はじめに
本書の目的
本書は「離職票3枚目」について、わかりやすく整理したガイドです。離職票の3枚目がどのような役割を持ち、どのような場面で必要になるかを丁寧に解説します。
対象読者
退職した方、転職を考えている方、または会社の人事・総務担当者など、離職票に関わる方全般を想定しています。専門用語は最小限にし、具体例で補足します。
本書の構成と読み方
全8章で構成し、3枚目の正体・具体的内容・発行の流れ・提出先・関連書類との違い・注意点・トラブル対処まで順に説明します。まずは第2章以降で必要な箇所を順にお読みください。急いでいる場合は目次から該当章へ進んでいただけます。
読む前の注意
制度や手続きは状況により異なる場合があります。具体的な手続きは市区町村やハローワーク等の窓口で確認してください。
離職票3枚目の正体とは?
概要
離職票は3枚複写の書類で、3枚目は退職した本人に交付されるものです。正式名称は「雇用保険被保険者離職票-2」。失業給付の手続きなどでハローワークに提出するために使います。
3枚それぞれの役割
- 1枚目:事業主の控え。会社が保管します。
- 2枚目:ハローワーク提出用。会社がハローワークへ提出します。
- 3枚目:本人交付用(本章の主役)。退職者が受け取り、給付手続きに使います。
なぜ重要か
3枚目には離職理由や雇用保険の加入期間、賃金などが記載されます。これらの情報で失業給付の受給要件や給付日額、給付開始時期が決まるため、正確さが重要です。たとえば自己都合退職と会社都合では給付開始や給付日数が変わります。
誰が発行するか・いつ届くか
事業主が作成して交付します。手続き後、退職から数日〜数週間で本人に渡されるのが一般的です。交付が遅れる場合は会社に確認しましょう。
ひとことアドバイス
離職票3枚目は大切な証明書です。届いたら記載内容を必ず確認し、疑問があれば速やかに事業主かハローワークに相談してください。
離職票3枚目の具体的な内容
概要
離職票3枚目には、雇用保険の給付に必要な詳細情報が書かれます。退職前6か月間の賃金や退職理由など、失業手当の支給額や給付期間を決める重要な内容です。
主な記載項目
- 退職日と事業所名
- 退職前6か月間の賃金支払状況(各月の支払額や総額)
- 雇用保険の加入期間や被保険者番号
- 退職理由の区分と具体的説明(自己都合/会社都合など)
- 賞与や未払い賃金、欠勤控除の扱い
具体例:自己都合(家庭の事情で退職)、会社都合(事業所の倒産、解雇)といった記載が、給付開始の待期日数や給付日数に影響します。
署名・確認のポイント
事業主が記入する書類ですが、退職者に内容確認を求められることがあります。金額や退職理由に誤りがあれば、まず事業主に訂正を依頼し、それでも解決しない場合はハローワークに相談してください。
記入例・参照先
離職票-2の様式や記入例はハローワークの公式サイトで公開されています。必要に応じて参照し、疑問点はハローワークで確認すると安心です。
離職票3枚目の発行・受け取りの流れ
発行される人
離職票3枚目は、退職者が希望した場合に発行されます。59歳以上の退職者には必ず交付されます。
事業主の手続き(作成〜提出)
- 事業主が離職証明書(3枚複写)を作成します。退職日、給与額、雇用形態、離職理由などを正確に記入してください。
- 作成した3枚複写のうち、事業主が必要な分を保管し、残りをハローワークへ提出します。
ハローワークでの処理
ハローワークが提出書類を確認し、内容に問題がなければ手続きを進めます。確認に時間がかかる場合は事業主に連絡が行きます。
退職者への交付(受け取り)
通常はハローワークでの処理後、事業主を通じて退職者に「離職票-2」(3枚目)が交付されます。退職者は事前に交付を希望する旨を会社に伝えるとスムーズです。住所変更がある場合は事業主に必ず知らせてください。
2025年1月からの変更
2025年1月以降、一部の手続きでハローワークから退職者へ直接交付される制度が始まります。事業主を介さず受け取れるケースもあるため、不明点は最寄りのハローワークへ確認してください。
受け取りのポイント
- 発行までに日数がかかることがあります。余裕を持って申請してください。
- 離職票が届かない場合は、まず事業主に確認し、それでも解決しない場合はハローワークへ相談しましょう。
必要な手続きと流れを押さえておくと、受け取りがスムーズになります。
離職票3枚目の提出先と必要時
提出先
- ハローワーク:失業給付(雇用保険)を申請するときに必須です。離職票-2(いわゆる3枚目)を窓口に提出します。
- 市区町村役場(国民健康保険・国民年金):会社の健康保険をやめて国民健康保険へ切り替えるとき、また国民年金の手続きで離職の事実を示す書類として使えます。
- 転職先や金融機関:就職先が在籍期間の証明を求める場合や、失業手当の口座登録などの際に提示することがあります。
どんなときに必要か
- 退職後、失業給付を受けたいとき
- 会社の健康保険を脱退して国民健康保険へ加入するとき
- 国民年金の種別変更や保険料の免除申請で離職の証明が必要なとき
- 転職先が離職理由や在籍期間の確認を求めたとき
提出時に用意するもの(例)
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 離職票-2(3枚目)
- 銀行口座情報(失業手当受取用)
- 印鑑(自治体やハローワークで求められる場合あり)
紛失したときの対応
まずは前の勤務先に再発行を依頼してください。再発行が難しい場合は、お住まいのハローワークへ相談すると手続きの案内を受けられます。
「離職票」「離職証明書」「退職証明書」の違い
概要
まず簡単に整理します。
– 離職証明書:会社が発行する3枚複写の書類です。1枚目は会社の控え、2枚目はハローワーク提出用、3枚目が退職者交付用です(この3枚目が一般に「離職票」と呼ばれます)。
– 離職票:離職証明書の3枚目で、退職者が受け取りハローワークに提出する公的書類です。失業給付など雇用保険手続きに使います。
– 退職証明書:会社が独自に発行する私文書です。様式は決まっておらず、在職期間や職務内容、離職理由などを記載して転職先や行政手続きに使います。
発行者と様式の違い
- 発行者:離職証明書・離職票は会社が作成します。退職証明書も会社が作成しますが、法的に定められた様式はありません。
- 様式:離職証明書は定められた3枚複写。離職票はその3枚目。退職証明書は会社ごとのフォーマットです。
用途の違い(具体例)
- ハローワークで失業給付を受ける:離職票(=離職証明書の3枚目)を提出します。
- 転職先への提出や年金・税の手続き:退職証明書を求められることがあります。
実務上の注意点
- 離職票は発行に時間がかかることがあります。受け取り後、内容(退職日・雇用保険加入期間・退職理由欄)を必ず確認してください。
- 退職証明書は会社ごとに内容が異なります。内容が不足する場合は、どの情報が必要か具体的に伝えて依頼してください。
必要な場面に応じて、どちらの書類が求められているかを早めに確認すると手続きがスムーズです。
注意点とトラブル防止
提出前の必須チェック
- 退職理由の記載内容を会社と必ず確認し、双方が合意したうえで記入してください。退職理由は失業給付の受給可否に直結します。
- 氏名、マイナンバー(必要時)、退職日、給与の最終支払い日などの数字や日付を慎重に確認してください。
よくあるミスと防止策
- 理由の記載ミス:会社に書き直してもらい、修正印や署名をもらって保管します。
- 署名漏れ・押印不足:受け取ったらその場で確認し、欠けがあれば差し戻してもらいましょう。
ハローワークで差し戻された場合
- 書類が戻ったら指摘内容を受け取り、会社と速やかに対応してください。再提出に時間がかかると給付開始が遅れます。
記録と相談先
- やり取りはメールや書面で残してください。トラブル時に有効です。必要ならハローワークや労働相談窓口に相談しましょう。
ただし、不備が見つかったときは冷静に対応し、早めに修正することが重要です。
離職票3枚目をもらえない・届かない場合の対処法
退職後10日〜2週間ほどで届くことが多いですが、届かない場合は早めに対応しましょう。
1)まず確認すること
- 郵送先住所や連絡先が最新か確認する。
- 会社の担当(総務・人事)に到着状況を問い合わせる。
2)会社へ連絡する手順
- 電話やメールで「離職票3枚目の送付状況」を確認する。
- 送付済みと言われたら、発送日や追跡番号を教えてもらう。
- 再発送を依頼する場合は書面(メールや文書)で残すと安心です。
3)ハローワークに相談する
- 会社側で未手続きの場合や対応が遅いとき、最寄りのハローワークに相談してください。
- 身分証明や退職日、会社名がわかるものを持参すると手続きがスムーズです。
4)直接交付制度(2025年1月開始)を利用する
- 直接交付制度を希望すると、会社からハローワーク経由で直接受け取る手続きが可能になります。
- 希望を会社かハローワークに伝えてください。
5)再発行や対応がないときの対処
- 会社が応じないときは、ハローワークに事実を伝え、指導や仲介を依頼します。
- それでも解決しない場合は労働局などの公的機関に相談します。
6)連絡時のポイント
- 問い合わせ日時、担当者名、やり取りの内容は記録する。
- 再送や再発行をお願いする際は、メールで依頼し保存してください。
早めに動くことで手続きの遅れを防げます。必要ならハローワークに相談して仲介を依頼しましょう。


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