はじめに
本記事は、パートタイムや扶養内で働く方が退職するときに関わる「離職票（りしょくひょう）」について、分かりやすく説明するために作成しました。
本記事の目的
離職票が発行される条件や手続き、扶養認定への影響など、実際に役立つ情報を丁寧に解説します。雇用保険の加入要件や、どのようなケースで離職票が届くのか、手続きの流れを具体例で示します。
誰に向けた内容か
- パートやアルバイトで働き、退職を考えている方
- 扶養に入っている、あるいは扶養に入る予定の配偶者や家族
- 人事・労務担当者で、パート従業員の手続きを確認したい方
読み方のヒント
各章は実務に役立つ順に並べています。まずは第2章で「離職票とは何か」を押さし、第3章で雇用保険の加入条件を確認すると理解が進みます。具体例を交えながら進めますので、自分のケースに当てはめて読み進めてください。
注意点
言葉はできるだけ平易にしていますが、手続きに関する細かな判断は市区町村や年金事務所、ハローワークで確認してください。必要な書類や期限は状況により変わることがあります。
第2章: 離職票とは何か？パートや扶養内勤務でも必要？
離職票の基本
離職票は、雇用保険に加入していた人が退職したときに事業主が発行する公的な書類です。この書類は、失業給付（失業手当）などの受給申請に必要になります。離職の理由や在籍期間が記載されるため、給付の可否や金額を判断する重要な証拠になります。
パート・アルバイトでも発行されるか
雇用形態（正社員・パート・アルバイト）に関係なく、雇用保険に加入していれば離職票は発行されます。たとえば、週20時間以上の勤務や一定の雇用期間を満たして雇用保険に加入していたパートタイマーは対象です。扶養に入っているかどうかは発行の要否に影響しません。
具体例で確認
例1: 週30時間のパートで雇用保険加入→退職時に離職票が発行されます。
例2: 週10時間で加入要件を満たさない場合→雇用保険未加入のため離職票は発行されません。
受け取り後の流れ（簡潔）
退職後、事業主から離職票が郵送されます。届いたらハローワークで失業給付の手続きを行います。書類の記載内容に不明点があれば、勤務先かハローワークに相談してください。
パート・扶養内勤務で雇用保険に加入できる条件
概要
パートや扶養内で働いていても、一定の条件を満たせば雇用保険に加入できます。ここでは誰に当てはまるかを分かりやすく説明します。
加入の2つの条件
- 週の所定労働時間が20時間以上であること
- 引き続き31日以上の雇用見込みがあること
いずれも満たすと雇用保険の対象になります。扶養に入っているかどうかは条件の適否に影響しません。
具体例
- 例1：週5日、1日4時間（合計20時間）で働く場合→加入対象
- 例2：週3日、1日6時間（合計18時間）→加入対象外
- 例3：短期の契約で1か月未満（30日）→加入対象外
手続きの流れ（簡単）
- 勤務先が該当者を確認します。2. 該当なら事業所が雇用保険へ加入手続きを行います。3. 雇用保険被保険者証が交付されます。
注意点
- 複数の勤務先がある場合は、それぞれの勤務先で条件を判断します。合算して判断されない場合が多い点に注意してください。
- 条件を満たしたと感じたら勤務先に確認し、手続きの有無を確認してください。
離職票が発行される具体的なケースと発行の流れ
主な発行ケース
- 退職（自己都合や会社都合）の場合
- 契約期間満了での雇い止め
- 解雇や雇用調整（リストラ）
- 会社の倒産や事業所の廃止
- 体調不良や介護などで退職した場合でも、雇用保険に加入していれば対象になります
※パートや扶養内勤務でも雇用保険に加入していたら発行されます。加入条件に満たない場合は発行されません。
発行の流れ（簡潔）
- 退職した翌日から10日以内に、会社が必要書類をハローワークへ提出します（通常は雇用保険関係の書類）。
- ハローワークで審査・処理を行い、離職票を作成します。
- ハローワークが離職票を本人宛てに郵送します。通常、退職から約10日程度で届きますが、会社やハローワーク側の手続き状況で前後します。
よくある具体例
- Aさん（パート・週20時間以上）: 契約満了で退職。会社が書類を出し、1週間ほどで離職票が届きました。
- Bさん（扶養内で雇用保険加入）: 上司と合意のうえ退職。ハローワークで被保険者期間が確認され、離職票が発行されました。
届かない・遅いと感じたときの対応
- まず会社の総務や担当者に提出状況を確認してください。
- 会社が未提出、または連絡が取れない場合は、最寄りのハローワークに相談してください。ハローワークは企業に提出を促すことができます。
必要な場合は、私が文例や相談時のポイントも作成します。
扶養と離職票の関係
基本の考え方
扶養内で働いていても、雇用保険に加入していた場合は退職時に離職票が発行されます。離職票は雇用保険の給付（失業手当）を受ける手続きに必要な書類です。
失業手当が扶養に与える影響
失業手当は「収入」とみなされるため、受給期間中は扶養認定に影響する場合があります。たとえば、被扶養者の収入基準を超えると健康保険や税の扶養から外れることがあります。
具体例での説明
例：扶養認定が「一定の収入以下」を条件とする場合、普段は条件内でも失業手当を受けることで一時的に基準を超える可能性があります。結果として、健康保険の被扶養者や税の扶養控除の対象から外れることがあります。
手続きと確認のポイント
- 離職票を受け取ったら、まず雇用保険の窓口で受給の見込みを確認してください。2. 健康保険の被保険者（配偶者や会社）や市区町村の窓口に、受給予定であることを早めに相談してください。3. 扶養から外れた場合の切替（国民健康保険への加入や自分名義の保険加入）を準備してください。
注意点
離職票がある＝自動的に扶養から外れるわけではありません。具体的な影響は保険や税の基準により異なりますので、早めに関係先へ相談することをおすすめします。
雇用保険・社会保険・扶養の違いと注意点
雇用保険（失業給付の対象）
雇用保険は、週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある場合に加入します。退職後に会社が発行する「離職票」を使ってハローワークで失業給付の手続きを行います。離職票は雇用保険に関する書類なので、失業給付以外の保険手続きには使えません。
社会保険（健康保険・厚生年金）
社会保険は加入条件が別に定められ、たとえば週30時間前後の基準が目安になります。社会保険の資格喪失や加入手続きは健康保険組合や年金事務所を通じます。離職票は発行されませんので、社会保険の変更は別途手続きをしてください。
扶養（被扶養者）
扶養に入るには年収の目安（約130万円未満など）が基準になります。失業給付の受給や離職後の収入状況で扶養から外れる可能性があります。扶養の扱いは健康保険と税制で基準が異なるため、加入先に確認してください。
注意点と実務的な手続き
- 退職時はまず離職票の有無を確認し、雇用保険の手続きを優先してください。
- 社会保険の資格喪失届や国民健康保険への加入は、退職日を基準に期限内に行ってください。
- 扶養の変更は保険者（配偶者の勤務先など）に連絡し、必要書類を提出してください。
これらはそれぞれ別の制度です。手続きを混同せず、必要な窓口へ速やかに連絡することが大切です。
離職票が不要な場合
概要
雇用保険に加入していない場合、離職票は発行されません。たとえば週の労働時間が20時間未満、雇用期間が31日未満の短期契約などが該当します。自己判断が難しいときは給与明細を確認してください。
主なケース（具体例）
- 週15時間で働く扶養内パート：雇用保険に入っていなければ離職票は出ません。
- 2週間だけの派遣や短期バイト：契約期間が31日未満なら発行対象外です。
- 年齢や学生などで特例に該当する場合：条件によって加入しないことがあります。
確認方法
給与明細の「雇用保険料」「雇保」欄を探してください。金額が記載されていれば加入しています。なければ未加入の可能性が高いです。
受け取れないときの対応
雇用保険に加入しているはずなのに離職票が来ない場合は、まず勤務先に問い合わせてください。それでも解決しないときは最寄りのハローワークに相談すると対応方法を教えてもらえます。
注意点
離職票がなくても、失業給付を受けられない以外に年金や健康保険の手続きが必要になる場合があります。退職後の手続きは次章で詳しく説明します。
退職後の扶養・保険手続きの流れ
1. 離職票の受け取りと確認
まず会社から届く離職票を受け取り、記載内容（退職日・離職理由）が正しいか確認します。誤りがあれば速やかに会社に問い合わせてください。
2. ハローワークでの手続き（失業給付）
離職票を持ってハローワークで失業手当の手続きを行います。求職申込みや受給説明、手続きのための来所日が指示されます。必要書類は離職票、身分証、マイナンバー、預金通帳、印鑑などです。
3. 配偶者の扶養に入る場合の手順
配偶者の健康保険に入るには、退職後の見込み年収や失業給付の有無を保険者（会社の保険組合や共済）に申告します。保険者が扶養認定を行い、認定されれば扶養に入れます。申請は退職後できるだけ早く行ってください。
4. 国民健康保険へ切替える場合
扶養に入らない場合は、市区町村役場で国民健康保険へ加入します。必要書類は離職票や退職証明、マイナンバー、印鑑などです。保険料は所得に応じて決まります。
5. 収入や失業給付で扶養の可否が変わる場合の注意点
見込み収入や受給する給付の額によっては一時的に扶養から外れることがあります。収入見込みが変わったら速やかに保険者や役所に連絡してください。
6. 手続きのポイント（例）
・離職票は手続きの必須書類です。\n・申請は退職後できるだけ早めに行うと安心です。\n・わからない点はハローワークや保険者に相談しましょう。
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