はじめに
読者対象
退職を考えているすべての方を想定しています。正社員だけでなく、パートやアルバイトの方にも役立つ実用的な内容です。
本記事の目的
退職願・退職届の違い、書き方の基本、具体的な例文、提出時のマナーまでを一つの記事で分かりやすくまとめます。初めて書く方でも手順どおりに進めば迷わず作成できるように工夫しました。
本記事で学べること
- 退職願と退職届の役割の違い
- 必要な項目と正しい書き方(例文あり)
- 提出時のタイミングやマナー
- パート・会社都合・メール提出のポイント
使い方の説明
各章は短く区切ってあります。まず第2章で違いを確認し、第4章の例文を参考に自分の言葉に置き換えてください。提出前に第5章のマナーを確認すると安心です。
注意点
退職は職場との関係を整理する重要な手続きです。感情的にならず、礼儀を重んじた文面を心がけてください。個別の事情がある場合は、労働相談窓口や専門家に相談することをおすすめします。
退職願と退職届の違いとは
定義
退職願は「退職したい」と会社に願い出る書類です。まだ会社の承認を得る前の申し出で、本人が撤回できる余地があります。退職届は「退職します」と意思が確定した後に出す書類で、原則として撤回できません。
撤回の可否と法的性質
退職願は社内手続きの一環で、会社と話し合いながら進められます。退職届は意思表示が明確なため、受理されれば法的に退職が確定しやすくなります。会社が受理しない場合は話し合いになります。
提出のタイミングと扱い
就業規則や雇用契約に基づき、退職の申告期限を確認してください。一般的に退職の希望日は事前に伝え、承認を得たうえで退職届を出す流れが安全です。面談でまず退職願を出し、合意が得られたら退職届へ切り替えます。
選び方の目安
・まだ交渉や引き継ぎ調整が必要なら退職願
・意思が固く、日付を明確にするなら退職届
状況に合わせて使い分けるとトラブルを避けやすくなります。
退職願・退職届の基本構成と必要項目
概要
退職願・退職届は形式が整っていることが重要です。以下の項目が一般的に必要になります。用途に応じて「願い出る文」か「報告する文」を選びます。
必要項目と説明
- 表題
-
用紙上部に「退職願」または「退職届」と記載します。どちらか一方を明確に書きます。
-
宛名
-
会社の最高責任者を記載します。例:代表取締役社長 山田太郎 殿
-
冒頭(前文)
-
「私儀」や「私事」などの定型句を使います。文体が丁寧に整います。
-
退職理由
-
通常は「一身上の都合」とします。詳しく書く必要は基本的にありません。
-
退職日
-
希望日を明記します(例:20XX年X月X日をもって退職します)。確定している場合は「退職日」として明記します。
-
文末の表現
- 退職願:願い出る表現(例:「何卒ご了承のほどお願い申し上げます。」)
-
退職届:報告する表現(例:「ここに退職届を提出いたします。」)
-
届出日
-
書類を提出する日付を記載します。
-
所属部署・氏名・押印
- 所属部署名、氏名を記入し、実印または認印を押します。会社の指示があればそれに従ってください。
注意点(簡潔に)
- 用紙は縦書き・横書きどちらでも可ですが、会社の慣例に合わせます。
- 日付や宛名に誤りがないよう確認します。
- 書面の提出前に上司に口頭で伝えるとトラブルを避けやすいです。
正しい退職願・退職届の書き方(例文付き)
要点
- 宛名(会社名・代表者名)・提出日・所属部署・氏名・押印を必ず書きます。
- 退職願は「お願い」の表現、退職届は「報告」の表現を使います。
退職願の書き方
- 用紙の上段に宛名(例:株式会社○○ 代表取締役 △△様)
- 日付・所属・氏名(押印)
- 本文は簡潔に理由と退職希望日を書き、最後に「お願い申し上げます」と結びます。
例:
(本文)
私事で恐縮ですが、一身上の都合により、令和○年○月○日をもちまして退職させていただきたく、ここにお願い申し上げます。
退職届の書き方
- 構成は退職願と同じですが、本文は断定的に記載します。
例:
(本文)
私事で恐縮ですが、一身上の都合により、令和○年○月○日をもって退職いたします。
押印・提出の注意
- 印鑑は実印でなく認印で構いませんが、朱肉で押すこと。
- 提出は直属の上司に事前に一言伝えてから行うと印象が良くなります。
書き方の注意点とマナー
筆記具
退職願・退職届は必ずボールペンか万年筆で記入します。鉛筆や消せるペン、修正液・修正テープは使わないでください。訂正が必要な場合は、二重線で訂正し、その横に印鑑を押すと丁寧です。
退職理由の書き方
理由は「一身上の都合」で十分です。詳しい事情を書く必要はありません。個人的な事情や次の就職先は基本的に記載しなくて問題ありません。
日付・退職日
用紙には提出日と退職日を明確に書きます。日付は和暦・西暦どちらでも構いませんが、会社の慣例に合わせると安心です。
宛名と敬称
宛名は会社の最高責任者(代表取締役社長など)を正式名称で記入します。宛先が部署長や人事の場合は、社内ルールに従ってください。
氏名と印鑑
氏名は自署し、認印を必ず押します。シャチハタ(ゴム印)は避けてください。押印は読みやすい位置に一つで構いません。
封筒の選び方
白無地の封筒を用意し、二重封筒(内袋・外袋)にすると内容が見えにくくて丁寧です。表に「退職願」または「退職届」と黒インクで書き、裏面に所属部署と氏名を記入します。
提出時のマナー
提出は直接手渡しが基本です。上司に一言伝えてから渡し、受理の有無や今後の手続きについて確認しましょう。メールで先に相談しておくと円滑に進みます。
パート・アルバイトの場合のポイント
はじめに
パートやアルバイトでも退職願・退職届は必要です。書式は正社員と基本的に同じですが、会社ごとのフォーマットがある場合はそれに従ってください。
提出のタイミングと期間
就業規則や雇用契約で定められた期間に従います。一般的には1〜4週間の余裕を持つことが望ましいですが、職場によっては1か月以上を求められることもあります。まず契約書や就業規則を確認しましょう。
書き方のポイント(パート・アルバイト向け)
- 形式は簡潔で構いません。氏名、提出日、退職希望日、理由(簡潔に)を入れます。
- 会社指定の様式があればそれを使う。同僚や上司には事前に口頭で伝えておきます。
- シフト引き継ぎや返却物(ユニフォーム、鍵など)についても一言添えておくと親切です。
例文(短い例)
令和●年●月●日
株式会社●● 御中
(部署名) (役職名) (上司名)様
(氏名)
一身上の都合により、令和●年●月●日をもって退職いたしたく、ここにお願い申し上げます。
手続きとマナー
- 直属の上司にまず口頭で伝え、その後書面を提出します。
- 提出時は控えをもらう、提出日を記録する、必要なら引き継ぎ書を用意するようにしてください。
- 給与や有給休暇の清算方法は事前に確認しましょう。emailでの提出については第8章で詳述します。
会社都合退職の場合の文面
概要
会社都合で退職する場合は、理由を簡潔に記載します。自己都合のように「一身上の都合」とはせず、「部門縮小のため」「退職勧奨に伴い」「契約満了に伴い」など事実に即した短い表現にします。
書き方のポイント
- 簡潔に:理由は一行〜二行で十分です。長々とした説明は不要です。
- 感情を入れない:批判や詳細な背景は避け、事実のみを記載します。
- 日付を明記:退職日(最終出社日)をはっきり書きます。
- 人事の指示に従う:会社指定の書式や文言がある場合は優先します。
例文(短め)
- 「部門縮小のため、○年○月○日をもちまして退職いたします。何卒よろしくお願い申し上げます。」
- 「退職勧奨に伴い、○年○月○日をもって退職いたします。よろしくお願いいたします。」
- 「契約期間満了に伴い、○年○月○日をもって退職いたします。何卒ご確認ください。」
注意点
- 詳細を伏せたい場合は「会社都合により退職いたします」と書くことも可能です。ただし会社や公的手続きで理由の特定が必要になる場合があります。
- 不安があるときは人事担当者へ相談し、記載内容を確認してから提出してください。
メールでの提出・例文
はじめに
最近は退職願・退職届をメールで提出するケースが増えています。メールでも紙と同じく礼儀と分かりやすさが大切です。以下で注意点と例文を紹介します。
基本ルール
- 件名は一目で分かるように短く明確にします(例:「退職願(氏名)」)。
- 宛先は直属の上司を基本に、必要に応じて人事も追加します。
- 本文は簡潔に構成し、添付ファイルで正式な退職届を添えると確実です。
本文の構成(順序)
- 挨拶・宛名
- 退職の意思と退職希望日
- 理由は簡潔に(詳細は申告済みなら省略可)
- 感謝の言葉と引き継ぎの意志
- 添付の有無・連絡先
添付ファイルについて
退職届をPDFで添付すると保存性が高く正式です。ファイル名は「退職届_山田太郎.pdf」など分かりやすくします。署名は手書きの場合はスキャン、電子署名が可能なら明記してください。
例文(簡潔)
件名: 退職願(山田太郎)
部長 山田太郎です。
このたび一身上の都合により、2025年6月30日をもって退職させていただきたく存じます。正式な退職届を添付しました。引き継ぎは責任を持って行います。これまでお世話になり、ありがとうございました。
添付: 退職届_山田太郎.pdf
連絡先: 090-xxxx-xxxx
例文(丁寧・正式)
件名: 退職届提出の件(山田太郎)
人事部 御中
いつもお世話になっております。山田太郎です。誠に勝手ながら、一身上の都合により2025年6月30日をもって退職させていただきたく、退職届を送付いたします。添付ファイルをご確認ください。引き継ぎ・最終業務は速やかに対応いたします。何卒よろしくお願い申し上げます。
添付: 退職届_山田太郎.pdf
送信時のマナー
送信は業務時間内が望ましいです。上司に口頭で一報を入れてから送ると混乱を防げます。送信後は受領確認を依頼し、未着の場合は電話で確認してください。
よくある質問・注意事項
Q1: 退職の取り下げはできますか?
原則として取り下げはできません。特に「退職届」を一度提出すると、会社側はそれを受理して手続きを進めます。ただし、会社が承諾すれば取り下げは可能です。口頭だけでなく、取り下げの合意は書面やメールで残しておきましょう。
Q2: 退職届は必ず必要ですか?
必ずしも必要ではありません。就業規則や会社の慣行で求められる場合があります。会社から提出を求められたら従ってください。求められない場合は、口頭やメールでの申し出で足りることもあります。
Q3: いつ提出すればよいですか?
就業規則や雇用契約をまず確認してください。一般的な目安は退職希望日の1~2ヶ月前です。繁忙期や引継ぎの都合で早めに伝えるとスムーズです。
Q4: 取り下げを申し出るときの注意点
まず上司や人事に真摯に説明し、理由と今後の働き方を明確に示してください。会社が認める場合は、取り下げを証拠として残すために書面での確認を求めましょう。
その他の注意事項
・提出した書類のコピーを保管してください。
・有給消化、最終給与、社会保険の手続きは事前に確認しましょう。
・トラブルになりそうな場合は、労働相談窓口や専門家に相談することをおすすめします。


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