就業規則の周知が重要な理由と具体的なポイント解説

目次

はじめに

本資料の目的

本資料は「就業規則の周知」をテーマに、法律上の義務や実務的な運用方法をわかりやすく整理したものです。労働基準法第106条の趣旨や、従業員が10人未満の事業場での扱いなど、経営者や人事担当者が日常で直面する疑問に答えます。

対象読者

中小企業の経営者、人事・総務担当者、社労士など、実務で就業規則の作成・運用に関わる方を想定しています。専門用語は最小限にし、具体例を交えて説明します。

本資料の読み方

本書は全5章構成です。第2章で「周知」の意味を明確にし、第3章で法的根拠を、続く章で認められる周知方法や対象・タイミングを扱います。各章は独立して読めますので、必要な箇所からお読みください。

注意点

ここで扱うのは一般的な考え方と運用例です。個別の判断が必要な場合は社労士や弁護士にご相談ください。

第1章 就業規則の「周知」とは何か

周知とは何か

就業規則の「周知」とは、従業員がいつでもその内容を確認できる状態にすることを指します。法律は作成や届出だけでなく、実際に従業員に知らせることを求めています。つまり形だけでなく、従業員の理解や確認が伴うことが重要です。

周知の対象

給与規程、退職金規程、賃金や労働時間に関する規定など、会社が定める労働条件に関する規程はすべて周知の対象です。就業規則だけでなく、別表や細則も含まれます。

実務上のポイント

周知は単に配布するだけではない点に注意してください。配布物を渡して終わりにせず、従業員が確認できる場所に置く、閲覧方法を明示する、質問に答えるなどの対応が必要です。たとえば、掲示板への掲示や社内イントラでの閲覧、書面の配布などがありますが、どれを選ぶにせよ「いつでも確認できる」状態にすることが肝心です。

よくある誤解

就業規則を代表者だけに見せれば十分、という考えは誤りです。個々の従業員が自ら内容を確認できることが求められます。変更があったときは、変更後の内容を周知し、周知した日時や方法を記録しておくと安心です。

第2章 就業規則の周知義務の法的根拠

労働基準法106条1項の趣旨

労働基準法106条1項は、使用者に対して就業規則を労働者に周知させる義務を規定します。条文は掲示・備付け・書面交付などの方法を挙げており、周知は単なる任意ではなく法律上の義務です。目的は労働条件を労働者が把握できるようにし、公平な労務管理と紛争予防を図ることです。

どの事業場に義務があるか

常時10人以上の事業場には、就業規則の作成・所轄労働基準監督署への届出義務があります。一方で周知義務は事業場の規模に関係なく課されます。つまり、従業員が10人未満の事業場でも就業規則を作成した場合は、労働者に周知しなければなりません。

周知の具体的方法と例

法律が挙げる方法は次の通りです。
– 掲示:従業員が常に目にする場所に見やすく貼る
– 備付け:事業場に原本や冊子を置き、いつでも閲覧可能にする
– 書面交付:個々の労働者に文書で渡す(入社時の交付が典型)
具体例としては、事務所の掲示板への掲示、休憩室に就業規則の冊子を備える、入社時に規則を封筒で渡す、などがあります。

なぜ確実な周知が必要か

労使間の認識ずれを防ぎ、労働者の権利を守るためです。周知が不十分だとトラブル時に就業規則が適用されない、または不利な判断を招くことがあります。使用者は単に作成するだけでなく、労働者が理解できる形で確実に知らせる責任を負います。

注意点

口頭だけや一度だけの告知では不十分な場合があります。紙や掲示で恒常的に示すなど、誰でも確認できる方法を併用することをおすすめします。

第3章 法律上認められる「3つの周知方法」

労働基準法106条と施行規則52条の2で認められる周知方法は、次の3つです。いずれか一つを満たせば形式的な周知義務は果たせますが、実務では併用や記録の保管をおすすめします。

1)見やすい場所への掲示・備え付け

誰でもすぐに見られる場所に掲示・設置します。具体例は、休憩室、出入口、勤怠管理の近くなどです。掲示は日付や改定履歴を明記し、常に見やすい状態にしておきます。掲示場所が限定的で閲覧しにくい場合は周知として不十分になるので注意してください。

2)書面による交付

従業員一人ひとりに紙で渡す方法です。配布時に受領印や署名で受取を確認すると証拠になります。大量の配布では、部署別の配布リストを作り保管すると後で確認しやすくなります。

3)電子データによる共有

社内イントラやクラウドで就業規則を共有します。全従業員が閲覧可能であることが前提です。閲覧ログや「既読確認」機能を使うと、周知の履歴が残せます。パスワードや権限制限がある場合は全員に確実にアクセス権を付与してください。

これらはいずれか一つで形式的には足りますが、説明会や説明文の配布を併用すると理解が深まります。周知した記録(掲示の写真、受領書、閲覧ログなど)を保存し、後で説明できるようにしておくことが重要です。

第4章 周知のタイミングと対象者

就業規則は作って終わりではなく、適切なタイミングで全員に周知することが大切です。ここでは主なタイミングと、周知すべき対象者を分かりやすく説明します。

周知の主なタイミング

  • 新規作成時:就業規則を初めて整備したときは、作成後できるだけ早く全員に知らせます。実例:これまで口約束だった勤務時間を規則化した場合。
  • 変更(改定)時:内容を変えるときは、変更点が労働条件に影響する場合、遅滞なく周知します。例として賃金や勤務時間の見直しがあります。遅滞なくとは、変更が効力を持つ前後に不合理な遅れがないよう速やかに伝えることを指します。
  • 新入社員への周知:入社時のオリエンテーションや雇用契約時に必ず説明し、就業規則にアクセスできるようにします。書面交付や閲覧場所の案内が有効です。

周知の対象者

  • その事業場で働くすべての労働者が対象です。正社員だけでなく、パート・アルバイトも含みます。
  • 雇用形態や勤務時間の違いがあっても、適用範囲がある場合は該当者全員に周知してください。具体例:シフト制の店舗で、アルバイトにシフト変更ルールを伝える場合。

周知は労使双方の信頼を保つ重要な手続きです。わかりやすく、届く方法で伝えましょう。

退職の悩み、Yameriiにお任せください

もう無理しなくて大丈夫。
Yameriiがあなたの退職を全力サポート!


✅ 最短即日退職
✅ 会社とのやり取りゼロ
✅ 追加料金なしの明朗会計

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次