はじめに
目的
本調査は、年金手帳に関する提出義務の有無や、提出しない場合の影響、代替手段、最新の制度情報を分かりやすくまとめることを目的としています。特に2022年4月の年金手帳廃止以降の手続きの変化や、マイナンバー制度の導入による簡素化について詳述します。
対象読者
企業の人事・総務担当者、就職・転職する方、年金手続きに不安のある方など、幅広い一般読者を想定しています。専門用語は最小限にし、具体例で補足します。
本書の構成
本書は全9章で構成します。第2章は年金手帳の廃止、第3章はマイナンバーによる手続き簡素化、第4章は新規採用時の扱い、第5章は提出しない場合の影響、第6章は会社の保管、第7章は紛失時の対処、第8章は年金手続き全体の変更点、第9章はマイナンバーと基礎年金番号の使い分けです。
注意事項
本書は提供された範囲の情報に基づき作成しています。必要に応じて各章で手続き方法や問い合わせ先を案内します。
年金手帳は2022年4月に廃止されている
廃止の事実
年金手帳は2022年4月1日以降、新しく発行されなくなりました。これ以降、初めて年金番号を通知する場合は「基礎年金番号通知書」が交付されます。
以前の扱いと現在の扱い
これまで年金手帳は基礎年金番号など重要な情報を記載し、身分や年金手続きで使われることがありました。制度改正で新規発行は止まりましたが、すでに発行された年金手帳は無効にはなっていません。番号の確認や過去の記録として利用できます。
手元にある年金手帳への対応
手元に年金手帳がある場合は大切に保管してください。手続きで番号が必要なときは、年金手帳か基礎年金番号通知書で確認できます。紛失した場合や番号を確認したい場合は、年金事務所や年金機構の案内に従ってください。今後は新しい書類で番号が通知される仕組みになっている点を覚えておくと安心です。
マイナンバー導入による手続きの簡素化
- 概要
マイナンバーの導入で、マイナンバーと基礎年金番号が結びつき、年金に関する手続きがずいぶん楽になりました。平成30年3月5日からは基礎年金番号の代わりにマイナンバーで届出ができ、住基ネット(住民の住所情報を連携する仕組み)を通じて情報を共有します。
- 具体的な変化と例
1) 住所変更や氏名変更の届出が原則省略できます。たとえば転居で市区町村に転入届を出すと、年金側に別途届け出る必要がない場合が増えました。
2) 会社での手続きも簡単です。雇用時にマイナンバーを提出すれば、基礎年金番号の照合が速くなり、年金加入手続きがスムーズになります。
- 注意点
ただし、すべての場面で届出が不要になるわけではありません。住基ネットに情報が反映されていない場合や、本人確認書類が別途必要な手続きでは、従来どおり書類の提出を求められることがあります。また、マイナンバーは個人情報なので、提出先や保管方法には十分に注意してください。
新規採用時に年金手帳の提出は不要
概要
現在、採用時に年金手帳を会社に提出する必要は原則ありません。マイナンバーで年金関連の手続きを行うため、年金手帳を求められるケースは減っています。
何が変わったか
日本年金機構への届出は基礎年金番号ではなくマイナンバーで行います。会社はマイナンバーの提供を受ければ、新たに年金手帳の提出を求めずに手続きを進められます。
会社に提出する場合
まれに会社側が基礎年金番号の確認や記録として年金手帳を求めることがあります。その場合は原則として提示で済み、多くはコピーを取らずに番号を確認します。
求められた時の対応
年金手帳が手元にあれば見せて番号を伝えます。手帳がない場合はマイナンバーで対応できます。番号が不明な場合は市区町村や日本年金機構で照会できます。
注意点
個人番号(マイナンバー)は慎重に取り扱い、会社に見せるときも提示の方法や保存方法を確認してください。
提出しない場合の影響と注意点
影響(会社側と本人側)
基礎年金番号やマイナンバーを提出しないと、会社は厚生年金や健康保険の加入手続きを進められません。会社が手続きをできないと、本人の保険加入が遅れ、将来の年金記録や保険給付に影響が出る可能性があります。
具体的な不利益の例
- 給与から保険料の天引きが始まらず、保険適用の反映が遅れる。
- 年金の加入期間が正しく記録されず、受給額が少なくなる恐れがある。
- 病気やけがでの給付手続きで手続きが複雑化することがある。
注意点と対応方法
- 年金手帳は不要ですが、基礎年金番号またはマイナンバーの提示は必須と理解してください。
- 提出が遅れた場合は速やかに人事・総務へ連絡し、提出方法(コピー、写真、窓口持参など)を確認してください。
- 会社側は提出を受けてから遡及処理を行う場合があります。手続き状況は給与明細や社会保険加入状況で必ず確認してください。
個人情報の取り扱い
マイナンバーは特に慎重に扱う必要があります。提出方法や保管方法について不安があるときは、担当窓口に取り扱いルールを確認してください。
会社の年金手帳保管について
概要
かつては入社時に会社が年金手帳を預かることがありました。ですが年金手帳は本人の私物であり、会社に保管義務や法律上の保持義務はありません。2022年4月の廃止に伴い、会社が保管する必要性はさらに低くなっています。
会社が預かるケースと注意点
採用手続きや加入手続きの便宜上、総務が一時的に預かることはあります。例:書類確認のために数日間だけ預かる。ただし長期保管を求められる場合は、理由と保管期間を確認してください。
返却を求める方法
返却を希望する時は、まず担当者に口頭で伝えます。記録を残したい場合はメールや書面で依頼すると安心です。例:入社後に「年金手帳を返却してください」とメールで依頼すると、やり取りの証拠になります。
保管中のリスクと対策
会社が保管中に紛失や損傷があれば手続きが面倒になります。重要書類は本人で保管するのが安全です。写真を撮ってデータ保存しておくと、万一の手続きで役立ちます。
廃止後の対応
年金手帳が廃止された現在は、会社に保管を求める必要はありません。必要書類は別の形(マイナンバーや基礎年金番号)で管理されますので、会社に預けられている場合は返却を求めて差し支えありません。
紛失した場合の対処法
概要
年金手帳そのものは再発行できません。紛失したときは、日本年金機構(年金事務所)で「基礎年金番号通知書」を発行してもらいます。国民年金のみ加入の方は市区町村役場でも手続きできます。
再発行(通知書の請求)方法
- 電子申請:マイナンバーカードを使い、日本年金機構やe-Govのオンライン窓口から申請します。本人確認がオンラインで済むため手続きが簡単です。
- 郵送:所定の申請書と本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、保険証など)の写しを同封して送ります。返信用封筒を用意すると便利です。
- 窓口持参:年金事務所または市区町村窓口で申請書に記入し、本人確認書類を提示して手続きします。印鑑を求められる場合があります。
会社員の方へ
勤務先が基礎年金番号を把握していることがあります。まずは人事・総務に確認すると手続きが早く済むことがあります。
届いた後の注意点
通知書が届いたら基礎年金番号を控え、大切に保管してください。マイナンバーとは別に管理し、第三者に不用意に知らせないでください。手続きで不明点があれば、最寄りの年金事務所に相談してください。
年金手続きの全体的な変更点
概要
平成30年3月以降、マイナンバーを活用して年金事務の多くが簡素化されました。これにより、被保険者の住所・氏名変更届が原則不要になり、入社時の年金手帳提出も不要になります。厚生年金の資格取得届から住所欄が省かれるなど、事務負担が軽くなっています。
主な変更点と具体例
- 住所・氏名変更届の簡素化
例:引越し後は市区町村で住民票の手続きを行えば、年金記録も連動して更新される場合が多く、別途年金事務所へ届け出る必要が減ります。 - 入社時の年金手帳提出不要
例:採用時に年金手帳を会社に渡さず、マイナンバーで資格取得届を提出します。 - 資格取得届の記載項目の削減
例:厚生年金の資格取得届で住所の記入が不要になりました。
注意点(例外と手続きが必要な場合)
- マイナンバーが確認できない場合は従来どおり書類の提出を求められることがあります。
- 国外転出や死亡、氏名変更で戸籍の変更を伴う場合は、追加書類(戸籍謄本や届出書)が必要になることがあります。
企業と個人の対応ポイント
- 会社はマイナンバーを適切に管理し、資格取得届などで正しく利用してください。
- 個人は住民票やマイナンバーの情報が最新か確認してください。必要時は市区町村窓口や年金事務所に問い合わせてください。
これらの変更で事務負担は軽減しますが、例外や個別の手続きが残るため、疑問があれば早めに確認することをおすすめします。
マイナンバーと基礎年金番号の使い分け
概要
マイナンバーだけで年金手続きが進むことが多くなりましたが、セキュリティや照合のために基礎年金番号を使う方が望ましい場面があります。会社によっては年金手帳の代わりに基礎年金番号の控え(コピーや通知書)で問題ない場合もあるため、提出の前に確認してください。
使い分けのポイント
- マイナンバー:行政手続きや一度に多くの情報を照合する場面で便利です。個人情報なので取り扱いに注意してください。具体例:入社時の本人確認書類として提出する。
- 基礎年金番号:年金に関する照合作業で直接使われます。安全性の面から、会社や年金事務所が番号だけを控える場合があります。具体例:年金加入記録の照合時に番号を伝える。
会社への提出と手元保管
- 提出前に「どの番号が必要か」「原本がいるかコピーで良いか」を必ず確認しましょう。
- 手元に年金手帳を残したい場合は、基礎年金番号が分かる通知書のコピーを提出することで受け入れてもらえることがあります。会社の指示に従ってください。
番号がわからない・控えがない場合
- 年金定期便や加入記録で基礎年金番号を確認できます。見つからないときは年金事務所に問い合わせてください。本人確認書類が必要になります。
最後に
どちらの番号を使うかは目的と相手先によります。まずは会社や年金事務所に問い合わせて、不要な提出や情報漏えいを防ぐようにしてください。


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