はじめに
退職時の年金手帳の扱いは、多くの方が悩む点です。本記事は、退職したときに年金手帳を会社に返すべきか、受け取る手続きはどうするか、注意点は何かを分かりやすく解説します。年金手帳の役割や廃止後の扱い、紛失時の対応、退職時に受け取るべき書類なども取り上げます。
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背景
年金手帳は、年金番号や加入履歴を確認する大切な書類です。転職や退職で手続きが必要になる場面が多いため、扱い方を理解しておくと手続きがスムーズになります。たとえば、転職先に年金番号を伝える必要がある場合や、年金の受給手続きを自分で行うときに役立ちます。 -
本記事の目的
退職時にすべきことを具体的に示し、迷わず行動できるようにします。どの書類が必要か、誰に問い合わせるかも明記します。 -
読者想定
退職する本人、転職予定の方、家族や支援をする方を想定しています。市区町村の年金窓口や会社の人事に相談する前に、本記事を参考にしてください。
退職時の年金手帳の返却・受け取り
返却を受けるべき理由
退職時に会社が年金手帳を保管していた場合は、必ず返却を受けてください。年金手帳には基礎年金番号が記載されており、年金の請求や資格確認、転職先への提出などで必要になります。今後の手続きがスムーズに進むよう、大切に保管する必要があります。
受け取りのタイミングと一般的な流れ
多くの会社は入社時に預かり、退職時に返却します。退職届の受理後、最終出勤日や退職日までに渡されるのが一般的です。退職時に渡されない場合は、退職前に人事や総務に確認してください。
受け取り時に確認すること
- 基礎年金番号がはっきり記載されているか
- 氏名・生年月日が正しいか
- 手帳に破損や書き込みがないか
受け取ったらコピーやスマホで写しておくと、万一紛失したときに手続きが楽になります。
会社が返却を渋る場合の対応
まずは人事担当に返却の旨を文書やメールで依頼してください。それでも返してもらえない場合は、最寄りの年金事務所に相談するか、退職時に受け取るべき書類の確認を求めましょう。
まとめ(簡潔に)
年金手帳は今後の年金手続きに必要な重要書類です。退職時に必ず受け取り、中身を確認して安全な場所で保管してください。
年金手帳の役割と現在の取り扱い
年金手帳の主な役割
年金手帳は、基礎年金番号を確認するための公的な管理資料です。加入履歴や保険料納付の確認に使えます。例えば転職時に年金番号の提示を求められた場合や、年金の請求手続きで番号を示すときに役立ちます。
2022年4月以降の取り扱い
2022年4月から、年金手帳の新規発行は廃止され、代わりに「基礎年金番号通知書」が送られるようになりました。既に年金手帳をお持ちの方は、引き続きその手帳を使えます。紛失した場合や新たに加入する場合は、通知書や日本年金機構が発行する書類で番号を確認します。
実務上の使い方と注意点
- 手帳は番号確認用の証明として便利です。ただし、詳細な納付履歴は手帳に全て記載されているわけではありません。納付状況を正確に知りたいときは、日本年金機構の「年金記録」や「年金定期便」を確認してください。
- 退職や転職の際は、手帳または通知書を会社に提出すると手続きがスムーズです。手帳がない場合でも、基礎年金番号が分かれば代用できます。
- 紛失時は再発行は行われませんが、基礎年金番号通知や年金事務所で番号の照会ができます。本人確認書類が必要です。
以上の点を押さえておくと、年金手続きで慌てずに済みます。
退職後に必要な年金手続きと年金手帳の使い方
誰が手続きするか
次の職場に入るまで期間が空く方、自営業や無職になる方は国民年金への切り替え手続きが必要です。会社を退職して厚生年金の被保険者でなくなった方が対象です。
必要書類
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
- 退職を証明する書類(離職票、退職証明書など)
- 印鑑(自治体で必要な場合あり)
具体例:次の職場まで2カ月空く場合や開業するときは、これらを持って手続きします。
手続きの期限と窓口
退職日の翌日から14日以内に市区町村役場の窓口で手続きを行ってください。自治体によっては郵送や事前予約が必要な場合がありますので、窓口に確認してください。
手続きの流れ(簡単)
- 窓口で書類を提出します。
- 加入区分を確認してもらいます。
- 保険料の納付方法(口座振替や納付書)を選びます。
- 手続き完了の書類を受け取ります。
年金手帳の使い方
年金手帳は基礎年金番号の証明になります。窓口で提示したり、再就職した際は新しい勤務先へ提出します。手帳を紛失した場合は再発行の手続きが必要です(紛失時は第6章参照)。
転職する場合と年金手帳の提出
転職先がすぐ決まっている場合
退職と入社が同じ月であれば、年金の切り替え手続きを個人で行う必要がないことがあります。例えば、3月10日に退職して3月20日に入社する場合、新しい会社があなたを厚生年金に加入させれば年金記録は途切れず処理されます。新旧の会社間で必要な手続きを会社側が進めるため、個人の負担は少なくなります。
年金手帳提出が不要になる理由
現在は基礎年金番号がマイナンバー等で管理されているため、新しい勤務先が番号を確認できれば年金手帳の原本提出を省く場合が増えています。多くの会社はマイナンバーや前年の源泉徴収票で確認します。
提出が求められたときの対応
会社から年金手帳の提示や基礎年金番号の提出を求められたら、人事・総務に渡します。手元にない場合は、基礎年金番号がわかる書類(年金定期便の写しなど)やマイナンバーを示せば対応できます。原本が必要な場合はコピーや写真で確認する会社もありますので、事前に確認してください。
転職の間に空白期間がある場合
入社まで期間が空くと資格の切替が生じます。短期間なら新しい会社の加入でつながることがありますが、長期の空白があると国民年金の手続きが必要になります。離職票や保険証の扱いも併せて人事に確認してください。
実務的なアドバイス
- 年金手帳は原本か写しを持参すると安心です。写真データでも可。
- 事前に新しい会社の人事に「年金手帳を提出する必要があるか」を確認しましょう。
- 不明点があれば最寄りの年金事務所に相談してください。
年金手帳を紛失した場合の対応
紛失したと気づいたらまず行うこと
自宅や職場、よく使うバッグの中をもう一度確認してください。家族や前の職場に預けていないかも確かめましょう。短時間で見つかることが多いです。
再発行(基礎年金番号通知書)の手続き
見つからない場合は、最寄りの年金事務所で基礎年金番号通知書の再発行手続きを行います。原則として年金事務所窓口での申請が基本です。郵送で対応できる場合もあるので、事前に電話で確認すると安心です。
必要な書類(具体例)
- 本人確認書類:運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど
- 健康保険証のみの場合は、補助書類(住民票や公共料金の領収書など)が求められることがあります
- 代理人が申請する場合は、委任状と代理人の本人確認書類が必要です
手続きの流れ・費用・所要時間
窓口で申請書に記入し、本人確認のうえ再発行手続きが進みます。費用は原則無料です。所要時間は窓口での確認後、数日から数週間かかる場合があります。急ぐ場合は事前に相談してください。
再発行後の注意点
受け取った通知書はコピーをとって安全な場所に保管してください。今後は定期的に書類を整理し、紛失を防ぐ工夫をおすすめします。年金手続きで基礎年金番号が必要になった場合は、再発行した書類を提示してください。
退職時に会社から受け取るべき書類リスト
以下は退職時に会社から受け取るべき主な書類と、それぞれの役割・受け取った後の対応です。
- 雇用保険被保険者証
- 役割:雇用保険の加入記録を示します。転職先での手続きや失業給付の申請で必要になります。
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対応:手元に保管し、転職時は提出します。失業手当を受ける場合はハローワークに提示します。
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健康保険資格喪失証明書(又は被保険者資格喪失届の控え)
- 役割:退職日に健康保険の資格が切れたことを証明します。国民健康保険や任意継続加入の手続きで必要です。
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対応:退職後の健康保険の切り替え手続きに使います。速やかに市区町村役場や健康保険組合へ提出してください。
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年金手帳(会社に預けていた場合)
- 役割:年金加入記録の確認に使います。現在は基礎年金番号が通知されるため手帳がないこともあります。
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対応:受け取ったら大切に保管してください。紛失している場合は年金事務所で再発行の相談をします。
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離職票(または退職証明書)
- 役割:退職の事実や退職理由などを示します。失業給付の申請に使います。
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対応:離職票は退職後に会社が交付します。届いたら内容を確認し、ハローワークに持参してください。
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源泉徴収票
- 役割:その年の給与と税金の支払証明です。年末調整や確定申告、転職先での手続きに必要です。
- 対応:給与の内容が正しいか確認し、転職先や税務手続きの際に提出します。
受け取る書類は原本を大切に保管してください。コピーを取っておくと再発行の手間を減らせます。もし未受領の書類があれば速やかに会社の総務や人事に確認しましょう。
よくある疑問・注意点
1)会社に年金手帳が残っていないか
退職後、まず会社に年金手帳や基礎年金番号通知書が残っていないか確認してください。例:退職時に人事担当へ「手帳は返却済みか」を口頭で確認し、不安なら郵送で返却を依頼します。
2)年金手帳が廃止されたあとでも番号は必要
年金手帳が廃止されても、基礎年金番号を証明する書類は転職や年金請求で必要です。年金事務所からの通知や「基礎年金番号通知書」を保管してください。
3)紛失したときの対応
紛失したら早めに年金事務所へ申し出て再発行や番号確認を行ってください。本人確認書類(運転免許やマイナンバーカード等)を用意します。
4)転職先に間に合わないとき
番号がすぐ用意できない場合は、転職先に事情を説明し、手続き方法を相談してください。多くの企業は事後提出を認めます。
5)よくある誤解
- マイナンバーだけで代替できるとは限りません。場面により年金番号の提示が求められます。
- 書類は紙で保管すると安心です。電子でも可ですが、削除や見失いに注意してください。
何か不明点があれば、人事またはお近くの年金事務所に相談してください。


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