はじめに
目的
本資料は、就業規則における「労働時間」の基礎知識をやさしく説明するために作成しました。用語の定義や記載ルール、法律との関係を整理し、実務で迷わないようにします。
対象読者
・人事・総務担当者
・中小企業の経営者
・就業規則を作成・見直す予定の方
専門的な前提知識がなくても読めるように配慮しています。
本章の読み方
以降の章で「労働時間」と「就業時間」の違いや、休憩や法定労働時間の扱いを順に解説します。まずは全体像をつかんでください。
具体例でイメージ
例えば、会社の出勤から退勤までを「就業時間」と呼ぶ場合がありますが、書類やルールでは「労働時間」として正しく区分する必要があります。本資料はその区別や記載ポイントを実務的に伝えます。
就業規則とは?なぜ重要なのか
概要
就業規則は、会社が社員の労働条件や職場のルールを文書でまとめたものです。労働時間、休暇、給与、服務規律、懲戒などの扱いを具体的に書きます。常時10人以上の労働者がいる事業所では、作成と労働基準監督署への届出が法律で義務付けられています。
主な項目と具体例
- 労働時間・休憩:始業・終業時刻や休憩時間を決めます(例:9時〜17時、昼休み1時間)。
- 賃金:支払日や計算方法を定めます(例:月末締め翌月25日払い)。
- 休暇:年次有給や特別休暇の取り扱いを示します。
- 懲戒・服務規律:遅刻や禁止行為に対する対応を明示します。
なぜ重要か
就業規則は労働契約の基礎になります。トラブル発生時の判断基準となり、公平な対応を助けます。ルールが明確だと社員も働きやすく、会社側も運用しやすくなります。
作成・運用のポイント
定期的に見直し、変更時は従業員に周知してください。就業規則が労働者に不利すぎる場合は効力を認められないことがあります。疑問があれば専門家に相談することをおすすめします。
「就業時間」と「労働時間」の違い
定義と基本的な違い
就業時間は会社が定めた始業時刻から終業時刻までの時間を指し、休憩時間も含みます。一方、労働時間は従業員が実際に働いた時間で、休憩時間を差し引いた実働時間です。たとえば9:00~18:00で休憩1時間なら、就業時間は9時間、労働時間は8時間になります。
休憩の扱い
休憩は通常、労働時間に入りません。法定の休憩や会社規定に従って取ることで、実働にカウントされません。休憩を取らずに仕事を続けた場合は、その分が労働時間になります。
よくある誤解と注意点
・始業前後の準備や着替え、機器の立ち上げなど、会社の指示で行う作業は労働時間に含まれます。
・通勤時間は原則として労働時間に含まれませんが、業務上の移動は労働時間となります。
・待機時間や呼び出し待ちの時間は、状況により労働時間と判断されます。
労務管理で大切なこと
タイムカードや勤怠システムで正確に記録してください。休憩の取り方や始終業の判断を就業規則で明確にしておくとトラブルを防げます。


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