はじめに
概要
本記事は弁護士による退職代行サービスの料金や費用体系、民間業者や労働組合運営の退職代行との違いをわかりやすく解説します。弁護士サービスの特徴や具体的な料金事例、比較ポイント、依頼前に確認すべき注意点まで段階的に説明します。
本記事でわかること
- 弁護士退職代行の基本的な役割と料金の仕組み
- 民間業者・労働組合との費用比較の見方
- 料金体系で確認すべきポイント(着手金・成功報酬など)
- どんなケースで弁護士に依頼すべきか
想定する読者
- 初めて退職代行を検討する方
- 料金の相場や違いを明確に知りたい方
- 会社とトラブルがあり法的対応が必要か迷っている方
注意点
弁護士は法的交渉や労働問題の対応が可能です。費用はサービス内容で大きく変わるため、契約前に範囲・追加費用・支払い条件を必ず確認してください。
弁護士による退職代行サービスとは
概要
弁護士が行う退職代行は、退職の意思表示だけでなく、未払賃金や残業代の請求、有給休暇の取得交渉、場合によっては労働審判や訴訟対応までカバーします。法的権限を持つため、企業側との交渉力が高い点が特徴です。
主な対応内容(具体例を含む)
- 退職の意思表示を会社へ伝達(本人に代わり書面や電話で通知)
- 未払い賃金や残業代の請求(計算、証拠の整理、交渉)
- 有給休暇の取り扱い交渉(消化・買い取りの確認)
- 労働トラブルの法的手続き(内容証明、労働審判、訴訟提起)
例:残業代が未払いの場合、弁護士はタイムカードや業務メールをもとに金額を算出し、会社と交渉します。
民間業者・労働組合との違い
民間の代行業者は「退職手続きの代行」が中心で、企業との交渉範囲は限定されます。労働組合は交渉力がありますが、法的代理権は限られます。弁護士は法的代理人として直接請求や訴訟まで行えるため、法的リスクを避けやすく、未払いなど金銭問題に強みがあります。
利用方法と注意点
- 初回相談で事実関係や証拠を整理します。書類やメールを準備してください。
- 弁護士費用や担当範囲は事務所で異なります。費用と対応範囲を契約前に確認しましょう。
- すべてのケースで訴訟が必要になるわけではありません。まずは交渉で解決することが多いです。
弁護士による退職代行の料金相場
料金の概要
弁護士の退職代行は、相場が5万円〜10万円程度と考えられます。料金は依頼内容や対応の範囲で変わります。簡単な意思伝達だけなら安めで、交渉や未払い賃金の請求が入ると高くなる傾向です。
基本費用(着手金)
着手金は退職の意思を会社へ伝えるだけのプランで3万円〜5万円台が一般的です。たとえば「出社せず退職したいので会社に連絡してほしい」という場合、こちらの範囲に当たります。
交渉や追加対応の料金
未払い賃金や残業代の請求、損害賠償の交渉などが必要になると、料金は5万円〜10万円以上になることがあります。交渉が長引くと日数や手間に応じて追加費用が発生する場合があります。
相談料と成功報酬
初回相談を無料にしている事務所が多いです。未払い金などを回収した場合の成功報酬は、回収額の20%〜35%が相場です(例:50万円回収なら10万〜17.5万円)。
実費と注意点
通信費、郵送費、裁判になった場合の手続き費用などの実費が別途かかる場合があります。契約前に見積書を取り、対応範囲(意思伝達のみか交渉まで含むか)や追加費用の条件を必ず確認してください。
選び方のポイント
料金だけで決めず、対応内容や弁護士の経験、成功報酬の算定方法を確認しましょう。事前に書面で費用・範囲を明確にしておくと安心です。
主要な弁護士事務所の料金事例
各事務所の料金(概要)
- 弁護士法人みやび:退職のみ 27,500円、交渉・請求あり 55,000円、成功報酬 20%。
- 弁護士法人あおば:43,800円(退職・交渉同額)、成功報酬 20〜35%。
- 青山北町法律事務所:29,800円〜55,000円、成功報酬 20〜30%。
- アディーレ法律事務所:33,000円〜77,000円、成功報酬 無料(成功報酬なし)。
- オレンジライン法律事務所:交渉・請求 110,000円(比べて高め)。
ポイントと具体例
同じ「退職代行」でも、業務範囲で料金が変わります。たとえば「退職の連絡のみ」と「未払い賃金の交渉・請求」では後者が高くなります。成功報酬がある事務所では、請求額に対して20%取られることが多く、未払い30万円を回収した場合は6万円が成功報酬です。アディーレのように成功報酬を取らない事務所は、着手金や基本料金が高めに設定されることがあります。
比較で見る注意点
- 料金体系:着手金のみ、成功報酬あり、固定料金の違いを確認してください。
- 料金に含まれる範囲:連絡代行、交渉、訴訟対応、実費(交通費・郵送費)など。
- 成果基準:何をもって成功とするか(回収金額・和解成立など)。
料金は事務所ごとに大きく異なります。自分の事情(単純に辞めたいだけか、未払や解雇争いがあるか)を整理して、必要なサービス範囲で比較して選んでください。
民間・労働組合運営との料金比較
料金の目安と主なサービス
- 民間業者:1万円〜3万円が相場。主に退職の意思伝達(電話やメール代行)や手続き案内が中心です。たとえば、上司に直接言いにくい場合の「退職連絡代行」が該当します。
- 労働組合運営:2万円〜3万円程度。組合名義での交渉や会社とのやり取りを行えますが、法的な争い(訴訟や強制執行)はできません。残業代や未払い賃金の簡易交渉には対応できます。
- 弁護士:5万円〜10万円が一般的。通知だけでなく、法的交渉、示談、訴訟まで対応します。複雑な証拠収集や法的主張が必要な場合に頼れます。
サービス内容の違い(具体例)
- 民間:上司に「今日で辞めます」と伝える代行。証拠保全や法律相談は含まれません。
- 労働組合:未払い残業代について会社と団体交渉を行い、和解を目指します。正式な訴訟手続きは組合では取れません。
- 弁護士:未払い賃金の請求を訴訟に移行し、裁判所を通じて回収を図れます。精神的損害や退職勧奨の違法性を争うことも可能です。
どのケースでどれを選ぶか
- まず意思表示だけで済ませたいなら民間で十分です。
- 交渉が必要だが法的手段までは望まないなら労働組合が適します。
- 会社が応じない、損害賠償や訴訟が見込まれる場合は弁護士を選んでください。
追加費用と注意点
- 成功報酬や追加調査費用が発生する場合があります。残業代請求や長期交渉では料金が上がることを確認しましょう。
- 契約前に対応範囲・追加費用・連絡方法を書面で確認することをおすすめします。
料金体系と注意点
料金プランの違い
弁護士事務所ごとに提供するプランが異なります。連絡代行のみの安価なプラン、交渉まで対応するプラン、訴訟を視野に入れたフルサポートなどがあります。自分が望む対応範囲と金額が一致するか必ず確認してください。
追加費用・実費の確認
交通費や郵送費、印紙代などの実費が別途かかる場合があります。また書類作成や内容証明の発行で追加料金となることがあるため、見積りに含まれる項目を細かく尋ねましょう。
成功報酬と着手金
着手金で業務開始、成功報酬は交渉結果や回収額に応じて発生するケースが多いです。慰謝料や未払賃金の請求などを希望する場合は成功報酬の割合を確認してください。
雇用形態による料金差
正社員・派遣・契約社員などで事情が変わると対応の難易度が変わり、料金に影響することがあります。雇用形態を正確に伝えて見積りを取りましょう。
訴訟が必要な場合の費用目安
残業代請求や損害賠償で裁判になると、弁護士費用は数十万円規模に達することもあります。手続きが長引けば実費や追加費用も増えます。
契約前に確認するポイント
対応範囲、料金内訳、追加費用、着手金・成功報酬の条件、費用発生のタイミングを文書で確認してください。疑問はその場で解消し、納得した上で契約することが大切です。
弁護士退職代行を選ぶべき場合
概要
会社との交渉や法的対応が必要な場面では、弁護士による退職代行が最も適しています。代理で交渉・請求・書面作成・裁判対応まで任せられます。
弁護士を選ぶべき主なケース
- 未払い賃金や残業代の請求が必要なとき(時効や計算が絡むため専門的対応が必要です)
- 退職金や解雇の有無を巡って争いがあるとき
- パワハラ・セクハラなどで損害賠償や証拠保全が必要なとき
- 会社側が退職届を受け取らない、交渉を拒む、脅迫や不当な要求をしてくるとき
- 懲戒処分や告訴リスクがある場合や、刑事問題に発展する恐れがあるとき
具体例(イメージ)
- 残業代が長期間未払いで、過去数年分をまとめて請求したい。
- 退職後に会社から不当な損害賠償を請求された。弁護士が情勢を確認し対応する。
相談前に準備すること
- 給与明細、タイムカード、雇用契約書、メールやメッセージの記録などの証拠を集める。
- 会社とやり取りした日時と内容を整理する。
判断の目安(簡単チェックリスト)
- 金銭請求や交渉が必要か? → はいなら弁護士
- 会社が暴力や脅迫を行うか? → 弁護士
- 単に退職の意思を伝えるだけか? → 民間業者や労組も選択肢
弁護士は法的に強い立場で解決を図れます。費用面は事例によって差があるため、まずは短い相談でリスクと見通しを確認すると安心です。
まとめ
弁護士による退職代行の相場はおおむね5万円〜10万円です。ただし、相談料、成功報酬、出張費や裁判費用などの実費が別途発生することが多いため、料金体系とサービス範囲を事前に確認してください。
- 弁護士を選ぶメリット
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有給消化や未払い賃金の交渉、ハラスメントや法的トラブルの対応で法的な力を発揮します。証拠の扱いや書面作成も任せられます。
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民間や労組を選んでも良い場合
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単に早く円満に辞めたい場合や交渉が不要な場合は費用を抑えられます。
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依頼前に確認するポイント
- 初回相談の有無と費用
- 成功報酬の有無と条件
- 書面での委任契約と業務範囲
- 会社との連絡方法と守秘義務
- 裁判等になった場合の追加費用
総じて、法的リスクや未払い金の回収を重視するなら弁護士に依頼する価値が高いです。費用と効果を比べ、書面で明確にしてから依頼してください。


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