はじめに
概要
退職日と離職日は、日常ではほとんど同じ意味で使われることもありますが、文脈によって区別されることがあります。一般に、退職日は会社との雇用関係が終了する“その日”を指します。一方、離職日は失業状態や公的手続きの基準となる日付として扱われることが多く、実務上は退職日の翌日以降を指す場合があります。
具体例で考える
例えば、3月31日が最終出勤日で雇用契約がその日に終わるとします。この場合、退職日は3月31日です。離職日は手続きをする窓口や書類の扱いにより「3月31日」と記載されることもありますが、失業状態の開始を考えると4月1日を離職日として扱う場面もあります。
なぜ違いが重要か
退職日と離職日の違いは、雇用保険の手続き、失業給付の受給開始日、健康保険や年金の切替えなどに影響します。企業側の書類と公的書類で日付の扱いが異なると混乱が生じるため、どちらの日付を基準にするかを確認することが大切です。
注意点
会社の就業規則や雇用契約書、ハローワークや年金事務所の案内で扱いが変わることがあります。手続きを進める際は、関係先に確認して正しい日付を把握してください。
用語の基本的な意味
退職日(雇用契約の終了日)
退職日は会社との雇用契約が正式に終わる日で、会社に在籍している最後の日を指します。給料の計算や在籍証明など、多くの手続きがこの日を基準に行われます。例えば、有給休暇を取っている期間も会社に在籍しているため、有給消化の最終日が退職日になることがあります。
離職日(離職年月日)の扱い
離職日は雇用関係が終了して失業状態になる日を示すものです。ハローワークでの失業認定や雇用保険の手続きで基準になる日となります。制度によっては退職日と同日を離職日と扱う場合と、退職日の翌日を離職日とする場合があります。
実務での違いが生じる場面
・給与や有給の最終扱いは退職日基準で計算されます。
・雇用保険や失業給付の開始時期は離職日で判断されます。
例:最終出勤日が6月30日で有給を7月1日から消化した場合、有給消化の最終日が退職日になれば退職日は消化終了日になります。ハローワークでの扱いは制度により退職日と同日扱いか翌日扱いかが異なります。
注意点
制度や書類ごとに扱いが変わりやすい点に注意してください。手続き前に会社の総務やハローワークに確認すると安心です。
制度ごとの使われ方の違い
ハローワーク(雇用保険)
雇用保険では「離職日」を雇用契約が終わった日=最終出勤日と考えます。失業給付の受給資格や給付日数の計算でこの日付を使います。実務上は資格喪失日を離職日の翌日として扱うことが一般的です。例えば最終出勤が3月31日なら、4月1日が資格喪失日となり、給付の起算点に影響します。
健康保険・厚生年金
健康保険や厚生年金では、多くの場合、保険の効力は退職日の翌日で切れます。つまり在籍の最終日と保険の有効期間が分かれます。保険証の返却や国民健康保険への切替手続きは、翌日以降に必要になります。
日付の取り扱いの違い(具体例)
・最終出勤:3月31日→雇用保険では3月31日が離職日、資格喪失は4月1日
・健康保険:3月31日が最終在籍日、保険は4月1日から無効
実務上の注意点
手続きの窓口や書類で「離職日」「資格喪失日」が異なるため、会社と本人で日付を合わせて伝えてください。給付申請や保険切替の期限を過不足なく守ることが重要です。
実務上の押さえどころ
退職日と最終出勤日の違い
会社に籍がある最終日を「退職日」と考えます。最終出勤日は、有給消化などで退職日より前になることがあります。手続きでどちらを基準にするか注意してください。
ハローワーク(失業保険・離職票)での扱い
失業給付や離職票関係では「離職日(離職年月日)」が基準になります。離職票の記載日と実際の退職日が一致しているか、受け取ったら必ず確認してください。
社会保険・雇用保険の喪失日
社会保険や雇用保険の喪失日は原則として退職日の翌日になります。保険の利用可能期間や給付開始の判断では、退職日と翌日の関係を意識してください。
実務チェックリスト
- 人事・総務に退職日と最終出勤日の扱いを確認する
- 離職票の離職年月日を受け取ったら照合する
- 保険の喪失日を確認し、必要な手続き(継続加入や国保)の準備をする
- 書類提出期限や窓口での必要書類を早めに確認する
具体例
例:退職日が3月31日で最終出勤が3月15日の場合、離職票は3月31日が基準になります。保険は原則として4月1日から喪失扱いとなります。制度ごとに基準日が異なるので、必ず確認してください。


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