はじめに
本章の目的
本記事は、令和4年(2022年)4月以降に廃止された「年金手帳」の新規発行制度と、それに代わる「基礎年金番号通知書」について分かりやすく解説するために作成しました。年金にかかわる手続きや書類の変更点を、初めての方にも理解しやすい言葉でお伝えします。
背景の簡単な説明
これまで日本では年金手帳が広く使われてきましたが、新規発行が廃止され、代わりに基礎年金番号通知書が用いられる制度に変わりました。本章では変更の全体像を紹介し、以降の章で詳しく扱う内容への案内をします。
本記事で学べること
- 年金手帳廃止の背景と制度変更の概要
- 基礎年金番号通知書の特徴と使い方
- 紛失時の再発行手続きと注意点
- 会社や事業所での取り扱い方法
- よくある質問と確認方法
読者の想定
年金手帳を持っている方、これから年金手帳に代わる書類を受け取る方、人事・総務の担当者など、幅広い方を想定しています。専門用語はできるだけ使わず、具体例を交えて説明します。
読み方のポイント
まずは第2章で制度変更の全体像を確認してください。必要に応じて、該当する章だけを読み進めると手続きがスムーズです。分からない点があれば、第7章のQ&Aを参考にしてください。
年金手帳の発行廃止と制度変更の概要
背景と施行日
令和4年(2022年)4月1日から、年金手帳の新規発行が廃止され、代わりに「基礎年金番号通知書」が交付される制度になりました。既にお持ちの年金手帳は引き続き有効です。
何が変わったか
- 新しく年金手帳は発行されません。新規加入者や再発行の対応は「基礎年金番号通知書」で行います。
- 年金番号(基礎年金番号)そのものは引き続き使います。番号が変わるわけではありません。
書類の違い(簡単に)
年金手帳は従来の冊子タイプが多かったのに対し、基礎年金番号通知書は番号を通知するための書面です。どちらも年金番号の確認や手続きに使えます。
個人・事業所への影響
- 個人:過去に年金手帳があれば保管してください。紛失して番号を確認したい場合は、基礎年金番号通知書での再発行手続きに進みます。
- 事業所:従業員の基礎年金番号の確認方法が変わる点に注意してください。採用時や給与・社会保険の届出では、通知書や既存の手帳で番号を扱えます。
この章は全体の概要です。再発行方法や具体的な手続きは別章で詳しく説明します。
基礎年金番号通知書の特徴
説明
基礎年金番号通知書は、クレジットカードサイズ(縦54mm×横85mm)のカード型の書面で、黄橙色です。年金に関するあなたの基礎年金番号を確認するための簡便な通知物として交付されます。普段から携帯する必要はなく、大切に保管してください。
記載内容
- 基礎年金番号(10桁)
- 氏名(カタカナのフリガナ付き)
- 生年月日
- 交付年月日
これらは年金手続きや勤務先の手続きで番号を伝える際に使います。
交付と届け先
原則として、加入者本人の住所に郵送されます。世帯主や勤務先に送られることは基本的にありません。住所が変わった場合は市区町村や年金事務所へ届出を行ってください。
使い方と注意点
通知書は番号の確認用です。本人確認書類の代わりにはなりませんので、身分証が必要な手続きには運転免許証などを用意してください。番号を第三者に不用意に教えないようにし、悪用を防いでください。
保管と紛失時の対応
安全な場所に保管し、濡れや折れに注意してください。紛失した場合は速やかに年金事務所に連絡し、再発行の手続きについて案内を受けてください。
年金手帳・基礎年金番号通知書の再発行方法
いつ再発行が必要か
年金手帳や基礎年金番号通知書を紛失、破損、盗難したときは再発行の手続きが必要です。番号が分からない場合も再発行で確認できます。
申請窓口
- 国民年金の加入者:市区町村役所の窓口、または最寄りの年金事務所
- 厚生年金の加入者:勤務先を通じて、または年金事務所で対応します
必要書類(主な例)
- 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、旅券、在留カードなど)
- マイナンバー確認書類(マイナンバーカードや通知カードなど)
- 代理人が申請する場合は委任状と代理人の本人確認書類
書類は窓口で確認されますので、事前に自治体や年金事務所の案内を確認してください。
申請の方法(手順)
- 必要書類を準備する
- 窓口へ持参、または郵送で申し込む。マイナンバーカードをお持ちなら電子申請(オンライン)も利用できます
- 年金事務所から通知書が郵送で届くことが一般的です
発行までの目安と注意点
通常、再発行には約1か月程度かかります。自治体や時期により前後するため余裕をもって手続きしてください。通常は手数料がかからないことが多いですが、念のため窓口で確認してください。
代理申請のポイント
ご本人が来られない場合は、委任状と代理人の本人確認書類を用意します。勤務先を通して申請する場合は、会社に必要書類を確認してもらってください。
既存の年金手帳の取り扱い
有効性
令和4年4月以前に発行された年金手帳は引き続き有効です。年金の給付請求や加入履歴の確認など、公的な手続きで基礎年金番号を証明する書類としてそのまま使えます。
新しい通知書との関係
すでに年金手帳を持っている方には基礎年金番号通知書は原則発行されません。手元に年金手帳がある場合は、あらためて通知書を待つ必要はありません。
保管と提示のポイント
年金手帳は大切な個人情報が記載された書類です。濡れや破損を避けて保管してください。手続きで提示する際は、窓口の指示に従い、必要に応じてコピーを取って提出します。
紛失した場合の対応
年金手帳を紛失したら、まず年金事務所や日本年金機構に連絡し、再発行の手続きを行います。再発行の際は本人確認書類が必要です。基礎年金番号の確認や他の証明方法についても案内を受けられます。
よくある誤解
「古い手帳は使えない」と誤解する方がいますが、発行日が古くても有効です。ただし情報が消えたり判読できない場合は再発行を検討してください。
会社・事業所での取り扱い
概要
会社に入社する際、従来求められていた年金手帳の提出は原則不要です。厚生年金の資格取得届には、基礎年金番号の代わりにマイナンバーが主要な記載項目になります。住所や年金手帳の住所欄の記入も不要です。
入社時の実務対応
- 従業員に求める書類は、マイナンバーが確認できる書類(マイナンバーカードや通知書)と本人確認書類です。
- 雇用保険や源泉徴収のために基礎的な氏名・生年月日・住所は取得しますが、年金手帳の提示は求めません。
具体例(書類と記入項目)
- 資格取得届:マイナンバー、氏名、生年月日、加入区分など
- 社内記録:緊急連絡先や雇用形態は従来通り記録しますが、年金手帳の住所欄記入は不要です。
既に年金手帳を持参した場合
- 会社で預かる必要は基本的にありません。本人に返却するか、保存を希望する場合は本人の同意を得て管理します。
マイナンバーを提示できない場合の対応
- 仮登録や書類提出の猶予を認め、マイナンバーが確認でき次第、資格取得届を提出します。
- どうしても不明な場合は年金事務所へ確認し、従業員と協力して番号の特定を行います。
保管と情報管理
- マイナンバーは特定個人情報に該当するため、厳重な管理が必要です。アクセス制限や暗号化、保存期間の明確化を行ってください。
労務担当者への注意点
- 従業員に対して「年金手帳を提出する必要はない」ことを説明し、マイナンバーの取り扱い方法を周知してください。会社が収集する情報は最小限にとどめ、適切に管理する意識を持ちましょう。
よくあるQ&A
以下は年金手帳や基礎年金番号通知書を紛失したときによく寄せられる疑問とその答えです。短く分かりやすく説明します。
Q1: 失くしたらどこで再発行できますか?
市区町村役場の窓口か、日本年金機構(年金事務所)で申請します。まずお近くの窓口に問い合わせてください。
Q2: 再発行に必要なものは?
本人確認書類(運転免許証、パスポート等)とマイナンバー確認書類(個人番号カードや通知カード)。窓口で案内される書類を確認してください。
Q3: どのくらい時間がかかりますか?
通常は約1か月程度で届きますが、窓口の混雑状況や書類不備で前後します。
Q4: 再発行に手数料はかかりますか?
原則として再発行は無料です。例外がある場合は窓口で案内されます。
Q5: 会社に提出していた場合はどうすればいいですか?
まず人事・総務に事情を伝え、新しい番号通知を提出してください。会社で控えが残っていることもありますので確認しましょう。
Q6: 未成年や代理で申請できますか?
親権者や委任を受けた人が代理申請できます。窓口で必要な委任状や親権者の本人確認書類を確認してください。
Q7: 海外にいるときは?
在外公館や年金事務所に相談してください。手続き方法や必要書類を案内してくれます。
質問があれば、どの場面で困っているか教えてください。具体的にお手伝いします。
基礎年金番号の確認方法
マイナンバーカードを使う方法
マイナンバーカードをお持ちなら、ねんきんネット(日本年金機構のオンラインサービス)で基礎年金番号を確認できます。ログイン後、履歴や受給見込みを表示する画面で番号が確認できます。スマホやパソコンで手続き可能です。
マイナンバーカードがない場合
マイナンバーカードがない方は、年金事務所の窓口や郵送で確認できます。本人確認書類(運転免許証など)が必要です。郵送の場合は申請書類の記入と身分証明の写しを添付します。
具体的な手順(ねんきんネット)
- ねんきんネットにアクセスして利用登録(初回)
- マイナンバーカードでログインするか、ID・パスワードでログイン
- 「基礎年金番号」や「加入履歴」を表示して確認
窓口での確認時の注意点
本人確認が必須です。代理の方が手続きする場合は委任状が必要になります。番号は重要な個人情報なので取り扱いに注意してください。


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