はじめに
本資料の目的
本資料は、即日退職を希望する際の退職届に「日付」をどのように記載するか、その注意点をわかりやすく解説するために作成しました。書き方の基本から、会社との合意や法的な扱い、やむを得ない事情がある場合の対応まで幅広く扱います。
対象の読者
・退職を考えている方、特に即日退職を検討している方
・退職届の書き方に不安がある方
・退職代行サービスの利用を検討している方
この記事で得られること
・退職届に記載すべき基本項目の理解
・即日退職の場合の日付の書き方と注意点
・会社と合意をとる重要性や、やむを得ない事情がある場合の対応方針
・実際の記載例と、提出後に想定される流れ
注意点(法的な扱いと合意の重要性)
退職そのものは労働者の意思表示で成立しますが、実務では会社との合意が重要です。無断で即日退職するとトラブルに発展する可能性があります。安全に進めるため、まずは本資料で流れと注意点を確認してください。
本資料の使い方
各章は独立して参考にできます。まずは第2章で基本を押さえ、その後に即日退職に関する具体的な記載方法をお読みください。必要に応じて、専門家への相談も検討してください。
退職届の基本的な書き方と必須項目
用紙と筆記具
A4用紙を使い、手書き(黒のボールペンや万年筆)か印刷で作成します。手書きの場合は読みやすく丁寧に書いてください。
宛先と代表者名
会社の正式名称と代表者(社長)名を正確に記載します。部署名や担当者が分かる場合は併記するとよいです。
見出しと本文の書き方
文頭中央に「退職届」と明記します。本文は短く明確にします。例:「私事、○○のため、退職いたします。」退職日を明示する場合は「退職日:○年○月○日をもって」と記載します。
必須記載項目一覧
- 提出日
- 宛先(会社名・代表者名)
- 見出し(退職届)
- 本文(退職の意思と退職日)
- 提出者の氏名と捺印(実印・認印。シャチハタは不可)
印鑑について
印鑑を押しますが、シャチハタは認められないことが多いです。会社指定のものがあれば従ってください。
備考(理由や特別な事情)
退職理由は一般的に「一身上の都合により」で十分です。ハラスメント等やむを得ない事情がある場合は、別途記録を残しておくことをおすすめします。
即日退職の場合の退職日記入方法と注意点
退職日記入の基本
退職届の「退職日」は、あなたが実際に退職したい日を明確に書きます。たとえば「令和6年9月26日をもって退職いたします」と記載します。日付は和暦か西暦どちらかに統一すると分かりやすいです。
即日退職を希望する場合の書き方例
会社と合意がある場合は、即日を退職日として記載して提出できます。例文:
– 「本日、令和6年9月26日をもって退職いたします。よろしくお願いいたします。」
合意がないときに「即日退職」とだけ書くと受理されない可能性があります。
法律上の注意点(民法627条)
正社員などの一般的な雇用では、民法627条により退職の申し出から2週間経過で退職が成立します。会社と合意がない限り、原則として申し出日から2週間後が退職日です。つまり、会社と話し合って合意を得ることが重要です。
合意が得られない場合の対処
まず上司や人事に事情を説明し、話し合いで退職日を調整してください。どうしても即日が必要な場合は、退職代行サービスや労働相談窓口に相談する方法もありますが、まずは話し合いを試みることをおすすめします。
記入時のポイント
- 日付は明確に書く
- 「同意を得た場合は即日可」など補足を入れると誤解が少ない
- 会社への引き継ぎや備品返却についても簡単に触れると親切です
これらを踏まえて、冷静に丁寧に退職届を作成してください。
退職代行サービス利用時ややむを得ない事情がある場合
退職代行を使う場合、退職届に記載した日付が原則の退職日になります。会社がその日で合意しないときは、労働法に基づき通常は提出から起算して2週間後の日が退職日とみなされます。
有給休暇が残っている場合
有給が残っていれば、退職日までに有給消化をあてることができます。例えば退職届に「退職日は○月○日。○日間の有給を充当します」と記すと分かりやすいです。会社と調整が必要ですが、手続き上の証拠は残しておきましょう。
有給がない場合
有給がないと、会社が合意しなければ欠勤扱いで2週間後に退職になることが多いです。退職代行を利用していてもこのルールは変わりません。給与や手当の扱いについては就業規則を確認してください。
やむを得ない事情がある場合(即日退職)
家族の介護や本人の健康問題、ハラスメントなどのやむを得ない事情があるときは、即日退職が認められる可能性が高く、その日付を退職日として書けます。医師の診断書や介護の証明書、関係する記録などの証明書類を添付すると、後から説明するときに安心です。
記載例は簡潔に「事情により本日付で退職いたします。証明書を添付します」といった形です。証拠は必ずコピーを保管してください。
退職届記載例(即日退職の場合)
はじめに
即日退職の退職届は、退職日を明確に示すことが大切です。ここでは書き方の例と、やむを得ない事情がある場合の書き方、提出時の注意点を示します。
記載例(一般的な文面)
会社名 ○○株式会社
代表取締役 □□ 様
令和6年9月26日
件名:退職届
私事、一身上の都合により、令和6年9月26日をもって退職いたします。
(部署名)
(氏名) 印
※署名の下に捺印(実印・認印)をしてください。部署名や役職を併記すると分かりやすくなります。
記載例(やむを得ない事情がある場合)
会社名 ○○株式会社
代表取締役 □□ 様
令和6年9月26日
件名:退職届
やむを得ない事由により、令和6年9月26日をもって退職いたします。必要に応じて診断書等の書類を添付いたします。
(部署名)
(氏名) 印
提出時の実務的な注意点
- 退職日と提出日を明確に書き、書類は自分でも控えを残してください。
- 可能なら手渡しで提出し、受領印や受領のサインをもらうと安心です。郵送する場合は配達記録が残る方法を選んでください。
- やむを得ない事情で病院の診断書等があるなら、原本または写しを添付し、書面にその旨を明記してください。
- 会社側とやり取りが難しい場合は、労働相談窓口や専門家に相談することを検討してください。
退職届提出後の流れと注意点
提出直後の対応
退職届を渡したら、まずは受領の記録を残しましょう。対面で渡した場合は受領印やサインをもらい、メールで送った場合は送信済みのスクリーンショットや送信履歴を保存します。私物の引き取りや引き継ぎの予定を早めに確認してください。
必要書類の受け取りと確認
主な書類は離職票、源泉徴収票、雇用保険被保険者証の手続き案内、健康保険や年金の関係書類です。離職票は失業給付申請で必須、源泉徴収票は確定申告や年末調整に必要です。届いたら氏名や退職日などに誤りがないか確認し、控えを必ず保管してください。
会社が即日退職に同意しない場合
民法により、退職の意思表示から2週間で退職が成立します。会社が同意しないときでも、原則として2週間後に退職となります。ただし、就業規則や労使協定で別の取り決めがある場合は確認が必要です。
手続き上の注意点
退職後の書類送付先(住所・メール)を会社に伝えておきます。未払いの給与や有給消化、貸与物の返却は書面でやり取りを残すと安心です。証拠としてメールや通話記録を保存してください。
トラブルが起きたときの対処法
書類が届かない、未払いがあるなどトラブルがあれば、まずは社内の担当部署に問い合わせます。それでも解決しない場合は労働基準監督署やハローワーク、労働相談窓口に相談すると良いでしょう。必要書類の発行依頼は遠慮せず書面で求めることをおすすめします。
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