はじめに
目的
この資料は、退職後に離職票をどう受け取るかを分かりやすくまとめた案内です。離職票の発行手続きや受け取り方法、企業側の注意点や届くまでの期間まで、順を追って説明します。
この章で学べること
- 離職票が何のための書類かの簡単な説明
- 本資料の構成と読み進め方の案内
- どのような場面で離職票が必要になるかの例
対象となる方
会社を辞めた方、これから退職を予定している方、人事担当者など、離職票に関係するすべての方に向けています。
読み方のポイント
各章は実務にすぐ使える情報を優先して書いています。具体例や手続きの流れを重視していますので、必要な章だけ先に読むこともできます。専門用語は最小限にし、具体的な例で補足しています。ご不明な点があれば、該当章を参照してください。
離職票とは何か
定義
離職票は、退職した人が失業給付(失業保険)を受ける際に必要な公的書類です。雇用保険の被保険者資格がいつ失われたかを証明します。ハローワーク(公共職業安定所)が発行し、雇用主が手続きを行って交付されます。
いつ必要か
たとえば会社を辞めて雇用保険の給付を受けたい場合、ハローワークで手続きをします。その際に離職票を提出すると、受給の可否や給付日数の算定に使われます。
書類に記載される主な内容
- 退職日や雇用期間
- 退職前の賃金額(給付算定の基礎になります)
- 離職理由(自己都合か会社都合か)
これらが正確であることが給付に影響します。
発行の流れ(簡単に)
通常、企業が所定の手続きをしてハローワークへ申請します。ハローワークが内容を確認し、離職票を発行して退職者へ交付します。書類は離職票1・離職票2の形式で渡されることが多いです。
注意点
届かない、記載に誤りがある場合は、まず雇用主に確認し、それでも解決しないときはハローワークへ相談してください。自己判断で処理を進めず、必ず書類の中身を確認することをおすすめします。
離職票をもらえる条件
以下では、離職票をもらうために必要な3つの条件を分かりやすく説明します。
1. 雇用が31日以上続く見込みがあること
雇用契約や雇用開始時点で、31日を超えて働く見込みがあることが必要です。単発の1日限りや数週間だけの短期契約は該当しません。たとえば、契約期間が3か月や半年の有期契約、または更新の見込みがある場合は条件を満たします。
2. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
週あたりの決められた勤務時間が20時間以上である必要があります。計算は通常の勤務予定で行います。例:4時間×5日=20時間であれば該当します。複数の職場で働いている場合の取り扱いはケースにより異なるため、不安があればハローワークへ相談してください。
3. 学生でないこと
在学中の学生は原則として対象外です。卒業や退学などで学生でなくなっている場合は、離職票の対象になります。
ご不明な点は、会社の総務やハローワークに確認すると確実です。
離職票の発行手続きの流れ
1) 退職者の依頼と企業の準備
退職した本人が離職票の交付を希望すると、まず会社にその旨を伝えます。会社は退職日や雇用保険の加入期間などを確認し、必要書類を準備します。具体例:退職日が1月1日なら、会社は翌々日(1月3日)から数えて10日以内に手続きを始めます。
2) 会社がハローワークに提出する書類
会社は「被保険者資格喪失届」や「離職証明書」など、所定の書類をハローワークに提出します。多くは紙での提出ですが、一部の事業所は電子申請を使うこともあります。会社は正確に記入し、証拠となる日付や理由を明記します。
3) 提出期限と流れ
法律では、退職日の翌々日から10日以内に書類を提出する義務があります。提出を受けたハローワークが内容を確認し、問題がなければ離職票(離職票-1、離職票-2)を交付します。
4) 離職票の交付と送付方法
ハローワークで交付された離職票は原則として企業が退職者に送付します。送付は簡易書留など追跡できる方法が望ましいです。受け取りが遅れると、失業手当の申請に支障が出ますので速やかに送付してください。
5) 企業の不履行と罰則
会社が提出義務を怠ると、行政指導や罰金が科されることがあります。従業員の権利保護のため、期限を守り正確な手続きを行うことが重要です。
辞めてからの離職票の受け取り方法
概要
離職票は主に4つの方法で受け取れます。従来の郵送、2025年1月20日から導入されたマイナポータルでの直接受け取り、ハローワークでの再発行申請、電子申請による再発行です。以下に、それぞれの手順と注意点をわかりやすく説明します。
1. 郵送での受け取り
- 会社が記載した住所宛に発送されます。退職後は会社に正しい住所を伝えておきます。
- 未着の場合はまず勤務先に発送状況を確認してください。住所変更があるときは早めに届け出を出します。
2. マイナポータルでの直接受け取り(2025年1月20日〜)
- マイナンバーカードでログインし、マイナポータル上で離職票を確認・ダウンロードできます。
- スマホやパソコンで手続き可能です。利用にはマイナンバーカードと暗証番号が必要です。
3. ハローワークでの再発行申請
- 郵送されない・紛失した場合は最寄りのハローワークで再発行を申請します。
- 本人確認書類(運転免許証など)と雇用保険の受給に関する情報を持参してください。窓口で申請書に記入します。
4. 電子申請による再発行
- ハローワークの電子窓口や自治体のオンラインサービスで再発行を申請できます。
- マイナンバーカードなどで本人認証が必要な場合があります。オンラインが不安なときは窓口を利用してください。
受け取りの際の注意点
- 住所の誤りや連絡先の記載漏れがあると届きません。退職前に確認しましょう。
- 届かない場合は勤務先とハローワークの両方に問い合わせると手続きが早まります。
企業側が注意すべきポイント
申請期限の厳守
離職日の翌々日から10日以内に申請を行う必要があります。期限を過ぎると従業員の失業給付開始が遅れる可能性があるため、担当者を決めて速やかに手続きを進めてください。具体例:退職日が1月1日の場合、申請は1月3日から起算して10日以内に行います。
受け取り方法の確認
離職票の受け取りについて、従業員がマイナポータルでの受け取りを希望するかどうかを必ず確認します。紙での交付を希望する場合は送付先住所を正確に記入してください。従業員の同意や希望を記録するとトラブルを防げます。
電子申請に必要な準備
電子申請を行う際は、GビズID(法人番号での登録)や電子証明書が必要です。安定したインターネット環境、ICカードリーダーなどのハードウェア、提出用の電子データ(指定フォーマットのPDFやCSV)を事前に準備してください。事前に試験操作を行うと安心です。
書類の正確性と保存
離職理由や賃金額、雇用期間などは正確に記載してください。誤りがあると訂正手続きが発生し、従業員に不利益が出ます。提出したデータや控えは一定期間保存し、問い合わせに備えましょう。
実務の小さな配慮
・担当者の連絡先を明確にしておく
・従業員へ受領時期の目安を伝える
・複数人でダブルチェックするチェックリストを作る
これらを実施すると手続きのミスや遅延を減らせます。
離職票が届くまでの期間
申請から到着までの一般的な期間
企業がハローワークに離職票の交付を申請すると、通常は1〜2週間ほどで退職者の元へ郵送されます。会社が退職日の翌日ごろに手続きを行えば、概ね7〜14日で届くケースが多いです。
マイナポータルを利用する場合
企業がマイナポータルを通じて手続きを行うと、届くまでの期間が短くなることがあります。具体的には数日から1週間程度で受け取れる場合があり、手続きの確認や再送がスムーズになります。
届くのが遅れる主な理由と対応
届かない原因は、企業の申請遅れ、住所の間違い、郵便事故などです。まずは会社の総務や人事に申請状況を確認してください。申請済みでも届かない場合は、最寄りのハローワークに問い合わせて状況を確認しましょう。
届かないときに相談する場所
届かない場合は、会社→ハローワークの順に確認します。郵便局に問い合わせる、ハローワークで申請の有無や送付先を確認することで解決につながります。必要ならハローワーク窓口へ出向き、具体的な対応を相談してください。


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