はじめに
目的
この章では、本書の目的と全体の流れを分かりやすく説明します。本書は、2022年に廃止された年金手帳の現状と、マイナンバーカード（マイナンバー）との関係を丁寧に解説するために作成しました。
背景
かつて年金手帳は、年金に関する大切な証明書でした。2022年の制度変更で形式が見直され、多くの手続きでマイナンバーが中心となっています。本書は、制度変更が日常手続きにどう影響するかを具体例を交えて示します。
読み方の案内
各章は次の内容を扱います。
– 年金手帳の廃止後の扱い
– マイナンバーと基礎年金番号の関係
– 会社や年金機関への提出書類
– 年金受給に関する注意点
– マイナポータルでの確認方法
まずはこの章で本書の目的と構成を把握してから、次章にお進みください。
年金手帳は2022年で廃止。今どうなっているのか？
廃止の背景
年金手帳は1950〜60年代から、基礎年金番号を記した紙の手帳として使われてきました。2022年3月を最後に新規発行が廃止されました。理由は、マイナンバー制度で個人情報を一元管理できるようになり、行政間で番号を連携して年金情報を管理できるためです。簡単に言えば、紙の手帳が不要になったということです。
廃止後の扱い
廃止後、新たに国民年金の被保険者になる人には「基礎年金番号通知書」という紙が郵送されます。これは手帳の代わりに基礎年金番号を証明するものです。すでに年金手帳を持っている人は、その手帳を引き続き保管して問題ありません。番号自体は行政側で管理されています。
行政と個人の実務
行政機関や年金事務所は、マイナンバーや基礎年金番号を連携して管理します。本人が手続きをするときは、マイナンバーカードや通知書、住民票などで確認が行われることが増えています。具体例として、新しく会社に入ったときや年金の加入手続きをするときに、手帳ではなく通知書やマイナンバーの提示が求められる場合があります。
個人が取るべき対応
- 既に持っている年金手帳は大切に保管してください。手元にない場合は、年金事務所で基礎年金番号の確認が可能です。
- 新たに加入する人は、届いた「基礎年金番号通知書」を保管してください。
よくある疑問
年金手帳がなくても受給に影響はありません。番号は行政が管理しているため、必要な手続きは可能です。戸惑ったら年金事務所に問い合わせると安心です。
マイナンバーと基礎年金番号の関係
概要
マイナンバーは国内に住む人に付く12桁の番号で、行政手続きで本人を特定するために使います。基礎年金番号は公的年金の記録を管理するための番号です。政府のシステムでこの二つの番号を紐づけているため、年金機構や市区町村はどちらかの番号で手続きできます。
実務での使い分け
多くの年金手続きは2018年3月以降、マイナンバーで行えます。これにより、年金手続きに必要な添付書類を省略できる場合があります。たとえば、会社の被保険者資格の届出や年金給付の請求でマイナンバーを提出すれば、本人確認や過去の加入記録照合がスムーズになります。
基礎年金番号が必要な場合
ただし、一部の手続きや記録の突合せでは基礎年金番号を直接求められることがあります。過去の加入記録を細かく確認するときや、複雑な記録修正が必要なケースなどが該当します。
注意点
マイナンバーは非常に重要な個人情報です。手続きの際は、必要最小限の範囲でのみ提示してください。基礎年金番号は年金定期便や年金機構で確認できますので、控えを保管しておくと安心です。
会社への提出：年金手帳は不要、マイナンバーでOK？
提出の基本
転職や新卒入社時の社会保険手続きでは、2022年4月以降、会社は年金手帳の提出を求めず、マイナンバーの確認だけで手続きできることが増えています。2023年6月以降は社会保険でマイナンバー記載が義務化され、マイナンバーだけで処理できるケースが多くなりました。
会社が行う確認と理由
会社はマイナンバーを使い、住基ネット等を通じて基礎年金番号を把握できます。そのため年金手帳そのものの提示は基本的に不要です。マイナンバーの確認が済めば、被保険者情報の登録や年金事務所への届出が可能です。
具体的な提出方法
一般的には次の方法で確認します。
– マイナンバーカードの提示（写しを用いる場合もある）
– マイナンバー記載の書類と本人確認書類の組み合わせ
会社によってはオンラインで番号入力を求められることもあります。
年金手帳を求められた場合の対応
マイナンバーが用意できないときは、年金手帳や基礎年金番号が記載された通知書を求められる場合があります。その際は、手元の書類を提出するか、年金事務所に照会して番号を確認してもらってください。
管理上の注意点
マイナンバーは個人情報のため、会社は厳重に管理します。写しを渡す場合は、どのように扱うかを確認しておくと安心です。
年金手帳がなくても年金はもらえるのか？
受給権は基礎年金番号に紐づく
年金の受け取りは紙の“年金手帳”ではなく、基礎年金番号という記録に基づいて行われます。年金手帳を紛失していても、年金機構のシステム上に記録が残っていれば将来の受給に影響しません。
紛失時の対応（具体的）
- まず落ち着いて確認してください。年金手帳が見つからない場合でも、すぐに受給が止まることはありません。
- 基礎年金番号を忘れたときは、最寄りの年金事務所や市区町村窓口に問い合わせると照会してもらえます。本人確認書類（運転免許証やマイナンバーカードなど）を持参してください。
マイナンバーの活用
マイナンバーを使えば、年金相談や記録照会がスムーズになります。マイナンバーカードに紐づけられた情報で本人確認ができ、手続きの省略や簡略化が進んでいます。しかし、重要な変更（氏名・住所の変更など）は届出が必要な場合があるため、必要な手続きを確認してください。
日頃のおすすめ対策
- マイナンバーカードや本人確認書類は一カ所にまとめて保管しましょう。
- 年金に関する通知は大切に保管し、番号が分かればメモとして残してください。
- 不安なときは早めに年金事務所へ相談すると安心です。
マイナンバーカードがあれば年金手帳は基本「不要」
結論
マイナンバーカードを持っていれば、日常的な年金手続きで年金手帳を出す必要はほとんどありません。カード内の番号と身元確認機能で、多くの事務が代替できます。
主な置き換え可能な手続き
- 年金相談・記録照会：窓口やオンラインでマイナンバーを使って照会できます。ねんきんネットの登録にも便利です。
- 加入・喪失届：会社が従業員のマイナンバーを取得すれば、行政側で基礎年金番号を確認できます。
- 会社の社会保険手続き：年金手帳の提示を求められることは少なく、マイナンバーで対応できます。
使い方と注意点
会社に提示する際は、マイナンバーカードの表面（番号）を見せるだけで足りることが多いです。企業は番号を受け取り、行政と照合して基礎年金番号を確認します。
個人情報の扱いには注意してください。マイナンバーは厳重に管理する必要があり、会社も適切な保管と利用制限を行います。マイナンバーカードがない場合や特別な事情があるときは、年金手帳や基礎年金番号通知書を用いることになります。
基礎年金番号の確認方法：マイナポータルで表示も可能に
確認できる条件
- マイナンバーカード（個人番号カード）を持っていること。ログイン時にカード読み取りが必要です。
- 2024年10月9日から、マイナポータルの「年金記録」画面に基礎年金番号が表示されます。
オンラインでの確認手順（簡単な流れ）
- マイナポータルにアクセスし、マイナンバーカードでログインします。スマホやICカードリーダーでの読み取りに対応しています。
- メニューから「年金記録」または関連する年金情報のページを開きます。
- 表示された画面で「基礎年金番号」を確認します。必要なら画面をスクリーンショットや印刷で保存してください。ただし取り扱いには十分注意してください。
マイナポータルが使えない場合の確認方法
- 最寄りの年金事務所・年金相談センターの窓口で確認できます。本人確認書類（運転免許証、マイナンバーカード等）を持参してください。
- 年金関係の書類（加入記録通知、年金定期便など）を手元に保管していれば番号が記載されていることがあります。
注意点
- 基礎年金番号は重要な個人情報です。第三者に安易に教えないでください。
- オンラインで見つからない場合や不明点がある場合は、窓口での確認をおすすめします。
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