワーク、税務署、市役所などの窓口では、源泉徴収票の再発行を行いません。源泉徴収票は勤務先(給与を支払った事業者)または共済組合などが発行する書類です。したがって、発行の依頼先は勤務先や共済組合に限られます。
なぜ発行できないのか
- ハローワークや税務署は雇用者の給与台帳を保管していません。源泉徴収票は雇用者が税務署に提出するために作成する書類であり、原本の管理は発行者にあります。
どこに頼むか(具体例)
- 現職:人事・総務、給与担当部署に依頼します。
- 退職済み:退職先の総務や会計担当、共済組合に連絡します。
依頼の手順(簡単)
- 勤務先の担当窓口を確認する。連絡先が分からない場合は代表番号へ。
- 本人確認書類(身分証)を用意する。
- 再発行の理由(紛失・確定申告用など)を伝える。
- 書面やメールで依頼内容を残すと後で安心です。
- 受け取り方法(郵送・窓口)と発行時期を確認する。
連絡が取れない場合の対処
会社が解散・閉鎖して連絡先が無い場合は、会社の清算人や元代表者、労働組合に問い合わせてください。場合によっては弁護士等の専門家に相談する必要があります。しかし、ハローワークや税務署では発行や代行はできません。
よくある誤解
- 「税務署で源泉徴収票がもらえる」は誤りです。税務署は税の窓口ですが、雇用者が発行する書類の再発行は行いません。
よくある質問・トラブル事例
概要
退職後に時間が経っていても、保存期間内であれば源泉徴収票の再発行は可能です。申請時に必要な情報が不明な場合は、まず担当部署へ相談しましょう。会社や組合と連絡が取れない場合は税務署や労働基準監督署などに相談してください。
よくある質問(Q&A)
-
Q: 退職して何年まで再発行できますか?
A: 保存期間により異なります。会社ごとに保管期間が違うため、まず担当部署へ問い合わせてください。数年から長い場合はさらに年数が残ることもあります。 -
Q: 申請に必要なものは何ですか?
A: 本人確認書類(運転免許証など)、退職日や社員番号など分かる範囲の情報、代理人の場合は委任状があると手続きがスムーズです。給与明細や振込記録があると証明に役立ちます。 -
Q: 会社と連絡がつかない場合は?
A: 税務署や労働基準監督署に相談してください。場合によっては他の書類で代替できることを案内してもらえます。
トラブル事例と対応例
-
事例:勤務先が倒産して書類がない
対応:税務署や年金事務所に相談し、給与の支払い記録や振込明細で代替できないか確認します。 -
事例:申請書に不備があった
対応:担当部署に連絡して必要な追加書類を確認し、早めに再提出してください。
備考(実務上の注意)
申請は早めに行い、窓口で担当者名や連絡先を控えておくと安心です。分からない点は遠慮せず相談しましょう。
まとめ
公務員が源泉徴収票を再発行する際は、まず現所属または元所属の総務・人事担当や共済組合などの窓口に連絡してください。手続きの基本は窓口への依頼で、組織によっては郵送や電子申請にも対応しています。
- 必要なもの:本人確認書類、(代理人の場合は)委任状、発行を希望する年・期間の特定。
- 期間と費用:数日から数週間かかることが多く、繁忙期はさらに時間がかかります。費用は原則無料の場合が多いですが、事前に確認してください。
- 注意点:ハローワークや税務署では発行できません。代理申請時は本人確認に注意し、紛失時は早めに手続きを始めてください。
確定申告や住宅ローンなどで必要になることが多いため、余裕をもって依頼することをおすすめします。ご不明点があれば、所属の総務・人事窓口に相談してください。


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